インタビュー

「World of Tanks」戦車100周年記念インタビュー

全タイトルで異なるMark Iイベントを実施。スウェーデンツリーは3本に

8月17日~21日開催

会場:Koln Messe

 今年Wargaming.netは、同社の“メインキャラクター”である戦車の実戦投入から100年を迎えるにあたって、ゲームの内外で100年を祝うイベントを実施している。ハイライトとなるのは1916年のソンムの戦いにおけるMark Iの実戦投入からちょうど100年にあたる9月15日に、ロンドンでイベントを実施すると共に、PC版、コンソール版、モバイル版のそれぞれで異なるゲーム内イベントを実施する。今回は、戦車100周年イベントを担当したAlex Bobko氏に、イベントの実施意図と企画内容について聞いた。

スウェーデンツリーは3本に。100周年イベントはVRコンテンツも公開

次回メジャーアップデートで実装が予定されているスウェーデン戦車。特異なデザインが特徴的
こうしてティーガーと交戦することもありそうだ
スウェーデンツリー。ここで確認できるのは2本だが、3本計画しているという

――今回Gamescomで発表したスウェーデンツリーについての基本コンセプトと特徴、魅力について教えてください。

Alex Bobko氏:スウェーデンという国は独自の戦車開発を行なった国なので、まず見た目がすごく他の国と比べて独特ですし、また戦車の扱い方や使用用途も他の国と全然違うので、今までにないユニークな、個性的なプレイスタイルが出せるはずのツリーになっております。

――具体的にどのような性能を備えているのですか?

Alex Bobko氏:特に性能面において、まだ言えることはないんですけど、普段私たちがその新しい国を追加する時には、基本Tier 1から10までのツリーを1つ、または2つぐらいでしか追加しないんですけど、今回のスウェーデン戦車に関しては、3つのツリーを追加しようと考えています。それが、軽戦車、中戦車、駆逐戦車っていう、今までだと日本で始まった時は、軽戦車のラインが途中までと、あと中戦車みたいな感じの導入だったんですけど、今回は3つのコンプリートされたラインを追加するので、かなり面白い形になるんではないかなと思います。

――今回公開されているのはまだ2つのツリーですかが、あと1つは何ですか?

Alex Bobko氏:序盤のほうに出てくる軽戦車ツリーですね。

――もう1つ軽戦車のみのツリーですか。

Alex Bobko氏:基本的に、序盤が始まる段階はだいたいの国が軽戦車、まず小型の初期の車両から始まります。そこから、Tier 10までいくかはまだわからないんですけど、少なくともその3種類の系統の車両が入ることは確定しております。

――スウェーデンツリーの実装のタイミングはいつ頃ですか?

Alex Bobko氏:まだ日にちに関しては決まっていないのですが、でもテストは始まりますので、それに合わせておいおい入っていく形になります。ただ、年内には必ず実装されるはずなので、楽しみにしていてください。

【Tank Building: Swedish Tanks】

――今現在「WoT」でメインの話題となっている戦車生誕100年イベントについてです。gamescomに合わせてトレーラーを公開しましたが、Mark Iがどのような形で実装されるのかよくわからなかったので、もう少し具体的に教えて下さい。

Alex Bobko氏:今回はあくまでもMark Iがゲーム内で登場しますという発表をしただけなので、どういった形で遊べるかの詳細に関しては、9月に入ってから明らかになり、9月15日のイベントで使用可能になります。9月15日に近づくにつれて各プラットフォームに合わせたゲームモードというのを説明したいと思います。

【World of Tanks PC - The Legend Returns】

PC版ではMark Iが戦闘しているシーンが描かれている
こちらはコンソール版。塹壕を乗り越えているようにも見えるが……
こちらは正面に主砲を置いた別バージョンのMarkシリーズのようだ

――1つ確認ですが、プレーヤーはMark Iに乗れるんですか?

Alex Bobko氏:実はすべてのプラットフォームで、用意されているモードが違うので、乗れるものもあれば乗れないものもあります。例えばコンソール版では、当時最初の戦車戦が起きたマップを再現した専用のマップが用意されます。そこではMark Iを使用して何らかしらのミニゲーム的なものができるようになっています。「Blitz」では逆にMark I本体ではなく、多少改良された特別な車両が用意されますので、それを使ったものが用意されますし、PC版においてはMark Iは登場するんですが、実際にプレーヤーが操作するのは、当時使用されていた装甲車になりますので、各プラットフォームで違う仕掛けが用意されております。

――なるほど、実装が楽しみですね。また、戦車生誕100年に合わせて新しいVRコンテンツを発表しましたが、この意図は?

Alex Bobko氏:今回公開したのはすべて映像コンテンツです。Mark I戦車を「WoT」のゲームエンジンを使用して再現したものを、実際にまるで乗っているかのように体験できるVRコンテンツと、それ以外にもボービントンで撮影した車両の内部、そういったものをまるで自分が中で見ているかのように360度全周で見られるようにしたものなどがあります。実写の映像だけでなく、ゲーム内の映像とも合わせているので2つの方向から楽しめるようになっています。

(実際にVRを体験)

――なるほど、戦車の中から見るのではなくて、Mark Iの真上から、走行しているところを眺める感じなんですね。

Alex Bobko氏:そうですね。他のコンテンツで、内部から見たものも用意しています。

――これはPC版の映像を使っているんですか? 綺麗ですね。

Alex Bobko氏:はい、そうです。

――実写映像に切り替わりましたが、Mark Iが動いていますね。ボービントンのMark Iって可動するんですね。

Alex Bobko氏:ボービントンにあるMark Iは稼働する本物の車両なんですけど、その映像の戦車はスピルバーグ監督の制作した映画の際に使用したMark IVのレプリカの車両です。

――この映像コンテンツをどのような形で配信して公開するんですか?

Alex Bobko氏:YouTubeなどで配信しますし、それ以外でもVRをメインにした映像コンテンツを配信しているサイトがありますのでそういったところをベースに配布をを広げて行こうと思っています。

――これはいつ配信開始ですか?

Alex Bobko氏:こちらは9月15日のイベントに合わせて全国に配信予定です。

――なるほど。例えば「WoT」そのものをVRに対応させる計画はありますか?

Alex Bobko氏:今現在このVRはまだ成長中の分野ですので、こちらにあまり力をいれることは実は考えていません。今現在こういった映像コンテンツを出しているのは、この分野に全く興味がないわけではなくて、まだ始まったばかりなので、VRの専門スタッフもいませんので、私たちもできるっていうことをしっかりと皆様にお見せするのと同時に、ノウハウを培うためにやっております。まだVRに関しては、ゲーム内にこれを大きく導入するということは出ておりません。

――今回Mark Iを「World of Tanks」に登場させるわけですが、今後、第一次世界大戦まで対象の戦車を広げる可能性はありますか?

Alex Bobko氏:私たちが今回、このMark I戦車を特別なイベントとして取り上げたのには理由があります。私たちのゲームは戦車を題材としているものですし、歴史のひとつとして非常に重要なシーンでもありますので、そういった意味で感謝の気持ちを表すために、今回このMark Iというのを記念してそのイベント自体も大きくサポートさせていただいております。

 ただ、こちらがゲーム内に今後登場するかといいますと、第一次世界大戦というのはもともと戦車戦は想定したわけではないので、あくまでも結果として戦車戦、戦場に戦車が現われたことで結果として戦車戦の幕開けとなったところでもありますので、ゲームとしてこのMark I戦車や第一次世界大戦の車両がいつも出てくるのが面白いかと言われると非常に難しいところでもあり、そもそもがMark I自体が対戦車戦を想定して設計されていないので、そういった意味でそこまで幅を広げてこれらがゲームに登場するようにすることは恐らくないと思います。

――日本のゲームファンからすると、Mark Iは非常に遠い存在なので、100周年と言われてもあんまりピンと来ない人が多いと思うんです。ヨーロッパの人たちから見てMark Iの魅力っていうのはどのあたりにあるのですか?

Alex Bobko氏:まず、確かにMark Iという戦車は、日本の方々にはあまり馴染みがないかもしれませんが、弊社に興味をもっていただいた方、また、「WoT」というゲームに興味を持っていただいた方は、少なからず戦車そのものに興味を持っていただいていると思います。そこでこのMark Iというのは、戦車の歴史の1番最初に登場した、いわゆるルーツの車両になります。ですので、少しでもその歴史に興味を持っていただいた方は、何が始まりでどういうきっかけで生まれたのか、そういった意味でこのMark Iを知っていただければなと思います。

 また、こちらのMark Iは、形も非常に独特で、一目見れば今現在存在する戦車とは全く比較にならないほど特殊な形をしていることがわかると思いますし、何よりも最初は戦車というものは陸で戦うものであっても、陸上の船というコンセプトでしたので、まるで陸上にある戦艦のような感じになっております。なので、砲塔や主砲の部分も今現在あるような、上の方についているのではなく左右についていたりと、まるで本当に戦艦のような形になっているので、そういった意味で様々な視点から興味を持っていただければなと思います。

 また、この「タンク」という単語なんですが、こちらも実は非常に興味深い単語です。最初はこれが兵器だとわからないように、開発をしている段階で、特別なコードネームで、いわゆる燃料を運ぶための輸送タンク。ものをいれるためのタンクですね、ウォータータンクや燃料タンク、そういったタンクというものがベースにあって、「輸送のためのもの」という形で開発を進めて、ドイツ軍が気が付かないように偽装していたのですが、それが正式名称になったというのも、また非常に興味深いお話だと思います。

――「WoT」で展開されている100周年のプロジェクトは9月15日のイベントで終わりですか? それとももう少し続くんでしょうか?

Alex Bobko氏:まずこの戦車100周年のイベントに関して、今年に入って割と長期に渡ってイベントをしておりますが、9月15日に行なわれるオフラインのイベント、こちらが最終的な1番大きな締めのイベントとなります。ただ、ゲーム内に関しては、まだ導入が一応見通しとしては9月15日ぐらいに行ないたいと思っておりますが、多少プラットフォームによっては前後する可能性もあるので、大体9月の間にすべてが、このイベントに関しては終了するような形で考えていただければと思います。

――9月15日のオフラインイベントでは何を行なうのですか?

Alex Bobko氏:9月15日のイベントでは、ボービントンにあるMark IVをロンドンの中心の公園に持ってきて多くの方が見たり触れたりできるようにする予定です。これによってより多くの方々、観光客、そしてロンドンの方々含めて皆様にこのMark IVという、Mark Iではないんですが、可動する方のこちらの車両を見ていただいて、実際に触れていただいて興味を持っていただきたいと思っております。

――わかりました。この100周年に続くビッグイベントはどういったものを考えていますか?

Alex Bobko氏:特に発表できる新しいプロジェクトというのは今現在ないんですが、今後もこういったVRだったり、博物館だったり、新しい技術を使って皆様を楽しませるようにしたいと思っておりますので、きっと今後もこういったものは出続けるので楽しみに待っていてください。

――わかりました。ありがとうございました。