インタビュー
日本展開を遅らせたのはiPhone対応待ちだった! Xbox Cloud Gaming日本サービス詳報
Xbox Cloud Gaming担当者に日本向けのコンテンツ戦略を聞く
2021年9月30日 18:20
- 【Xbox Cloud Gaming】
- 10月1日開始予定
- 利用料金:1,100円(月額、Xbox Game Pass Ultimate)
Xboxのクラウドゲームサービス「Xbox Cloud Gaming」が、いよいよ日本でもサービスを開始する。2018年10月8日に米国で正式発表され、サービス開始までに実に3年を要したことになる。海外でも今年6月よりサービスを開始しており、日本の遅れはわずか4カ月ほどで、Xbox Game Passでたっぷり3年待たされた我々としては、これぐらいは待たされたのうちに入らないといっていい。何と言っても、ついにクラウドゲームサービスの中でも随一のコンテンツラインナップを誇るXbox Cloud Gamingが日本でも楽しめるのだ。
サービススキームは、海外と同じだ。Xbox Cloud Gaming単体での提供は行なわず、あくまでXbox Game Passの付加サービスとして、最上位プランであるXbox Game Pass Ultimateに付与される形となる。
対象プラットフォームは、Windows 10 PCに加えて、スマートデバイス(iPhone、Android)そしてXbox。専用のアプリからゲームを選ぶだけで、即時ゲームのストリームが始まる。Xbox Game Passではゲームソフトの購入のプロセスが不要になったが、Xbox Cloud Gamingではダウンロードやアップデートのプロセスすら不要になる。
ある日、ふと思い付いてしばらくぶりにゲームを遊ぼうとして、本体のアップデートや、ゲームのアップデートが長すぎて、待ってる間に寝てしまったというのはゲーマーあるあるだが、Xbox Cloud Gamingはそうした無様な風景を完全に過去のものとしてくれる。遊びたいタイトルを、遊びたいときに、好きな場所で、即時に遊べる。もちろん、コンテンツはXboxそのものであり、クラウド、Xbox版、PC版の垣根なくゲームを楽しむことができる。
MicrosoftはXbox One時代に、XboxタイトルをWindows 10 PCでも遊べるようにする「Xbox Play Anywhere」構想を発表し、それ以来Xboxは、単なるゲームコンソールの名前から、ハードに依存しないゲームプラットフォームブランドへと昇華している。それがXbox Cloud Gamingの提供によって、ひとつの完成を迎えたといってもいいかもしれない。
「Tokyo Game Show 2021 Xbox Live Stream」で初お披露目されたXbox Game Passのトレーラーは、日本を舞台に、日本人の若者たちが、様々なデバイス、思い思いの場所ででXbox Game Passを介してクラウドでゲームを楽しむという内容になっていた。日本ではあまり大規模なプロモーションを行わないXboxだが、日本独自の実写トレーラーは数年ぶり。それだけ気合いが入っていることがわかる。
正式名称は「Xbox Cloud Gaming(Beta)」で、海外同様βサービスとなり、契約的、あるいは技術的な問題から、Xbox Game Passとプレイできるタイトルは同一ではなく、厳選された一部が遊べる仕様となっている。
ただ、トレーラーでも紹介されていたように、「SCARLET NEXUS」(バンダイナムコエンターテインメント)をはじめ、「ドラゴンクエストXI S」(スクウェア・エニックス)、「ドラゴンクエストビルダーズ2」(スクウェア・エニックス)、「龍が如く7」(セガ)といった国産タイトルがサービス開始時点から対応しており、なおかつ今後リリースされる「Forza Horizon 5」(日本マイクロソフト)や「Halo Infinite」(日本マイクロソフト)、「Back 4 Blood」(セガ)といったAAAタイトルもラインナップに加わることがアピールされており、日本ではもっとも強力なクラウドゲームサービスの登場といっても過言ではない。
今回は日本でのサービス開始に先立ち、Xbox Game PassおよびXbox Cloud Gamingの担当者に単独インタビューの機会を得られた。モバイルゲーム大国である日本に早期のタイミングで殴り込みを掛ける意図は何なのか、その目標は何なのか、日本のゲームファンを代表して質問を重ねてみたので、ぜひご一読いただきたい。
日本のプレビュープログラムで多くの学び。日本ローンチを遅らせたのは「iPhone対応を待つため」
――Xbox Cloud Gamingは、利用するデバイスによってサービス内容やクオリティに差異はあるか。あれば教えて欲しい。
Kareem Choudhry氏: まず、ローカル環境でプレイする場合とクラウドでプレイする場合に違いはない。平等だ。次に使用するデバイスによる違いだが、こちらもない。Xbox Oneでプレイしようが、Xbox Series Xだろうが、PCだろうが、スマートデバイスだろうが、同じ体験ができるように設計されている。
――Xbox Cloud Gamingの日本サービスはビッグニュースだが、米国を含む他の地域とサービス内容やクオリティに違いはあれば教えて欲しい。
Kareem Choudhry氏: 基本的に同じサービスだが、細かいところでコンテンツに違いがある。国や地域による制限や、コンテンツパブリッシャーの判断による部分があるからだ。
――その上でさらにXbox Game Pass UltimateとXbox Cloud Gamingのタイトルラインナップはイコールではなく差異が存在するが、その理由は何か?
Catherine Gluckstein氏: 我々の目標は採取的にはどんな端末、どんなものも同じコンテンツを提供すること。現時点では、開発パートナーと協力していく中で法務的、技術的な理由で、それが実現できていない部分もあるのは事実。しかしながら最終的にはすべて全部同時にシンクロして同じサービスを提供することを目標にしている。
――Xbox Cloud GamingをXboxコンソールにも対応することが発表されたが、あえてXboxでクラウドサービスを利用するメリットを教えて欲しい。
Catherine Gluckstein氏: 我々はgamescomでXbox Cloud GamingをXbox Series X、Xbox Oneにもホリデーシーズンに提供すると発表した。我々としては、Xboxゲーマーに対して、そのゲームがダウンロードする価値があるのかどうかを判断するために試してみるツールとしてXbox Cloud Gamingを活用して欲しいと思っている。Xbox Cloud Gamingなら、ソフトウェアを購入したり、ダウンロードしたりすることなく、ぼぼ直ちにプレイし始めることができるので、とりあえず遊んでみてダウンロードする価値があるか決めて貰いたいと考えている。これはXbox Game Pass Ultimateメンバー全員が利用できるサービスとなる。
――XboxやPCを持たない純粋なスマートデバイスユーザーが利用するには、Ultimateは少々割高だと思う。Xbox Cloud Gaming単体のサブスクを提供するつもりはないのか?
Kareem Choudhry氏: Xbox Game Pass Ultimateは、常にユーザーのフィードバックを得ながら付加価値を高めてきた。Xbox Cloud Gamingの提供もそのひとつ。
――つまり、Xbox Cloud Gaming単体の提供は今のところ考えていない?
Kareem Choudhry氏: (笑)。今のところアナウンスできることはない。
――日本では、PCゲーム市場、Xbox市場、共に大きいとは言えないが、モバイルゲーム市場は人口比で言えば世界最大規模。うまくいけばゲームプラットフォームとしてのXboxが日本を制覇することも夢ではないと思う。大きなチャンスだと思うが、その日本展開戦略について考えていることを教えて欲しい。
Catherine Gluckstein氏: まずは様々なデバイスをターゲットに様々なユーザーに遊んで貰うことを考えている。互換性、ユーザーはいろんな端末を持っている。日本はモバイルゲーム市場が重要なことは我々も理解している。ローンチが他の地域より遅れたのも、iPhoneの対応を待っていたから。開発パートナーと協力して、様々な端末で遊べるようにしたり、コントローラーやタッチ操作で、上手く扱えるようにすべく努力を傾けてきた。
――ゲーム市場の成否を決めるのは常にキラーコンテンツ。Xbox陣営は最後発としてクラウドプラットフォームのコンテンツ戦略をどのように考えているか?
Kareem Choudhry氏: Xbox Cloud Gamingのコンテンツ戦略は、Xbox Game Passと同じ。それはつまり、引き続きファーストパーティのタイトル開発もそうだが、サードパーティとの連携を強化し、引き続き魅力的タイトルをしていくことを重視している。我々は種類豊富な良質のタイトルを、簡単にプレイできるようにする、このコンビネーションこそが勝利の鍵だと考えている。
――Xboxがクラウドゲーム時代に移行することによってコンテンツ戦略に変化はあるのか?
Catherine Gluckstein氏: ファーストパーティー、サードパーティーの両方を重視する戦略に変化はない。
――「Microsoft Flight Simulator」は、それ自体が優れたクラウドベースのゲームだが、今後、こういったクラウドテクノロジーをふんだんに活用したコンテンツが、Xboxで増えてくるのかどうかが知りたい。
Kareem Choudhry氏: 「Microsoft Flight Simulator」は確かにゲームとクラウドが融合したタイトルだ。プラットフォームもどんどん新しくなっていくのと同じように、今後も新しいテクノロジーが、ゲームに新しいイノベーションを引き起こしていくことだろう。
――日本のゲームファンに向けてメッセージを
Catherine Gluckstein氏: 我々は日本のゲーマーに感謝している。それは日本市場のプレビュー版において日本のゲーマーからの学びなしではローンチまでこぎ着けることはできなかったからだ。我々のサービスが、日本のゲームコミュニティを喜ばせ、繋いでいけることを喜ばしく思っている。これからもクラウドゲーミングの旅を共に歩んで行ければと考えている。
新型コロナの影響で実際に赴いて日本のローンチを迎えることができず大変申し訳なく思っている。日本のゲームファンや開発パートナーには大変感謝している。今後も共に歩んでいきましょう!