無双シリーズのファンには、毎度おなじみともいうべき「猛将伝」シリーズ最新作「真・三國無双6 猛将伝」が発売された。PS3「真・三國無双6」と「戦国無双3 Z」が一段落し、出先で3DS「戦国無双Chronicle」を遊び続け、現在は「戦国無双3 Empires」をもりもりプレイ中の筆者。「お前ホント(無双)好きだよなぁ」と周囲に突っ込まれつつも“新作は別腹”ということで、「猛将伝」についても喜び勇んでレビューを担当させていただくこととなった。
さて……タイトルに「猛将伝」とあるように、本作は今年3月に発売された「真・三國無双6」がベースになっている。「それは既にDLC含めしゃぶりつくしました!」という人は別として、今回初めてシリーズに触れる人は、まず前作レビューや直近の過去記事などを参考にしていただければ幸いだ。本稿では、「猛将伝」で追加された数多の新要素にフォーカスしたレビューをお届けする。
念のため最初に触れておくと、PS3「真・三國無双6 猛将伝」は単体でもプレイが可能で、「真・三國無双6」を持っていなくても十二分に楽める。また、「真・三國無双6」をプレイ済みの人は、一部をのぞき武将の成長や武器などを引き継ぐことができる。シリーズ初体験で「どうせなら最初から全部やりたいなぁ」と考えている人には、両ソフトと特製キャラクタカードがセットになった「真・三國無双6 & 真・三國無双6 猛将伝 プレミアムパック(10,290円)」がオススメだ。
【恒例の豪華絢爛オープニングムービー!】 | ||
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今回のオープニングムービーは、新たに追加された武将などキャラクターにフォーカス。各武将の表情や所作などがしっかり描かれている |
■ 「郭嘉」、「王異」、「ほう徳」の3人が新登場 ~新武器と新アクションをさらに追加!~
「猛将伝」でファンがもっとも注目する要素といえば、やはり新キャラクター。今回は「郭嘉(かくか)」、「王異(おうい)」、「ほう徳(ほうとく:“ほう”はまだれのなかに龍)」が追加され、シリーズ最大の65人でゲームが楽しめる。
郭嘉は、曹操を支えた魏の天才軍師のひとり。ゲーム中では洒脱な優男として描かれている。得意武器は打球棍。ビリヤードのキューと球で相手を攻撃するかのような姿は、一見トリッキーだが使い勝手は決して悪くない。チャージ攻撃1~3で周囲に攻撃判定を持つ球を出現させ、4以上でそれを飛び道具として使うことが可能。無双乱舞は、地上だと周辺の敵を吸い込む巨大な青い球を発生させる。空中では無数の青い球を出し、それを弾き飛ばして周辺の敵を一掃。どちらも爽快感バツグンの攻撃となっている。
王異は、馬超に復讐を誓う魏の参謀。見目麗しいが、どこか影を感じさせる妖しい魅力がたまらない。得意武器は筆架叉。やや火力は物足りないが、それを補う凄まじいスピードと攻撃範囲で周囲の敵を瞬時に切り伏せていく。無双乱舞は、地上・空中ともに最終ターゲットに大ダメージを与える対武将向け。最初のうちは狙いをつけにくいかもしれないが、先に周辺のザコを吹き飛ばしておくなど、ひと手間くわえると俄然使い勝手がよくなる。
ほう徳は、元馬騰・馬超親子の配下。曹操の漢中攻めを機に魏の武将となる。得意武器は双鉞。攻撃力もさることながら、ヴァリアヴル攻撃の引き寄せ効果など全武器中でも屈指の使いやすさを誇る。初期能力パラメータはバランス型で、速度も平均レベルと扱いやすくクセの少ない秀逸な武将のひとり。忠義に厚いつつましい性格を反映してか、新武将3人のなかでは比較的地味に映るかもしれないが「逆にそこがいい!」という人も少なくなさそう。
「武器系統」は、「打球棍」、「筆架叉」、「朴刀」、「龍槍」、「偃月刀」、「双矛」の6種類が新登場。また、武器適正「天稟」の特殊アクションとして、チャージ中に□ボタンで高速移動しながら攻撃できる「無影脚」、攻撃を受けている最中に×ボタンで緊急回避できる「転身」がそれぞれ追加された。新特殊アクションが使えるのは新武器系統に限られているが、このあたりは前作の武器系統も含めて全体的な見直しが行なわれると、より新鮮味が増してよかったのではないかと思われる。
【享楽の才子・郭嘉】 CV:三宅淳一 | ||
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曹操の信任厚い天才軍師。本シリーズでは細身で洒脱な優男風。得意武器は打球棍。独特のチャージ攻撃はクセになる魅力がある | ||
地上の無双乱舞。ブラックホールばりに周囲の敵を吸引する“ブルーボール”が出現。持続時間が長めで、この隙にチャージでボールをためるのもいい | ||
空中で放つ無双乱舞は、複数の青いボールで周辺を一掃する範囲攻撃。これまた爽快で使いやすいナイスな技だ |
【復讐に咲く妖花・王異】 CV:桑島法子 | ||
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影のある美しさ、とでもいうべきか。得意武器は筆架叉。火力は控えめだが攻撃判定の発生が早くチャージ攻撃の範囲が広い | ||
地上の無双乱舞。正面にいた敵を空中へ跳ねあげ地面に叩きつける。できれば敵武将をターゲットにしたい | ||
空中の無双乱舞。鳶や鷹のように空中から獲物めがけて急降下。適当に出すとザコもしくは空振りということもあるので要注意 |
【新武器系統は全部で6種類】 | ||
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前作から、武器は武将固有ではなく独立した“系統”として取り扱われる。得意不得意はあるが、基本的にはどの武将でも好きな武器を装備できる。今作では、新たな武器系統として、打球棍、筆架叉、朴刀、龍槍、偃月刀、双矛の6種類が登場。うち2つは新キャラクタの得意武器に設定されている |
■ シナリオをクリアして居城を発展させていく新モード「レジェンドモード」
初登場の「レジェンドモード」は、プレーヤーが太守となり、サポート役の副官を選んで本拠地となる「居城」を少しずつ発展させていくモード。居城を発展させるには、シナリオをひとつずつクリアしていくこととなる。最初は決まったシナリオしか選べないが、既存のシナリオをクリアすることで新しいシナリオが少しずつアンロックされていく。シナリオは6段階の難易度(天国、易しい、普通、難しい、修羅、究極)選択が可能で、クリア後も再選択が可能。
シナリオを選ぶときは、居城内にいる“都督府”に話しかければいい。システム的に扱いが違うというわけではないが、本作のシナリオには「英傑伝シナリオ」と「レジェンドシナリオ」の2種類がある。「英傑伝説シナリオ」は、新キャラクターなど武将たちのドラマを描いたもの。「レジェンドシナリオ」は、過去シリーズの人気シナリオ「虎牢関の戦い」、「呉郡の戦い」、「関羽千里行」、「合肥の戦い」、「定軍山の戦い」、「樊城の戦い」、「白帝城の戦い」、「五丈原の戦い」がそれぞれプレイできる。「英傑伝シナリオ」は単体だが、「レジェンドシナリオ」は同じシナリオで所属軍ごとに違う立場でプレイすることが可能。総マップ数は37、総シナリオ数は46となっている。シナリオをクリアすると、難易度に応じてゲーム内で武器などを作製するために必要なお金が加算される。
最初は人通りもほとんどない居城内だが、シナリオをクリアして発展させていくと、武器屋、鍛冶屋のほか、学問所、交易商といった施設が使えるようになっていく。念のため前作をプレイしていない人向けに説明すると、武器屋は武将たちが装備する武器を作製してくれるところ。最初は少ししかないが、シナリオクリアに応じて品揃えが豊富になっていく。鍛冶屋は、武器ごとに設定された“獲得印”の経験値を、預けることで少しずつ増やしてくれる。学問所は、体力、攻撃力、防御力、力、素早さ、武功が増える“兵法書”を売ってくれる施設。今回はお金で能力パラメータが伸ばせるため、武将育成が飛躍的に楽になった。また、攻撃力と防御力の上限値は1,400まで拡張されている。
交易商は、地方を指定して商人に交易に行ってもらう施設。手に入るものは地域によって特色があるが、基本的には交易による利益(お金)、武器、支援獣の3タイプ。シナリオクリア後に話しかけると、交易の結果を教えてくれる。行政府は、副官を変更するところ。居城には“雰囲気”という概念があり、「荒廃」、「秩序」、「自由」、「親愛」の4ついずれかになる。「荒廃」はゲーム開始直後の状態で、「秩序」はレジェンドモード戦闘中の操作武将の攻撃力と防御力アップ、「自由」は居城内の物価が下がる、「親愛」は副官から贈り物がもらえる、といった特徴がある。居城内の雰囲気は副官のタイプに影響されるが、シナリオクリアごとにローテーションで変わる印象があり「そこまでこだわる必要もないかな」といった感じ。高難易度でシナリオをクリアすればお金は簡単に稼げるので、特に執着でもなければ気ままに任命していいと思う。ちなみに、太守(操作武将)を変えたいときはスタートボタンから「武将選択」で変更すればいい。
本モードには、新たな成長要素「将軍位」が用意されている。これは、武将の成長に応じてさまざまな位(くらい)と特殊効果を与えるというもの。位が高くなると豪華な装備アイテムが身につけられるようになるほか、褒賞の増加、特定条件下でのパワーアップなど、さまざまな恩恵にあずかれる。位は8段階で、当然上にいくほど就任条件は難しくなる。大半は知らないうちに条件を満たしていることがほとんどだが、最も高い位は武将によって就任条件が異なるようで、一筋縄ではいかない。このあたりはしっかり狙って取りにいく必要がありそうだ。
スタート直後の居城は殺風景で施設も最低限。シナリオをクリアすることで、少しずつ発展していく | ||
シナリオを始めたいときは、居城奥にいる「都督府」に話しかければいい。最初は4つしか選べないが、クリアすることで少しずつアンロックされていく。難易度は、シリーズ初体験の人であれば天国~普通がオススメ | ||
パターン豊富とはいえないが、それでも居城が発展していく様子は素直に楽しいし、嬉しい |
【新たな成長要素「将軍位」】 | ||
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武将の成長に応じて与えられる。最初のうちは知らないうちに条件を達成していることがほとんどだが、最上位くらいになると狙ってプレイする必要がある |
■ 4つの種目で記録に挑戦!「チャレンジモード」
「チャレンジモード」は、シングルまたはふたり同時プレイでさまざまな記録に挑戦していくモード。オンラインランキングに対応しており、シングル、ふたり同時プレイそれぞれ個別にランキングが用意される。
モードは、足場が狭いステージで敵を場外に落としていく「彗星」、時間内に倒した敵の数を競う「暴風」、目的地にたどり着くまでも最短タイムを競う「迅雷」、次々と現われる武将だけを倒していく「百花」の計4種類。ランキングの公平性をはかるため、武将の能力、印の装備などはそれぞれ固定されている。使用キャラクターと武器は自由なので、好きな武将で突き詰めるか、あるいはシチュエーションを最優先するかはプレーヤー次第だ。
全モード共通の仕様として、EX攻撃を使うと、「彗星」は防御力、「暴風」と「百花」は攻撃力、迅雷は移動速度が、それぞれ30秒間だけ能力が2倍になる。基本的にはガチ向けのモードだが、「猛将伝」単体で遊んでいる人はアーケードゲームで遊んでいるように「暴風」で手軽に暴れまわるというのもいいだろう。
■ 「真・三國無双6」を持っている人は「MIX JOY」でさらに楽しめる!
前作のPS3「真・三國無双6」を持っている人は、さまざまな連動機能が楽しめる。前作のセーブデータがあれば、武将の成長、武器、支援獣、お金といったデータが引き継げる。特技のみ、習得に使用した武功に換算される形で引き継がれる。引継ぎ直後は未修得の状態になっているため、習得しなおすことをお忘れなく。
前作のゲームディスクを使って「MIXJOY」を行なえば「ストーリーモード」と「クロニクルモード」がメインメニューに追加される。「ストーリーモード」はふたり同時プレイが可能になり、オンラインプレイにも対応。シナリオセレクトでは好きな武将で全てのシナリオがプレイできるようになった。「クロニクルモード」は、列伝ステージも好きな武将でプレイできるようになった。都城には、新キャラクタ3人のイベントがそれぞれ追加される。
一般的な拡張キットと違い単体でも遊べるのが「真・三國無双6 猛将伝」のいいところだが、前作のプレイ経験を踏まえていうと「見比べると、やはりボリューム感が違う」といった印象は否めない。冒頭でも触れたが、シリーズ初体験の人は、できれば前作とセットで「真・三國無双6 猛将伝」をこの機会にぜひ体験していただきたい。予備知識なしに連動状態でイチから遊べるというのは、ある意味とても贅沢な環境でもあるのだ。
■ 初心者からマニアまで幅広くフォローする拡張キット
今作の「猛将伝」は、初心者をフォローしつつ上級者にも対応する、充実した拡張キットになっている。「レジェンドモード」における武将の育てやすさは特筆もので「こんなに楽でいいの?」と思ってしまうほど。ただし、楽といっても難易度「究極」になると話はまったく違ってくる。
本シリーズのファンは、最高難易度まで徹底的に舐め尽くすようにプレイする人が多いように思われる。そうした人たちは、ぜひ全武将で「究極」クリアを目指していただきたい。筆者も最初に触るまでは「能力上限があがって、しかもお金でパラメータ伸ばせるんでしょ? 超ヌルくない?」とタカをくくっていたが「レジェンドモード」冒頭からさんざんな目に遭わされた。「修羅」までは力押しっぽいことも可能だが、「究極」はそれを一切許さないイメージ。秘蔵武器のコンプリートまで、はたしてどれだけの時間を要するのか……。
カジュアルに楽しみたい人は、もちろんそんなことは一切気にしなくていい。適切な難易度で、気持ちよく爽快に暴れまわれる。これこそ「無双」シリーズ最大の特徴であり、誰もが認める魅力の根源だ。「真・三國無双6」で初登場の武将に追加衣装が用意されるなど、キャラメインのファンにも訴求ポイントは多々ある。繰り返しになってしまうが、前作をやりこんだ人はもちろん、シリーズ初体験の人は前作とセットで、この機会にぜひプレイしていただきたい。
【追加衣装】 | ||
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前作初登場と今作の新武将に限定されるが、それぞれ追加衣装が用意されている |
(2011年 9月 30日)