インタビュー

「バイオハザード RE:2」平林良章Pが「The 4th Survivor」に挑む!

初の完全中文版にした理由とは!? 「RE:3」は「ファンが望めば、そこがスタート」

【Taipei Game Show 2018】

1月24日~28日開催

会場:台北世貿一館

 日本でついに発売が開始された「バイオハザード RE:2」。台湾でもテキスト、音声共に中文化された繁体中文版が1月25日に同時発売された。Taipei Game Show 2019でも、プロデューサーの平林良章氏が駆けつけ、「ぜひ買って楽しんで貰いたい」と台湾のゲームファンに最後のプッシュを行なった。

【「バイオハザード RE:2」試遊コーナー】

 SIETブースで行なわれた「バイオハザード RE:2」ステージイベントでは、本編クリア後のお楽しみ要素のひとつである「The 4th Survivor」を平林氏自らプレイ。「The 4th Survivor」は、いわゆる表と裏の両方をクリアしなければたどり着けない隠しモードで、限られた環境下でクリアを目指すという超高難易度モードとなっている。

 平林氏自身も「たまにしかクリアできない」ということで、2度チャレンジし、2度とも途中でゾンビに食われてあえなくゲームオーバーとなってしまった。平林氏の無残な死にっぷりに会場からは笑いも起こっていたが、開発チームが“もう1人の主人公”と語るゾンビたちが存分に躍動したことで、恐いもの見たさの「バイオ」ファンも大満足だったのではないだろうか。

 ちなみに既報の通り、「The 4th Survivor」の先には、更なる高難易度の「The 豆腐 Survivor」も用意されている。「The 豆腐 Survivor」は原作リスペクトの極みとも言えるモードで、オマケのオマケとして用意されたネタモードを、現代のテクノロジーでリアルに再現している。ゲーム性もそのまま再現されており、豆腐のキャラクターを操り、ナイフだけを駆使してクリアを目指す。平林氏は、「必ずしも全部敵を倒すことが目的ではない、ダメージを受けながらも進むとか、色んなチャレンジをしてクリアして欲しい」とアドバイスを贈った。

 ステージイベント後に行なわれたメディアインタビューの模様をお届けしたい。

【「The 4th Survivor」に挑む平林P】
恐いもの見たさにゲームファンがギッシリ詰めかけた
ゾンビまみれのゲーム画面
リソースはたっぷりだが、ゾンビの数が多すぎる
繰り返しゲームオーバーとなり、苦笑いする平林P

「バイオハザード RE:2」プロデューサー平林良章氏インタビュー

――無料DLCの「ゴーストサバイバーズ」では、IFシナリオが楽しめるということだが、これはレオンの視点から楽しめるのか、それとも3人の視点なのか?

平林氏:ローンチトレーラーの一番最後にもあるが、3人のキャラクターをプレイして、それぞれのキャラクターがもし不幸な事故に見舞われなければ、おそらく生きていたでしょうし、生きていたらどのようにこの惨劇の街から脱出したのかというのが「ゴーストサバイバーズ」のポイントになる。

【『BIOHAZARD RE:2』 ロンチトレーラー】

――「バイオ7」で一人称、キャラクター選択で大きな変革があった、今回の「RE2」は同じ繰り返すような変化があったと思うが、どのような経緯でこのような変化をしたのか?

平林氏:一番最初にディレクターと一緒にどういう形にしようかと、色んなゲームのシステムを検討し、チームみんなで話をする機会があった。オリジナルのカメラシステム、「バイオ7」のカメラシステム、「バイオ4、5、6」のカメラシステムなど色々な選択肢がある中で、今回我々が一番伝えたかったのはオリジナルの「バイオ2」のプレイフィールであり、レオン、クレア以上に主役だと考えているゾンビがより魅力的な存在にするためにはどうしたらいいんだろうと検討し、今回のようなビハインドビューが1番オリジナルの「バイオ2」をリスペクトした上で、モダンなプレイフィールを提供するというハイレベルなミックスができるのではないかということで、そういうカメラシステムを選んだ。「バイオ7」がFPS視点だったので、また違うものを作ろうと思って作ったというわけではない。

――このゲームは発売されたばかりだが、すでにたくさんのファンがクリアしている。本編のストーリーが物足りないという声が多いと感じているが、開発チームはどういう形でその声に応えていくか?

平林氏:まず、本編のストーリーは「バイオハザード RE:2」はオリジナルのリスペクトが出発点なので、私達は別に本編のボリュームは少ないとは感じてないし、新しい「バイオRE2」でやるべきことは、オリジナルを楽しんだ人に、再度モダンなシステムで楽しんで貰いたいという気持ちもあったので、無理矢理ボリュームを増やすという考えはなかった。

 やっぱりゲームは楽しい時間が過ごせないとダメだと思うし、僕らが間違えそうになるのは、ボリュームがプライオリティになると、無理なもの、不要なものも足しかねない。そういうものは排除して、楽しい時間をいかに提供するかということを第一に考えて、必要なものは変えて、足したが、必要以上にオリジナルをリスペクトできないようなことはしないようにした。オリジナルの「バイオ2」のボリュームは多すぎもせず、少なすぎもせず、ちょうどいいボリュームだったというのは開発チーム全員が思っているところ。

――1998年に発売された「バイオ2」は、1年後に「バイオ3」が発売されて、「バイオ3」は「バイオ2」の補足という声もある。今回「RE2」には、「バイオ3」の要素が感じられるが、こうした要素は次回作のリメイクに活かすつもりで入れているものなのか?

平林氏:まず、「バイオ3」のエッセンスが入っている理由は、オリジナルの時は「バイオ3」は生まれていなかったが、その後、「RE2」を作るまでの21年間で「バイオ」サーガはもの凄く増えていて、我々はゲームシステムやストーリーという点において、21年間積み上げていたものを1つずつ大切にしている。オリジナルでは表現できなかったが、今21年経ってバイオサーガの中で、ラクーンシティにあっても楽しめるものではないかというものは、「バイオ3」に限らず検討した。ただ、タイムラインは「バイオ2」と「バイオ3」と同じなので、気づいて貰えたのではないかと思う。

 次に「バイオ2」がリメイクになった理由は21年間、ファンの人が「リメイクをして欲しい」というラブコールを送り続けてくれたためで、ユーザーの皆さんが「RE2」を凄く楽しんでくれて、別のナンバーも遊びたいという声がラブコールとして挙がれば、そこが僕たちにとってのスタートポイントになると思う。

――無料DLCで固定カメラモード(オリジナルの「バイオ2」の視点)の実装は期待できるのか?

平林氏:ないです、ごめんなさい(笑)。凄く僕たちの中でも何回も何十回もトライして一番楽しい体験ができるだろうというのがこれだから。固定カメラがゴールではないと思う。固定カメラで楽しい体験をできることが大事で、今回ビハインドビューを取り入れた理由も、それがベストだと考えたから。そうでないものを中途半端な形で提供することは今のカプコンにはできない。

――「The 豆腐 Survivor」は、オリジナル版ではナイフだけだったが、今回は耐久度があるが、今回はどういう攻略法が用意されているのか?

平林氏:「The 豆腐 Survivor」をやった人はいる?(笑)。今回の「The 豆腐 Survivor」の豆腐くんもナイフしか使えない、アイテムスロットが全部ナイフになっている。ぜひ実際にプレイして攻略を考えて貰いたいが、1つだけヒントを言うと、今回サブウェポンは緊急回避と通常使うという2つの使い方ができるので、多い敵と戦うときに、今までのビハインドビューの「バイオ4、5、6」はどんどん敵を倒しながら前に進んでいくというプレイフィールだったが、「バイオ1、2、3」の頃を思い出して欲しい。全部の敵を倒しながら進んでいただろうか? 逃げたこともあると思う。リソースマネジメントは、弾薬を節約するだけではなく、ダメージを受けながら武器を溜めるとか、色々なプレイスタイルが楽しめたタイトルなので、豆腐の攻略も色んなチャレンジをしてみて欲しいなと思っている。

――原作ではレオンは彼女に振られていたが、今回のそうではなくなっている。なぜ設定の変更をしたのか?

平林氏:今回ディレクターが大切にしたいところと、オリジナルを経験してるからこそ、素晴らしいドラマにするために変えなきゃいけないと思う中の1個のポイントだと思う。「バイオ4」のレオンはカッコイイと思う。ただ、「バイオ2」のときのちょっとカッコ悪いレオンも非常に魅力的だと思う。

 ひとつ考えて貰いたいのはラクーンシティはゾンビが増えた。生きている人は誰もいないと思えるぐらいに。あれが短い時間で起きてしまうと凄く不自然で、やっぱりオリジナルのストーリーのシチュエーションをそのまま残すと、本当にあっという間にあんな街になってしまったという無理を作らなければならないとディレクターが考えた。あの街が変わっていくタイムラインを少しでも想像しやすいようにするために、レオンが街に来るタイミングについて、ストーリー上アレンジを加えることになった。レオンのキャラクターはそのまま。女性に振られたらやけ酒を飲む。キャラクター設定は変わっていない。

――今回は意外なことに中国語ボイスが入ったがその経緯を教えて欲しい。

平林氏:ここ何年かカプコンのタイトルは、中国語のテキストについて簡体字、繁体字、両方入れるようになった。僕たちはアジアの皆さんを凄く大切にしているし、アジアのユーザーに1人でも多くの人に楽しんで貰いたいから。アジアではテキストメインでやってきていて、ローカライズにはボイスというファクターもあるので、1つチャレンジという形で、中国語のボイスを入れるということが、どれだけ新たなプレイ機会になるのか計るために入れることにした。

――中国語ボイスの感想を聞かせて欲しい。

平林氏:実際に聞いた感想は、僕は個人的に、自分の中でルールを設けているので、これは個人の意見だと思って聞いて欲しい。色んな国で、色んな言語があって、声のトーンで、その国の言語に合わせて、こんな顔の人がこんな声だよねという考え方は国ごとに違う。だから日本人が勝手に、アジアのローカライズはこれだと決めるのは良くないと思っている。実際に「これはアジアの人たちがマッチしているか?」と聞いたときに、「マッチしている」、「似合っている」という声は貰っているので、それはすべてかなと考えている。