セガ、PSP「戦場のヴァルキュリア3」プレミアム体験会を開催
体験版は11月9日よりPlayStation Store等で配信開始


11月3日開催

会場:セガ本社1号館


正面ロビーには、本作のダブルヒロインであるリアラとイムカのコスプレをしたコンパニオンたちとの記念撮影コーナーを用意

 株式会社セガは、2011年1月27日に発売を予定しているPSP用アクティブ・シミュレーションRPG「戦場のヴァルキュリア3」(以下、本作)の体験版を、配信に先がけて体験できるイベント「戦場のヴァルキュリア3 プレミアム体験会」を、11月3日に同社の本社1号館にて開催した。

 本イベントは、事前に公式ホームページから応募した人の中から抽選で選ばれた約100名が3部に分かれて、11月9日よりPlayStation Store等で配信される体験版を一足先に体験できるというもの。今回の体験版では、東京ゲームショウ2010でプレイできたメルフェア市防衛ミッションに加え、もう1つやり応えのあるミッションが追加されており、本作をより詳しく知ることができる内容となっていた。

 本稿では、今回取材できた13時から行なわれた体験会第1部の模様と、開発者スタッフを迎えて行なわれた参加者とのトークセッションの内容についてレポートしていこう。




■ 2つ目のミッションが追加され
  ボリュームアップした体験版を用意

会場には34台の試遊台が用意され、参加者たちは各々のペースで自由にプレイできた

 体験会がスタートすると、参加者たちは各々のペースで体験プレイを楽しんでいた。ほとんどの参加者は「戦場のヴァルキュリア」シリーズをプレイしたことがあるようで、あまり戸惑うことなくプレイを進めていた模様

 今回の体験版は、東京ゲームショウで遊べたメルフェア市防衛ミッションに加えて、山岳地帯の要塞を奪還するミッションが追加されており、ミッションの合間には進軍マップ画面が表示され、ゲームの進行に合わせて進軍マップ画面にイベントやミッションが追加される形になることが確認できた。

 また、今回追加された2つ目の山岳要塞奪還ミッションは、1つ目のミッションに比べてエリアが4つある分、マップが拡大しているほか、トーチカが複数配置されているなど激しい迎撃が待ち構えている。戦車ではしごを設置することで通れるようになる裏ルートが存在するなど、難易度が高め。約40分のプレイ時間でクリアできていた人はあまりいなかったようだ。

 この体験版は11月9日よりPlayStation Store、11月11日より公式ホームページから配信が開始される予定となっているので、残念ながら抽選に外れてしまったファンは楽しみにしていてほしい。

山岳要塞奪還ミッションでのイベントシーン。ミッションのクリア方法に展開が変化するとのこと2つ目のミッションはエリアが4つに分かれているため、拠点を防御も考える必要があるクルトの特殊能力は、味方を随伴させるだけではなく一緒に攻撃することが可能


■ 開発スタッフを迎えてのトークセッションでは
  参加者とtwitterからのさまざまな質問が飛んでいた

本作のプロデューサーである株式会社セガの本山 真二氏(写真右)と、ディレクターの小澤 武氏が、参加者に加えてtwitterから投稿された質問に対しても答えていた

 体験プレイの後には、本作のプロデューサーである本山 真二氏とディレクターの小澤 武氏が登場して、参加者からとteitterで投稿された質問に答えるトークセッションが行われた。ここからはこのトークセッションの内容について紹介していこう。


Q.「2」で拠点占拠ボーナスがありましたが、「3」でもあるのでしょうか?

小澤氏 :いきなりマニアックな質問ですね(笑)。

本山氏 :最初がそこ?(笑)

小澤氏 :基本的に「2」での遊びというのは、一部を除いて引き継いでいます。当然「3」から入った遊びの部分というのはあるのですが、そのへんはご期待ください。

Q.今回ダブルヒロインということで、ルートがいくつかあるみたいですが、エンディングはマルチエンディングなのでしょうか?

本山氏 :ヒロイン2人いますので、違った終わらせ方はちゃんと用意はしています。ただ、これは後々公式の場で言ったほうがいいのかな、と思うんですけれど……、別に僕たちは恋愛シミュレーションゲームが作りたいわけではなく、そういうゲームは作れないので、そういうゲームにはなっていないです。

 あくまで1つの戦場のドラマ、「戦場のヴァルキュリア3」という物語の中で、クルトとリエラ、クルトとイムカ、それぞれのドラマの1つとして複数の物語、エンディングがあるよ、という風に考えてもらえるといいんじゃないかと思います。

Q.主人公のクルトは、「1」のウェルキンや「2」のアバンよりは現実主義みたいな感じで、自分で作戦を考えていくタイプなのでしょうか?

小澤氏 :そうですね。ウェルキン、アバンに続いて今回クルト・アーヴィングという青年が主人公なんですけれども、クルトは初の正規の軍人出身なんですね。そういった面で違った面が出ますし、あとは彼自身が完璧主義者・現実主義者なところがありますので、今までとはちょっと違った主人公像が得られたかなというところに、設定をしています。

Q.技甲兵の盾がギミックが多くて面白かった(行動終了時に盾が展開し、防御範囲が拡大していた)のですが、「2」のときは普通の盾だったので、「3」のオリジナルなのでしょうか?

本山氏 :そうですね。今回blogなどでも書いたのですが、「各兵種の個性を全般的に際立たせていこう」というコンセプトがあります。技甲兵は本当に盾になる役です。その代わり、今日、「敵の攻撃が激しいな」と思った人も多いんじゃないかと思うんですが、「それを防ぐためには技甲兵がすごく有効だよ」というシチュエーションをいくつか用意しています。なので、技甲兵はああいう役割をしています。対角にある剣甲兵などは、前作では盾も大きかったんですが、ちょっと変えて、剣甲兵のほうは攻撃に特化している、技甲兵は防御力に特化している、そういうような形でバランスをとり続けているところではあるんですけれども、今日は、その中間の状態として技甲兵を出してみました。

Q.前作で武器を強化するのに大量の素材が必要で、やり込み要素であると同時にプレイ時間を長くする要素でもあったと思うのですが、「3」では武器強化はどんなシステムになるのでしょうか?

小澤氏 :「3」では素材等々はありません。「2」では多少チャレンジャブルなところといいますか、「こういう遊び方もどうだろう?」という1つの提示をしたのですが、「戦場のヴァルキュリア」というゲームの流れの中ではちょっとそぐわないかな、というところもユーザーの皆さんからのご意見も含めて感じたところではあったので、今回は、お話への没入”というところを1番最初に考えたので、それを阻害する要素はなるべく落とす形で構築しています。ただ、「設計図」などは多少「2」から引き継いでいる部分もありますので、一概に「やり込み度が落ちるか?」というとそうではないと思いますので、その辺りもご期待ください。

Q.「アリシア特製パン」みたいな食品をコンビニとかで発売してほしいのですが、出ないでしょうか?

本山氏 :これは質問じゃなくて要望ですね。

小澤氏 :僕も食べたいです(笑)。

本山氏 :これはちょっと……善処します(笑)。今回、主人公のクルトは飴がキーアイテムになっていたりするので、ここに飴屋さんの人がいると商品化に向けて話が進むかもしれませんね(笑)。

Q.「3」ではガッセナール家の人々は登場しますか?

本山氏 :一応、登場します。「3」は「3」として独立した1つの物語なんですけれども、1935年という「1」と同じ時代の物語なので、「1」のキャラクターたちと絡むだろうな、というのはなんとなくPVなどから伝わっていると思うのですが……。2年後の「2」の世界についても、「なぜ『2』ではあの内乱が起きたのか」とか、「なぜ彼らは士官学校に通うことになったのか」、そういった点を匂わせるエピソードは本編の中に入っていますので、その中でガッセナールさんがあんなに屈折する前の姿というのを見せられるんじゃないかなと思います。


本山氏 :それでは、そろそろお時間になってしまったということもありますので、私の方からご挨拶をさせていただきたいと思います。本日は遠いところをご来場いただきましてありがとうございました。今回、3作目を迎えるにあたって、システムもそうですし、ストーリーや設定等も含めて、より一新しているところ、パワーアップしているところがあると思います。まだ開発のほうは、最後の調整というか、作り込みをしている最中なので、ご意見等々をいただければ、吸い上げられるものはギリギリまで吸い上げていきたいなと思っていますので、公式ブログ等にご意見いただければと思います。11月9日に、秋葉原のUDXシアターで、大きな発表をしたいと思いますので、そちらのほうの情報もぜひ追っていただければと思います。本日はありがとうございました。

小澤氏 :我々は体験版をテストプレイしすぎていて「簡単かな?」と思っていたのですが、皆さんのプレイを見ていて、意外と「やっぱり手強いんだな」というのを改めて実感いたしました。「3」においてはシミュレーションゲームとしての手応えといいますか、そういうところを向上したいなという思惑があったので、半分は“してやったり”と思っています。今後、プレイされたものがお手元に配信されてじっくりと遊べる機会がありますので、その折りはぜひクリアを目指してがんばっていただけれはと思います。本日は本当にありがとうございました。




フォトセッションでは、本山氏と小澤氏はコンパニオンたちとともに笑顔で「3」をアピール

 体験会終了後には、プレス関係者を集めてのフォトセッションと囲み取材が行なわれた。

Q.今回プレミアム体験会ということで、ユーザーの皆さんに触っていただくのは東京ゲームショウ以来2回目だと思うのですが、終わってみての率直な感想や、印象に残ったユーザーさんはいらっしゃいますか?

本山氏 :ゲームショウのときは、15分くらいで回していかないといけないので、難しくもできないというか、やり応えを十分用意してあげるのはなかなか難しかった。今回、体験版を配信する際には「2戦目は歯応えのあるものを用意しようよ!」というのが僕のチームへのオーダーで、チームのほうも嬉々としてやってくれたんじゃないかなと思います。やり応えの部分は、今日の体験版でも感じてもらえたのかな、と思います。実はもうちょっといろいろなチューニングをしている最中なので、今後、製品版では、やり応えという意味ではもう1段、2段上がっていくのかな、という風に思っています。

小澤氏 :今回、今までに発表されていないキャラクターも含めて、サブキャラクターが使えるようになっていたので、そこの辺りを皆さん物珍しそうに触っていたな、というのが印象的でした。熱心にポテンシャルなどをメモされている方とかもいらっしゃって、「戦場のヴァルキュリア」はやっぱりキャラクターも愛されているゲームだなということを再認識できました。

 あと、今回ダブルヒロインなんですけれど、私が見た限りだとイムカが優勢かな? ということで、今後の世情がどうなるのかなというのが興味津々ですね(笑)。

Q.今回プレイできた体験版は11月9日からPlayStation Store、11日から公式ホームページで配信されるのですが、ズバリ見どころは?

本山氏 :各兵種の個性というのを、今回のキーワードとしてあげています。あと登場できるキャラクター数を増やしたということもあるので、いろんな兵士たちを使って戦線を押し上げていく、シミュレーションゲームとしての「考える面白さ」が今回の見どころなのかな、と思っています。

Q.今回、新要素で分岐があるということで、それも体験版で楽しめると聞いたのですが……。

小澤氏 :分岐はおおまかに分けて2つあって、イベントの分岐と、ミッションをいかに解くかという分岐もあるんですね。体験版に関しては、この「いかに解くか」ということが2戦目に仕掛けられています。ご覧になった方もいらっしゃるかも知れませんが、勝利条件が2つあります。どちらで解くかによって、展開がちょっと変わるというところが体験版でうっすらわかるようになっていますので、ぜひ試していただければなと思います。

Q.体験版をやっておくと、製品版で何かいいことがありますか?

本山氏 :そうですね。この体験版をクリアすることでしか手に入らない武器があります。クリアするとセーブデータが作られて、連動する形で本編で手に入ります。序盤では、なかなか優秀な武器になるんじゃないかなと思います。シミュレーションゲームで武器って重要な要素ですから、ぜひ手に入れてほしいと思います。これは本編では手に入らないので、ぜひ体験版をプレイしてみてください。

Q.「2」から約1年での発売となりますが、このペースについてはいかがですか?

本山氏 :……大変ですよ(一同笑)。実質1年くらいというか、開発に関しては主なところを1年未満くらいで作るので、そういった意味では大変です。「『2』ではこういうところが達成できたよね」、「こういったところは次に生かしたいよね」というところは昨年の後半くらいから見えていたので、それをまずベースにしつつ、「『3』ではどういう驚きのある要素を入れようか」ということの積み重ねになっているので、そういった意味でもシリーズを重ねて熟成をしてきた成果の1つかなという風に思っています。

小澤氏 :開発チームとしては、今回ある意味“初めての続編”なんですよね。「1」から「2」は機種が変わったところで、我々も試行錯誤の面が多かったんですけど……。今回、ハードを跨がないという意味では本当の意味での続編なので、我々も得たものを発揮できていますし、悔いの残った部分を改善できている。スピードも上げられましたし、先ほども言った悔いが残ったところが改善できた、というのが開発としてはストレスがないといいますか、楽しく作れていますね。

本山氏 :でも、僕が最初「こういうことやろうよ!」って言ったときは「エーッ!」って言われた気がするんだけど(笑)。

小澤氏 :それは言ったが(笑)。

本山氏 :そのへん開発のディレクターとプロデューサーの間ではいつも喧々諤々がありますが……。

小澤氏 :結果、いいものにはなったと思います。流石です。

Q.ネームレスなんですが、第7小隊と同じ戦場で戦ったりしますか?

本山氏 :戦います。東京ゲームショウのトレーラーとかでも、そういうのを匂わせるシーンがあったと思うのですが、彼らと共同で戦ったりするシーンももちろんあります。それ以外のキャラクターについても、そういうシーンがあるので、先ほども質問のあったガッセナール家の人たちなどもそうですし、それ以外のキャラクターもいろいろ、密接に絡んできます。

 ただ、彼らのお話を見せるというのがメインというわけではなく、「3」の物語の中で彼らとのドラマをどう見せていくのか、というのも今回のテーマでもありますので、当然「3」から入ってもらっても問題はないかなと思っています。

Q.シリーズのファンの人と、初めて「戦場のヴァルキュリア」を遊ぶ人がいると思うのですが、それぞれに体験版で見てほしいところはどこですか?

本山氏 :新規の方については、「戦場のヴァルキュリア」が「戦場のヴァルキュリア」であるためのシステムである“BLiTZ”という要素があるんですけれども、「シミュレーションゲームって敷居が高いな」と思われている方が多いかなと思うのですが、“BLiTZ”は「そんなことはないんだよ」というところを体験してもらうのに最高の体験版になったかなと思っています。2戦目はちょっと難易度が高めかも知れませんが、1戦目に関しては“BLiTZ”というのがどんなものなのか、というのを楽しんでもらうのに適した難易度になっていると思います。

 シリーズのファンの方については、これまで積み上げてきた“BLiTZ”の中で、どういったところに手を入れてパワーアップしているのか、というところを見つけ出してもらいたいなと思います。「こういうところが変わってるんだ、僕の趣味に合っているな」とか「こういう風に変えてきたんだ、これは面白くなっているだろう」とか探してみてもらいたいなと思っています。

Q.前作ではダウンロードコンテンツでのミッション配信がありましたが、本作でも予定されていますか?

本山氏 :予約特典に、「クルトの初陣である0章のプロダクトコードがつきます」ということをアナウンスしているので、システムとしては用意していますが、ダウンロードコンテンツをどうしていくのかは、実はまだ未定の状態です。本編の中にもエクストラエピソードと呼んでいるんですけれども、「1」のときの断章みたいなものはすでに入っているので、ゲームクリアした後のお楽しみ要素はすでにあります。そこからダウンロードコンテンツでも追加していくかは未定なので、機会があればユーザーさんから「こんなエピソードが欲しい」といった要望があれば、吸い上げてみたいと思っています。

Q.「2」でのアカデミーパート的なものが今回の体験版では見ることができなかったのですが、どのようなものになるのでしょうか?

本山氏 :「2」でのアカデミーパート的な要素は、体験版の1戦目をクリアした後に出てくるマップ画面、「進軍マップ」と我々は呼んでいるのですが、そこに集約したつもりでいます。どういうことかというと、「物語を楽しんでほしい」という僕らの思いがありまして、何か拠点を中心としてミッションをこなしていくよりは、お話を読み進めていく中でエピソードがあって、そのエピソードに紐づいたミッションを遊んでほしい、というの思いがあったので、今回はそういうインターフェイスにしました。

Q.主人公とヒロインの2人に特殊能力が追加されていますが、追加した意図はどのあたりにあるのでしょうか?

本山氏 :「戦場のヴァルキュリア」ってシミュレーションゲームであることは疑いようのない事実なんですけれども、「1」や「2」を否定するわけでもないのですが、「システムに微調整を入れていくだけではそろそろ厳しいのではないか?」というのが正直あったので、僕から、「キャラクターを大事にしているシリーズなのであれば、そのキャラクター性を生かした新しい遊び・新しい要素というのを入れてみてはどうか。当然それがゲームの攻略の幅につながるというのがベスト」というオーダーをしました。「主人公やヒロインにそれぞれの特殊能力を持たせるべきじゃない? そういえばヴァルキュリアってそんなビーム撃ったりするよね」というのがあったので「今回はやってみる?」というのがスタートだったりします。

小澤氏 :あと、先ほどの補足なんですけれど、今回の体験版には入っていないのですけれども、兵器を開発したり、兵士を育てたりという要素がなくなったわけではなく、製品版にはきちんとキャンプのような形で入っていますので、こちらもいろいろとパワーアップしていますので、ご期待ください。

Q.ミッションをクリアしたときに「熟練度」というパラメーターがあったのですが、あれは各キャラごとに振り分けられるのでしょうか?

本山氏 :先ほどのキャンプの説明とも少しかぶるのですが、キャラクターのステータスアップについては部隊全体で行なうようになっています。部隊全体でHPを上げるとか、回避を上げるという流れになっているのですけれど、それとは別に各キャラクター別に熟練度というのを設けることによって、偵察兵が上級偵察兵になったりパワーアップしますし、熟練度だけではないのですが、ポテンシャルの習得などに結びついていたりしますので、キャラクターごとのお好みの育成も今回のテーマの1つにあります。

―― ありがとうございました。



(C)SEGA

(2010年 11月 4日)

[Reported by 菅原哲二]