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「ワールドクラブ チャンピオンフットボール インターコンチネンタルクラブス 2007-2008」【SIDE-B】連載第3回

  • ジャンル:スポーツ(サッカーゲーム)
  • 開発・発売元:株式会社セガ
  • 操作デバイス:カード移動、戦術ボタン×5、データ表示ボタン、キープレーヤーボタン、シュートボタン、キーパーボタン
  • 構成:サテライト席8席(4サテライト版は4席)+メインモニター、ALLNet対応
  • 料金:1プレイ300円、2プレイ500円、スターターパック1,000円
  • 稼動日:稼動中
【ゲームの内容】

 欧州および南米のトップチームと所属選手が実名で登場するサッカーゲーム。ジョイスティックなどで選手を直接操作するのではなく、フィールド上に“実在する選手のカード”を配置して、それを動かしたり、戦術ボタンなどで指示を与えながらプレイする。練習と試合を繰り返しながらチーム経験を積み重ねていき、チームを強化してカップ戦での勝利を狙う。試合後には選手カードが1枚排出される。



 【SIDE-B】連載3回目は、ディフェンスの構築について紹介しよう。SIDE-Aでは北村氏が独自の理論を展開していたが、筆者のディフェンス方法もそれと根本的に違うものではない。ただし考え方のアプローチは少々異なる。本作は相手チームのスタイル、ゲームの流れなどにより、守備は流動的に対応することが求められる。筆者のディフェンススタイルをそのままコピーしても、合わない人もいることだろう。独自の守備スタイルを構築するにあたって、筆者の理論が参考になれば幸いである。


※注 …… 本記事の内容は、あくまでも筆者自身がプレイして感じたことに基づいて記述しているものです。状況やカードなどさまざまな要因により、記事どおりにすべてが機能するわけではないことを、あらかじめお断りしておきます。


■ 4バック、3ボランチが世間の主流

 現バージョンでは、最終ラインは4バックのラインディフェンス、中盤は低めの位置に守備的MFを3人置いて守る形がゲームセンターでは主流である。筆者はこのフォーメーションが必ずしも万能とは考えていない。だがこの形になるのは、それなりの理由がある。

 前バージョンでは、中盤の底にあたる場所に守備的な選手を置いても、なかなかボールを奪取できなかった。それどころか、ここに人数をかけると前線にスルーパスが多くなる傾向にあった。そのため、2ボランチ、1ボランチのチームが多かったように思う。

 だが現バージョンでは、中盤の底でボールが奪えるようになっている。いっぽう最終ラインでは1対1の守りに確実性がないため、中盤でできるだけドリブルを止めたり、パスカットしたりすることがとても大切になってくる。そうなればここに人数を割いていこうと考えるのは自然の流れ。両サイドのケアを考え、守備的MFを3人置くのは理にかなっているといえるだろう。

 いっぽう最終ラインは、サッカーの基本どおりにオフサイドを利用しつつ、スペースを埋めた4バックラインディフェンスとする。これを3ボランチと組み合わせれば、世間で流行している形になるわけだ。

 しかし筆者は、「基本通り」のはずの4バックラインディフェンスにも、弱点はいくつかあると思っている。実際のところ筆者のチームは、スイーパーシステムを基本に守備を組み立てていることが多い。ではラインディフェンスの問題点とは何なのか。以下にまとめて説明していこう。


典型的な4バックラインディフェンス、4-3-1-2のフォーメーション。ラインの高さにより中盤の支配力、裏へ突破される危険性が変わってくる同じ4-3-1-2でも、スイーパーシステムでは守備の考え方が大幅に異なる。どちらかといえば、1対1のマンマークで抑えていく守備スタイルだ5バック2ボランチの、守備的フォーメーション。選手がポジションを守っているときは守りが堅い。中盤の支配力に劣るので、パスカットされて形が崩れ、カウンター気味に攻められたときが危険


■ 縦への突破、ラインブレイクに弱いラインディフェンス

 ラインディフェンスは、基本的にFWの縦への飛び出しに弱い。これは歴代の「WCCF」でも同様なのだが、KPラインブレイク、ショートカウンターが機能する現バージョンでは、さらに危険度が高くなっている。

 中央を抜かれやすいなら、ラインを下げればよい。それは確かに正しい理屈である。極端に言えば、4枚のDF選手のカードを、最下段に配置しても機能するくらいである。ドリブル突破を仕掛けてくるFWとの1対1を考えれば、DFカードの配置は低ければ低いほどよいのだ。

 しかし、これだけ低くDFを配置すると、当然デメリットも出てくる。まず中盤での守備、攻撃の連携が難しくなるということ。特に中盤が間延びすると、攻めに転じるときにパスカットされやすくなる。またペナルティエリアに侵入したFWにパスを通され、ダイレクト気味にシュートを打たれる危険も出てくる。DFがチェックに行く前にシュートされては、為すすべがない。特にKP戦術リトリートを多用するプレーヤーは、このパターンには注意が必要だ。

 しかし筆者は、ラインディフェンスを否定するわけではない。ラインディフェンスを採用する際には、ラインの高さによる有利、不利をしっかり理解して守ることが必要だ。ラインが高ければ中盤を支配しやすくなるが、そのぶん縦への突破を許しやすくなる。ラインを低くすると中央突破は防げるが、中盤でパスを回されやすい。その結果サイド攻撃や、カウンター気味の攻撃から失点をくらう可能性が増す。

 これらの弱点を回避するには、プレスボタンの押し離しやKP戦術を使ったフォローが必要となってくる。ここは自分の戦法に合わせ、工夫を重ねていってほしい。



■ 中央を確実に止めるスイーパーシステム

 ラインディフェンスが苦手な、中央突破を防ぐ守備システム。その方法を考えたときに、DFの配置がダイヤモンド型のスイーパーシステムが有力となる。このシステムは全体的に縦長なので、低い位置にDFを配置しても中盤でプレッシャーを掛けやすい。中央から突破してくる相手には、中央に縦に並ぶ、ふたりの選手で対処できる。

 だがこのフォーメーションは、サイドからの崩しに弱いように思える。しかしパスコースを遮断するようなカード配置をすることにより、サイド攻撃を抑えることが可能だ。サイド攻撃に対する対策は、以下にまとめて紹介することにしよう。


ラインディフェンスは中央を突破されやすい。特にKPのラインブレイクやフィールド支配の中央突破は強烈だラインが低いと、中盤を支配されやすくなる。また下がり過ぎてミドルシュートをくらわないように注意しようラインディフェンスに限らず、プレスで選手を動かすと守備が乱れやすい。ラインを押し上げるのにはプレス、下げるにはリトリートのKPが有効


■ サイド攻撃を防ぐカード配置 ~パスコースにふたりのDFを配置する

 それではさっそく、サイド突破を防ぐカード配置について紹介していこう。このサイド対策は、ラインディフェンスにおいても同様に機能するので参考にしてほしい。

 サイド突破に対するディフェンスは、非常に難しい課題であるといえる。単にサイド寄りにカードを配置する、といった曖昧な感覚では、比較的楽にサイド突破を許してしまう。では万能の守備的KP戦術があるかというと、これがあまり当てにならない。サイド突破に対する守備的KPには、サイドエリアブロック、ディフェンシブサイドなどがある。これらは使えないわけではないが、それだけで防ごうとしたら厳しいものがある。

 もっとも重要なポイントは、ウインガーに対してパスを出させないことだ。出されても、ウインガーの前でパスカットするのが望ましい。ボールが渡った場合でも、間合いを取られる前にすぐにチェックし、奪いたいところだ。

 これを可能にするには、トップ下からウインガーに渡るパスコースにふたりのDFを置くのが望ましい。ひとりはウインガーを直接マーク(少し手前でもよい)。もうひとりのDFは、トップ下からウインガーまでを結んだ斜めの直線上に配置する。ウインガーを直接マークするDFは、センターバックかディフェンス値が高いサイドバックにまかせるといいだろう。DF値が16以上は欲しいところ。パスコースを封じる選手は、サイドバックか守備的MFが適役。中盤の底で、サイドハーフを担当している選手を配置しよう。



■ MFの支配力を高め、パスカット役のサイドハーフを守る

 以上のようにカードを配置していても、実戦ではあっさりパスを通され、サイド突破をくらってしまうことは多い。筆者もそれでかなり悩んだものである。理論的にはパスが通されない配置なのに、いったいどうしてパスが通ってしまうのだろうか。

 SIDE-B第2回の連載で紹介した、サイド突破の方法を思い出してもらいたい。この記事で筆者は、ウインガーにパスを通すために、トップ下の動きが非常に重要になっていることを説明した。トップ下がボールを持って前に動くことで、周囲の選手が釣られて動き、パスコースができてしまうのだ。守備側から見れば、パスカット役に配置したサイドハーフが、トップ下の動きで釣り出されることでパスコースができているのである。

 これをできるだけ防ぐには、ほかのMFでトップ下をケアしなければならない。ほかの選手がボールを持った選手に対しチェックに行っていれば、パスカット役が動かずに済む。それはこちらが攻撃のときにも同様のことが言える。パスカット役の前にスペースが空いていると、パスカット役がボールを持って上がっていくため裏を取られやすい。ほかのMFがいればパスカット役がボールをすぐに渡すため、本来のポジションに戻ってくれるというわけだ。

 具体的には、パスカット役の斜め上、パスコースの直線上にもうひとりMFを置くとよい。これによってトップ下をマークしやすくなり、パスカット役がボールを持ったときの暴走も防ぐことができる。さらにバランスが崩れないように、均等にスペースを埋めながら中盤の枚数を増やしていこう。突破してくる方向と逆のサイドには、守備に関係する選手をそれほど置く必要はない。

 それでは以下に、4バックラインディフェンス、スイーパーシステムのときのサイド突破対策フォーメーションのカード配置例を紹介していこう。こちらは右サイド突破の戦術を使っているものとし、相手のサイド突破は左右両方の例をそれぞれ挙げてみた。現実にはカード移動をしてくる相手も多いので、それほど簡単にはいかない。そこは臨機応変に対応してもらいたい。


ラインディフェンス、右サイド突破戦術のときの、左サイド封じの例。形としては2ボランチだが、漫然と中央に2枚ボランチを置いているとまったくサイド突破が止まらない。左サイドから続く斜めの3枚のカード位置が非常に重要。もう1枚のボランチは、中央突破のパスコースを封じているラインディフェンス、右サイド突破戦術のときの、右サイド封じの例。トップ下がパスカット役を守りつつ、ウインガーへのパスを供給する。片側に2チームの選手が集まるので、密集したボールの奪い合いとなるスイーパーシステム、右サイド突破戦術のときの、左サイド封じの例。スイーパーシステムはマンマークを基本に組み立てるため、この場合は実質3バック。残る人数を中盤に集めて、支配力を高める。センターとウイングの間のスペースに入り込まれるとやっかいスイーパーシステム、右サイド突破戦術のときの、右サイド封じの例。ひたすら中盤に人を集め、パスカットを狙う。中盤の支配力は十分なので、トップ下に足の速いFWを置いて中央に突っ込ませるのもよい


■ スイーパーシステムの選手適性と人選~純粋なスピード値がカギを握る

 ここからは筆者が好んで使う、スイーパーシステムの人選と適性について説明していこう。ラインディフェンスを使う場合でも、選手選びの参考にはなるはずだ。

 スイーパーシステムは4人のDFと3人の守備的MFで構成されるが、通常の4バックディフェンスとスタイルは異なる。守備に専念する7人を選ぶ際、もっとも重要なのはスピード値となってくる。ラインディフェンスより選手間の距離を離して守るので、足がないと不測の事態が起こったときに追いつけないからだ。攻撃同様、守備もスピードがあればあるほどよい。

 それでは守備のポジションごとに、さらにくわしく適性を探っていってみよう。


スイーパーの人選 ~もっとも守備の堅い選手を選ぶ

 中央の最下段にはスイーパーが置かれるが、この選手はもっとも守備能力が高い選手に任せたい。カバーに走ることも多いので、サイドほどではないがチェックが速い方がよい。バレージ、カンナヴァロ、ネスタなど鉄板の選手はもちろんだが、筆者の好みに合ったのはLEアジャラ。チェックが速くて守備が堅いわりには、暴走気味のタックルが少ないと感じた。


スイーパーは、監督たるプレーヤーがもっとも信頼する守備の堅い選手に任せたい

サイド寄りのDFの人選 ~スピードと守備力を兼ねたDFが必要

 サイド寄りには、スピードとディフェンス能力を兼ね備えた選手が欲しいところ。理想はBEテュラム、「WCCF IC 2006-2007」コルドバ、「WCCF EC 2004-2005」トゥーレなどだ。このポジションにはサイドバック適性は必ずしも必要ではないが、サルシドのように守備力が高ければ十分に使える。 


スイーパーは1対1に強いことが大前提。ディフェンス値の高さを優先させよう。サイド寄りのDFは、スピードが速いDFが望ましい。なかでもコルドバは、現バージョンに適した優秀なDF

アンカーの人選 ~センターバック、守備的MFの両方が使える

 センターのアンカー(フォアリベロ)の位置には、スタミナのあるDFか守備的MFを置く。スピードはそれほど必要ないが、やはりチェックが速いタイプのほうが役立つ。ディフェンス値は15以上で、できればテクニック値は14くらい欲しいところだ。中央からパスを捌いていくため、あまりテクニック値が低すぎると問題が出てくる。

 アンカーにセンターバックタイプのDFを使う場合は、1対1の守備の強さに期待。スタミナが足りないなら、ハーフで交代させて回していくのもいいだろう。いっぽう守備的MFをおく場合はその運動量に期待。守備の範囲はセンターバックタイプより広い。MFが本職の選手を使う場合、DF値が14以上の選手を選びたいところだ。

 このポジションでは、DFが本職ならリカルド・カルバーリョ、デミチェリス、ラウール・アルビオルなど、MFが本職ならタルデッリ、マケレレ、ハーグリーブスなどが有力。90分持たないが、「WCCF EC 2004-2005」トゥーレはここでも速いチェックで攻撃の芽を摘み取ってくれる。


守備力はもちろん運動量も必要とされるポジションなので、理想をいえばスタミナが豊富な選手を選びたいところ

サイドハーフの人選 ~サイドバックのコンバートが理想

 サイドの守備的MF(サイドハーフ)には、サイドバックの優秀な選手をコンバートすることを奨めたい。筆者の経験では、守備的MFをサイド寄りに配置すると動きに無駄が多くなり、マークがずれやすい。いっぽう本職がサイドバックの選手は、スピードの速さを活かしてより広いエリアを守ってくれる。そもそもサイドバックは、ライン沿いを上下に動くはずのポジション。カードの登録上、サイドハーフと認識される位置に配置しても、機能するのはそれほどおかしいことではないのだろう。

 ここで活躍するのは、アビダルやサルシド、エブラ、ミゲウ、グリゲラといったところ。特にエブラはスピードが18と破格の数値で、恐るべきカバーエリアの広さを見せてくれる。U-5のみならず、フリーの人選でも考慮に値するほどの逸材だ。


優秀なサイドバックはスマートな守備の動きを見せる。なかでもエブラは特筆すべき活躍を見せてくれる

 このほか中央のアンカーの前には、攻守に活躍するMFを配置することになる。ここは守備力、展開力の両方が求められるので、能力の高いMFを選ぶようにしよう。

 筆者の人選は以上のようなものだが、本作は相手フォーメーションによってこちらのフォーメーションも流動的に変化する。選手の特性を考え、バランスよく選んで当てはめていくようにしよう。



■ 選手の連動した動きを観察しよう

 守備のフォーメーションは、単純にこのKP戦術を使い、この形にすれば大丈夫、といったものではない。重要なのはパスコースであり、選手の配置でパスコースを作ったり、遮断したりすることができるのがポイントだ。

 守備のシステムは、選手の動きを観察することから始まる。そして自分なりの理論を組み立て、それを実践することで完成する。単純に形を真似るだけでなく、さかのぼって自分で考えていけば、「WCCF」の奥深い楽しみを見出すことができるだろう。



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(2009年 5月 29日)

[Reported by 石井ぜんじ ]