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キャラの作り込みがすごい「アークナイツ:エンドフィールド」CBTをプレイ
TGS2024からバトルシステムが変更。夢の工場づくりが楽しめる!
2025年1月24日 17:53
- 【アークナイツ:エンドフィールド クローズドβテスト】
- 1月17日〜
GRYPHLINEは、プレイステーション 5/PC/iOS/Android用3Dリアルタイム戦略RPG「アークナイツ:エンドフィールド」のクローズドβテストを1月17日より開始した。
本作は、Hypergryphが開発し、Yosterから配信されているスマートフォン向けタワーディフェンスRPG「アークナイツ」の最新作だ。Hypergryphのグローバルパブリッシャーブランド、GRYPHLINEが贈る注目作となっている。1月17日からはPCユーザーを対象としたクローズドβテストが開催。昨年、9月26日~9月29日の間に開催された「東京ゲームショウ2024」の試遊バージョンや、過去に実施したテクニカルテストの内容から大幅な変化を遂げたビルドになっている。
今回はそんなクローズドβテストに参加してきたので、早速ゲームの手触りや所感についてお届けしていく。
──脅威は天然資源そのもの?過去の記憶を追い求める主人公と星で多発するさまざまな事件
まずは、CBTで体験できるストーリーから。基地の一室で10年ぶりに目覚めた主人公は、監察官の少女ペリカより、かつて自分が宇宙にある施設「エンドフィールド工業」のリーダー(管理者)だったということを伝えられる。そして自身の過去の記憶を取り戻すため、天然資源に恵まれた衛星「タロII」への上陸を果たす。
当面の目的は地上の生産開拓エリア「四号谷地」へ赴き、主人公の記憶を取り戻す鍵となる石棺を起動することとなる。しかし、ペリカに届いた緊急の知らせによれば、四号谷地全体は“敵対的な可動実態”「アンゲロス」によって、危機に晒されているという。アンゲロスは、分かりやすく言えば本作における“モンスター”なのだが、鉱石などの自然物質で形作られている無機物の集合体であり、正確には生物とは呼べない存在である。
今作の世界には、人類が長い時間をかけてタロIIを開拓するにあたり、幾度もアンゲロスとの戦いを繰り広げてきている、という歴史がある。豊富な資源に恵まれたタロIIは人類にとって魅力的である反面、発生源不明の構造物「アンカー」が地上に墜落することで、未知のアンゲロスが際限なく出現。いまだに脅威になり続けているわけである。物語冒頭ではそんなアンゲロスたちを生み出すアンカーが四号谷地に複数降り注いだことで、開拓エリアがピンチに陥っているのだ。
冒頭は導かれるようにして、道なりに四号谷地から基地へと進んでいくパート。基本操作のチュートリアルを交えつつ、危機感を煽る展開が続々と差し込まれていく。
協力者たちに差し迫る命の危機、まだ目覚めたばかりの主人公を守らねばならない使命感と、まだ序盤なのにペリカにのしかかる負担の大きさには同情せずはいられない。
ゲーム中は主人公が体験する導入部の意味深な夢の世界や、高度な文明で星の開拓が進んでいる世界観などなど、作品としての雰囲気・空気感はかなり重厚だ。ストーリー開始時点から耳慣れない用語が当たり前のように飛び交うが、ストーリー展開自体は別段複雑というわけでもないので、キャラクター同士の会話から“現在どんな状況下に置かれているのか”は把握しやすい。
キャラクター同士の会話に耳を傾けていれば「ああ、○○とはこういうものなのか」と、やんわり雰囲気を掴むこともできるだろう。今回のクローズドβテストではメインストーリー部分が日本語フルボイスのため、会話パートが耳に入りやすい。
また、キャラクターの3Dモデリングはライブサービス型のゲームタイトルの中でも屈指のクオリティである点も注目だ。ただモデリングが精巧なだけではなく、キャラクターの表情変化もごく自然できめが細かい。それは、一見なんでもないNPCキャラクターに対しても言える。
アクションRPGに「拠点づくり要素」が加わって展開
四号谷地の基地に到着した主人公たちは各地のアンカーを破壊しながら、基地の作業員たちの救出に励む。だが、今度はタロIIに根差している武装略奪者の人型の敵集団「ランドブレーカー」までもが四号谷地を襲撃しに来る。
基地が受けている被害はかなり深刻で、人員も設備も不足しているという状況だ。当然、攻撃を防ぐほどの余力は残っていない。そこで主人公とペリカは、新たな仲間チェン・センユーをパーティに加え、基地の機能を復旧するために行動を開始していく。
それまではフィールドを移動し、敵と戦闘するアクションアドベンチャーのようなゲーム進行となっていたが、この場面では敵との戦闘に加え、手持ちの資源から施設を建設するという要素が加わる。電源施設をつくり、ケーブルを繋いで他の施設に電気を供給するといった、建設シミュレーションといった趣もあった。
最寄りのランドブレーカーたちの戦力を削ぎつつ、以降は箱庭型のマップ内を自由に探索できるようになる。ちなみに集成工業システムは本作を象徴する建築要素で、設備同士のパイプラインを繋げると、資源集め・加工など自動化できる代物だ。こちらの要素については後ほど詳しく触れている。
一通りの依頼をこなすと、オペレーターのスカウト機能(ガチャ要素)が解禁。現状の最高レアリティはピックアップバナーのキャラクターに設定された星6キャラクターで、次に星5、星4と続いている。「アークナイツ」本編ではそれ以下のレアリティも存在しているのだが、本作ではこの3つのレアリティがキャラクターのレアリティとして割り当てられているようだ。
レアリティが高ければ当然強力なのだろうが、キャラクターモデリングやモーションの作り込みだったり、操作性だったり、必殺技カットインだったりと、正直ユーザー体験的な観点では大きな差が見受けられない。星4キャラクターですらリッチに作り込まれている。CBTはPCにて実施されているが、グラフィックボードが熱を帯びてくるのも納得の仕上がりと言えるだろう(推奨環境は「NVIDIA GeForce RTX 2060」以上)。
そうこうして物語は進んでいくのだが、本来なら知性の欠片もないランドブレーカーたちに統率力のようなものや、計画性のある動きが見られるようになり、不穏さは増していく一方。果たして主人公の過去にはどんな秘密があるのか。ペリカと共に、星のトラブルを解決しながら、自身の記憶を探っていくことになる......。
バトルシステムが「TGS2024」から変わっているだと……?
今回の最新バージョンとなるクローズドβテストに触れてみて驚いたのが、バトルシステムとUIの変更についてだ。特にバトルシステムについては、「TGS2024」から「ゲームジャンルが変わってしまうんじゃないのか」と、心配してしまうほどに操作の感触が変わった。
「TGS2024」バージョンではキャラクターがスキルを放つ際、敵を攻撃範囲内に捕捉してからスキルを放つ流れがあったり、スキルを発動したキャラクターに操作がスイッチングしたりと、とにかく“タイミングの見極め力”が求められる難しさが印象に残っている。それが今回のバージョンでは今挙げた要素が見当たらす、よりシンプルな「アクションRPG」といえる仕上がりだ。
まず、スキルは発動入力と共に即時効果が発生する仕様に。攻撃範囲内に敵を収める工程がなくなったため、バトルのテンポが向上している。キャラクター切り替えは「Q」キーを入力すると、編成した順番に切り替わっていく仕組みに変更された。
非操作キャラクターのスキルを発動してもそのキャラクターが敵に対してシームレスにスキルを当てる上に、操作のスイッチングがなくなった。また、スキルは一定のクールタイムを待つ仕様から、新たにパーティ全体で「戦技ポイント」を共有して、スキル発動をリソースと引き換える方式になった。
これにより、前バージョンで起こり得た“パーティキャラ全員がスキルのクールタイム待ち”という手持ち無沙汰のストレスが根絶されている。
前バージョンに存在したブレイク状態のシステムにも大きく変更が加えられている。スキルを当てて、体力とは別に備わる敵のゲージを減らし切ることで、敵が一定時間気絶し弱体化するという概念があった。本バージョンからはそもそも「ブレイク」の意味合いが異なり、物理異常を受けた際に発生する状態異常効果を指し示している。
その代わり、「失衡状態」という概念がCBTで登場した。失衡状態は、通常攻撃のコンボ最終段「重攻撃」を当てることで蓄積する「失衡値」から引き起こされる弱体化。中身は以前のブレイク状態に近いと言ってもいいだろう。スキルでも通常攻撃でもなく“通常攻撃のコンボ最終段”を当て続けないと溜まらないため、タフな敵だと狙う難易度が高い。
その分、失衡状態の敵にはキャラクターが専用の攻撃モーションで大ダメージを与える「処決」という特殊な攻撃を行える。処決の発動に成功すると戦技ポイントも回復するので、かなりのリターンが見込めるようになっている。
仕様変更や新要素がある一方、敵の強力な攻撃と被せる形で、こちらも強力な攻撃をぶつけるパリィのようなカウンターの仕組みはほぼそのまま残っている。ここについては前バージョンだと、敵の攻撃予兆を見てからスキル発動シーケンスに入るという、僅かながらの余裕があった。本バージョンからはスキルの仕様変更によって、対象の敵をしっかり注視する必要がある。ただし、戦技ポイントは最大3つまでストックできることから、1つだけ余分に残しておけば、敵に対して十分カウンターを決められた。これも成功させると失衡値を蓄積させるので、タイミングが良ければ戦技ポイントの回収に繋がる。
戦略RPGからパーティ連携が気持ち良い“戦略アクションRPG”へ
実はもう1つ新要素がある。それは戦闘中、パーティ編成されたキャラクターごとに所定の条件を満たすと発動可能な「連携技」だ。例えば、重攻撃を発生させる、2体の敵をブレイク状態にする、仲間の連携技を発動するなど、トリガーとなる条件を満たして連携技を発動すると、発動したキャラクターごとに何らかの恩恵が受けられるというもの。
この要素が、パーティ全体で協力しながら敵と戦っている共闘感を作り上げてくれる。バトル中立て続けに連携技が成功すると、中々に気持ちがいいのがイチオシの部分。パーティ編成はこの連携技が連続して発動できるような組み合わせを模索していくのが、面白いところでもあるだろう。
加えて、キャラクターのモデリングはかなり作り込まれているし、中には「アークナイツ」本編の人物を想起させるキャラクターもいる。なので、戦闘のためにパーティを組むだけではなく、いわゆる“推し”で固めたパーティ編成で遊ぶのも醍醐味としたいところだ。
今回のプレイでは特にコンセプトなく自由なパーティ編成でゲームを進めていたが、連携技が出せないといった編成事故は起きていない。アクションRPG成分が強まったことから、あとは自身の立ち回り方の工夫と育成だけで、体験した範囲でのバトルコンテンツは突破できている。
素材集めを自動化する「集成工業システム」
続いてゲームのキモになる「集成工業システム」を紹介する。ライブサービス型ゲームではキャラクターの育成、武器強化、ミッションの達成といった基本的なゲーム進行プロセスにおいて、何かしらのアイテムを要求されることがほとんど。
プレイヤーたちはアイテムを求めてフィールド内を探索し、ときには素材が入手できる挑戦ステージに挑み、アイテム同士を合成して目標を達成していく。こうした流れがプレイ中の割合を多く占めるため、日課となりやすく、ことライブサービス型ゲームのプレイイングが“重い”と感じるプレイヤーは少なくないだろう。
今回プレイしたタロIIの四号谷地は、一つの広大なマップから枝分かれするようにしてその他の小さなマップが点在している構造だった。それらはシームレスに繋がり、見方によってはほとんどオープンワールドに近いものと言える。それゆえ、本作でもプレイヤーがあちこちを奔走し続けて、多くの時間を素材収集に費やすことを想像していた。
しかし、集成工業システムは、このアイテム獲得のために忙しなく動き回る工程のほとんどを自動化できてしまう。詳しく紹介すると、フィールド上に必要な建築物をクラフトして、素材集め・アイテム合成を機械に任せてしまうといった具合である。
集成工業システムは、稼働するための電力源にあたる「協約核心」を中心に集成中枢エリアから出現し、そのエリア範囲内でさまざまな種類の設備を建築していくことで真価を発揮する。
協約核心から電源ケーブルを引っ張ってきて、中継タワーに接続し、さらにその中継タワーから設備へ電力を供給を行う「送電スタンド」へと接続していく。すると、送電スタンドの効果範囲内にある設備は自動的に稼働を始める。鉱石を継続的に採取できるスポットがあるならば、そこに「電動採鉱機」を設置して、送電スタンドから継続的に電力供給を行うことで、半永久的な自動採掘も可能となる。
ゲーム進行のプロセスをプレイヤーのアイディアで全自動化して、その効率を上げることができるというのは、これまでのライブサービス型タイトルではあまり見かけない要素だ。本作に関しては、プレイヤーが煩雑と感じやすい探索・収集の手間を“自動化システムづくり”という切り口で、さながら創作意欲を刺激するクリエイティブなゲーム要素に置き換えた。
上手く発想を転換させたというべきだろう。資源衛生の開拓を行なっている世界観から見ても、実に自然体で上手い落とし所だ。
全自動化は画期的。その分アイデアと労力が必要
ただし、現状では課題も残っている。ここで紹介してきたように、設備を敷くための土台づくりはプレイヤーが自分の手で行う必要がある。設備の組み合わせ方や設置自由度が高い分、それなりに時間を費やして、思い描いた自動化のシステムを築き上げなくてはならない。倉庫から材料を送り出して精錬し、そこから合成用の設備に送って、最終的に完成品をまた倉庫へと送り返す。設備同士を繋ぐベルトコンベアを敷き、電源供給なども考える必要がある。
こういったクラフト要素が得意、あるいは好きなプレイヤーには魅力的に映る反面、それを得意としないプレイヤーにとっては必要最低限のシステム構築だけでも苦労するはずだ。
そのための実践型チュートリアルが豊富なのは懇切丁寧だが、自分で実際にやってみると、慣れないためか情報量が多くて躓く場面は多かった。また、現状では欲しいアイテムが合成後のアイテムなのか、それとも精錬後のアイテムなのか、または原材料なのかも判別しにくい。
こうした部分はクローズドβテストを経て、プレーヤーからのフィードバックの結果によって改善されるものかと思われる。実際に正式リリースを迎える際、どれだけ快適な要素に磨き上げていられるかは注目したい部分だろう。システムのプリセット機能だったり、それらをSNSで共有できたりする機能はあってもいいし、欲しい。
筆者は「TGS2024」の試遊バージョンを実際に触れてはいたが、集成工業システムを自分の手でイチから触ったのは今回が初だ。工場づくりの感覚が分かってくると、綺麗に整理された大規模な美しいファクトリーが築き上げられそうだ。
そこに行き着くまでにどれだけ集成工業システムと向き合えるかは人それぞれではあるが、時間を忘れて自分だけの工場づくりが楽しめる点は「3Dリアルタイム戦略RPG」とあまり関連性がなくても、ユニークで十分魅力的に映る。
そして、キャラクターモデリングのクオリティと、生き生きとしたアニメーションは、やはり「アークナイツ」本編から数世代先を行くキャラクター表現の進化を感じざるを得ない。GRYPHLINEは、昨年にスマートフォン向けRPG「エクスアストリス」を販売し、そのクオリティの高さでも話題になったが、そこで培った3Dゲームの開発ノウハウが本作でも発揮されているかもしれない。
タロIIの雄大な自然と魅力的なキャラクターたちの存在感は、「アークナイツ」未プレイのプレイヤーたちをも惹きつける訴求力になるはずである。
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