インタビュー

銀河をこの手に! SFシミュレーション「Stellaris」インタビュー

銀河帝国を打ち立てるべく、他種族と競い、協力!

 「Stellaris」は1つの銀河を舞台に複数のエイリアン種族が覇権を争うスケールの大きなリアルタイムシミュレーションゲームだ。Paradox Interactiveが得意とするストラテジーで、エイリアンの設定、惑星の設定、各勢力の駆け引き、資源や戦略など要素は細かく複雑だ。だからこそ独特の魅力が輝くゲームと言えるだろう。本作のPS4日本語版がDMMより2020年春に発売される。

 本作のPC向け英語版は2016年発売であり、「PDXCON」では2本の新DLCが発表されたが、今回は今後発売される日本語版により本作をはじめて触れるファンが増えることを考え、本作のゲームディレクターを務めるDaniel Moregard氏に、あえて本作の基本的な部分を質問してみた。

 インタビューは複数のメディアによる合同インタビューである。様々な角度から本作のユニークさ、込められた想いを聞くことができた。銀河を舞台とした壮大なゲームに興味を持っていただければ幸いだ。

【Stellaris: Console Edition - "Tour of the galaxy"】

銀河系を舞台とした壮大なSFシミュレーション

 「Stellaris」はユーザー自身が物語を紡いでいくゲームだとMoregard氏は語った。プレーヤーは「宇宙帝国」を設立し、その拡張を目指していく。プレーヤーは他の民族を滅ぼして自らの版図を広げるような悪の帝国となるか、他のエイリアン達と共存共栄を図る善の帝国を目指すのも自由だ。自分の中のモラルや理想を反映させ、自らの種族の宇宙での繁栄を目指していく。

 ゲームで重要なのは探索要素。自分たちの惑星系から飛び出し、船を派遣し探索の手を伸ばしていく。資源を探し、植民星を探し、そして他種族との接触を試みていく。未知の帝国と出会ったときは多くの選択肢が生まれる。

 彼らは敵なのか、友なのか、相手の理想が自分と同じならば共に進むこともできるが、異なった場合、プレーヤーに選択肢が与えられる。他の帝国と出会ったとき、ゲーム性は大きく変化するとMoregard氏は語った。

本作のゲームディレクターを務めるDaniel Moregard氏

 他種族と接触した後もプレーヤーは探索の手を伸ばし、より多くの資源、広い版図を実現し自分の帝国を拡大、強化することも重要だし、他のチャレンジも増えてくる。そして第3のエイリアン種族との出会いも待っているかもしれない。そのとき、最初に接触したエイリアン種族と協力して立ち向かうといった新しい選択肢も生まれる。ゲームは進んでいくことでより複雑に、そして面白くなっていくという。

 小さな帝国から大きく広大な帝国になっていくにつれ、選択肢が増えていく。プレーヤーはまず様々な資源を見つけるために探索し、そして他の種族と接触していく。宇宙では強力な力を持ち宇宙をさまよう「スペースドラゴン」や、すでに勢いを失い衰退の道を歩む「堕ちた帝国」といった存在と出会うこともある。「宇宙には不思議がいっぱいだよ」というのは使い古されたい言い回しだが、「Stellaris」においてそれは基本となることだとMoregard氏は語った。

 舞台となるのは「1つの銀河系」である。その銀河の大きさはゲーム開始時に設定できる。銀河にはいくつかのエイリアン帝国があり、プレーヤーはその1つとして版図を拡大していく。エイリアンはまず外見を選択、性格、力が強かったり、頭が良いなどの特性を選択、さらに出身惑星を決める。その帝国は民主主義なのか、政府が圧政を敷いているのか、帝国全体の姿勢を決める。商業主義第一の商人帝国なども設定できる。これらを設定することで、時刻がどんな宇宙人によって構成され、その理想は何なのかが設定できる。

広大な銀河が舞台となる

 プレーヤー以外の他の帝国はランダムで作成される。このため過去の歴史上の国家や、物語の国家などモデルはなく、自動生成となる。「王を神とあがめる共和制国家」など、過去の国家に似た形態が生まれることもある。

 国の要素はアーキタイプ(原型)があり、「敵を全て抹殺する」、「他の帝国を滅ぼし支配下に置きたい」など様々な目標を持っている。また異なる種族が存在する他種族国家なども登場する。帝国の進化の過程では人間が身体を機械化し、ついには機械人類の帝国になる、といった選択も存在するとのことだ。

 「Stellaris」は欧米ではすでにPS4などコンソール版も発売されている。コンソール版は1年遅れで発売されたが、アップデートの内容も沿っている。2020年にはアップデートが行なわれ、現在の「Stellaris」と同じ内容になるとのことだ。操作系は違うがゲーム要素は同じで、全く同じゲーム体験が楽しめるという。

 マウス+キーボードでプレイできるPC版に比べ、コントローラでプレイすることは難易度が上がる部分がある。開発チームとしてもコンシューマ版は初めての挑戦で、現在はまだ研究の途上であるとMoregard氏は語った。今後もよりプレイしやすいやり方を求めて行くつもりだという。

宇宙艦隊が激しくぶつかる場面も

 「Stellaris」は版図が広大になるとやることが増えて管理が大変になる。PC版ではユーザーが様々な自動化を行なうMODなども制作している。オフィシャルでもPC版には自動化機能が実装されている。例えば、「どのような惑星を作りたいのか」という項目があり、これで惑星改造の多くの操作が自動化される。特定の資源を採掘できる資源惑星にしたいのか、ひたすら武器を生み出す工業惑星にしたいのかといった目的に合わせた惑星の改造機能を追加している。

 さらにこれらの要素は今後増えていく。現在でもユーザーの多くなる負担を低減すべく自動化の要素は検討していて、ユーザーが面白いと思える選択肢をきちんと選べる様にし、管理などは自動化できるように各要素を研究しているとのこと。

 今回のPDXCONでは、2つのアップデートが発表された。Moregard氏はアップデートは必ず明確なテーマを掲げるようにしていると説明した。1つの面白いと感じるテーマを選び、ゲーム内で実装される要素を抽出していく。今後という所では、水に関連する種族、エネルギーを直接食べる種族などを考えている。これらはあくまでアイディアで、今後の実装予定と言うわけではないという。

 10月末に実装されるのは、「Lithoids」。こちらは鉱石を食べる岩石人間の新種族が追加される。宇宙船なども岩石で形成されているという。実装は2020年になるという「Federation」はゲームに変化を与える大規模アップデートとなる。他の帝国と相談することができるようになり、方針についての交渉ができるようになる。

 さらに帝国の“起源”を選択することで、自国のキャラクター性をより深掘りできるようになる。機械化していく人間達の歴史や、一定期間後母星が爆発してしまうなど、起源はゲームプレイにも密接に関わってくる。「Federation」は非常にユニークなゲーム体験をもたらすという。

他の帝国とどう関係していくかも重要だ

 最後にMoregard氏は、「日本語版が発売されることで『Stellaris』がより多くの人に遊んでもらえる様になるのは本当にうれしい。自分の思うまま宇宙を探索し帝国を作ることを楽しむのもいいし、歯ごたえのあるストラテジーとして楽しむのも良いと思います。是非、楽しんでください」と日本のユーザーに向けてメッセージを語った。

 非常にユニークでスケールの大きなゲームである。自分の力で歴史を作るような気持ちに酔える。日本語版の発売時期はまだ未定だが、この興味深いゲームを是非日本語版で楽しみたい。

2つのアップデート「Federation」、「Lithoids」

 「Federation」は"連合・同盟"を意味する。こちらは実装時期は2020年だが、ゲームに大きな変化をもたらす。このDLCでは勢力が同盟を結び、協力関係を結ぶことが可能となる。同盟はレベルがあり、これを上げていくことでより強固な同盟関係を結ぶことができる。同盟レベルを上げていくことで、様々な「同盟能力」、「同盟スキル」を使用可能となり、他の国家より有利な立場に立てる。

 またこれまで以上に強い繋がりを生むシステムが導入される。外交にどこまで重きを置くか、相手国への好意はどうか、使節団を送っての交渉も可能となる。また他国との貿易、「銀河評議会」など、直接の関係ではなく、他の帝国を巻き込んだ繋がりなども持てるようになる。

 そして「Origins(起源)」だ。各勢力はどういったバックボーンや進化の過程を経るのか。それは設定上だけでなく、ゲームの進行に合わせたイベントも用意されている。起源によりこれまで以上に各勢力に物語性がもたらされる。

 「ジャガーノート」という巨大戦艦も目玉の1つだ。この間は強力なだけでなく修理機能があり、他の戦艦を修復できる。これにより戦線の維持が可能となるという。「Federation」はこれまでのゲームプレイを大きく変えるアップデートなのだ。

 「Lithoids」は石の肌を持つ新種族が追加されるアップデート。10月末に実装予定だ。彼らの宇宙船も石造りである。彼らはミネラルを食料とするため他種族と資源消費が異なる。プレイ感は新しいものとなるだろう。