PS3/Xbox 360ファーストインプレッション

スペイン製「キャッスルヴァニア」が日本上陸!
日本語版はあの小島プロダクションが監修

「キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ」



キャスルヴァニアシリーズらしく主人公ガブリエルはバトルクロス・チェーンウィップという鞭で敵と戦う

 12月16日、KONAMIからPS3/Xbox 360「キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ」がリリースされる。本作はスペインのMercury Steam Entertainmentにより開発され、海外で先行発売されたもののローカライズ版となる。日本語版の総合監修は「メタルギア」シリーズなどで知られる小島プロダクションが担当。日本語音声+日本語字幕でゲームをプレイすることができる。

 販売形態は、通常版、初回限定版、キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ バリューパックの3タイプ。初回限定版には、ゲームソフト、オリジナルアートブック、オリジナルサウンドトラックCDに加え、PS3版ならゲームアーカイブス「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」プロダクトコード、Xbox 360版ならXbox 360「悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair」ダウンロードコードと、プラットフォーム毎に異なるダウンロード用のプロダクトコードが同梱される。「キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ バリューパック」はPS3版専用のパックで、ゲームソフト、PS3 HDD160GB チャコール・ブラック、「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS PLAYSTATION 3 the Best」、「METAL GEAR ONLINE」リワードチケット(20,000ポイント) が同梱される。本作を機にPS3を購入しようと考えている人にオススメしたいパッケージだ。

 マルチプラットフォームでのリリースとなるとPS3とXbox 360版、どちらを購入したらいいのか悩んでいる人もいるだろう。参考として、東京ゲームショウ2010のKONAMIブースでの統括プロデューサー今泉健一郎氏のコメントを掲載する。「過去のシリーズではPS3とXbox 360版とではグラフィックスのクオリティが異なることがありましたが、本作ではまったく同じクオリティに仕上がっています」とのこと。どちらを購入しても後悔することはなさそうだ。

 今回インプレッションに使用したのはPS3版のほぼ製品版というバージョンで、ボタン表記もPS3版、掲載してあるスクリーンショットも全てPS3版のものだ。また、今回ご紹介するのは11月13日、14日に開催された店頭体験会でプレイできた「山岳の要塞 オーガ戦」、「黒鳥の魔女 黒の魔女マルファス戦」が含まれる4章まで。なお、4章クリアまでは約7時間ほど。ワールドマップで確認できるだけでも12章はあるので、ボリュームは十分にありそうだ。



■ ストーリータイトル

西暦1047年。希望なき暗黒の時代、闇に覆われた世界。
天と人とは、邪悪な呪いによって分かたれていた。救われぬ魂が大地を彷徨い、悪夢に棲む獣が、絶え間なき暴虐を尽くす。
民たちは恐怖に怯えていた。唯一、「燈光教団」を統べる修道会は、聖なる意思のもと、この禍を究明すべく、1人の相応しき者を遣わした。
激越なる恐怖に克つ者、ガブリエル・ベルモンド。最愛の妻マリーを無残に殺され、その傷が未だ癒えぬ男を選んだ理由が、修道会にはあった。ガブリエルは命ぜられる。
「深き森に潜む、パンという名の古き精霊を求めよ。その者こそ、汝を真実へと導くであろう」。精霊パンはかつて修道会に接触し、マリー・ベルモンドという女の、他界から呼ぶ声を伝えていたのだ。
「夫と話がしたいの」という悲痛な声を――。
やがてパンに邂逅したガブリエルは亡き妻の幻影を見る。そして儚い希望と、戦慄と共にこの使命を受け入れた。自らの疑問を明かすため、真実を明かすために。戦士は森林を目指して立ち上がる。愛する者をなくした、哀傷を胸に。

 愛する妻マリー・ベルモンドを魔物に殺され、復讐を誓う主人公ガブリエル・ベルモンド。「燈光教団」に所属する彼は、パンという精霊に会うべく、旅に出る。ゲームはパンの住むという森の近くにある村から始まる。この村ではライカンスロープという狼のような魔物と戦うのだが、ゲーム序盤らしく、1つ1つのアクションの解説が挟まるチュートリアルを兼ねたステージとなっている。プレイしながら学べるのでわかりやすい。ただし、覚えるべきアクションの数は結構多いので忘れないよう頭に叩き込んでおきたいところ。もし忘れてしまっても、メニューから各アクション(スキル)の説明と操作方法をいつでも確認できるので安心だ。



 主人公ガブリエル役に藤原啓治さん、ガブリエルの妻マリー役に井上喜久子さん、ガブリエルと同じ「燈光教団」に所属するゾベック役に麦人さん、精霊パン役に大塚明夫さん、魔物の大群を率いるコーネル役に銀河万丈さん、忠実な守護者黒騎士を従える謎の少女クローディア役に小林ゆうさん、と日本語版でのCVを担当する声優陣の豪華さも本作の魅力の1つ。この声優陣を見て、気付いた人も多いのではなかろうか。そう、「メタルギア」シリーズでCVを担当している声優さんばかりなのだ。また、小島監督自らもCVを担当している。

ガブリエル
CV:藤原啓治
彼は幼い頃、燈光教団のとある修道院に置き捨てられていたところを拾われた。本当の親が誰なのかは判らず、裕福な地主、おそらくはクロンクヴィスト家の望まれぬ私生児ではと噂されたが、真実は謎のままである。教団は彼に、祝福を受けた大天使ガブリエルの名を与え、教団の一員として育てた。早熟だった彼はすぐに豊かな才能を示し始め、武術において比類なき技量を修めるに至った。ガブリエルは、自らの愛する山と高地に名を借りて、ベルモンドの性を名乗った。しかし彼には、沈みがちで精神的に不安定な部分があり、幼なじみの愛する女性、マリーの死はその傾向に拍車をかけた。彼は、教団長老の求めにより旅に出る。復讐の炎を激しく燃やしながら
マリー
CV:井上喜久子
とある裕福な商家の末娘マリーにとって、燈光教団の教えはいつも正しく、頼もしく、仰ぎみるべきものであった。快活で好奇心旺盛なマリーは、折につけ家の仕事を放り出しては修道院を訪れ、家事をして彼らを手伝った。そんなある日、彼女は運命の人と出逢う。それはガブリエルという名の少年だった。二人はともに育ち、やがて将来への約束を交わすようになる。そして日の光溢れるある朝、人々の祝福のなか、二人は永遠の愛を誓った。マリーはガブリエルにとり、ひかり輝く太陽のような存在だった。彼女が笑うだけでガブリエルの中に渦を巻く暗い嵐は吹き散らされた。しかしマリーは何者かに命を奪われてしまう。そしてガブリエルは復讐を誓うのだった
ゾベック
CV:麦人
教団に残る記録が信頼に足るとすればだが、ゾベックは史上最も長く戦士として修道会に仕えてきた男である。彼の英雄的行為の数々はもちろん、戦術戦略に関する深い見識、またその年齢にもかかわらず繰り出される壮烈な戦技は、いずれも目を見張るものがある。ゾベックの得物はシンプルなロングソード。彼はその取り扱いに長け、動きは俊敏である。奇妙なことに、彼は古めかしい修道服を好んで着る。本人曰く、それは修道会設立者の一人である彼の祖先から受け継いだものであるという
パン
CV:大塚明夫
伝統的な民間伝承には、野生の森に棲み、その地を危害から護っている神秘的な精霊が登場する。そうした伝説では精霊は、ワシ、シカ、ワートホッグあるいは馬などの様々な姿をとり、その地にも数多くの変身が語り継がれている。パンを邪悪な好色家と評する者がいる一方、力強く善意にあふれた、母なる自然の下僕たる半神半人だとする者もいる。人類がその傲慢さゆえ自然を汚染し破壊すれば、老いた精霊達は彼方へと去り、パンは自らの運命を決せねばならなくなるだろう


■ 繰り返しのプレイも楽しめるよう設計されたステージクリア型の3Dアクション

 アクションアドベンチャーというと広い世界を歩き回るタイプのゲームを想像するかもしれないが、本作はステージクリア型の3Dアクションゲーム。章立てになっており、各章が複数のステージで構成されている。一度クリアしたステージは何度でもプレイ可能で、いつでもワールドマップから好きなステージを選択してプレイできる。また、クリア済みのステージは、難易度別のクリア状況、入手できる魔力石(キャラクター強化アイテム)、ウェポンのレベルアップ、特殊なクリア条件が閲覧できる。

 難易度は、見習戦士、戦士、騎士、聖騎士という4つがあり、いつでも切り替え可能。ただし、聖騎士だけは特定の条件を満たさない限り選択できない。難易度は高めで、ノーマルにあたる戦士でも結構歯ごたえがある。アクションに自信があっても、1度もやられずにクリアするのは難しいだろう。なお、難易度別のクリア状況は高難易度をクリアすれば、それ以下のものは全てクリアしたとみなされる。

 魔力石はキャラクターのHPや魔力の最大値に関わるアイテムで、5つ集めるごとに最大値が向上する。本作には敵を倒したりすることで獲得できる経験値が存在するのだが、経験値でアンロックできるのはアクションであり、経験値でキャラクターの基本性能を上げることはできない。

 一度クリアしたステージでも、取り逃した魔力石やウェポンを探したり、特殊なクリア条件の達成を目指すなど、再挑戦しようという気にさせてくれる。いつでもワールドマップから好きなステージが選択できるのも嬉しい点だ。

ワールドマップからいつでも好きなステージに挑戦できるステージ再挑戦前に、そのステージで取得できる魔力石の最大数と現在の取得数や課されし試練という特殊なクリア条件などが確認できる


■ 驚くほど多彩なアクションの数々

 今回プレイできた範囲の中だけでもバトルやステージでのアクション数はかなり多い。全てを使いこなさないとゲームにならないわけではないが、習得しておいて損のないものばかりだ。

 まずはバトルでのアクションから紹介していきたい。基本となるバトルクロス・チェーンウィップでの攻撃は、大きく前方攻撃と回転攻撃の2つに分けられる。前方攻撃は正面の敵に有効な攻撃で□ボタンで繰り出せる。□ボタンを連続入力すればコンボになる。△ボタンでは、自分の周囲の敵に攻撃できる回転攻撃が可能。前方攻撃に比べ、与えられるダメージは少ないが複数の相手と戦う場合に有効。こちらも連続入力でコンボになる。また、○ボタンではサブウェポンを使用する。サブウェポンには短剣や聖水などがあり、所持数分が使用できるい。

直線的で単体相手に有効な前方攻撃。連打するだけでコンボになる全方位に攻撃できる回転攻撃。前方攻撃に比べダメージは低いが複数の敵をまとめて攻撃できるのが魅力バトルではボタン連打など通常のアクションとは異なる入力が要求される場面も

 R2ボタンでは手が届く範囲にいる小型の敵を掴むこともできる。掴んだ後には掴みからの攻撃を繰り出すことも可能。

 ゲームを進めるとバトルクロス・チェーンウィップを使って離れた敵も掴めるようになる。これが非常に強力。ベルモンドの向きに関係なく近くの敵を掴んでくれるし、掴み成功モーションから掴み攻撃が終了するまでの間、一切攻撃を受けない無敵状態となるからだ。また、1回で敵を倒せたり、倒した際に魔力エナジー(後述)をドロップしてくれるというメリットもある。飛び道具を持たない小型の敵なら掴みが成功する距離になるまでR2ボタンを連打するだけでも勝てるほど。もちろん、掴み不能な中型以上の相手では、この戦法は全く通用しない。ヒット&アウェイを繰り返しつつ、確実にダメージを与えていくのが有効。

掴みが成功すると2つの円が表示される。最初に大きかった円が収縮するので、大きさ固定の円の内側まできたらボタンを入力。成功すれば掴みからの攻撃を行なう

 次は基本の移動・防御系。ジャンプと攻撃ボタンを組み合わせることで空中攻撃が可能。ジャンプからのみ繰り出せるスキルも存在する。L2ボタン長押しで防御。全ての攻撃が防御できるわけではないので過信は禁物だ。敵の攻撃にタイミングを合わせて防御するとシンクロ防御となり、相手に隙が生まれる。防御中に左スティックを入力すると、入力方向に転がって回避する。空中でから急降下する踏みつけ攻撃では、小柄な敵を吹き飛す効果を持つ。

 さらに、敵を打ち上げる衝き上げ攻撃、空中から攻撃を叩きつけるギロチン(空中で□長押し)やチェーンスピン、敵を飛び越える前方宙返り、シンクロ防御後のカウンター攻撃など、多くのスキルを習得することができる。

ジャンプ(×ボタン)中でも□や△ボタン連打でコンボが繰り出せる。ただし、ジャンプ中は防御できないので危険を察知したら、すぐに踏みつけ(空中でL2+×ボタン)で着地して回避したい入力方向にただ転がるだけではあるが、多くの場面で活躍する回避(L2ボタン入力中に左スティック)。これを使いこなさなくてはステージクリアは難しいだろう紹介した以外にも多くのスキルが存在する。スキルは、ゲームを進めることで自動追加されていくものと経験値で獲得するものの2つがある。自動追加されていくものだけでも戦えるが、経験値で獲得できる技には強力なものが多い

 これらに加えて、魔力を使ったアクションがある。L1ボタンで発動する光の魔力は、発動中に敵を攻撃すると体力が回復する。L2ボタンでは影の魔力が発動し、発動中は通常よりも大きなダメージが与えられる。どちらも魔力エナジーが尽きるまでの間しか効果はないが、強力な効果なので使わない手はない。

 魔力エナジーは、特定の回復スポットや敵がドロップするエナジーをL3かR3ボタンを長押しすることで吸収し、回復する。L3なら光の魔力エナジーが、R3なら影の魔力エナジーが回復するので、必要に応じて回復するエナジーを選ぶことになる。敵がエナジーをドロップするのは、集中力(連続して攻撃をヒットさせることで高まり、一度でも攻撃を受けてしまうと0になる)が最大まで高まった状態で攻撃を当てた場合や掴みからの攻撃で敵を倒した場合のようだ。

光の魔力を発動すると体が青いオーラで包まれる。魔力エナジーが続く限りの効果ではあるが、攻撃をヒットさせれば体力が回復する影の魔力発動中は攻撃力が大幅にアップする。ボスなど体力の多い相手なら惜しまず使っていきたい集中力(画面下部)が最大まで高まった状態で攻撃をヒットさせると敵がエナジーをドロップする。L3やR3を長押しすれば吸収できる

 本作は攻撃ボタンを適当に連打しているだけである程度は進めるが、防御や回避を駆使すれば、ゲームクリアに近づくことができる。相手の行動パターンの見極めも重要だ。

 重要となる攻撃への対処法は大きく分けて3つ。1つは移動や回避などで相手の攻撃範囲から抜け出すこと。2つ目は防御。3つ目がジャンプだ。地面を伝ってくるタイプの攻撃に大してはジャンプを用いることになる。ジャンプ中は防御ができず、中型以上の敵の地上攻撃をくらってしまうので、不用意なジャンプは禁物だ。ジャンプ中、相手の攻撃が読めたら、踏みつけで瞬時に降下し、その後回避などのアクションに移行することで攻撃をやり過ごしたい。ジャンプでしか回避できない攻撃やジャンプ中からのみ繰り出せる強力な攻撃もあるので、踏みつけをいつでも出せるようにして、ジャンプを活用していくと戦術の幅が広がるだろう。

 迫力ある巨大なボスとの戦闘も本作を語る上では外せない。今回プレイできた範囲だけでも様々なボスとの戦闘が体験できた。これら巨大ボスは、相手の攻撃を利用したり、取り付いて弱点を攻撃するなど、通常の敵とは違った方法で戦わなくては倒すことはできない。攻略法がわからないと勝てない相手ばかりだが、プレイ中にヒントが表示されるため、どうすればいいかわからなくて倒せないなんてことはない。

どう考えても勝てないと思えてしまうほど巨大なボスたち。それぞれ攻撃パターンや攻略法が異なる
序盤に登場するとあるボスの例。攻撃を回避しつつ、腕が地面に突き刺さり、抜けない状況になったら近寄ってしがみつく。振り落とされないように耐えながら弱点を攻撃。これらを繰り返し、全ての弱点を破壊すればボス撃破となる

 3Dアクションゲームではお馴染みの縁を掴んで壁を登るもの、足場から足場へとジャンプで渡るものに加え、バトルクロス・チェーンウィップを使ったワイヤーアクションや魔力エナジーを使ったアクションなど、ステージアクションも多彩。中でも本作ならではといえるのが、敵の力を借りたアクションだろう。大蜘蛛など、一部の中型クラスの敵は、一定以上のダメージを与えることで騎乗が可能。敵に騎乗し、その敵の能力を使うことでしか進めない場所もある。

底が見えないほど高い場所での緊張感溢れるアクション。落ちてしまっても体力が少し減った状態で直前のポイントからやり直せるバトルクロス・チェーンウィップを使ったワイヤーアクション。使える場所には青白い光が点灯しているアクションだけでなく、パズル的なステージも。解法も用意されているが、見てしまうと経験値ボーナスが得られない
大蜘蛛とのバトル。一定以上のダメージを与えたらR2ボタンで騎乗できる。大蜘蛛の能力を使って近くの木を引っ張ることでワイヤーアクションが使えるポイントが発生。用済みとなった大蜘蛛を絞殺して先へと進む

 やりごたえのある本作は、よほどアクションがうまい人でなければ、筆者のようにトライ&エラーを繰り返してプレイすることになるだろう。しかし、やられてしまってもステージ最初からやり直しなんてことはなく、チェックポイントからやり直せるので、トライ&エラーは苦にならない。



■ 最後に

 “新生”というテーマで開発されただけあって、キャッスルバニアの名を冠しながらも、これまでのシリーズとは異なる新作タイトルという印象を受けた。海外製だからということもあるかもしれない。そのグラフィックスや騎乗した敵から降りる際にはトドメをさして降りる点など、海外製らしい点が数多くある。

 アクションが多彩で、その内容も骨太。シリーズファンのみならず、アクションゲームらしい、アクションゲームを求める人にオススメしたい。



(C)2010 Konami Digital Entertainment
Developed by Mercury Steam Entertainment

(2010年12月15日)

[Reported by 木原卓 ]