使って試してみました! ゲームグッズ研究所
連載第314回
画面保護グッズ新世代の流れがついに携帯ゲーム機に!
アクリル素材の保護シートを試してみた
(2013/7/23 14:37)
当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。
これまで携帯ゲーム機の画面を守るため、たくさんの保護フィルターが登場し進化を続けてきたが、この画面保護に新たな局面が訪れている。合成樹脂「アクリル」を素材に使ったもので、これまでのフィルターよりもはるかに硬く、傷がつかず、透明度も高いという三拍子揃った保護シートに、いよいよPS Vita用と3DS LL用が登場した。従来のフィルターとどのような違いがあるのか? 画面映りはどうなのか? タッチ操作はちゃんとできるのか? そういったところを、実際に使って試してみた。
【今週のおしながき】
硬度8HのアクリルでPS Vitaを徹底ガード!透明度も高い新世代画面保護グッズ
HORIが「Amazon.co.jp限定」という形で発売している、PS Vita用の画面保護パネル。航空機の窓ガラスにも使用されている「アクリル」を主に使った、新たな世代の画面保護グッズだ。
アクリル素材ということで、本製品の最大の特徴はその硬さ。「引っかき硬度(鉛筆法)試験」によって測定される硬度試験において、従来の保護フィルターは硬度2~3H(これまで最も硬かった製品でも4H)だったが、本製品は硬度8Hとなっている。ちなみに硬度8Hとは、金属製品でも傷をつけられない硬さだ。画面を保護するのはもちろん、保護パネルそのものも傷がつかずキレイな外観を保ってくれる。
パッケージには画面保護パネルのほかに、左右操作部分に貼り付けるフィルターが各1枚ずつ(こちらは普通のフィルム)、小さめのクリーニングクロスが付属している。パネルとフィルムを貼って、PS Vitaの前面全体を保護する。
パネルの構造については詳しい記述が掲載されていないが、素材については、パネルは「有機ガラス」と「シリコン樹脂」、左右のフィルターについては「PET」と「シリコン樹脂」とある。パネルは表面にアクリル、密着面に特殊シリコン層を組み合わせたもので、左右フィルターについては従来のフィルター同様の作りだ。
アクリル素材ということで画面の映りは、つまり透明度はどうなのかというのも気になるところだが、透過率92%ということで、こちらも高水準。その高い透明度を、硬く維持してくれるというパネルになっている。
貼り付けでは、まず左右の操作部分のフィルターから貼っていくように説明されている。これは中央のパネルから貼ると位置合わせの目安がなくて貼りづらいからだ。左右を貼れば、そのフチを目安に中心を取りやすくなる。
左右のフィルターは密着面のフィルムが上下2分割になっていて、上半分だけをはがしてボタンや方向キーの丸い枠に合わせて貼っていく。位置だけでなく角度合わせも難しいところはあるが、フィルターの成形は各ボタン枠にぴったりと合っているので、焦らずゆっくり丁寧に貼ればキレイに貼れるだろう。
左右が貼り終わったら、いよいよ中央のアクリルパネルだ。パネルはPS Vitaの画面だけでなく、画面外の上下もカバーする縦長の形になっている。左右フィルターのフチを見つつ、上か下で位置と角度を合わせて貼り付けるようにすると位置合わせがしやすい。
硬いパネルなので、手で持っていてもたわむような事がなく、従来の柔らかいフィルターより扱いやすい。画面への吸い付きも良く、貼るというよりも1枚の板を画面に乗せるような感じに扱うようにすると、細かな位置合わせができて貼り付けしやすい。位置が決まった後はパネルを押すと、スーッと画面に貼り付いていってくれる。気泡も硬いパネルだけに入りづらく、細かな気泡が残っても押し出しやすかった。
貼り付け後の画面を見ると、透明度が高く発色も非常に良い。アクリルがしっかりと特殊シリコンによって画面に密着し、ストレートに画面を映している。曇りのないクリアな映りで、従来のフィルターとは素材レベルの違いを感じさせるものがあった。
ただし映りはあくまで素直なもので、表面にツヤも出ているため、若干、光の反射や映り込みが強い。このあたりもある意味ストレートな映りだからこそというところで、何も貼っていない画面の反射や映り込みに近いものがある。反射防止であったり映り込み防止の効果が欲しいという人には、従来のフィルターを選択するべきだろう。アクリル素材の保護パネルにも、今後そうしたニーズが満たせられるものが登場するのか、そもそもニーズがあるのかはまだ未知数だ。
画面以外の保護パネルを貼った外観をみると、中央のパネルと左右のフィルターでほとんど隙間無くぴったりと前面を覆うようになっていて、独特ながらもスッキリとまとまっている。中央のパネルのみ厚みがあるので左右のフィルターとは段差がつくが、それも多少の手触りになので、慣れれば気にならない程度のものだ。なお、左右のフィルターはツヤが強めになっていてキュッキュと指を止める感触がある。
保護パネル越しにタッチ操作を行なった時の感触は、表面のツヤのためか指先を止めるキュッとした手触りがあり、何も貼っていない画面の感触に近い。滑りすぎず止まりすぎずという自然な感触だ。ただし、左右のフィルターもそうだが指紋跡がつきやすい。ツヤと反射がある映りなので指紋跡が結構目立つ。だがそれも、クリーニングクロスで軽く拭けば新品同様のピカピカな状態になった。従来のフィルターよりも汚れを拭き取りやすかった。
傷にどれぐらい強いのか、どれほどアクリルパネルが硬いのかも試してみたのだが、これまで当研究所で従来フィルターに試してきた、10円玉のフチでこする方法や、プラスドライバーの先でひっかいてみる方法などをいろいろと実行してみたものの、どれも擦り跡がつく程度で傷はつかなかった。これについては、HORIが公開している動画を下に掲載するので、そちらを見てもらうのがより良いだろう。傷に対する強さは圧倒的だ。細かな擦り傷で曇ってしまうようなこともない。
アクリル素材を使った新機軸の画面保護パネルを試してみたが、画面を硬いパネルで守ってくれる安心感の高さ、パネルそのものも傷がつかずにキレイな映りを保ってくれるというメリットは非常に大きい。貼りやすさについても、パネルが硬いので持ちやすく、柔らかなフィルターより扱いやすかった。
ただし、左右のフィルターも含めてバランスよくキレイに貼り付けるという作りを考えると、本製品の貼り付け難易度はそこそこに高めと思える。また、約3,000円という価格の高さも気になる。そのあたりは貼り付けに慣れている人向けで、アクリルパネルの安心感と映りのキレイさは特筆物。フィルターや画面映りにこだわる人にぜひ試してみてもらいたい製品だ。
最高硬度9HのアクリルでPS Vitaの画面を守る! ツヤ抑えめのストレートな映りが好印象
ゲームテックが運営するECサイト「ゲームテックダイレクト」にて販売している、PS Vita用のアクリル素材画面保護シートだ。「引っかき硬度(鉛筆法)試験」によって測定される硬度試験において、硬度9Hという最高値に合格。これまでの画面保護シートとは比較にならないほどの傷耐性を誇っている。
パッケージには、硬度9Hの前画面用アクリル製保護シートのほかに、背面タッチパネル部分用の保護シートも付属している。背面用は普通の保護シートで硬度3Hのものだ。また、保護シートを剥がす時に使用する剥離シールもセットになっている。
前画面用の保護シートは3層構造になっており、表面から順に「アクリル層」、「PET層」、「特殊シリコン層」になっている。アクリルがもし割れても、他の層で破片が飛び散らないようになっている。
透明度の高さも特徴で、透過率も業界最高クラスの92%、シートのぼやけ度合いを表すヘイズ値はわずか0.1%を実現。画面の映りの良さにおいても非常に魅力的なシートだ。
早速PS Vitaに貼り付けてみた。保護シートを手に持ってみると、従来のフィルターとは異なるはっきりとしたその硬さが印象的だ。アクリルパネルなのだから当然ではあるが、手に持ってもたわむ事もなく、それでいて適度な弾力性はある。厚みは約0.41mmと従来の保護フィルターと比較するとだいぶ厚めだ。
貼り付けそのものは“シリコン層に貼られている薄いフィルムを剥がして画面に貼っていく”というスタンダードな方法だ。保護シートの大きさはPS Vitaの画面サイズより縦横ともに約0.8mmほど大きめになっているので、画面枠のないPS Vita画面の中央にバランス良く貼るには、位置合わせが多少難しいところがある。だが、硬さによる持ちやすさのおかげで位置合わせも多少しやすかった。柔らかなフィルターを貼るというより、1枚のパネルを画面の上に置く感じだ。
気泡が入ってしまった時にも硬さが活きてくる。柔らかいフィルターの場合、気泡の部分が盛り上がり膨らんで残ってしまい、押し出しづらいという事があったが、アクリルパネルのこのシートでは膨らむようなことはなく外へ押し出しやすい。
画面に密着しているのは特殊シリコン層なので、しっかり密着感もあり、総じて従来の保護フィルターよりも硬いだけで、他にクセのようなものはない。硬さによる扱いやすさのおかげで、貼り付けがしやすいシートだった。
ただ一方で、背面タッチパネル用のシートは従来の画面保護フィルターに近い柔らかいものなので、薄くて手で持つとピラピラとたわんでしまう。こちらの貼り付けは多少難しかった。
貼り付け後の見栄えを見ると、透明度は高く、曇りもない。非常に素直な外観だ。ツヤは控えめで、ストレートな透明さが感じられる。画面そのままという印象に近いと感じた。光の反射においても、特にギラついて反射することはなく、落ち着きのある映りだ。
全体的な見栄えでは、シートそのものに約0.4mmというそこそこの厚みがあるため、フチに段差ができる。これが多少左右で操作している指の端に当たってくるところがあった。見た目にも1枚板状のものが載っているのだな、とはっきりわかるぐらいになるので、このあたりは多少好みが分かれるだろうか。操作への影響は慣れてしまえば、それほど大きいとは感じなかった。
タッチ操作については、画面に何も貼っていない時と同じようにできた。シートの感触はというと、ツルツルとしていて、何も貼っていない画面に比べると多少抵抗が薄く、滑りが良くなるところがあった。
タッチしたあとの指紋跡のつきやすさも、何も貼っていない画面同様という印象でそれなり。ただ、シートについた汚れはどれも簡単に拭き取れるのが魅力的だ。このあたりも従来のフィルターの印象とは違って、軽く拭くだけで汚れはアクリルの上を滑っていくように拭き取られていく。汚れが表面に残りがちなものもあった従来フィルターとは感触が異なるものがあった。
傷の耐性については、10円玉のフチでこすったり、プラスドライバーの先でひっかいてみたりと、これまで当研究所で画面保護フィルターの傷耐性を見るのにやってきた方法をいろいろと試したものの、どれも擦り跡がつく程度で傷はつかなかった。もちろん擦り跡は布で拭けばキレイに消えてしまう。これまでたくさんの保護フィルター製品があったが、このアクリルシートは最強であり最硬と言えるだろう。シートに傷がつかなければ、傷で透明度が損なわれることもなくキレイでい続ける。硬いということは大きなメリットだ。
ゲームテックが販売する、アクリル素材を使った新世代画面保護シート。その硬さ、透明度、傷耐性、どれもクオリティが高く、特にストレートな画面映りは好印象だ。傷がつきにくいだけでなく、皮脂汚れなどが拭き取りやすいのも嬉しい。
1点残念なところをあげると、セットになっている背面タッチパネル用のフィルターは従来フィルターと変わりはなく、前面のアクリルシートと比べると見劣りしてしまう。おまけ的な存在に感じられてしまう。「どうせなら背面もアクリルで守りたいな……」という欲求が湧いてくる。そうしたところはあったが、前面のアクリルシートにおいては文句のない一品だ。あとは価格が従来のフィルター程度に収まってくれば……というのは贅沢な悩みだろうか。
3DS LL用は下画面をアクリル保護シートで守る! タッチの安心感と画面のキレイさがポイント
ゲームテックが運営するECサイト「ゲームテックダイレクト」にて販売している、3DS LL用のアクリル素材画面保護シートだ。上で試しているPS Vita用アクリル保護シート同様に、「引っかき硬度(鉛筆法)試験」によって測定される硬度試験において硬度9Hという最高硬度を実現している。
パッケージには、上画面用の保護シートと下画面用の保護シートが1枚ずつ入っている他、保護シートを剥がす時に使用する剥離シールもセットになっている。
この3DS LL用の保護シートでは、アクリル素材のパネルになっているのは下画面用のシートのみで、上画面用は硬度3Hの従来のフィルターになっている。アクリル素材を使うのは、タッチ操作で頻繁に画面を触る下画面用に絞ったのだろう。
シートの構造については、上画面用のフィルターは詳しい記述がないが、おそらくPET素材と特殊シリコン層でできた従来フィルターと同様のものだろう。下画面のアクリル保護シートは、表面から順に「アクリル層」、「PET層」、「特殊シリコン層」の3層構造で、PS Vita用のものと同様だ。映りについても、アクリル保護シートにおいては透過率は業界最高クラスの92%、シートのぼやけ度合いを表すヘイズ値はわずか0.1%と、やはりPS Vita用と同じハイクオリティ(上画面用のフィルターについてはこちらも記述がないため詳細は不明)。
貼り付けは、密着面に貼られているフィルムを剥がして画面に貼っていく、スタンダードな方式だ。上画面用のフィルターから見ていくと、上画面用フィルターは画面枠に近いサイズで、アクリル保護シートと比べると柔らかで薄めのフィルターだ。貼り付け面積が広いことと、画面枠より縦横ともに約1mm小さめのフィルターになっているので、位置合わせが多少難しいところがある。フィルター自体は画面への吸い付きがよく気泡も押し出しやすいので、密着面のフィルムを少しずつ剥がしながら、丁寧に貼っていけばキレイに貼れるフィルターだ。
下画面用のアクリル保護シートは、厚みが約0.41mmあり、素材としても非常に硬いシートだ。3DS LLの下画面は画面枠より1段窪んだところに画面があるので、そこにアクリル板をはめ込むような貼り付けになる。保護シートは画面枠全体よりも縦横ともにやはり約1mm程度小さめになっているので、画面枠の下側にあわせて位置を計るとちょうどいい位置になってくれる。板を枠の中にはめこむようにして、指で中心を押さえると、端までスーッと貼り付いてくれた。位置さえ気をつければ貼り付けはかなり楽に行なえる。
貼り付け後の画面を見てみると、下画面のアクリル保護シートの映りはPS Vita用同様に見事なものだ。透明度が高く、ストレートな映りの良さがある。ツヤも控えめで、映り込みも気にならない。落ち着いた良さがある。
ただ、上画面用のフィルターは下と比べると1段明るさが落ちるところがあったのが気になるところ。上画面のフィルターも、発色は素直で見栄えは決して悪くないのだが、下画面のアクリル保護シートによる映りとは若干テイストが変わってしまう。
下画面にタッチペンを使った時の感触だが、まずそもそも厚みのあるアクリルパネルを感圧式のタッチパネルに乗せてタッチ操作ができるのか? という点に関しては、基本的には問題を感じなかった。ちゃんと普通の力加減でタッチに反応してくれる。ただし、感触そのものはだいぶ特徴があり、ツルツルとかなり滑りやすい。まさにガラスの上を滑らせているような感触だ。そのためもあってか、タッチ操作を試した最初には違和感があった。特にタッチ操作のミスなどはなく、問題なく操作はできるが、慣れは必要という印象だ。
指紋のつきやすさについては、何も貼っていない画面の状態に近く、それなりに指紋跡はつくという印象だが、軽く拭き取るだけでキレイになるのがありがたい。
最後に、下画面のアクリル保護シートの傷に対する強さを試してみたが、これはPS Vita版の保護シート同様にかなりの強固だ。10円玉のフチでこすったり、プラスドライバーの先でひっかいてみたりと、従来のフィルターなら間違いなく傷がつくような事をしても、まったく傷がつかなかった。タッチペンではどんなにがんばっても傷をつけられそうにないし、仮に間違って普通のペンでタッチしてしまっても傷はつかないだろう。この安心感は大きなメリットだ。
3DS LL用のアクリル保護シートということで、タッチペン操作で力を込めても傷がつかない安心感は大きな魅力。映りの素直なキレイさも特筆もの。タッチの感触に多少クセがあるが、映りと傷耐性においては最高峰と言っていい保護シートだ。ただ、上画面用が従来のフィルターであり、映りに差が感じられたところは非常に残念。
価格がかなり上がってしまうのだとは思うが、上画面もアクリル保護シートにしたいと本製品を購入した多くの人が思うのではないだろうか。今後、上画面用アクリル保護シートの販売も期待したいところだが、ひとまずは、こちらの製品で、アクリル保護シートの良さをぜひ試してみてもらいたい。