PCハードウェアレビュー「LEVEL∞ Lev-17FG098-i7K-VE」

LEVEL∞ Lev-17FG098-i7K-VE

本当にノートPC? デスクトップPCのハイエンドパーツを搭載したゲーミングノートPCが登場

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  • パソコン工房
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 パソコン工房のゲーミングPCブランドであるLEVEL∞(レベル インフィニティ)から、驚愕のノートPCが登場した。通常ならモバイル向けのCPUやGPUを搭載するノートPCだが、その常識を打ち破りデスクトップ向けのチップが使われているのだ。今回、試用機をお借りすることができたので、その実力を検証しつつ紹介していこう。

デスクトップPCのパーツを搭載したノートPC

 本来、ノートPCに載せられるCPUやGPUはモバイル向けの製品がCPUメーカーやGPUメーカーからリリースされている。IntelのCPUであれば、末尾にUやHQなどが付いており、GPUメーカーのNVIDIAでも末尾にMの付くモバイル向けと明示された製品がラインナップされている。

 今までのノートPCカテゴリーであれば、この常識が守られており、ローエンドからミドルレンジまではモバイル向けCPUと、そのCPUの内蔵GPUを搭載。ハイエンドのゲーミングノートPCでも、モバイル向けのGPUを別チップで搭載するのが通常だ。もちろんその場合でもCPUはモバイル向けの製品が使われる。

 しかし、今回、パソコン工房がゲーミングPCのブランドであるLEVEL∞から発表した17.3型ノートPC、「Lev-17FG098-i7K-VE」では、その常識を覆し、デスクトップ用ハイエンドクラスのCPUとGPUを搭載した。

 原稿執筆時には発表前のため、試用機をお借りした。この構成での価格は税込みで437,337円ということなので、ハイエンド構成になっていると予想される

 では、その仕様について見ていってみよう。

 スペック
CPUCore i7-6700K
GPUNVIDIA GeForce GTX 980(8GB GDDR5)
メモリ32GB(8GB×4)PC4-17000 DDR4 2133 SO-DIMM
SSD512GB Samsung SSD 850 PRO MZ-7KE512B/IT
ディスプレイ17.3型 IPS液晶 G-SYNC対応
光学ドライブなし
OSWindows 10 Pro 64bit

 今回お借りしたのは試用機だ。LEVEL∞に限らず、パソコン工房のPCはBTOという受注販売システムに対応しており、構成を購入者がカスタマイズすることができる。また、外見は同じでも何製品化のラインナップをあらかじめ用意して、価格帯で製品を絞り、そこからさらに自分にあったカスタマイズを施すというのが通常の購入方法だ。

 しかし、それでも目立つのがCPUとGPUの項目だ。CPUにはデスクトップ版で搭載されるIntel Core i7-6700K、GPUはNVIDIA GeForce GTX 980となっている。下の画像は実機で立ち上げたCPU-ZとGPU-Zのものだが、やはりモバイル仕様のものではなくデスクトップ版のものだと確認できた。Core i7-6700Kはさらに上位のウルトラハイエンドクラスとしてLGA2011-v2対応のCPUがラインナップされているが、メインストリーム向けのLGA1151ものとしては現行最高性能の製品だ。

 さらに言うならCore i7-6700Kは末尾に「K」の付くオーバークロック(OC)可能なCPUだ。Intelが配信しているユーティリティソフトを使って動的にOCを行なうことができる。このあたりもこの製品の目玉となっているということだ。

 GPUとして搭載されている、NVIDIAのGeForce GTX 980は、現行では最新のMaxwellアーキテクチャーを採用したもの。上位モデルとしてGeForce GTX TITANシリーズといったウルトラハイエンドの製品がラインナップされているが、メインストリームに向けたナンバー付きモデルとしては上にGeForce GTX 980 Tiしか存在していないほぼ最高性能のものだ。

 GeForce GTX 980は2,048基のCUDAコアを搭載し、定格1,126MHzという高速で動作するモンスターGPUで、本機では8GBのGDDR5メモリを搭載している。自動オーバークロック機能のGPU Boost 2.0に対応し、最大1,216MHzで動作することが可能だ。

 ディスクトップPCの場合は対応ディスプレイこそ必要になるものの、G-SYNCと呼ばれる機能により、コマ落ち(GPUの描画がディスプレイの表示速度に追い付かず、表示の抜けが発生してしまうこと)やティアリング(ディスプレイの表示は上から下へと行われるが、ディスプレイが途中まで表示したところで次の描画が開始されてしまうと、上は一コマ前の画像、下は最新の画像と言うように違う画像が上下に分かれて不自然な表示となってしまうことを言う)の発生を予防する技術も導入されている。

 そんなGeForce GTX 980だが、デスクトップPC用にディスクリートGPUを購入しようとすれば、安価なメーカーの製品でも6万以上はするものだ。また、こちらもメーカーが独自にOC用のツールを用意しているため、動作クロックをコントロールできるようだ。これらのデスクトップ向けパーツを搭載していることで、どれくらいのパフォーマンスが出るのかは、OCも合わせて後ほどベンチマークを行なって確認してみることにしよう。

【CPU-Z】
【GPU-Z】
CPUの情報を得られるCPU-Zで確認したところ、確かにデスクトップ向けのIntel Core i7-6700Kが搭載されていることがわかる
こちらはGPUの情報を得られるGPU-Zの画面。Nameに表示されているのはNVIDIA GeForce GTX 980で、モバイル向けのMの文字が末尾に付いていない

 ディスプレイには17.3型のフルHD液晶が搭載されている。液晶のサイズからも予測できるように、厚みを除いて平面だけで見たとしてもかなり大きなノートPCだ。大画面でゲームはやりたいけど、置く場所が……と考えている場合にはお勧めしたい。というのもデスクトップPCの場合では通常はモニタと本体、キーボードの場所を確保しなければならないが、ノートPC形状であればたたんでしまっておくことができるためだ。ほかにも文書を作る際、Webブラウズを楽しむ場合など、最近の小さな高解像度ディスプレイでは文字を読むのが大変といった場合に、モニタ部分が大きいと、文字もそれに合わせて大きくなる。何でもできるPCは欲しいけど、置く場所が……という、日本のような住宅事情にはマッチしたスタイルだ。大きさや重量(とくに後述のACアダプタ)のことを考えると、気軽に外へ持ち出して使うタイプのモバイルノートPCではないという認識は必要だろう。

 搭載液晶ディスプレイとしては、ゲームにこだわった仕様となっている。前述の通り、G-SYNCに対応しており、ティアリングやStutteringがなく長時間プレイに合っていると言える。また、発色が良くコントラストが高いIPS液晶を採用していて、ゲーム向きであると言える。

 メモリにはPC4-17000 DDR4 SO-DIMMの8GBモジュールが4枚搭載されている。合計で32GBとなるため、ゲームをプレイする上では、やや過剰とも言えるような容量だ。もし、動画や画像処理(RAW現像)などのマルチメディアの編集処理なども行ないたいのなら別だが、ゲーム用途だけの場合、できるようであればBTOでメモリの量を半分くらいまで減らすことも考えたい。これは、現状、メモリの容量による3D系ベンチマークでは8GB以上で効果が少なくなってくるからだ。もちろん、デュアルチャンネルかシングルチャンネルかは影響が大きいため、2枚セットが前提になる。この場合8GBモジュール2枚、または4GBモジュール2枚という構成があれば、そのように変更してもよいかもしれない(標準構成は4GB×2の構成となっている。今回レビューしたのはカスタマイズ機であったため最大容量まで搭載されていた)。

 ストレージには、HDDが採用されておらず512GBのSSDが搭載されている。Samsungの2.5インチSerial ATA 3.0に対応するSSD 850 PROシリーズと思われる。現状のSSDの事情から見ると、性能としては飛び抜けて高性能ということはないが、HDDよりもずっとパフォーマンスも高く、シーケンシャルでは500MB/s以上のデータ転送速度が出るはずだ。また、これだけの大型筐体ということにもかかわらず、光学ドライブを搭載していない。おそらくBTOで外付けの光学ドライブを購入できると思われるが、最近のゲームソフトはSteamやOriginなど、オンライン購入するものが多いため、バッサリとカットしてしまったものと思われる。ネットワーク機能には1000BASE-Tの有線LANのほか、無線LAN、Bluetoothが用意されている。

 価格は上述したとおり437,337円(税込)だ。ノートPCとしてはかなり高いが、それはこの記事を最後まで読んでから、読者自身に判断してもらいたい。

ゲーミングPCとしてのギミックを多数搭載

 さて、仕様だけでは製品の本当の実力はわからないし、魅力も伝わらないだろう。性能をチェックするベンチマークは後の項に譲るとして、先に写真やユーティリティなどの画面を見ながら「Lev-17FG098-i7K-VE」を紹介をしていく。

【Lev-17FG098-i7K-VE】
【ACアダプタ】
17.3型の液晶ディスプレイを搭載したLev-17FG098-i7K-VE。電源の入っていないときのデザインは落ち着いており、カラーもマットブラック。指紋は目立ちにくい塗装がされている
かなり大きめで重量もあるACアダプタ。左にあるのは大きさを比較するために置いた単3形電池だ。ベンチのときに紹介するが消費電力がノートPCとしてはけた違いに大きいため、これだけの大きさが必要なのだろう。使用時にはこの右側にPC電源と同じ3P電源コードを挿して利用する

【折りたたみ時の前面と背面】
前面には吸排気のメッシュ窓があるだけで、とくにインターフェイスは用意されていない。背面にはHDMIの画像出力端子、USB 3.0ポート、ACアダプタ接続用の端子が用意されている

【折りたたみ時の左右】
本体左側面には有線LANポートが2つ、USB 3.0ポートが3つ、オーディオ端子が用意されている。右側面にはSDメモリーカードスロットにUSB 3.0端子が1つ。このほか、おそらくUSB 3.1と思われるType-Cのポート、Thunderboltのポートが2つ用意されている

【天板部分】
次に、本体天板部分だ。いよいよゲーミングPCっぽいガジェットが見られるようになってきた。LEDが仕込まれており、電源の状態によって光る仕組だ

【キーボード部】
キーボードも光る。デザインはゲーム用途優先でWASDが目立つ。ゲームで使われにくい、スペースキーとカーソルキーの間あたりはキーピッチが狭くなっているものの、カーソルキーは上下左右がフルサイズキーボードと同じように配置されている

【キーボード用ユーティリティ】
キーボード用のユーティリティでキーボードや天板部分の光かたを変更できる。色の変更のほか、光量の調節も可能だ。マクロの設定もできる。ゲームごとに登録してプロファイル管理できるので、多数のタイトルを遊んでいても簡単に切り換え可能だ

【底部】
内部で発生する熱量が大きいせいか、いたるところがメッシュパネルになっている。ちょっと分解して底部にアクセスしたところ、厚みを活かした立体的なレイアウトでパーツが組み込まれており、多段構造になっていた。シロッコ形ファンが3つも搭載されており、排熱構造がかなり強化されていることがわかる。写真ではわからないが、右下のバッテリは89Whと書かれており、ノートPC用としてはかなり大出力だ。その上にあるのはサブウーファー。ゲーミングノートPCということで、音にもこだわっている

【CPU部】
【GPU部】
右上の写真で言うところの右側2つのファンの間の部分。おそらくと言うか、ほぼ間違いないがLGA1151のソケットと思われるものが付いている。デスクトップ用のものと同じ部材が使われたマザーボードだ
こちらも排熱システムからみて、ほぼ間違いなくGPU部分と思われるもの。右上の写真の左下を逆から撮影したもの。よく見るとドーターボード化されており、スロットが2つある

【メモリ】
8GBのメモリモジュールが2枚確認できる。システム上でも32GBであることを確認しているので、右上の写真ではこの2枚しか確認できないが、底面を外しただけでは見えない場所にさらに2スロットが存在している。メモリスロット×2、M.2スロットについてはキーボード裏面側にレイアウトされている。ただし、分解の難易度が非常に高いため、購入後に増設や交換を希望する場合、店頭で作業を行なってくれるという

 内部をみて感じたのは、まだまだ拡張するための領域がかなり残されていること。排熱のための領域を考えたとしてもいろいろな箇所に空きがある。GPUのドーターボードの下にSSDが搭載されているのが見て取れたが、その隣にもSerial ATAの空きスロットがあるようで、SSDとHDDといったデュアルストレージの構成も可能なものと考えられる

ユーティリティを使った簡単OCにチャレンジ

 さて、ここまで見た目などを中心に内部やユーティリティもさらっと紹介してみたが、本機でのウリの1つがOCのできることだ。基本的に末尾にKのアルファベットが付いていないCPUはOCができないため、このためにKナンバー付きのCore i7-6700Kを搭載していると言ってもよいだろう。

 ここでは用意されているユーティリティソフトを使ってライト感覚でOCを行なってみた。項目などは用意されているものの、電圧などを上げる、いわゆるカツ入れといった高度なことは行なっていない。本製品でのOC時の保証体制は現時点ではわからないが、OCは機器を損傷させる危険もあるため自己責任で行なうことが重要だ。この点に十分注意して読んでほしい(メーカーに問い合わせたところ、OCに対応しているが、OCしたことによる故障、破損が明確な場合、保証期間内においても、保証対象外となるという)。

 本機ではCPUのデフォルトのクロック周波数は4GHz、ブースト時には4.2GHzとなっている。まずはCPUを4.6~4.7GHzまでOCしてみた。その後安定した動作を確認した後、合わせてGPUのクロックを100MHz、GPUのキャッシュメモリを50MHzほど上げてみた。そちらを画像でご覧いただこう。

【Control Center】
【XTU】
プリインストールされているコントロールセンターがタスクトレイにある。それを開きゲーミングタブを選択したのがこの画面だ。右下のCPUメモリオーバークロッキングがCPUとメモリをOCするIntel Extreme Tuning Utility(XTU)、GPUオーバークロックがGPUのOC画面を開くためのボタンになっている
Processor Core Ratioを46、Processor Cache Ratioを47に設定したところ。初期状態はそれぞれ40と41なので5倍ずつ上げたことになるがあっさりと動作してしまった
【OC時のCPU-Zの画面】
【OC時のGPU OVERCLOCKの画面】
CPU-Zを立ち上げて少し負荷を加えてみたところ。Core Speedが4587.63MHzまで上がっているのが確認できた。この後少しベンチマークテストを行なったが問題なく完走するため、この設定のままGPUのOCを行なった
こちらはGPUを100MHzほど、メモリを50MHzほど上げてみた。急激な温度変化についていけるかわからなかったため、とりあえずだがOffsetのファン速度も0から50%ほどに変更してみた。こちらもあっさりと動作してしまい、画面は少し負荷をかけたときのもの。GPUクロックは瞬間的に1,327MHz、メモリは3,557MHz(デュアルチャンネルで7,114MHz換算)が計測された。ちなみにデフォルトの(GPUはブースト)クロックはそれぞれ1,216MHz、7,000MHzだ。ぴったりではないが、ほぼ設定どおりの表示となっている

 さて、このように簡単な画面でOCを簡単に行なうことができた。このOCを行なう前と行なった後に、以下で紹介する一連のベンチマークを行なっているが、OC時でも、とくに問題が発生することなく動作している。これは底部の内部写真でも書いたが排熱処理能力の高さのおかげだろう。本機では、OCを前提として排熱処理が強化されており、OCに堪え得るだけのシステムに全体的にデザインされたものだと思われる。

 しかしながら、ファンの調整を行なわなくても、ファンは高速域で回り、大きな騒音が発生する。ファンの速度を上げるとさらに音が大きくなってしまうため、ゲームに没入して楽しみたいのなら、ヘッドフォンを装着してプレイしたほうがいいだろう。その代わりと言っては何だが、スピーカーシステムは、本体体積が大きいせいか響きもよくクリアな音が聞こえる。サブウーファーも底部に搭載しているため、低音も力強く出てくる。CPUやGPUに負荷のかからない音楽再生などでは、ファンが低速回転となるため、音楽ソースを楽しむ際にはよい音を楽しめると感じた。

ベンチマークでOC時との比較を行なう

 さて、そろそろベンチマークを採って、本機の実力を検証していこう。もちろん、CPUやGPUがかかわる主なベンチマークではOC時の結果も合わせて載せている。上述した簡単なOCでどこまで結果が変わるのかも、読者としても興味があるところだろう。

 まずは定番のPCMark 8や3DMark、CINEBENCH R15などのほか、ゲームの動作確認用ベンチマークや実際のゲームを使ったベンチマークを行なってみた。

 本機に搭載されているモニタはフルHD仕様なので、「『ドラゴンズドグマオンライン』ベンチマークソフト」や「『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』ベンチマーク」、「バトルフィールド 4」はフルHDの1,920×1,080でフルスクリーンにしてテストを行なっている。

PCMark 8

 おなじみのPCMark 8はPCのシステム全体の能力を見るためのベンチマークソフトだ。1つのパーツだけが飛び抜けて高性能でも、数値は高くならないため、PCのバランスも重要視していると言える。本機での結果は5,154ポイントで、デスクトップのハイエンドゲーミングPCで見るような数値だ。OCについても効果が出ており、300ポイント近いスコアの上昇が見られる。基本性能も高くOC時の効果によってもバランスを維持したまま性能が上がったとみられる結果だ。

「PCMark 8」テスト項目OC前OC後
数値5,1545,429

詳細はクリック(OC後)

3DMark

 こちらも3D機能の性能を見るための定番ベンチマークソフトだ。ハイエンド機の性能を見るためのFire Strikeでは10,000ポイントの大台を軽々と超える11,416ポイント。PCMark 8と同様に、デスクトップのハイエンドゲーミングPCと同程度の数値を叩き出している。OCの結果は、思ったよりも振るわないが、結果としては150ポイント以上上昇しているため効果そのものは出ているようだ。

テスト項目OC前OC後
Fire Strike11,41611,579

CINEBENCH R15

 CPUの性能を見るのに適しているのがCINEBENCH R15だ。マルチコア、マルチスレッドの性能を測るのがCPUで、シングルコアでの動作性能を見るのがCPU(Single Core)となっている。結果は「872」でデスクトップPCにCore i7-6700Kを搭載したときと、同等の値だ。OC時には「916」と十分にパフォーマンスアップを体感できる結果だ。動画のエンコーディングや画像の編集で効果を感じられそうな結果となっている。

テスト項目OC前OC後
CPU872916
CPU(シングルコア)177191

CrystalDiskMark 5.0.2

【CrystalDiskMarkの結果】

 CrystalDiskMarkはストレージの性能をチェックするためのベンチマークソフト。OCではCPUやGPU以外のところにボトルネックがあるため、ほとんど効果が確認できないことからOC前の結果しか掲載していない。数値は予想どおり500MB/sを超えるものだが、sequential Readでは561.4MB/s、Writeでも523.9MB/sの結果が出ている。製品名から予測していたが、なかなかの結果となった。

「ドラゴンズドグマオンライン」ベンチマークソフト

 この「ドラゴンズドグマオンライン」ベンチマークソフトはカプコンが実際にゲームをプレイする前に動作環境をチェックするために配信しているソフトだ。ベンチマーク機能も搭載されており、どれだけ快適にゲームを楽しめるか、PCをチェックしてくれる。結果は「13,033」で「とても快適」との診断結果だ。OCでは「13,284」とスコアが少ししか上がっていないが、このベンチマークソフトではスコアが「7,000」以上でとても快適と言う結果が出る。ほとんど結果が変わらないのはソフトウェア的にベンチ結果が頭打ちになっていると考えられる。

テスト項目(最高品質)OC前OC後
数値13,03313,284
プレイ指標とても快適とても快適

「『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』ベンチマーク」

 「『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』ベンチマーク」は、カプコン同様、プレイ前にゲームの動作チェックができるソフトだ。やはり、ベンチマーク機能が搭載されているため、こちらでも性能のチェックを行なってみた。結果は「12,646」で「非常に快適」との診断になっている。OC時の結果は「13,119」と、「ドラゴンズドグマオンライン」ベンチマークソフトよりも数値の向上が見られるが、やはり同じような理由から、それほど大きなスコアアップはしなかったものと考えられる。どちらにしても、この2つのゲームをプレイするにはまったく問題ないという結果だ。

テスト項目(最高品質)OC前OC後
数値12,64613,119
プレイ指標非常に快適非常に快適

「バトルフィールド4」

 「バトルフィールド 4」は世界的にユーザーの多いFPSだが、ベンチマーク機能は搭載されていないため、Frapsというフレームレートを計測するソフトを利用して、1秒間に何回画面が描画されているかの計測を行なった。テストはキャンペーンの再プレイでTASHGARを開始。主人公たちが車で移動しているシーンの1分間の平均フレームレートを計測している。描画の負荷はプリセットで行ない、負荷の1番高い「最高」のほか、用意されている「高」、「中」の3つを使ってテストした。

 結果は最高で86.9fps、高で127.4fpsだ。FPSのようなアクションゲームを快適に楽しめる指標は、60fpsと言われている。最高設定でも86.9fpsという結果ならシステムパワーとしては余裕がある状態ということだ。OC後も最高設定で99.717fpsを叩き出しており、十分な効果が確認できる。搭載ディスプレイはフルHDだが、4K出力を行なった際に真価が発揮できそうだ。

テスト項目フレームレート(OC前)フレームレート(OC後)
最高86.9fps99.717fps
127.4fps142.9fps
171.833fps197.333fps

処理負荷の高い3Dゲームを軽快にこなす実力

 「LEVEL∞ Lev-17FG098-i7K-VE」は、ノートPCの筐体にデスクトップPC向けのハイエンドパーツを詰め込んだパワフルなPCだ。デスクトップPCとまったく引けを取らない実力はベンチ結果からも明らかで、最新のデスクトップ向けゲーミングPCに遜色ない実力を備えている。

 コンパクトとは言えないまでも、常時設置のデスクトップPCと違って、この性能でありながら持ち運びの可能なノートPCの形状を採っているのは大きな利点と言える。家の中で使ったら片付けるという使い方をするなら設置場所に困らずにすむし、場合によっては車などで持ち運びしてもよいだろう。

 確かに価格は30万円超と、ちょっと高く感じる。同じ性能のデスクトップPCをモニタとセットでもう少し安価に購入することも可能だ。しかしながら、このサイズでこの性能を持っているというのが大きな価値があると断言する。デスクトップPCの置き場所に困っているのなら思い切って購入するのも一考だろう。

 本機はノートPCにハイエンドデスクトップPCレベルの性能を求めるハードコアゲーマーにお勧めしたい製品だ。なお、同モデルは秋葉原のショップ「LEVEL∞HUB」に展示されているので、直接チェックすることもできる。気になる人は触ってみるのも良いだろう。

(山本倫弘)