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「ワールドクラブ チャンピオンフットボール インターコンチネンタルクラブス 2007-2008」 【SIDE-A】連載第4回 |
欧州および南米のトップチームと所属選手が実名で登場するサッカーゲーム。ジョイスティックなどで選手を直接操作するのではなく、フィールド上に“実在する選手のカード”を配置して、それを動かしたり、戦術ボタンなどで指示を与えながらプレイする。練習と試合を繰り返しながらチーム経験を積み重ねていき、チームを強化してカップ戦での勝利を狙う。試合後には選手カードが1枚排出される。 |
【SIDE-A】連載第4回([SIDE-A]最終回)は、WCCFにおける高い位置での守備を解説していく。相手陣内で積極的にプレスをかけ、なるべく相手ゴールに近い位置でチャンスを創出していくやりかたは、1試合を約5分のダイジェストで表現するWCCFシリーズでは、正直“効率的”とは言い難い。執拗に狙うと逆効果になることが多いが、各局面で戦術を切り替えていける監督(プレーヤー)にとって有力な選択肢になるのではないかと思い、ここにご紹介する次第だ。
※注 …… 本記事の内容は、あくまでも筆者自身がプレイして感じたことに基づいて記述しているものです。状況やカードなどさまざまな要因により、記事どおりにすべてが機能するわけではないことを、あらかじめお断りしておきます。
■ キープレイヤー戦術「チェイシング」を使う
キープレイヤー戦術(KP戦術)のチェイシングは、相手陣内でアタッカーが積極的にプレスをかけていくというもの。通常、相手陣内にいるアタッカーはプレスボタンを押しても特筆すべき守備的な動きを見せないが、本KPを設定すると、相手陣内のボールホルダー付近にいるアタッカーが積極的にプレスをかけにいく。ある意味、もっとも攻撃的な守備戦術のひとつだ。
●チェイシングの利点
最大の利点は、高い位置でボール奪取に成功した場合、そのまま最短手順でゴールが狙えることだ。キックオフ直後にうまくはまれば、ゲーム内の時計で最短3分少々で得点できることもある。後半残り10分前後、同点~1点差、相手側キックオフといった状況であれば、これを狙わない手はない。
相手陣内で“こぼれ球”への反応が良くなるというのも、チェイシングの特徴のひとつ。相手陣内におけるボールの奪い合いなどで選手同士がもつれた場合、通常はテクニック値やパワー値が高い選手ほど先にボールへと向かうものだが、チェイシングを設定しているとこちらのアタッカーがそういった相手選手よりも先に反応してくれることがある。パスミスからの混沌とした展開で助けられることもあり、機会はそれほど多くないかもしれないが、これがなかなかあなどれない。
これまた頻度は決して高くないが、相手陣内でのスローイン、ゴールキック直後もチェイシングによる効果が期待できる。過剰な期待は禁物だが、タイミングさえあえばチャンス創出へときちんとつながっていく。
キックオフ直後など、相手陣内でボール奪取を狙う。うまくいけば相手ゴールは目前だ |
●前線の布陣 ~人数をかけすぎても無意味~
こうした利点から「相手陣内でボールを追い回すのだから、当然アタッカーの人数が多いほど効果的!?」と早合点する人もいそうだが、実際は異なる。現実のサッカーと異なり約束事などが設定できないため、配置によってはアタッカー全員が一斉にボールホルダーの1点を追いかけるような形になってしまうからだ。
これは、本作における一般的なチェイシングの流れとして、相手陣内でボールを奪えるのは、ボールを持ったディフェンダー(DF)やディフェンシブ・ハーフ(DH)がラインを押し上げてくる一瞬のタイミングのみ、という点も影響している。押し上げてくるタイミングでボールホルダーに喰らいつけないと、あとは引き摺られるか簡単にボールをはたかれるかで終わってしまう。いくら攻撃的守備とはいえ、アタッカーの数を増やしても相対的なチャンスの数はほとんど増えない。
後述のポイントにもつながることだが、チェイシングに重点を置く場合、フォワード(FW)はふたりいれば十分。ひとりでも無理ではないが、当然その効果は小さくなる。ただし、2列目のOMFにある程度の人数を割けば、それなりの守備効果が得られる。筆者の体感に過ぎないが、個人的にはFWふたり、OMFひとり~ふたりくらいが、もっとも過不足(あるいは無理)なくチェイシングをかけられる人数配分ではないかと思う。相手の守備配置を見て、要所をきちんと押さえることが大切だ。
あまりよろしくない例。仮にボールを奪えても直後の展開は目に見えている | 相手の守備配置に対するアタッカー配置と中盤の抑え方で、FWふたり+トップ下でも効果的なチェイシングは可能。相手の守備陣系に応じて即座に適切な配置を行ないたい |
●キックオフ直後、いったん下げられるボールとその行方をしっかりチェック
チェイシングの精度を高めていくポイントは、アタッカーの配置と人選にある。第1は、キックオフの際、どこにボールが下げられるかということ。たいていはセンターバック(CB)かサイドバック(SB)にいったんボールが下げられるが、アタッカーの配置によっては、直近の守備的MFがターゲットになることも珍しくない。
ボールを受け取ったDFは、前線や中盤にボールを展開すべくラインを上げてくる。このときが最大のチャンスで、押し上げてくるDFと鉢合わせするようにアタッカーをチェックにいかせ、そのままボールを奪うのが理想形。鉢合わせを狙うには、こちらのアタッカーと相手DF、守備的MFの“縦軸”をあわせるよう配置するのが基本。4バックに対してFWふたりで仕掛けさせる場合は、FWふたりの間隔をやや広げる。2列目の攻撃的ミッドフィルダー(OMF)も使うなら、両サイドバック(SB)の縦ラインを意識しつつOMFをそれぞれ寄せる。
万全を期すならFWふたり、サイドアタッカー、トップ下の各OMFで縦軸の押し上げラインをカバーすればいいが、あまり丁寧にボールの下げどころをふさいでしまうと、前述のように直近の守備的MFにズバンと凄まじい勢いでパスを出され自動的に回避されてしまう。とはいえ、こうした無理やりなボールは味方守備陣の網にかけやすく、そういった意味では相手陣内でボールを奪えなくともチェイシングの効果は“無理なパス出しの時点で相応に得られている”と考えることもできる。
ボールを奪ったなら、戦術ボタン前方あるいはカウンター+味方FWがいる方向を瞬時に点灯させ、そのまま最短手順でゴールを目指す。WCCFシリーズは攻撃と守備の切り替えが瞬時に行なわれるため、そのままノーチェックでゴール陥落……とはいかないケースが多いが、アタッカーにスピードがあれば確率は決して低くない。トップクラスのスピードを持った選手なら、なおさらだ。
【 Sample.1 】 | ||
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エシアンにボールが下げられたところをチェイシングで強襲。右SBのベレッチが素早くカバーにくるが体勢不十分。ゴール前までにDFのチェックを受けるもカマラの個人技でかわし、追加点をあげることに成功。センターライン寄りでボールを奪ったときは、ゴール前までの展開がFWの個人能力頼みになりがちだが、そこは配置でそれなりにカバーできる |
【 Sample.2 】 | ||
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初期配置で両SBに対する圧力を緩めておく。これでキックオフ直後のボールがSBに渡りやすくなり、中盤を含めた嫌がらせ配置が直後のチェイシング効果を増幅する。ファッブリーニは一定の突破力があるが、そのままゴールを目指すには、ボール奪取位置からではやや遠い。ここは瞬時に戦術ボタン前+左を点灯させてフリーの味方FW(この場合はヴィニャローリ)とのコンビネーションを期待する |
●KPが設定された選手やDF値が高い選手が絶対的に得意というわけではない
KPは相手陣内にいるアタッカー全員に影響するが、実際にボールが奪えるかどうかは選手の個人能力に大きく影響される。ぶっちゃけてしまうと、KP戦術がチェイシングに設定されているにも関わらず、ボールを奪うのがあまり得意ではない選手さえいる。本来目安となるべき選手カードのDF表記も、それほどアテになるものではない。カード裏の解説文で前線での守備が得意とされる選手より、DF値が低い選手が凄まじい働きを見せることもしばしば。このあたりは、監督たるプレーヤーが色々な選手を起用して実際に試してみることをおすすめする。
●チェイシングの欠点 ~アタッカーのスタミナが損耗しやすい~
チェイシングとは、文字どおりボールを追いかける行為。必然的に、相手陣内で守備に奔走するアタッカーのスタミナは、ほかのKP戦術に比べて損耗が激しくなる。ボールを奪うことに集中するのはいいが、いざというとき肝心の場面でスタミナが切れていました、では話にならない。スタミナが減ったFWはシュート精度が低下する。レギュラーカードのFWを起用してる趣味チームの監督は、特に注意が必要だ。
レギュラーカードのFWで特に顕著だが、スタミナが減っていると急激にシュート力が低下する。なかにはガタ落ちなんてレベルじゃすまないFWもいるので、選手交代は余裕をもって行なったほうがいいだろう |
■ 色々なKP戦術を試してみよう
全面刷新された前バージョンから導入され新システム「KP戦術」は、ゲームにさまざまな変化を与えてくれる。正味な話「……これなんの意味があるの?」と疑問に思うような効果しか得られない代物もあるが、対人戦でも使用に耐えるもの、ゲームを楽しむためのエッセンスとして十分機能するものも少なからず存在する。そういったKP戦術を探し、色々な選手を組み合わせて試してみるのは、決して無駄なことではないと思う。興味がある人は、積極的にチャレンジしていただきたい。きっと楽しい発見があるはずだ。
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□「WORLD CLUB Champion Football」のページ
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(2009年 6月 5日)