★PSPゲームレビュー★
大人気チームバトルアクションの最新作が PSPならではの要素を満載して登場!! 「機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT PLUS」 |
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2009年12月3日、バンダイナムコゲームスはPSP用チームバトルアクションゲーム「機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT PLUS」(以下、本作)を発売した。本作は2009に30周年を迎えた言わずと知れた大人気アニメ「機動戦士ガンダム」を題材にしたゲームシリーズ、通称「ガンダムVS.」シリーズの最新作で、初代「機動戦士ガンダム」から今春アニメ化される話題作「機動戦士ガンダムUC[ユニコーン]」までの60機体以上のモビルスーツが操作できる、歴代ガンダムシリーズのオールスター戦ともいえる内容だ。
アーケードからPSPへの移植にあたっては、今回初登場となる機体はもちろん、新ステージや新たなゲームモードである「NEXT-PLUS」モードの追加、アドホック通信による協力・対戦プレイが可能となっているなど、これまでに家庭用で発売された「ガンダムVS.」シリーズに比べても大幅にパワーアップ。シリーズの集大成ともいえる内容になっている。
今回のレビューでは、本作の魅力について、基本的なゲーム内容はもちろん、PSP版ならではの追加要素も含めて紹介していこう。
■ ゲームは2機のモビルスーツ同士のチームバトル
相手の戦力ゲージを先に0にしたほうが勝利
初代ガンダムから最新作に登場するユニコーンガンダムまで、60を超える数のモビルスーツが操作できる。どれにしようか迷ってしまいそうだが、まずはなんといっても自分の好きな機体を選ぶのがいいだろう |
本作は歴代ガンダムシリーズの18作品の中から、好きなモビルスーツを選んでチーム戦を行なうアクションゲーム。登場するモビルスーツは、アーケードで稼動中の「機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT」に登場している機体はもちろん、新たに「新機動戦記ガンダムW EndlessWaltz」からウイングガンダムゼロカスタムとガンダムナタクが参戦しているほか、特定の条件を満たすことで登場する隠し機体など、60種類を超えるモビルスーツを操作できることが特徴だ。
しかも操作できる機体については、原作をイメージしたステージや主題歌も用意されているほか、プレイ中に搭乗するパイロットが原作での名ゼリフを連発しながら戦うのはもちろん、特定のパイロット同士が出会うと特別なセリフを発するなど、ガンダムシリーズのファンなら思わずニヤリとさせられる演出も多数用意されている。
画面左上の緑のゲージが自軍の戦力ゲージで赤が敵の戦力ゲージ。右上には敵と味方の位置を示すレーダーが表示されている。左下にはCPUの僚機に対する命令と自機の残り体力、右下には武器の残弾数が表示されている。中央上部の黄色い▼は敵にロックオンされている方向、中央下部の赤い▲は敵の攻撃が迫っている方向を表している |
次に、本作の基本的なルールを説明していこう。本作は、モビルスーツ2機でのチーム戦が基本。敵チームの戦力ゲージを先に0にすれば勝利、逆に自軍の戦力ゲージを0にされると敗北となる。戦力ゲージはコストを示しており、自機を撃墜されても、戦力ゲージがなくなるまでは何度でも再出撃できるものの、モビルスーツには性能に見合ったコストが設定されており、性能の高いコスト3,000の機体は2機撃墜されるだけで戦力ゲージがなくなってしまう。高コストの機体を使用する場合は、味方のモビルスーツとの連携をとって、なるべくダメージを受けないように立ち回ることが求められるわけだ。
基本的なゲーム性についても説明しておこう。ほかのガンダムを題材にしたゲームと、本作を含めた「ガンダムVS.」シリーズの大きな違いは、なんといっても2対2のチーム戦だということ。熟練したプレーヤー同士では1対1の戦いをしていても避けられない攻撃というものがないため、攻撃が当たることがない。そのため、チーム方針として1対1で戦いながら、スキを見つけて味方機の援護をしたり、2機で同じ敵を攻撃するとみせかけて、フリーになった敵の攻撃を誘っておき、反撃するといった駆け引きが醍醐味といえる。
最初は難しいかも知れないが、画面右上に表示されるレーダーで敵味方の位置を確認したり、画面端に表示される警告を意識することで、敵の攻撃を避けつつ、味方に対しての援護攻撃をすることができるようになるはずだ。さらに慣れてくると、敵が避けにくくなるように、味方と敵を囲むような位置取りができるようになるはず。このような判断を一瞬でできるようになれば1人前といえる。
戦力ゲージと機体のコストに関する概念も重要だ。敵の高コスト機を落とせれば、もちろん戦力ゲージを一気に減らすことができるが、高コスト機は機動性能や耐久度に優れた機体が多く、なかなか撃墜できない。そこで、まずは攻撃を当てやすい低コスト機から狙っていき、低コスト機をダウンさせたり撃墜することで、高コスト機に攻撃を集中させられる瞬間を作りだすなどの戦略が考えられる。このように2人で同じターゲットを攻撃する時間を作りだせれば、高コスト機に対して攻撃が当てやすくなることだろう。
このような敵を攻撃する際、ターゲットの優先順位を理解すれば、本作を含めた「ガンダムVS.」シリーズは一気に面白く感じられるに違いない。目の前の敵に集中しすぎてなかなか対戦で勝てないという人は、こういった戦略も考えながらプレイすれば、少しずつ勝率がアップしていくはずなので、どちらの敵を攻撃するべきなのかを考えながらプレイしてもらいたい。
照準の色は、緑は射程外、黄色はダウン中、赤は射程内と、相手の状態によって変化する。無駄弾を使わないように照準が赤いときに攻撃をしかけよう。なお、チームメンバーが同じ敵をロックしているときは、照準が2重に変化する | 敵機を撃墜した直後は、もう1機に攻撃を集中するチャンスだ。敵が再出撃するまでの間に一気に攻撃を仕掛けたい |
ボタン設定では、L・Rボタンだけでなく、SELECTボタンや○・×・△・□ボタンにそれぞれの攻撃を割り当てることができる。デフォルトの操作設定がしっくりこない人は、ボタンの変更をしてみよう |
ここからは操作方法と操作感覚についても紹介していこう。方向キーまたはアナログパッドで前後左右への移動、○ボタンでターゲット切り替え、×ボタンでブーストゲージを消費してのジャンプ、△ボタンで近くにいる敵に対しての格闘攻撃、□ボタンでビームライフルなどでの射撃攻撃となっている。
また、方向キーを同じ方向に2回入力することでステップしたり、□+△ボタンでサブ射撃、□+×ボタンで特殊射撃、△+×ボタンで特殊格闘が出せるなどの、基本的な操作は初代「ガンダムVS.」シリーズと同様なので、シリーズをプレイしたことがある人ならばすぐに慣れることができるはずだ。
そのほか操作法としては、前作「機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム」で追加された□+△+×ボタンで出せる「モビルアシスト」がある。モビルアシストは1回の出撃で使用できる回数が限られているものの、使用するモビルスーツに関係する機体がアシスト攻撃を仕掛けてくれるというもので、使い方によっては、1人で別方向から攻撃を仕掛けることができる。敵に一気に攻撃を仕掛けたい場面で使うといいだろう。
このように、本作はアーケード版に準拠した操作方法になっているものの、モビルアシストなどの複数のボタンを同時押しする攻撃は若干出しづらく感じられた。PSPというハードである以上、仕方のないことかもしれないが。一応、ボタン設定を変更でき、L・Rボタンなどにも好きな同時押しボタンを登録できるので、デフォルトの操作設定がしっくりこない人は変更してみるといいだろう。
従来のシリーズにはない、本作ならではの要素としては、×ボタンを素早く2回押すことで発動できる「NEXTダッシュ」システムが挙げられる。「NEXTダッシュ」はステップよりも高速に、しかも長距離を移動することができる上に、ダウン中以外ならいつでも発動できるのが特徴だ。攻撃をした瞬間に敵の攻撃を受けそうなときなどは、「NEXTダッシュ」することで攻撃の硬直時間をキャンセルして、すぐに回避することができる。
また「NEXTダッシュ」は攻撃に使うこともできる、例えば、射撃で攻撃した直後に「NEXTダッシュ」でキャンセルしておけば、射撃攻撃がヒットした直後の硬直に、別の攻撃をヒットさせることができる。「NEXTダッシュ」を使うことで、通常の攻撃の組み合わせではできないオリジナルのコンボを生み出すことができるわけだ。
このように便利な「NEXTダッシュ」だが、敵に攻撃された際、その誘導を切ることができないという弱点がある。そのため、「NEXTダッシュ」で敵の射撃攻撃を避けるには十分引き付けておいてから避けないと、誘導してきた射撃攻撃を受けることになってしまう。また、敵に格闘攻撃を受けそうなときに「NEXTダッシュ」しても回避できない。長時間誘導してくる射撃や格闘攻撃を避けたい場合は、ステップを使って誘導を切らなければならなくなっており、場面ごとの使い分けが大切となる。
また、ブーストゲージが残っていないと「NEXTダッシュ」できない点にも注意が必要だ。安易に「NEXTダッシュ」を多用すれば、すぐにブーストゲージがなくなってしまい、ブーストゲージが回復するまでの間、移動が制限されたり、着地の硬直を狙われてしまう。ブーストゲージを使いきらないうちに着地し、ブーストゲージを切らさないようにするなど、ブーストゲージの管理がこれまで以上に重要になっている。
このような弱点もあるものの、「NEXTダッシュ」を使うことで、従来のシリーズとは一味違う、攻撃や回避を次々と行なえるハイスピードな戦闘が本作では楽しめる。「ガンダムVS.」シリーズをしばらくプレイしていないという人は、本作ならではのスピード感あふれる戦いをぜひとも体験してほしい。
■ 新たに追加された「NEXT-PLUS」モードではさまざまなミッションが楽しめる
ゲームモードは、コース選択をして敵チームを倒しながら進んでいく「アーケード」モードと、モビルスーツやステージなどを自由に設定して対戦できる「フリーバトル」モード、好きなモビルスーツ4機でチームを組んでさまざまなミッションに挑戦していく「NEXT-PLUS」モードの3つが用意されている。ここからはPSPならではの要素が多数追加されている、「アーケード」モードと「NEXT-PLUS」モードについて詳しく紹介していこう。
・ 「アーケード」モードには新機体や新ルートが追加
新たなミッションがプレーヤーの挑戦を待ち受ける!
「アーケード」モードではアーケード版で楽しめるA~Hまでの8ルートに加え、新たにPSP版ならではの新ルートが加えられている。新ルートでは、PSP版で追加された新機体やボスとの戦闘が楽しめるのはもちろん、新ルートをクリアするごとに、最初から選択できない隠し機体が追加されていく。「アーケード」モードで隠し機体を出さないと「フリーバトル」モードでも選択できないため、初めての人はもちろんアーケード版をやり込んだという人も、まずは「アーケード」モードでゲームに慣れていきながら、隠し機体を出していくのがオススメだ。
PSP版で追加された機体は、全8機体。中でも最初から選択できるウイングガンダムゼロカスタムやガンダムナタクなど、「ガンダムVS.」シリーズを通して本作で初めて使用できる機体もあり、ファンには嬉しい要素といえるだろう。追加された機体はコストが2,000か3,000と高い上にクセのある機体が多く、慣れないうちは使いにくく感じるかもしれない。しかし、特殊な能力を持っているので、使い方によっては新たな戦術を生み出す可能性を秘めている。アーケード版をやりつくしたという人は、これら新機体ならではの戦術を模索してみてほしい。
なお、「アーケード」モードでは各シリーズの出撃シーンや機体ごとのエンディングが用意されており、それらを見ることでギャラリーで閲覧できる項目が増えるようになっている。「ガンダムVS.」シリーズは初めてという人も、これらを項目を満たすためにいろいろな機体を楽しんでいくうちに、さまざまな機体の特徴や弱点を知ることができるはずだ。こうして「アーケード」モードをやりこんでいく中で、敵チームに対する作戦や戦術を自然に身につけられるのではないだろうか。
・ 「NEXT-PLUS」モードでは4機体からなるチームを結成可能
ミッションをクリアしながら機体を育て強化する楽しみも
NEXT PLUSモードのミッションは難易度ごとに分けられており、まずは初級トライアルしかプレイすることができない。初級トライアルをクリアすると中級トライアルなどの、より難易度の高いミッションが順次プレイ可能となる。なお、1番下のソロトライアルでは、アニメのシナリオに沿ったミッションが用意されている |
続いて、PSP版からの追加モードである「NEXT-PLUS」モードを紹介していこう。「NEXT-PLUS」モードでは、ほかの2つのモードとは違い、4つの機体を選んでチームを組み、さまざまなミッションに挑戦していくことになる。各ミッションにはそれぞれ達成目標が設定されており、敵チームの戦力ゲージを減らすもの以外にも、特定のモビルスーツを倒せ!といったものや、味方のモビルスーツが撃墜されないように護衛するものなど、いろいろな達成目標のミッションが用意されているため、アーケード版をやりこんだという人も新鮮な気持ちで楽しめることだろう。
「NEXT-PLUS」モードのミッションの総数は250にもおよび、ミッションの内容にもよるものの、初級トライアルをクリアするだけでも2~3時間程度は遊べるようになっている。さらに、特殊な条件で選択できるようになる裏ミッションや隠しミッションも存在している上に、もちろん上位のトライアルではより難易度の高いミッションが用意されているので、単に「NEXT-PLUS」モードをクリアするだけでも数十時間は遊べるボリュームが用意されている。
ミッションをクリアすると、GPと経験値が獲得できる。GPは新しいモビルスーツの取得、経験値はモビルスーツの強化に使用可能だ。モビルスーツの強化できる項目は、耐久力、射撃攻撃力、近接攻撃力、ブースト性能、CPU判断力の5つとなっており、1項目強化するごとにレベルがアップしていく。さらに一定以上レベルアップすると、新たなスキルを入手することもある。スキルはミッションの出撃準備中に選択することで、能力の向上や取得できる経験値の増加など、さまざまな効果を対応する属性の機体にあたえてくれる。レベルアップをしながらスキルを取得していき、対応する属性の機体を集めることで、チーム全体の能力を向上させていくことが可能なわけだ。
このように「NEXT-PLUS」モードでは、機体を入手しながら強化していき、上位の難しいミッションに挑戦していくという、RPG的な楽しみ方ができる。単なるアクションとは違う、じっくりといろいろな組み合わせを考える面白さがあるモードといえるだろう。
なお、各トライアルをクリアしていくことで、「NEXT-PLUS」モードでも徐々にPSP版で追加された機体を購入できるようになる。新機体を使いたい人は、初級・中級・上級・NEXTトライアルと、各トライアルをクリアしていってほしい。
■ ギャラリーなどのファンには嬉しいおまけ要素も用意
見たことがないシリーズ作品を知りたい人も最適
ギャラリー内のムービーでは、3DCGで表現された各シリーズの出撃シーンを見ることができる |
そのほか、おまけ要素としてギャラリーが用意されている。ギャラリーでは、「アーケード」モードでゲームを始める際に表示される出撃ムービーやエンディングのほか、各種イラストやモビルスーツの能力を知ることができるMSガイドを閲覧できる。知らないシリーズの機体やキャラクターを知りたくなったときには、ギャラリーで確認してみよう。
そのほかのやり込み要素として、特定の条件を満たすことで取得できるエンブレムが用意されている。獲得したエンブレムはパイロットデータの中で確認できるので、やり込み派の人はエンブレムのコンプリートを目指してみるといいだろう。
■ ガンダムシリーズ30周年を締めるにふさわしいボリューム
対戦はもちろん1人でじっくりと楽しむこともできるタイトルだ
本作の内容を一通り紹介してきたが、いかがだっただろうか。「機動戦士ガンダム」から話題作の「機動戦士ガンダムUC」まで、歴代シリーズの18タイトルを網羅していながら、それぞれの機体が個性的なことにもっとも感心させられた。合体や変形はもちろん武装の換装など、各機体の細かな設定を再現し、1つのゲームシステム内でまとめるのは相当な苦労があったと思われる。機体同士の組み合わせによってはかなり厳しい対戦バランスになることはあるものの、「NEXTダッシュ」システムがあることで、どうしようもない状態になることも少なく、プレーヤーの努力次第で逆境を克服できる奥の深さも持っている。
また、機体の数はもちろん「アーケード」モードの追加コースや「NEXT-PLUS」モードなど、豊富なボリュームにより、かなりの長時間遊べるタイトルとなっている点も見逃せない。ガンダムは好きだけど対戦はちょっと……という人は、「NEXT-PLUS」モードを年末年始の長期休暇中に1人でじっくりと遊んでみてはいかがだろうか。このように、プレーヤーごとのスタイルにあった楽しみ方ができる本作は、アーケードでバリバリ対戦を楽しんでいる「ガンダムVS.」シリーズのファンはもちろん、しばらく「ガンダムVS.」シリーズをプレイしていないという人にも、きっと満足していただける1本となるはずだ。
(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・毎日放送
□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□「機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT PLUS」のページ
http://www.gundam-vs.jp/nextplus/
(2010年 1月 8日)
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