インタビュー

ぱらちゃんがご当地キャラ「ストV」大会に出場決定!トレーナーのキチパ選手に直撃インタビュー

ぱらちゃんと大崎ニセ番太郎によるキチパvsナウマンの「代理戦争」勃発か

5月16日13時~16時 開催予定

 今年5月、あの異例の「ストリートファイターV(以下、ストV)」大会が帰ってくる!その名も「Dynabook Presents. SFV LOCAL CHARACTER GP JAPAN 2021 supported by intel」だ。

 昨年「Intel Presents. SFV LOCAL CHARACTER GP JAPAN 2020」というご当地キャラクター限定大会が開催され、全国的人気を誇る千葉県船橋市の非公認キャラクター・ふなっしーや「ストV」実力者として知られる高知県須崎市のマスコットキャラクター・しんじょう君などが出場。優勝者はトッププロゲーマーのウメハラ選手と対戦できるとあってキャラクター業界、格闘ゲーム業界の双方から注目が集まるという、これまでにない興味深い大会であった。

 2020年大会の詳細は、筆者が書いたレポート記事があるので、詳しく知りたい方はそちらを参照していただきたい。

 eスポーツライター且つご当地キャラクターファンである筆者の趣味が高じて、前回レポート記事を書くに至ったわけだが、おかげさまで今年は大会情報をいち早くキャッチすることができた。詳細は別記事を参照していただくことになるが、昨年から引き続き出場するキャラクターもいれば今大会から初参戦のキャラクターもいる。ゲストも豪華な顔ぶれがそろっており、今から非常に楽しみである。

 ご当地キャラクター目線で注目なのは、青森県黒石市出身・にゃんごすたーの出場だ。キャラクターメタルバンド「CHARAMEL」のメンバーであり、昨年は同バンドから3体が出場。「なぜにゃんごすたーだけがいないのか」という疑問に答えるべく、満を持しての参戦となった。そして格闘ゲーム目線で注目なのは、「EVO JAPAN 2020」優勝者のナウマン選手が大崎駅西口商店会マスコットキャラクター・大崎ニセ番太郎のトレーナーに就任したことだろう。昨年はネモ選手の指導のもとギルを使用して大暴れしていたが、今度はさくらにキャラ変して大暴れするのだろうか。

 ところで今大会には、ご当地キャラクターとはちょっと毛色の違うキャラクターが何体かエントリーしている。いわゆる企業キャラクターやVtuberといった分野からの参戦だ。なかでも目を引いたのが、ぱらちゃんである。筆者がかつて使用していたパソコンのひとつDynabookに、このぱらちゃんが住んでいた。ほんわか可愛らしい見た目とは裏腹に、メール受信のお知らせやスケジュール管理をしてくれるなど頭脳明晰なところが印象的なキャラクターだ。クリックすると分裂するのが面白くて、ポチポチ遊んでいたのも懐かしい。

Dynabookのイメージキャラクター、ぱらちゃん

 そんなぱらちゃんがなぜ突然「ストV」大会に出場することになったのだろうか。そのカギを握る人物が、AZラプラス所属のプロゲーマー・キチパ選手だ。かつてはキチパームと名乗っていたが、今年に入ってプレーヤーネームを改称した。最近では「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020 グランドファイナル」でネモオーロラの一員として優勝を果たしたのが記憶に新しい。

 若干前置きが長くなったが、実は今回、ぱらちゃんとキチパ選手にお話を聞けるチャンスが舞い込んできた。先日、キチパ選手がぱらちゃんに「ストV」を教え込む動画をツイッターに掲載したばかりで、非常にタイムリーである。皆さんが感じているであろうさまざまな疑問点を筆者が直接投げかけてきたので、早速ご紹介したい。

【Dynabook Presents. SFV LOCAL CHARACTER GP JAPAN 2021 supported by intel】

キチパ選手がぱらちゃんのトレーナーに就任!きっかけは?

――ぱらちゃん、キチパ選手、今日はよろしくお願いします。ぱらちゃんはだいぶ小さいですけど、お喋りできますか。

キチパ選手:ぱらちゃんの言葉は、僕しかわからないんです。

――なるほど。ご当地キャラクター業界でも一番多いタイプですので問題ありません。では基本的にキチパ選手にお答えいただく形で進めていきたいと思います。まず、ぱらちゃんとの出会いから教えていただけますか。

キチパ選手:自分が道を歩いていたとき箱を見つけて、何だろうと思って見てみたらぱらちゃんが箱に入っていたんですよ。「この子はぱらちゃんです、拾ってください」と書いてありました。ちょうど空腹だったので最初は食べようと思ったんですけど、見た目が可愛いもんで連れて帰って育てることにしました。そんな感じの出会いです。



――4月頭ごろ、ツイッターにそのときの写真を載せていたのを拝見しました。その後、突然ぱらちゃんに「ストV」を教え込む動画をアップされていましたが、トレーナーになったいきさつを聞かせてもらえますか。

キチパ選手:ある日ぱらちゃんが「ストVをやりたい」とささやいて来まして。最初は自分も「君には無理だ」って話したんですけど、どうしてもやりたいっていうことで。意外とこの子は頑固なんですよね。

――キチパ選手の突然の変貌ぶりに心配の声もあったようですが。

キチパ選手:ツイッターのリプライはまだ良いほうで、ラインで個人から本気で心配するメッセージが送られてきました(苦笑)。なるほど、こういうこともあるのかと思いましたが、逆に面白くなってきましたね。自分の性格的にこんな可愛い子を拾って育てるっていうのは、まずなかったので。だいたい晩飯とか酒の話をしている感じの人間ですから。





キチパ選手の「指導者」としての顔に迫る

――ところで、ぱらちゃんの現在の実力はどのぐらいですか。

キチパ選手:自分の使っているキャラクターがザンギエフなんですけど、今はその操作の仕方や技の振り方など基本的なことを教えている段階です。それに今はまだ対戦相手の使用キャラクターがわからない段階なので、まんべんなくキャラクター対策を詰め込んでいるところです。どんな相手がきても対応できるように教えていますね。

――これまでにプロゲーマーとして「ストV」を教えた経験はあるんでしょうか。

キチパ選手:実は今所属しているラプラスのゲーミングアカデミアっていうチャンネルで人に教える企画をやっていまして、生徒第一号はオーナーの藤堂さんなんですけど、その流れで教えるのが得意になってきたので、ぱらちゃんにもだいぶスムーズに教えることができています。いつも藤堂さんに教えるときはスパルタなんですけど、ぱらちゃんはまだちっちゃいですし可愛いので優しく教えています。

実際にキチパ選手のぱらちゃんへの語り口はとても優しい

――そうなんですね。キチパ選手自身、教えるなかで学びはあったりしますか。

キチパ選手:誰かに教えるのって言語化が必要なんですよね。なぜこのキャラクターにこの行動をするのかっていうのを自分のなかでも理由をつけて文章化しているので、その誰かに教えるっていう行動が自分のためにもつながっていると思います。それを書いたことによってぶれないというか、芯がしっかりするっていうのは結構あるんですよ。自分の言葉を信じて突き進むことができているので、教えるのは良いことだなと思います。

――では、大会出場にあたってぱらちゃんへ期待していることは何でしょうか。

キチパ選手:自分が教えているので、自分と同じように動いてほしいんですよね。使っているキャラクターは邪悪そのものですけど、ぱらちゃん自体はすごく可愛いっていうギャップで頑張ってもらいたいです。ザンギエフって立ち回り自体は強いんですけど、攻めにいく力はそこまで強くなくて。一度大幅なダメージをとってから、待ちつつ追い払っていくプレイが得意なんです。ぱらちゃんには持ち前の賢さを生かした頭脳プレイで、相手を絶望に追いやるような戦い方をしてほしいです。

――今大会で注目しているご当地キャラクターはいますか。

キチパ選手:大崎ニセ番太郎とナウマン選手のタッグをかなり警戒しています。ナウマン選手は今脂が乗っている選手ですし自分も大会で負けたりしているので、彼の教える相手には全力をもって対策していかないと。実質「代理戦争」ですからね!

猛特訓中のぱらちゃん、不思議な力でゲームパッドを上手に操作しているという

――普段ご当地キャラクターとの交流はあまりないかと思いますが、ほかに知っているご当地キャラクターはいますか。

キチパ選手:そのほかだと、こにゅうどうくん(三重県四日市市公式キャラクター)ですね。トレーナーがいなくてもかなり強いので、注目しています。ただ前回は大崎ニセ番太郎と当たって一回戦負けしていますから、今回も負けてもらおうかな、と。ぱらちゃんに教え込むからには絶対に勝ってもらわないと、と思っています。

――今回のようなeスポーツとご当地キャラクターの組み合わせについて、どんな印象をお持ちですか。

キチパ選手:ほかの大会では、ガチガチのプレーヤーしかいないのが現状です。そういう意味でご当地キャラクターが参加する大会は大人も子供も楽しんで見られるエンタメとしての側面が強いと思っているので、自分としてはもっとやってほしいですね。プレーヤーも増やしたいので、かなりありがたい取り組みだと思っています。

新システムが導入された「ストV」、キチパ選手の将来の目標は?

キチパ選手のプレイを肩越しに楽しんでいるぱらちゃん

――では、キチパ選手ご自身の近況を教えていただけますか。

キチパ選手:今年「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020 グランドファイナル」でネモオーロラの一員として優勝はしたんですけど、そこからまた調整が入ってVシフトっていう新しいシステムが入ったんですよ。今はそれに対応したレシピをつくったり、Vシフトを押したらどうなっちゃうのか色々調べたりしています。あとは、使っていい状況を見極めるのが大事なのでその対処のトレーニングをやっていて、結構自信はありますね。

――そのVシフトによって、ゲーム上どんな点が一番変わりましたか。「ストV」の試合を見るのは前回大会以来となるご当地キャラクターファンの皆さんもいらっしゃるかと思いますので、簡単に説明していただけないでしょうか。

キチパ選手:前までの「ストV」って起き攻めと言って相手のダウンからの起き上がりの際に攻撃をするのが強かったんですけど、Vシフトが追加されたことによって打撃と投げの二択がいなされてしまうようになったので、ユリアンのような起き攻めが強いキャラクターの価値が下がっちゃった感じなんですよね。そのぶんダルシムやメナトのような立ち回りが強くてコンスタントにダメージがとれるキャラクターが、今は強いかなと思っています。

キチパ選手の周りを動き回るぱらちゃん、非常に懐いている様子だ

――そういえば、ネモオーロラの皆さんがご当地キャラクターと関係が深いのはご存知ですか。ネモ選手は大崎ニセ番太郎の初代トレーナー、ガチくん選手は前回大会のゲスト、Sako選手は「こにゅうどうくんカップ」のゲストでした。彼らから今後アドバイスをもらう可能性もありますか。

キチパ選手:ネモ選手はすごく怖いので下手なことは聞けないかなっていうのはあるんですけど、ちゃんと聞けば教えてくれると思うので、もしもぱらちゃんの育成に悩んだら聞こうかなとは思っています。でも、まず聞くなら前回大会をすべて見てきたガチくん選手ですね。ネモ選手に聞くのは最終手段ということで(苦笑)。

――そんなキチパ選手ですが、なんでも「ストV」界ではヒール役を目指しているそうですね。

キチパ選手:自分としてはもともとプロレスが好きだったので、軽く結びつけてどんなものかなっていうのを様子見したかったんです。そういうのを試した結果、ネモオーロラでの扱いなんかを見るとまだまだヒールにはなりきれてはいないんですけど、それこそ自分が「おじ」ぐらいの年齢になったときに、若い子に倒されるべき敵として君臨したいなって思っています。

――では最後にぱらちゃんとお話がしてみたいんですけど、通訳に入っていただけますか。

キチパ選手:もちろんいいですよ!

――ぱらちゃんはキチパさんのどんなところが好きですか。

キチパ選手:(ぱらちゃんの話に耳を傾けるキチパ選手)「ご飯を食べさせてくれるところ」って言っていますね。

――可愛いですね。本日はありがとうございました!

ぱらちゃんの話に耳を傾けるキチパ選手

 4月14日取材時点のキチパ選手によれば、ぱらちゃんは食欲旺盛でちょっとずつ成長しており、「大きくなってきたら肩に乗せられなくなりそう」ともこぼしていた。その後4月20日の投稿ではパッドより大きくなった姿が確認できる。このまま成長を続けたら、大会の開催時にはどれほどのサイズになっているのだろうか。

 さらに最近は自分がアビゲイルをプレイしているとぱらちゃんが肩越しに楽しそうに見ているのだという。頭脳明晰なぱらちゃんのことだから、もしかしたらアビゲイルも使えるようになるかもしれない。今後のぱらちゃんの成長に期待しつつ、我々は大会当日を待とうではないか。