インタビュー

待望の「アインハザード定額」実装など改善を続ける「リネージュM」、運営チームインタビュー

「お客様のライフスタイルに寄り添った形で、安心して『リネージュM』を遊んでいただければと思います」

 モバイル端末でクラシカルな本格派のMMORPG体験ができる「リネージュM」。どんなオンラインゲームでもそうだが、ある程度時間が経ってくるとユーザーから改善して欲しい点などが多く寄せられる。

 9月にはオフラインの場で運営チームとプレーヤーが交流を深める“ファンミーティング”も開催され、実際にその場でも多くの声が運営チームに寄せられたという。筆者自身も本作を比較的プレイしている方の人間だが、やはり気になる要素は多い。

 例えばインタビュー本文中にも触れている「アインハザードの祝福」というシステムの存在だ。これは他のゲームでいうところのスタミナ的な存在で、狩りを続けていると徐々に消費されていく。この数字が一定値以上あると獲得経験値が700%になるバフがかかるほか、ゲーム内通貨である「アデナ」や各種アイテムの獲得率が向上する。狩りを続けると徐々にアインハザードの祝福が減っていき、最終的にはバフがなくなるというシステムだ。長時間狩りを続けるキャラクターと、そうではないキャラクターのバランスを取るために導入されたシステムなのだが、ヘビーなプレーヤーほど影響を受ける部分が多く、多数の要望が寄せられているのだという。

 このタイミングでそれを大きく改善するために、"定額制"のようなシステムが導入される。弊誌ではこのタイミングでインタビューを実施し、「アインハザードの祝福」のほか多くのプレーヤーから寄せられている要望について色々と聞いてきたので、こちらの模様をお伝えする。

「リネージュM」運営プロデューサーの川南巌氏
「リネージュM」運営チームの「元ダーシス」こと鈴木一氏

多くの要望が寄せられていて、それぞれを受け止め前向きに検討中

――「リネージュM」はサービスインから5カ月を迎えようとしています。先日開催されたファンミーティングでも一部が公開されましたが、多くの意見や要望が寄せられている状況かと思います。

川南氏:そうですね、多くの要望をいただいていますが「『リネージュM』のプレイを続けていきたいからこう変わってほしい」という意思の表れだと思っています。どういう経緯でその意見を持つに至ったのかをきちんと分析して、もしかしたら希望している形そのままではないかもしれないけれども、別の形の可能性も含めて今後も改善していきたいと考えています。

――具体的にどんな要望が寄せられていますか?

川南氏:例えば「自動戦闘中にPKされるのが嫌だから Non-PVP サーバーが欲しい」という意見ですね。Non-PVPサーバーは実現が難しいのですが、放置中にPKされたくないという意見に対しては、例えばSafety Zoneの特殊ダンジョンを増やしたりとか、ワンクッション置いた形ですが解決できる部分もあるのではないかと考えています。

 他に議題に挙がることがあったのが、「海外接続を禁止してほしい」という意見ですね。規約では海外からの接続自体は禁止ではないんです。ですので現存のサーバーでいきなり海外からの接続を禁止しますというのは既にプレイしているプレーヤーがいるので正直難しいですが、もし新しいサーバーを立てることがあれば、このサーバーは国内接続だけですよというレギュレーションで運営することも可能ではないかと協議しています。

――他にも攻城戦などの時間についても要望があると思いますが。

川南氏:攻城戦については「今20時から開始になっているものを、22時からの開始にしてほしい」という要望が1番多いです。この内容は開発元との協議項目に含まれているのですが、開発元としては関連するシステムが多いのでできればこのままの時間で進めたいという姿勢です。日本の運営チームとしては、本作のユーザー層などを考えると開催時間の変更を実施する方向で動いており、開発と前向きに協議中です。

――それは将来的にサーバー間戦争などが実装されるからその都合で、ということでしょうか。

川南氏:そうですね、そういった新しいコンテンツが大体そのあたりの時間に組み込まれる予定になっていて、開発元からは「日曜日の21時以降に新たなコンテンツが追加される可能性があるので、時間をずらすのは難しい」という回答をもらっています。例えば時間をずらしてサーバー間戦争が20時から、普通の攻城戦が22時だったらそれはちょっと……となりますし、仮に普通の攻城戦を土曜日にすると2日連続はなかなか難しいというご事情の方もいらっしゃいますでしょうし……。

 攻城戦の開始時間を動かすことがそれほど工数がかかるものでなければフレキシブルに動かしてもいいのですが、なかなかそういう事情ではないというのもあります。ただ想いとしては受け止めていて、出来る限りどうにかならないかという調整はしています。

実装直後に比べると攻城戦への参加者が減っているサーバーもある。開始時間が変われば参加しやすいプレーヤーもいるだろう

――最近SNSなどを見ているとモチベーションを失ってゲームから離れてしまうプレーヤーをちらほらと見かける印象があります。

川南氏:確かにゲームの作り自体がロングスパンなものになっているのは確かです。それと共にもう少し小刻みなショートタームの目標が必要だと認識していて、チャレンジ型のコンテンツを導入できないかと協議しています。例えば100階建てのダンジョンがあって、より上層階を目指していく、というようなコンテンツですね。こういったコンテンツであれば自分で目標も設定できるので、そういった内容も話には上がっている内容ではあります。

――また個人的な意見でもあるのですが、全体的に課金アイテム、特に装備関連のアイテムが高額な印象があります。

川南氏:装備アイテムについては高く設定しているのは事実です。というのも例えばドロップしたアイテムがゲーム内で取引できるのですが、ドロップしたアイテムが課金アイテムとして格安で手に入るので要りません、となるとドロップした時の喜びも減ってしまいます。かといってそれほど時間を使っていないプレーヤーでもアイテムを全部手に入れられる状況も避けたいですし、それが不可避のゲーム性でもないので、どうしても高レアリティの装備が欲しいという方には一応ご用意はさせていただきます、というスタンスです。

鈴木氏:「リネージュ」というゲームの根幹は、狩りをして少しずつキャラクターを強くしていきつつ、アイテムを獲得してキャラクターの装備も少しずつ強くなっていくというところにあります。仮に同じようなアイテムが出たとしてもオーバーエンチャントにチャレンジしたり、そういった要素があって少しずつ強くしていくというのがゲームの楽しみであって、すごく難しいところではあるんですね。皆が同じ装備を安価で⼿に入れることができる状況になってしまうと、高レアリティのアイテム価値がなくなってしまうと考えています。我々としても非常に悩んだ結果、今の価格の設定になっているという状況です。

――レアドロップや装備の強化に重きを置いていることは理解しました。確かにドロップの喜びについては非常にわかるのですが、レアドロップが渋すぎる印象です。ボスも管理されていてなかなか狩れなかったりですとか。

川南氏:実は本作では雑魚MOBがレアアイテムを持っているケースが非常に多いんです。PC版ではいわゆる超レアアイテムは特定のボスしか持っていないネームドレアが殆どだったんですが、設定上は例えば「傲慢の塔」のほぼ全ての敵から「英雄級製作秘法書」のようなレアアイテムがドロップする可能性があります。本作では製作に比重をシフトしている所があって、高いランクのアイテムを製作で作れるようになっています。

 また、仮にボスに出現時間のランダム性があったとしても長時間張り込みを継続できるようなやり込んでいる血盟(クラン)にアドバンテージが発生してしまうケースもあるため、時間が決まっている方が考え方によってはチャンスがあるのかもしれず、悩ましい部分です。

――プロデューサーレターに海外との遊び方に差があるという記載がありましたが、そちらも関連していますか?

川南氏:一言で言うと日本のプレーヤーはPVPを好まない層が多いです。海外ではドレイクの湧き場などではほぼ24時間誰かしらが戦っているような状況です。日本でもドラゴンバレーの三叉路などは大人気だと思うんですけど、あの辺はサーバーによっては立ち入れないような状況で、「うちの血盟に入ると、このエリアで狩りができるよ」というような血盟もあると伺っております。

 日本ではPVPを好む⼈はPVPがやりたくても他の人は付き合ってもくれないし、迷惑がられるし、文句も⾔われるし、やり甲斐もない。そういった状況にある印象はありますね。日本のプレーヤーはキャラクターのスペックを上げることや、"血盟が平和であること"に重きを置く方が多くいらっしゃいます。

筆者のサーバーでは時間にもよるが、ボスが出現しないタイミングでは大規模な対人戦などは発生しない傾向にある

鈴木氏:人と争うより、一緒に遊ぶ友達が欲しいのかなとは思いますね。

川南氏:日本のユーザーは"ハクスラ"が好きな人が多いように感じます。狩りして、レアアイテムゲットして、やったぜ!みたいな。私自身もそういったゲームを好んでプレイしたりもするのですが、「リネージュ」のゲームの根幹には血盟間闘争というのが横たわっています。開発側の意見としては、例えば先程にもあったボスの時間が固定になっているのも、わかりやすい時間にお祭りの状態を提供しているということです。海外のプレーヤーはそのお祭りが好きなんですよ、そこで起きた対人戦で勝った負けたをやっているのが日々楽しいと。その辺りの優先順位が日本とは違いますね

ついにアインハザードが"定額"に!傲慢の塔の4階以上なども実装予定

――「アインハザードの祝福」の定額制がこのタイミングで入る理由について教えてください。

川南氏:元々時間がかかると⾔われていたんです。実際に導入協議が進み工程の確認をしたところ、韓国でのサービス開始からかなり後に導入されたシステムだったので、日本の現行バージョンに組み込めるよう調整し定額制を導入することに工数がかかったという状況です。

 日本の運営チームからはアインハザードの枯渇傾向が見えだしているので実装して欲しい、という要望を8月頭には開発に要請していて、その頃は「まだリリースして2カ月なのでもうちょっと待ってほしい」と⾔われていました。その後継続して協議していく中で年内目標で頑張ります、と言われたのですが、さすがにそれは遅いのでという話になり早期導入に向けて動いています。

 皆様からのご意見が集まったことや、弊社(運営元のNCJ)の社長が開発元に強くプッシュしてくれたこともあり、大幅に導入が早まりました。

――なるほど。改めて「アインハザードの祝福」の仕様について教えて下さい。

川南氏:「ドラゴンの宝玉」というアイテムを使うと使用したキャラクターにバフがかかるんですね。期間が30日で、4,900円ぐらいです。このアイテムを使うと「アインハザードの祝福」が0になっても、1~200ある状態と同等の状態になります。また、本アイテムの実装にあわせて、アインハザードの祝福の値が1~200の間の時の取得経験値が200%から400%に変更されます。

――400%固定であれば購入も選択肢にも入るかなという印象ですね。とはいえ複数キャラクターになるとちょっと大変な印象ですが。

川南氏:例えば1キャラクターだけこのバフを使って、他のキャラクターには毎日配布されるものや、デイリーミッションなどで入手できるものを集める、というのも使い方かなとは思います。

 また、運営側ではこの「ドラゴンの宝玉」の導入を「リネージュM」においてのリスタート機会であるともとらえています。ですので、実装にあたり、サービスリリース時の象徴的キャラクター「リズ」の変身カードをセットにした特別パッケージもご用意させていただく予定です。「定額制が導入されたし、ちょっと『リネージュM』を始めてみようかな」という方にはお勧めの変身となっておりますので、この機会に是非ご確認いただければと思います。

30日間有効な「ドラゴンの宝玉」を購入すると、「アインハザードの祝福」が0になっても、1~200あるときと同等になる「ドラゴンの保護」のバフを得られる

――ありがとうございます。それでは今後のロードマップについて教えて下さい。

川南氏:ファンミーティングでもお話した、「傲慢の塔」の4階以上のフロアを近日実装予定です。目処としては10月末に4階が実装されて、そこから段階的に1フロアずつ追加されていく予定です。

 その後は新職業の「銃士」の実装ですね。銃を使って戦うクラスで強力なスキルを多数持っています。例えば「イミューントゥハーム」を破壊するスキルや、範囲攻撃スキルを持っていたりと、色んな事ができる可能性を秘めたキャラクターですね。

鈴木氏:「エルフ」より攻撃的なスキルが多く、自分を強化するよりは相手に対して何らかの影響を与えるというクラスですね。遠距離の強力なデバッファーというイメージでしょうか。

川南氏:直接のDPSはエルフの方が高いかもしれないです。相手に向けた影響力の高いキャラクターなので エルフとは住み分けが必要になってくるものと思います。

――シーズナブルなイベントなども予定されていますか?

川南氏:まずは本日10月23日からハロウィンイベントと、翌週10月30日から「超異世界エヌ・シー・ファイブ」イベントの3週目がスタートします。その後クリスマスや年末年始にもイベントを予定しています。

――例えば先程話題に上がったサーバー間戦争のようなものの実装はありますか?

川南氏:もちろん実装予定ではありますが、おそらく来年中かなという状況です。

――ありがとうございます。それでは最後にプレーヤーにメッセージをお願いします。

鈴木氏:これからもお客様のご意見に⽿を傾けて導入できるものは導入していきます。今まで開発元と協議せずに頓挫したことはないので、是非ご意見をいただければと思います。そのまま導入が難しいものでも、ご意見が発生した趣旨を考えてお客様のライフスタイルに寄り添った形でサービスを行なっていきますので、これからも安心して「リネージュM」を遊んでいただければと思います。

川南氏:本作は気の長いゲームと言いますか、特にキャラクターの育成に焦点を当てると、かなりロングスパンになってしまうゲームだと思います。ですので熱中してやると進行の遅さに焦りを感じ、やる気を失ってしまうかもしれません。そういう時はちょっと時間おいてもう⼀度やってみるとか、ログアウトプレイなどを使って軽くプレイしていただくなど、気長に付き合っていただけると良いかなと思います。また、休み休みのプレイでも安心して戻っていただけるような長期安定運営を目指し、今後も開発と協力して、さまざまな施策を実施していく予定ですので楽しみにお待ちいただければと思います。

――本日はありがとうございました。