(2016/1/27 10:35)
ゲーマーは欲張りだから、ゲームが遊べる持ち歩けるノートPCが欲しい。最新のPCゲームやオンラインゲームで遊びたい。それでいてなるべく安くあげたい。かつては、この条件をすべて満たそうと思えば、20万円後半から30万オーバーの高級ゲーミングノートという選択肢しかなかった。しかし、第6世代SkylakeアーキテクチャのCPUと、デスクトップ向け並みのパフォーマンスと省電力を同時に実現したGeForce GTX 900MシリーズのGPUが登場したことで、持ち歩けて、最新のゲームも遊べるお手頃価格のゲーミングPCが爆誕しているのである!
今回紹介するMSIの「GE62 6QC Apache(024JP)」は、MSIのゲーミングPCラインナップの中ではハイエンドの「GT」シリーズ、薄型軽量ハイスペックの「GS」シリーズの下に位置づけられるもので、5つあるラインナップのちょうど中間にあたる。同サイズの「GS」シリーズが性能優先で20万円代半ばと、それなりの価格設定なのに対して、この「GE」シリーズは10万円代に収められており、ゲーマーの欲張りな願いを叶えてくれる1台になっている。
アルミシャーシのクールな外観に、ゲーミング要素がギッシリ
「GE62 6QC Apache」の外観は、上位モデルと同じアルミニウムシャーシで高級感があるシャープな雰囲気に仕上がっている。下の「GP」シリーズからは、外見が強化プラスチックになるので、持ち運びの耐久性やスタイリッシュさを考えれば、「GE」シリーズがもっともバランスの良いチョイスと言えそうだ。
2.4kgという重量は、最近でこそ重く感じられるが、ほんの数年前ならビジネス用PCでもこのくらいが普通で、誰もがカバンに押し込んで持ち歩いていた重さで、十分モバイルに耐える。
電源は右サイドにあり、右には他にSDカードリーダー、USB2.0ポート、DVDスーパーマルチドライブが並んでいる。左サイドには、ワイヤーロック用のホール、LAN、USB 3.0×2、USB3.0 Type-C、ミニディスプレイの各ポートが並んでいる。前面は起動確認用のLED、背面は左右の端に排気口がある。
キーボードはゲーミングキーボードを手掛けるSteelSeries製の単色ホワイトバックライト付きのフルキーボード。サイド部分が白く輝き、上品な雰囲気だ。
【GE62 6QC Apache】スペック | |
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CPU | 第6世代 インテル Core i7-6700HQ(4コア、8スレッド、2.6GHz) |
GPU | NVIDIA GeForce GTX 960M 2GB GDDR5 |
チップセット | インテルHM170 |
メモリ | 8GB DDR4(2スロット、最大32GB) |
ストレージ | 128GB SSD (M.2 SATA3) + 1TB HDD (SATA3) |
液晶パネル | 15.6インチフルHD(1,920×1,080)、広視野角(TRUE COLOR TECHNOLOGYによるsRGB 100%色域表示対応)、ノングレア |
スピーカー | Dynaudioによる4ch スピーカー |
7.1 チャネル SPDIF 光出力サポート | |
ESS SABRE HiFi オーディオ DAC テクノロジー | |
Nahimic サウンドテクノロジー | |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
ウェブカメラ | 高画質タイプ (30fps@720p) |
有線LAN | クアルコム・アセロス Killer E2400 GBLAN+Killer Sheld K9000 |
無線LAN | 802.11ac(インテル AC3165) |
キーボード | 単色ホワイトバックライト付きSteelSeries製キーボード |
シルバーライニングプリント | |
外形寸法 | 383x260x27~29mm |
重量(kg) | 2.4Kg (バッテリー込) |
最新ゲームも快適プレイ。最高設定以外なら60fpsベタ付きの“ヌルサクプレイ”が可能
本機は、CPUに第6世代SkylakeアーキテクチャのCore i7-6700HQを、GPUにGeForce GTX 960Mを採用している。メモリも、DDR3より高速なDDR4が使えるようになり、これまでとは次元の異なるパフォーマンスが出るようになっている。
また、この世代のCPU/GPUは省電力、低発熱がウリなのでかつてのように熱を気にする心配はあまりなくなったが、さらにMSI独自のCooler Boost 3技術によって、静音化も備えた冷却システムとなっている。
また、上位モデルと同様に、軍事戦闘機のために開発されたNahimicを使ったバーチャルサラウンドや、ゲーマー向けのLANコントローラー「Killer」などゲームをする上で押さえておきたいパーツはこだわったものが使われている。
それでは実際のパフォーマンスはどうなのか、ベンチマークソフトでテストしてみた。特に記載がない場合には、フルHD、フルスクリーンでの結果となっている。
3DMark
まずは定番の「3D Mark」でのベンチマークだが、以下のような結果になった。突出して性能がいいわけではないが、底堅く安定しているという印象だ。DirectX 11の描画能力を見る「3DMark 11」のスコアは5621だった。
3DMark | |
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Fire Strike | 4117 |
Sky Drive | 12732 |
Cloud Gate | 17625 |
Ice Storm | 67525 |
3DMark 11 | 5621 |
「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」ベンチマーク
「FFXIV」のベンチでは、DX9版とDX11版の比較的高い設定で回してみた。DX9の最高設定で5743の「とても快適」、DX11の最高設定で4392の「快適」とどちらでもプレイは可能。フレームレートもベンチマークでは終始60fpsを超える安定した数値を出していた。
「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」ベンチマーク DirectX 9版 | |
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最高品質 | 5743 |
高品質(デスクトップPC) | 5949 |
高品質(ノートPC) | 8140 |
「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」ベンチマーク DirectX 11版 | |
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最高品質 | 4392 |
最高品質(DirectX 9相当) | 6011 |
高品質(デスクトップPC) | 5082 |
高品質(ノートPC) | 6377 |
「ドラゴンクエストX」ベンチマーク
「ドラクエX」は非常にクライアントが軽いので、CPUのみでも動かすことができる。CPUのみの「最高品質」では、スコアは3093だった。GPUも併用すると10955と大変高いスコアを出した。
「ドラゴンクエストX」ベンチマーク | |
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CPUのみ | 3093 |
GPU併用 | 10955 |
「ドラゴンズドグマオンライン」ベンチマーク
「ドラゴンズドグマオンライン」のベンチマークでは、最高設定で6054、標準品質で6557、という結果だった。7000以上で「とても快適」判定になるので、最高設定でもプレイに支障はないが、ややパワー不足といったところだ。低品質と標準品質の間にはあまり差がないので、標準品質あたりがよさそうだ。
「ドラゴンズドグマオンライン」ベンチマーク | |
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最高品質 | 6054 |
標準品質 | 6516 |
低品質 | 6550 |
ブラウザゲームからAAAタイトルまで網羅した、コスパに優れたハイミドルマシン
実際のゲームプレイにおけるパフォーマンスはどうだろうか。まずはMMORPGを代表して「FFXIV」を試してみた。MMORPGである本作は場所やシチュエーションによって大きくフレームレートが上下する。DX11の「高品質:ノートPC」でのプレイでは、FPSが落ちやすい街中や、大人数での戦闘でFPSが40代まで低下することがあった。「標準品質:デスクトップPC」ならば、70~80FPSを維持することができたのでDX11で遊ぶならこのあたりがよさそうだ。DX9でなら「高品質:ノートPC」でも遊ぶことができるが、光の照り返しや水の描写など、現状はPCでしか味わうことができないDX11の画面も捨てがたいものがあるので、好みで判断して欲しい。
「Fallout 4」では、グラフィックスの設定が「低」、「中」、「高」の3段階では60FPSでプレイすることができたが、「ウルトラ」では34程度まで落ちてしまった。「高」でも少し引っ掛かりを感じることがあったので、「中」ぐらいがよさそうだった。
Windows 10にプリインストールされている「キャンディクラッシュソーダ」や、「Minecraft: Windows 10 Edition Beta」はどちらもブラウザで動くゲームだが、どちらも当然快適に遊べた。ただ、「Minecraft」のほうはフルスクリーンで高画質、見える範囲を最大にするとかなり重く感じられた。
いくつかのゲームを試してみた結果、最高設定はやや厳しいものの、比較的高い設定で良好なパフォーマンスを維持しながら快適に遊べるというハイミドルレンジシリーズ相応の結果となった。「GE62 6QC Apache」は、兄貴分の「GT」、「GS」と比較してカッティングエッジを突き詰めたシリーズではないが、実はゲーマーが一番気にする価格にこだわったお財布に優しいモデルと言える。ゲーミングノートを初めて購入する人にも、買ってよかったと思わせてくれる1台といえるだろう。