シミュレーションRPGながらアクション性も高いため、初めてプレイする人はまずは難易度EASYでのプレイがオススメ。自信があるシリーズのファンならば、最初からNORMALでチャレンジしていこう |
株式会社セガは、2011年1月27日に発売を予定しているPSP用アクティブ・シミュレーションRPG「戦場のヴァルキュリア3」(以下、「3」)の体験版の配信を、11月9日よりPlayStation Storeで開始した。
この体験版は、東京ゲームショウでプレイできたメルフェア市を防衛するミッション“カラミティ襲来”に加えて、敵に奇襲された山岳要塞を奪還する“ダハウの真意”という2つのミッションが遊べるようになっており、ゲームがどのように進行していくかも体験できる内容となっている。
本稿では、体験版をプレイしてわかった新要素や変更点、プレイ感などを中心に、4日に行なわれたプレミアム体験会で判明した内容も合わせて紹介する。なお、あくまで体験版のファーストインプレッションということで、製品版では調整される可能性がある点についてはご了承いただきたい。
■ 2つの黒衣の部隊がガリア南部で激突!!
東京ゲームショウでも公開されたトレーラームービーも収録。冤罪を背負わされた「3」の主人公クルト・アーヴィングは、名前を剥奪され数字で呼ばれる422部隊、通称“ネームレス”の隊長となる |
征暦1935年、舞台は東ヨーロッパ帝国と戦争中の小国ガリア王国。将来を嘱望された正規軍士官クルト・アーヴィングは、とある事件をきっかけに所属するものは名前すら剥奪される422部隊、通称“ネームレス”へと左遷されてしまう。罪人やはみ出し者だらけの隊員たちと共に、クルトは自分の名前を取り戻すための戦いに身を投じていく……。
このようなストーリーで始まる「3」は、ガリアと帝国が戦争をしている「1」と同じ時代が舞台となっている。しかし、故郷を追われながらも懸命に生きる姿を描いた「1」と違い、「3」は戦争の暗い側面に焦点をあてる内容となっており、より重厚な人間ドラマが楽しめそうだ。
今回の体験版に収録されている章は“黒の激突”というタイトルがつけられており、主人公のクルト・アーヴィングが率いる422部隊“ネームレス”と、ライバルとなる帝国軍の特別遊撃部隊“カラミティ・レーヴェン”との戦いが楽しめる。
人間味あふれる敵士官とのドラマや、強大な敵軍兵器との戦闘も「戦場のヴァルキュリア」シリーズの魅力の1つ。この体験版では、それらの一端をかいまみれる内容となっている。
■ 「戦場のヴァルキュリア」独自の戦闘システム
“BLiTZ”が「3」でどのように進化しているかをチェック!
クルト、リエラ、イムカの3ユニットはCPに加えてSPを使用することで、“特殊化”した状態で行動できる。SPは回復しないものの、連続して使用することも可能だ |
まずチェックするのは、「戦場のヴァルキュリア」シリーズならではの戦闘システムである“BLiTZ”について。コマンドモードでCPを用いてユニットを選択し、アクションモードで戦場の中をリアルタイムに動かしていく“BLiTZ”はもちろん健在。敵味方のユニットを1つずつ操作しながら進軍していく基本的なゲーム性は変更されていないため、「戦場のヴァルキュリア」シリーズをプレイしたことがある人ならば、特に違和感なく操作できることだろう。
とはいえそこは最新作。もちろんいくつかの新要素が追加されている。「3」から追加された大きな特徴の1つに、SPと呼ばれる新たなポイントが追加されたことが挙げられる。SPは主人公のクルトとダブルヒロインのリエラ、イムカの3人だけに備わった能力“特殊化”を使用する際に必要となるもの。SPを使うことでクルトは2人までの仲間と共に移動する「直接指揮」、リエラはヴァルキュリア化して無敵の防御力と圧倒的な破壊力を得る「ヴァルキュリア」、イムカは複数の敵に対して一度に攻撃できる「武装解放」の能力を得られるようになっている。
SPを用いた“特殊化”は、それぞれとても強力なものとなっているが、ターンごとに回復するCPと違い、SPは1つのミッションを通して回復しないようになっている。そのため、SPをどの場面で使うかがミッション攻略の大きなポイントとなりそうだ。
イムカの“特殊化”「武装解放」 | ||
---|---|---|
射程距離の制限もなく、味方ユニットに隠れた敵ユニットに対してもロックオン可能。なるべく多くの敵を視界内に収めたい | 「武装解放」の攻撃は山なりに飛ぶため、大抵の障害物は越えるものの、射線上に背の高い障害物があると遮られるので、位置を調整しよう | ターゲットモードに入る位置を調整することで、“カラミティ襲来”ミッションに登場するすべての敵ユニットに攻撃することも可能だ |
2つ目のミッション“ダハウの真意”では、エリアが4つに分かれているので、より戦略的にユニットを運用することが求められる。特に、複数配置されたトーチカから激しい迎撃を受けるので、戦車や技甲兵などの、迎撃に対して盾となるユニットを生かすことがカギだ。ただし、「3」では戦車の徹甲弾にも弾数制限があるため、戦車だけで状況を打開することが難しくなった。弾薬を補給できる支援兵と組ませて、いかに進軍させていくかがポイントになりそうだ。
また、「3」ならではの要素として、リアルタイムに攻撃を受ける砲撃エリアがある。これは、アクションモード中に砲撃エリアに進入すると、すぐに砲撃を受けるというもの。砲撃に当たってしまうとダメージを受けるのはもちろん、吹き飛ばされてしまうため、予想していた位置まで移動できなかったり、意図しない場所に飛ばされることも起こり得る。自軍フェイズの終了後に受けるものだった上に、着弾地点が予測できた「1」や「2」の砲撃エリアに比べると、格段に避けづらくなり、戦場の臨場感をより感じられるものになったといえる。
1つのミッションで同時に出撃させられるユニットの数が、全エリアで合わせて9つに増加している点も見逃せない。「2」では1人用プレイ時には6つまでしか同時に出撃させられなかったが、「3」では2つのエリアから同時に攻め上がる2正面作戦などもとりやすくなる。いろいろな兵種を組み合わせて進軍していく際に、より頭を悩ませることになることだろう。
弾薬が減ったユニットには、支援兵を接近させれば補充できる。戦車で支援兵を守りつつ進軍していくことも「3」では求められそうだ | 2つ目のミッション“ダハウの真意”で体験できるリアルタイムの砲撃。この砲撃は、草むらや塹壕に隠れることで回避することができる | 各エリアには最大で5つ、全エリアでは合計9つまでのユニットが同時に出撃可能。戦闘が激しいエリアにユニットをどんどん送り込みたい |
そのほか、技甲兵の盾がアクションモード終了後に展開して、広範囲からの攻撃を防げるようになった。技甲兵はより防御に特化し、剣甲兵は攻撃に特化するなど、兵種ごとの特長がより際立つように調整されるようだ。
また、細かい点だが敵ユニットを倒した際や倒れた仲間に衛生兵を呼ぶ際には、声が再生されるだけではなく、キャラクターの顔も表示されるようになった。より隊員たちに親しみが持てる演出の追加は、ゲーム性には直接影響しないものの、嬉しい要素といえる。
「戦場のヴァルキュリア」シリーズといえば、個性あふれるキャラクターたちで人気のあるタイトル。「3」でもシリーズの伝統は受け継がれているようで、罪人やはみ出し者が集められた“ネームレス”には、「1」や「2」の隊員たちとまた一味違う個性あふれる隊員が揃っている。彼らがどのようにストーリーに絡んでくるかも期待したいところだ。
■ 進軍マップの採用で戦線の変化がよりイメージしやすく
訓練・開発パートもシンプルな内容へと整理
進軍マップの画面、映写機のリールのようなマスはイベントシーン、ピンのマスはミッションとなっている |
「1」でのブックモード、「2」でのアカデミーパートにあたるパートは、進軍マップと呼ばれるマップ上で行なわれるようになった。進軍マップでは、各ミッションのプロローグおよびエピローグといえるイベントと、2つのミッションがシナリオの進行に合わせて、すごろくのコマのように追加されていき、イベントやミッションの行なわれた場所がマップ上で確認できるので、敵味方の位置関係や時系列の流れがよりわかりやすく感じられた。
なお「3」では、ミッションの達成条件が複数ある場合、どの条件を満たしたかによって、その後の展開が微妙に変化する。体験版でも“ダハウの真意”ミッションにおいて、“敵本拠点の占拠”または“ダハウの撃破”という2つの条件が用意されており、クリア方法によって直後のイベントシーンが変化することが確認できる。
隊員の成長や戦車の開発を司る訓練・開発パートについては、今回の体験版では実際に試せなかったためまだまだ謎の部分が多い。しかし、ミッションクリア後のリザルト画面では、ミッション中に活躍した隊員に、活躍した際の兵種の熟練度が加算されることが確認できた。この熟練度をためることで、上位の兵種にクラスチェンジできることが発表されている。
戦車や兵器開発についても、今回の体験版ではどのようなシステムになるかはわからないものの、体験版で使用できる軽戦車には、工作装置が装備されておりハシゴを設置できるようになっていることからもわかるように、戦闘能力以外にもさまざまな機能を選択できる「2」に近い形になりそうだ。
「2」からの大きな変更点として、上位の兵種にクラスチェンジするための単位や、兵器を開発するための素材を集める必要がなくなることが、11月3日に行なわれたプレミアム体験会で発表されている。「3」では、単位や素材を集めるためにすでにクリアしたミッションを何度もプレイする必要がないわけだ。個人的には、単位や素材集めのために、クリア済みのミッションをプレイするのは、やや億劫に感じていたので、この変更は歓迎したい。
ミッション“ダハウの真意”には2つの達成条件がある。比較的簡単な敵本拠点の占拠を選ぶと、敵軍に余裕を持って退却されてしまうが…… | より困難な指揮官であるダハウを倒すほうを選ぶと、帝国軍に打撃を与えることに成功。イベントシーンも満足げなクルトのものに変更される | リザルト画面では、各キャラクターの兵科ごとに熟練度が加算されるように変化。熟練度がたまることで、上位の兵種にクラスチェンジできるようだ |
■ ストーリー・システムともに十分に熟成
「3」は「戦場のヴァルキュリア」シリーズの集大成となるか
トレーラームービーには、クルトと「1」の主人公であるウェルキンが握手する場面も。ストーリーの面でもシリーズの集大成といえる内容になりそうだ |
現時点で判明している「3」の内容についてまとめてみたが、いかがだったろうか。今回の体験版をプレイしてみて最初に感じたのは、「3」が物語と“BLiTZ”の高い戦略性を楽しむことを最優先にした内容になりそうだということ。特に、「2」から追加された技甲兵を始めとする多種多様な兵種と、さまざまな能力を追加できる車両ユニットを、9つまで組み合わせることで生みだされる進軍バリエーションの豊富さは、シリーズで最高のものになることは間違いない。
1つ気になったのは、体験版では、SPを利用した“特殊化”を使用したユニットの能力が強すぎるように感じられたこと。確かにSPはミッション中に回復しないので、“特殊化”のみでミッションをクリアすることはできないものの、視界内の敵をすべて攻撃できる「武装解放」や、敵からの迎撃をものともせず進軍できる「ヴァルキュリア」は、使い方によっては、CPを大幅に節約できる能力になっている。特に「ヴァルキュリア」は、1ミッション1回とはいえ、入念に配置されている敵陣の中を、強引に突破することができてしまい、さまざまな兵種のユニットを組み合わせ、順番を考えながら戦線を押し上げていく面白さをスポイルしかねない能力に感じられた。
ただし、戦車の徹甲弾に弾数制限を追加して、戦車のみで強行突破できなくしていることからもわかるように、製品版では、開発陣も“特殊化”が可能なキャラクターだけで単騎で敵陣を突破しまくれるような調整にはしてこないだろう。この体験版では初心者でもクリアできるように、SPの数が多めに設定されている可能性も高いし、体験版はあくまで序盤の2ミッションに過ぎないため、製品版では、さまざまなユニットを組み合わせて運用する面白さとやり応えのある調整が行なわれることだろう。
■ 弊誌でも体験版を配信!
弊誌でも、この体験版を配信する。以下のリンクからダウンロードが可能だ。ダウンロードしたZIPファイルを解凍し、中にある「PSP」フォルダごとメモリースティック デュオにコピーしよう。Mac OSの場合は、「NPJH90156」を「GAME」フォルダ内にコピーしていただきたい。
・PSP本体システムソフトウェア……バージョン6.31以上
・メモリースティック デュオ空き容量……160MB以上
コピー先のメモリースティック デュオでのフォルダ階層に合わせて、以下のようにファイルとフォルダを配置するようにしていただきたい。
・PSP>GAME>NPJH90156>EBOOT.PSP / DOCUMENT.DAT
ゲームを起動するには、PSPのホームメニューから「ゲーム」>「メモリースティック」>「戦場のヴァルキュリア3 体験版」を選んで○ボタンを押すこと。
(C)SEGA
□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「戦場のヴァルキュリア3」のページ
http://valkyria3.jp/
(2010年11月9日)