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PS3/Xbox 360ゲームレビュー

「北斗の拳」と「無双」シリーズの刺激的な融合
「北斗無双」

  • ジャンル:アクション
  • 発売・開発元:株式会社コーエー
  • 価格:価格:8,190円(通常版)、13,440円(TREASURE BOX)
  • プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360
  • 発売日:発売中(3月25日 発売)
  • プレイ人数:1人〜2人
  • CEROレーティング:CEROレーティング:D(17歳以上対象)


筆者の私物で最も古いと思われる関連グッズ。当時はクラスや学校中のジャンプ読者が「北斗の拳」に夢中だった

 1980年代に思春期を過ごした人たちに多大な影響を与えた大ヒットコミックスのひとつに「北斗の拳」がある。当時中学生だった筆者の脳裏には、いまでも鮮烈なインパクトが深く刻み込まれている。世界観に影響を与えた映画「マッドマックス」シリーズが好きだったこともあるが、劇画調による骨太な筆致、強烈かつキャッチーなセリフ、そして何よりも“1度見たら絶対に忘れられない”キャラクターたち……主人公のケンシロウはもちろん、周囲の登場人物、さらには敵やザコのひとりにいたるまで一分の隙もない圧倒的な存在感は言葉に尽くしがたいほどで、これが恋なら一目惚れといったところ。ぶ厚い週刊少年ジャンプを、それこそ指が印刷インクで真っ黒になるのも気づかないほど、何度も何度も読み返した。一言でいえば、たった1話で完全に魅了されてしまったわけだ。

 今ほど娯楽が多様化・細分化していない時代ということもあったが、連載1話から校内のジャンプ愛読者たちは「北斗の拳」の話題で持ちきり。本当はいけないことだが「○×という店でジャンプを早売りしてる!」ときけば、誰もがそこに殺到する始末。お店に電話して「僕のぶん取り置きしておいて!」とか、お店の前で配送トラックを待ち続け、積荷の紐をとくと同時に買っていく連中も少なくなかった。友達同士、好きなものを共有している楽しさと相まって、「北斗の拳」という作品は、友人や世代の「共通言語」のような存在になった。

 たとえば、印象深いセリフや言い回しを、今でも寸分たがわず覚えている人も少なくないだろう。かくいう筆者も、さすがにすべて完璧とはいわないが、牙大王の切れ者息子の「おらあ〜、手ぇ出してみろよコラ〜」という見事なダメっぷりや、「あべし!」、「たわば!」、「ひでぶ!」など数々の断末魔を、恐らく死んで骨になるまで忘れることはない。ちなみに、当時の週刊少年ジャンプの毎号連続付録「北斗の拳 バイオレンス・ヒーローシール」や、“あべし人形”と呼んでいた食玩(柔らかいゴム製で、ひっぱると秘孔を突かれて破裂する瞬間よろしくグニョ〜ンと伸びる)など、いくつかの北斗グッズは今でも押入れの奥にしまってある。コレクターではないためコンディションは悪いが「好きでとっておいたもの」、「リアルタイムの思い出」というのが1番大切なので、事故で消失することはあっても自らの意志で破棄することはないだろう。

 いきなり話が大幅にそれてしまったが……本作は、国内外の人々に影響を与え続けてきた名作「北斗の拳」をモチーフにしたアクションゲーム。さらにいえば「無双」シリーズという、これまた数多のゲームファンに支持されるメジャーブランドとの合体。その注目度たるや並大抵のものではなく、既に製品パッケージがお手元にある人も多いのではないだろうか。だが、原作、テレビアニメ、ゲーム……それぞれ一方からのファンのなかには、もしかしたら「話題になっているけど、実際のところ『北斗無双』ってどうよ?」と逡巡している人もいるかもしれない。そんな方は、もしお時間に余裕があれば、本稿をご一読いただければ幸いだ。なお、記事作成にあたってはXbox 360版を使用した。PS3版、Xbox 360版で特に差はないので、ご購入の際はお好きなほうをお選びいただきたい。



■ 基本操作 〜簡単操作で悪党どもをブチのめせ!〜

 本作の操作系とシステムは、従来の「無双」シリーズとほとんど一緒。最新シリーズ作品をプレイした人なら、特にマニュアルを読まずとも「あぁ、コレはアレのことね」などとすぐ理解できるはずだ。「無双」シリーズ初体験の人は、まず最初にチュートリアル「入門編」をプレイするといいだろう。「北斗タイプ」、「南斗タイプ」、「特殊タイプ」といった各タイプの大まかな特徴が実践的に理解できる。

 基本操作は、左スティックでキャラクターの移動、Xボタン(□)で通常攻撃、Yボタン(△)で強攻撃、Aボタン(×)でジャンプ、Bボタン(○)で伝承奥義(必殺技)。Xボタンは連打するとコンボに、Yボタンは押しっぱなしでタメを作ったり(練気攻撃)、Xから連続でつなげることで技が変化。後述する「経絡究明図」でキャラクターを成長させると、XやYボタンの攻撃アクションが強化される。伝承奥義は、闘気ゲージMAXもしくはストックがある状態のみ使える。

 相手の攻撃を防御したり、そのまま左右に並行移動するときはLBボタン(L1)。RBボタン(R1)は、キャラクターごとに性能が違う「固有体術」。ケンシロウやレイであれば回避移動、ジャギであればより強力な射撃など、それぞれの特徴を踏まえたものになっている。RT(R2)ボタンは、これまでの無双シリーズにはなかった「投げ」。つかむモーション中は無防備だが、1度つかみさえすればガード中の相手にも確実にダメージが与えられる。相手をつかんでX、Yボタンで攻撃バリエーションの違いも楽しめる。地面に叩きつける投げは周囲の敵を巻き込めるため、ザコが密集している状態では使い方次第で打撃以上に役立つこともある。

【北斗タイプ】
最大の特徴は“秘孔効果”が得られること。敵にダメージを与えた際、一定確率で敵に電流のようなエフェクトが発生。この状態の敵には通常よりも多くのダメージが与えられる。連続して攻撃をヒットさせると発生確率が上がるため、ボス戦で意識的に狙っていくのもいい

【南斗タイプ】
強攻撃を当てて敵をひるませたり、敵と自分が同時に攻撃しあった瞬間、画面に「Y」が表示される。すぐにYボタンを押すと「見切り攻撃」が約10秒間ほど発動。画面の色合いが落ち着いたトーンになり、この間は敵が弱体化。自身はより強力な攻撃が出せるようになるなど、まさにいいこと尽くめ

【特殊タイプ】
北斗、南斗のどちらにも属さないタイプの総称。たとえばマミヤは、Yボタンでオブジェクトを持ち上げ、投げるというアクションが行なえない。炸裂するドラムカンなどを活用したいときは、RBの固有アクションで撃ち壊す必要がある。ちなみにジャギは、北斗4兄弟だが特殊タイプに分類されている

【伝承奥義】
十字キーに最大4種類まで設定でき、状況に応じて使いわけることが可能。無敵状態で技が発動するため緊急回避にも有効


 体力ゲージの下にある「闘気ゲージ」は、敵を倒したりダメージを受けたりすることで上昇。ゲージが一杯になった状態でBボタン(○)を押すと伝承奥義が発動し、さらに攻撃や破壊をダウンすることなく行なうことで、必殺ゲージが上昇する。MAX時はLTボタン(L2)で「闘気覚醒」。闘気覚醒中は、キャラクターの攻撃力が上昇するほか、必殺ゲージがMAXまでたまっていればBボタンでより強力な伝承奥義「真・伝承奥義」が使える。後述するが、闘気覚醒中の真・伝承奥義は、中ボス相手には非常に役立つというか、キャラクターによっては「ないとダルくてやってらんないよ!」というくらい重要。

 真・伝承奥義を使うと闘気覚醒状態が終わってしまうが、ヒットすれば“ザコと中ボス以下の敵は一撃で死ぬ”というのが非常に大きい。ボスに対しても大ダメージと同時に北斗タイプ、特殊タイプの秘孔効果が与えられる。南斗タイプは、「見切り攻撃」成功時と同じ状態となる。ステージ中、特定の箱や自動販売機を破壊するとなかからオーラ(闘気)回復アイテムが出現するため、対中ボス戦は我慢せず「どうせすぐ補給できるし」とばかり、積極的に発動していくことをオススメする。

 伝説編の各章ラストに控えるボスは、体力ゲージをゼロにすると片膝をつき、画面に「B(○)」と大きくボタン入力をうながす表示がされる。このときBボタンを押すと、ボスにトドメをさす「無双闘舞」の入力モードになる。「無双」シリーズのファンは「ガンダム無双」の鍔迫り合いを思い出されただろうが、まさにそれと同じ。制限時間内に、画面に表示されたボタンを順序よく押していく。成功すれば撃破、失敗すればボスの体力が半分回復して体力ゲージをゼロにするまでやり直し、となる。各キャラクター章の後半になるほどコマンドが長くなっていく。画面を見ず、手元コントローラーのボタン配置を“身体”で覚えておくのがコツだが、まずは慌てないことが第一だ。

【闘気覚醒】
攻撃力がアップするほか、キャラクターによっては一部技が変化するものもある。「制限時間内に素早く敵を倒す」などの各種ミッションや中ボス対策など、ありとあらゆる場面で実に重宝する。回復アイテムが多めに出現するため、ケチらず積極的に使っていくべし
【真・伝承奥義】
闘気覚醒中、必殺ゲージがMAX以上になっていれば使用可能。中ボス以下の敵を一撃で殺せるほか、ボスにも大ダメージと北斗タイプ、特殊タイプの秘孔効果が与えられるスグレモノ。南斗タイプは「見切り攻撃」の成功時と同じ状態となる。技によってはBボタンを押すタイミングでスカることがあり、×ボタンの通常攻撃をキャンセルして確実につなげる、もしくは間合いに入れるよう心がけるとなおいい
【無双闘舞】
伝説編で最終ボスの体力ゲージをゼロにすると出現する、いわゆる“トドメの儀式”に相当するシステム。接近してBボタンを押すと発動。制限時間内に素早く画面に表示されたボタンを入力していく


 敵を倒したときに出現する人魂のような“カルマ”をためると「スキルポイント」が獲得できる。スキルポイントは、各ステージ開始前の「経絡究明図」で使用可能。「攻撃力上昇」、「防御力上昇」、「アクション成長」、「自発技能」、「装備技能」、「伝承奥義」、それぞれポイントを支払うことでキャラクターを少しずつ成長させられる。

 攻撃力と防御力の上昇は、名称どおりの効果がある。アクション成長は、×ボタンやYボタンで繰り出される攻撃の一部を成長させ、より強力なものにしてくれる。自発技能は、獲得しただけで以降ステージ中は常に効果が発揮されるもの。一部の技をキャンセルして他のアクションにつなげられるなど、キャラクターによっては優先的に獲得したい要素。装備技能は“体力減少時、攻撃力が上がる”、“ジャストガードを成功させやすくなる”など、特定の状況下で威力を発揮するもの。ステージ開始前の「技能装備」で、3つまで装備させることができる。伝承奥義は、十字キーに設定できる伝承奥義のバリエーションを増やしてくれる。最初に装備している伝承奥義は基本的なものだが、技能ポイントを払って覚える伝承奥義は、それを上回る強力なものばかりだ。

【カルマをためてキャラクターを成長させる】
倒した敵から得られるカルマをもとに得られるスキルポイントを消費してキャラクターを成長させていく。各ステージ開始前の「経絡究明図」でポイントを使い、少しずつ成長要素を獲得。アクションを成長させると攻撃力が目に見えて上がるので、まずはそこを目指すといいだろう


 伝説編、幻闘編ともに、ステージ中で時々「一定時間内にすべての敵を撃破せよ!」などの「ミッション」が与えられることがある。これをクリアすると“ミッションポイント”が獲得できる。各種ゲージの上昇、攻撃力アップ、技能ポイント獲得など全部で7項目があり、そのステージ中は最後まで効果がある。ミッションに失敗してもペナルティはなく、可能な限り獲得していきたいところだ。なお、各ステージ7つのミッションポイントは、1度のプレイですべて埋まるが、2周目以降のプレイで全ステージ、各7つのミッションをすべて埋めることができれば、敵キャラクターのAIがバーサークする超上級者向けの難易度に挑戦できるという。やり込み派を自認する人は、全ミッションのクリアを目指してみてはいかがだろうか。

【ミッションポイント】
ステージ中に出現する各種ミッション。失敗してもペナルティはないので積極的に狙うべし。闘気覚醒も惜しみなく使っていくといい



■ 伝説編 〜原作のストーリーをアクションアドベンチャー風に追体験〜

 原作「北斗の拳」のストーリーを、各キャラクターの立ち位置から追体験するモード。全体の構成としては、まず主人公ケンシロウの章が“太い幹”として存在。以下、サブキャラクターの章を、重要なエピソードに基づいてそれぞれプレイしていくという全体構成になっている。フィーチャー度合いに差があるのは、あくまでも原作に登場したエピソードを描いているため。よって必然的に主人公ケンシロウとより深く関連しているキャラクターがプレイアブルとなる。

 ステージ構成は、一般的な3Dアクションアドベンチャースタイル。戦闘部分は「無双」シリーズだが、そこにいたる過程がアクションアドベンチャーふうにアレンジされている。ゆえに、最初のうちは敵の数も少なく「これ……本当に『無双』シリーズ?」と思われるかもしれないが、章の中盤以降は敵の数も増え、アドベンチャー要素もより強調されてくる。ただし、前述のインタビューにも出てきたとおり、アクションアドベンチャー要素は「北斗の拳」の世界観を再現するためのもので、あくまでもエッセンス程度。トラップ、壁のぼり、毒の沼、足場、橋、バイク、黒王号など、色々な仕掛けが登場するが、クリアを困難にするようなものは何ひとつない。コアユーザーには物足りないだろうが、しばらくゲームから離れていたであろう原作世代〜推察するに30から40代〜を意識するなら、これは当然の措置といえる。

 戦闘パートに関しては「無双」シリーズらしくかなり自由度が高い。通常、こうした原作つきのゲームは「原作どおりに手順を再現しないとボスが倒せない」などの制限がつくことも多いが、本作はそんなことはない。伝承奥義で体力を削ってもいいし、なんならドラム缶や鉄骨でボコボコにすることもできる。ただし、ボスにトドメを指すには、体力ゲージをゼロにして「無双闘舞」を成功させなければならない。通常攻撃や伝承奥義で体力ゲージを奪い、ゼロにするとボスキャラクターは片膝をつく。このとき、画面に「B」と表示され、接近してBボタンを押すと「無双闘舞」コマンド入力モードに移行。画面に表示されるボタンを順番どおりに素早く入力すればボスを倒せるが、ボタン入力を間違えたり制限時間を過ぎると失敗となり、ボスの体力が半分まで回復してしまう。手元を確認せず、画面をパッと見て素早く正確に入力できるよう、務めて冷静に挑むといい。終盤ほどコマンドが長くなるので、特に注意が必要だ。


長編作品につき、ゲーム内にまとめようとすると、どうしてもダイジェストふうになるのは致し方ないところ。それでも要所はきちんと押さえられているので、原作を知らない人でも全体の流れは理解できるはずだ


 



■ 幻闘編 〜原作者の原先生が徹底監修! 公認のifストーリーを堪能!〜

 原作とは異なる「北斗無双」オリジナルストーリーに基づいてプレイするモード。最大の魅力は、なんといっても「原作ではありえなかったキャラクター同士のからみ」が楽しめること。原作ファンはもちろん、「無双」シリーズのファンは、伝説編より楽しみにしていた人も多いだろう。

 ステージなどの全体構成は、安心感と安定感に満ちた「無双」シリーズそのもの。次々と出現するミッションをこなし、山のような敵の群れを蹴散らして次々と拠点を制圧していく。以前シリーズ作品のレビューでも触れた「主食」的な美味しさというか、普遍化したオリジナルの楽しさ。「北斗の拳」ファンは、なじみのあるキャラクターが最新のCG技術と演出でド派手かつ華麗に大暴れする様を見るだけでも頬のニヤケが止まらないはずだ。

 オリジナルストーリーも、すべて原作者の原先生が監修している。ゆえに、こうした原作モノのオリジナル要素にありがちな「えー、それはないわぁ」といった的外れな演出や絡みは(個人差はともかく)皆無といっていい。ギャグテイスト満載のジャギ幻闘編も、話の流れから端的なセリフに至るまで違和感などはまったく感じられず「なるほど、こういう位置づけなら、こんな展開になるよなぁ」と納得の仕上がり。ネタバレになるので詳細には触れないが、シリアスな展開もまた味わい深くていい。誰かの幻闘編を他のキャラクターでプレイできるなど、自由度の高さもポイントが高い。

 贅沢をいえば、ifゆえに破天荒なプレイアブルキャラクターがもっと居ても良かったのかもしれない。「北斗の拳」は、チョイ役なのに強烈な存在感を示す“痺れるキャラクターの宝庫”だ。「汚物は消毒だ〜!!」などに代表されるザコさえも、鮮烈な光を放ち、多くのファンの心に存在を刻み込んでいる。幅広く、なおかつ根強いファンを多く抱える作品をゲーム化する際、絶対に避けて通れないジレンマ。「すべてのファンを完璧に満足させる」ことは、ほぼ不可能。わかっていつつも、だからこそ「あのキャラがいればなぁ」と思ってしまう。続編があるなら、このあたりは必須というか“鉄板”の補強案件といえそうだ。


原作にはないキャラクター同士の共闘など、適度なカオスさが魅力。個人的に1番のオススメはジャギの幻闘編。ギャグ満載、抱腹絶倒のストーリーが展開される



■ 挑戦編 〜育てたキャラクターで過酷な戦いに挑め!〜

 本モードは、ひらたくいえば「無双」シリーズのチャレンジモード。初期は「北斗四連破」、「南斗五連破」のふたつが用意されており、クリアすることで新たなチャレンジ項目が順次追加されていく。

 伝説編クリア後に出現するモードだけに、難易度はかなり高い。初期設定のキャラクターでは瞬殺されるほど手強いボスと連続で戦わねばならず、ちょっと育てた程度では「北斗四連破」最初のボス「ジャギ」にさえ歯が立たない。回復アイテムも出現しないため、精度の高いプレイが要求されるなど、完全に上級者向けのモードといえる。

 本作で久々にビデオゲームをプレイするという「北斗の拳」現役世代のオールドファンは、経絡究明図を全部開いたキャラクターができるまで、このモードは1番後回しでもいいと思う。逆に「こんなの全然余裕」というコアゲーマーは、装備技能などを自分で調節して挑んだり、ランキング1位を目指すのもいいだろう。筆者のようなおっさんヌルゲーマーは、育てきったキャラクターでさえ「いつコンプリートできるやら……」といった感じ。かなり長く楽しめそうだ。



■ 「北斗の拳」ファンは要チェック! 「無双」シリーズのファンもぜひ!

 すでに触れたように「北斗の拳」は、国内外に多数の根強いファンを擁する超メジャーコンテンツだ。ファン層が厚く広いぶん、個々のファンが内包する“想い”もまた千差万別。ゆえに、そのすべてに完璧に応えるゲーム化など到底不可能なのだが、鯉沼プロデューサー以下開発チームは、原作者の原先生に監修を依頼し、意見を極力反映させることで、最大公約数的なファンの要望や理想に少しでも近づくよう努力してくれた。その点では、過去に発売されたどんな「北斗の拳」ゲームよりも、原作者の意を汲んだものに仕上がっていることは間違いない。

 ただ、そうはいっても手放しで褒められるようなことばかりではない。ある程度は仕方ないが、サウザーとの対決シーンで四方が金網に囲われたケージマッチのようなステージを見たときは「これは原作の再現度よりも『無双』であることが優先されたのかなぁ」と思ったし、「おまえのようなババアがいるか!!(ジャンプコミックス第8巻・迫りくる魔獣! の巻)」で有名なババアに変装した拳王の手下が、ジャギの幻闘編では大フィーチャーされているのに、伝説編のケンシロウの章ではエピソードそのものが存在しない。ストーリー全体から見れば瑣末なエピソードに過ぎないのは確かだが……実は、こうした“瑣末な部分”にこそ、コアなファンは過剰反応しがち。ゆえに、ゲーム化に際しての取捨選択は「空気を読む」よりも難しい作業を強いられる。

 ゲーム、そして「無双」というブランドの枠に収めるために、どうしても「北斗の拳」を咀嚼し、分解・再構成しなければならない。その点、鯉沼プロデューサー以下開発チームが、原先生の監修を「免罪符」にしていないことは大きな救いだ。原作者の原先生による監修は、作品愛あふれる徹底したもの。すべては「北斗の拳」の世界観を忠実に再現するため、少しでも“本物”に近づけんがためで、原作モノにありがちな“箔をつけるためのお飾り”などではない。元々「無双」シリーズが好きということもあるが、そうした要素が随所に感じられることが、筆者には只々嬉しい。

 「北斗の拳」が好きな人、「無双」シリーズのファン、両方のファンなら完璧だが、どちらか一方のみでも、本作は納得がいく仕上がりになっていると思う。現代のハイクオリティCG、最新技術で丁寧かつ大胆に描かれる「北斗無双」。伝説編「ケンシロウの章」序盤は地味かもしれないが、早合点することなかれ。その先には「北斗の拳」らしいダイナミックかつ荒々しい闘いが待っている。そして「無双」シリーズらしい突き抜けた爽快感との融合を、ぜひとも味わっていただきたい。



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(2010年3月25日)

[Reported by 豊臣和孝]