ブラウザゲームファーストインプレッション

ブラウザゲームの概念を打ち破る
正統派ファンタジーMMORPG

「フラゴリア」

  • ジャンル:MMORPG
  • 開発元:DATCROFT
  • 運営元:アクワイア
  • 価格:無料(アイテム課金制)
  • 発売日:12月26日 オープンβテスト開始予定

 株式会社アクワイアが運営する2DMMORPGのブラウザゲーム「フラゴリア(FRAGORIA)」のオープンクオリティテスト(以下、OQT)が、12月4日20時から6日23時まで行なわれた。今回のOQTは、9月10日から13日まで実施されたオープンアルファテストの結果を受け改善を施したバージョンで、より正式サービスに近い「フラゴリア」を体験できた。

 本作はオンラインゲームポータル「アクワイアオンライン」のサービス第1弾タイトルで、最大の特徴はフィールド型のMMORPGにも関わらず、インストール不要なブラウザゲームであること。全てFlashで開発されており、インターネットへの接続環境とFlashが動作するPCがあれば、WEBブラウザやOSに依存することなくプレイできる。パーティやギルドの設立、多彩なスキルを使用しての戦闘、オークション、ペット育成など、MMORPGに要求される基本的なシステムを搭載していながら、手軽に遊べるのが魅力だ。

 OQTに参加して、気軽に遊べるMMORPGを探している人や、何となく最近のMMORPGを敬遠しているプレーヤーにピッタリではないかと感じた。特に「ウルティマ オンライン」や「DIABLO」などのタイトルに、「おっ!」と思う人にはお勧めしたい。本稿では基本的なゲーム紹介と、OQTで実際にプレイした感想をお伝えする。

 なおアクワイアは本日、オープンβテストを12月26日18時より開始すると発表した。オープンβテストでプレイしたキャラクターデータは、後に開始される正式サービスにも引き継ぐとしている。


【スクリーンショット】
画像を見て、懐かしさを感じるプレーヤーも多いのでは?



■ ブラウザゲームのイメージを覆すグラフィックス

 ひと目見て、「これが本当にブラウザゲームなのか?」と思う人も多いのではないだろうか。単純で簡単というブラウザゲームのイメージとは大きく違う。細部まで丁寧に描かれたフィールドや建物、キャラクターたちが、ブラウザ上でストレスなく表示されることに驚かされた。

 本作はブラウザでの起動のほか、専用クライアントを使用しての起動もできる、珍しい方法を導入した。クライアントは主にグラフィックスデータが入ったもので、ブラウザでのプレイに比べて、エリア切り替え時のデータ通信量を減らせるようだ。実際に両方を試してみたが、筆者の環境ではほとんど違いは感じられなかった。ブラウザの方がグラフィックスが劣る、といったことはないが、利用環境によっては体感できるほど大きな差があるかもしれない。ユーザーがそれぞれの環境・状況に応じて、ブラウザで遊ぶのかクライアントを使用するのか、自由に選択できるのもいい点だ。

 ロシアで開発された本作のデザインは、一般的に言う「洋ゲー」的なテイストで、ポップでデフォルメの効いた日本のデザインとは明らかに異なっている。リアルで泥臭く、味があるキャラクターたちに抵抗を感じるかもしれないが、どこか朴訥で民話的なイメージも感じさせ、筆者は想像以上にすんなりと受け入れられた。10年ほど前の欧米製RPGに慣れ親しんだプレーヤーなら、懐かしさも感じることだろう。


【スクリーンショット】
畑や森の景色も、何となくのどかに感じられる
雲の上の世界や、城塞といったエリアもある
ダンジョンや建物の中も細かく描かれている



■ ロシア民話に基づいた、王道の“剣と魔法の物語”

 豊穣の女神の守護を受け、かつては大いなる繁栄を誇ったフラゴリア大陸。しかし、遥か昔に大国による大規模な戦争が起こり、豊かな大地は破滅の地へと変わり果ててしまった。それから長い年月を経て、フラゴリアは以前の豊かさを取り戻しつつあった。だが大陸に魔物が出現し、人々を襲い始めたのだ。動物たちも魔物の影響を受けたのか、凶暴化し始め、死者も恐ろしい怪物として蘇ってきた。このままではフラゴリアが再び暗黒に閉ざされてしまう。人々は、フラゴリアを滅亡から救うため、魔物が増え続ける原因の究明と、元凶を断ってくれる勇士の登場を待ち望んでいた。

 プレーヤーはその勇士となって、モンスターがあふれるフラゴリア大陸を冒険することとなる。豊かで穏やかな大地を取り戻すことができるのだろうか。

 ストーリーや世界観も、ダークさと素朴さを併せ持った正統派ファンタジーの雰囲気で、まさに“剣と魔法の物語”だ。昔読んだ、翻訳ものの中世風ファンタジー小説やゲームブックを思い出さずにはいられない。

 クエストには、ロシアのおとぎ話や民話をモチーフにしたものが多く、独特の魅力にもなっている。例えば、「カブと麦を半分ずつ持って帰ってくる」クエストは、農民が知恵で熊をやりこめる童話を元にしたものだし、魔女バーバヤガーは民話に登場する有名なキャラクターだ。おとぎ話がベースになっているだけに純朴な印象だが、原典の昔話が持つ残酷性も感じさせ、ほかの作品にはない世界を構築している。ただし、ロシア民話に親しみのない我々日本人には理解を超えるような展開もあり、それも翻訳小説を感じさせる一因になっているようだ。


【スクリーンショット】
村人を助けるために、狼や熊を倒すクエストもいくつか登場するNPCの口調も、まるで昔話に出てきそうな雰囲気



■ シンプルなキャラクターメイキングと、奥の深い成長システム

 会員登録してログインすると、キャラクターメイキングが始まる。性別を選び、名前を付け、グラフィックスを決定するだけで完了。OQTではグラフィックスの種類が男性2種類、女性1種類のみだった。どのグラフィックスを選んでも能力値は同じなので、好みで選んで構わない。パラメーターを割り振ったり、職業を決めたりなどの作業も必要なく、非常にシンプルだ。キャラクターメイキングの時点から、できるだけ敷居を低くして気軽に楽しめるような配慮がなされていると感じた。

 ここで職業について説明しておこう。ゲーム開始時のキャラクターは「トレッカー(旅人)」という職業に就いている。レベル9になると、2次職の「ハスキー」か「魔法使い(ウィッチ)」に転職可能になる。物理攻撃系のハスキーは、レベル15で「ウォーリア」、「ハンター」、「ソルジャー」に、魔法使いは「ヒーラー」か「ウィザード」に、さらに細分化された3次職へ転職できるようになる。OQTでは4次職まで、今後のアップデートで最終的に5次職まで転職可能で、上級職へ転職するとより強力なスキルを習得できるようになる。選択した職業によってレベルアップ時のパラメーターの伸びにも違いが生まれるので、成長の楽しさも十分に味わえる。


【スクリーンショット】
女性キャラクターはグラフィクスが1パターンしかなかった。正式サービスでの追加に期待したい
攻撃魔法に特化した職業であるウィザードに成長したキャラクター



■ マウスだけの簡単操作で、多彩なスキルを使いこなせる

 本作は、基本的な操作はすべてマウスだけで行なえるように設計されている。ほとんど操作説明を受けなくても、MMORPG経験者であればすぐに理解でき、初心者でもなじみやすい。もちろんキーボードを使用してのショートカット操作なども可能。画面下部のショートカットスロットを使えば、アイコンをクリックするだけでアイテムの使用やスキルの発動が行なえる。特にキーボードが必要と思う状況もなく、マウスだけでまったく問題なくプレイできた。

 戦闘はモンスターをクリックするだけでターゲッティングして攻撃し、スキルを選択すると強力な技や魔法を繰り出すというオーソドックスなシステム。初歩的な体力回復や攻撃魔法、直接攻撃強化などのスキルは一通り最初から所持しているので、序盤はソロプレイでも楽に進められた。ソロプレイで苦労しなかったのは、OQTでレベル19以下のモンスターがノンアクティブ(積極的に襲ってこない)に設定変更されたのも理由のひとつだ。MMORPGをソロで楽しむ日本のプレーヤーに配慮して、日本版独自のバランス調整が行なわれている。軽く自分のペースで遊びたいと思っているユーザーにはありがたいアレンジだ。


【スクリーンショット】
物理攻撃強化の「ホーリーアームズ」、ウィザードの攻撃魔法「サンダー」など、さまざまなスキルが存在しているスキルレベルは「スキルブック」を使用して上昇させる



■ 手軽に楽しめる充実のサポート機能とバランス

 キャラクターメイキングが終わると、チュートリアルが開始される。女神ティアマットの指示に従い、ゲームの基本を習得するための村へ移動し、クエストを解決することとなる。その後は「NPCに会う」、「モンスター討伐」、「アイテム捜索」など、簡単な依頼をいくつも達成していくうちに、次第に物語の本筋へ。各種システムもマスターできるようにも考えられている。

 クエストを行なう上で非常に助かったのが、目指すべきNPCやモンスターの位置が、マップ画面にマークされる機能だ。画面左上のミニマップにも矢印で目標の存在する方向が表示され、マークや矢印にマウスカーソルを合わせると、ターゲットの名称までわかる。この機能のおかげで、今自分が何をすべきか見失うことはほとんどない。もし目的を忘れてしまっても、マークに向かって進んでいけば解決する。

 さらにマップ画面のマークをクリックすると、自動で目的地まで移動してくれるオートラン機能も装備。昨今のMMORPGにおいてはオートランは珍しい機能ではないが、おかげでテレビや雑誌を見たり、ほかの作業をしたりと“ながらプレイ”がしやすく、手軽にゲームを楽しむのに一役買っている。レベルの低いモンスターがノンアクティブなおかげで、移動中、気づかぬうちに死んでしまう危険性も低い。

 個々のクエストにかかる時間も短めに設定されており、短いクエストなら数分もかからないうちに達成できる。短すぎるように思えるが、途切れることなく新しいクエストが発生するので物足りなさを感じることはない。細切れで遊ぶのに適しているのはもちろん、ついつい「もうちょっとだけ遊ぼう」となり、止め時を見失うほどの中毒性がある。


【スクリーンショット】
女神ティアマットがゲーム内容を丁寧に教えてくれる。ちなみにティアマットのみボイスがあり、声優の日笠陽子さんが担当している
クエストを受けるときは「!」マーク、クエストを終了させるには「?」マークの表示されたNPCに話かければいいチュートリアルでは、クエストの目標となる地点に黄色いマークが表示される長距離を一瞬で移動させてくれる仕組みもある。ゲーム内通貨で利用できる



■ 冒険の幅が広げてくれる「ペット」などの各種システム

 武器や防具の装備方法や、アイテムを強化するシステム、ペットの飼育方法などもクエストに挑戦することで学べ、徐々にゲームの遊び方の幅が広がっていく。ソロプレイでは困難なクエストには、最大10人まで組めるパーティーでも挑戦できる。そのほかギルド設立やオークション、闘技場など一般的なMMORPGにあるシステムを実装している。今後は、ギルド戦などの要素も追加される予定だ。

 中でもOQT参加者の注目を集めていたのが「ペットシステム」だ。本作にはトラ、パンダ、狼、ドラゴンの4種類(OQT時点)のペットが登場する。卵の状態から面倒を見て、孵化するまでどの種類になるかわからないのが特徴。卵からかえったペットは冒険に同行して、キャラクターと同様に経験点を獲得して成長し、レベル10に達すると戦闘に参加してくれるようになる。時間の経過とともにおなかを減らすペットに食事を与えたり、敵に倒されないようペット用の防具を装備させたりと世話をする必要がある。他のプレーヤーが育てたペットとの配合システムもあり、本作の重要なポイントになっている。ペットを有効に使うことで、ソロプレイを進めやすくなるだろう。


【スクリーンショット】
アイテム強化のシステムも実装していたが、アイテム制作は未実装だった料金を支払うことでギルドを設立できる
画面上に見えているのが闘技場。PC同士の戦闘が行なえる。闘技場の戦闘に勝利すると「バトルランク」が上昇する
まだ成長途中のペット。大切な相棒なので愛情を持って育てたい。飼育員のNPCはペット用のアイテムを販売してくれる



■ 奇をてらわず王道を歩む正統派。最大の魅力は手軽さ

 今回のOQTで感じたのは、「フラゴリア」は奇をてらわず丁寧に作り上げられた、王道的2DMMORPGだということ。誤解を恐れず言うならば、本作には「目を見張るような斬新で派手なシステム」はない。しかし、それは決してマイナスではないのだ。気軽に遊べるMMORPGを探している人や、過剰になり過ぎた昨今のMMORPGを敬遠しているプレーヤーにとっては最適のゲームではないかとさえ思う。

 筆者も一昔前にMMORPGを遊んでいたものの、近年はセミリタイアしている1人だった。しかし本作をプレイすると、何とも懐かしい気持ちがよみがえってきたのだ。あの頃に抱いていた冒険へのワクワク感、困難にチャレンジしたくなる心地よさが「フラゴリア」にはある。シンプルでオーソドックスだからこそ、プレーヤーの心に直接響いてくるのではないだろうか。ブラウザがあれば手間なしにサクサク遊べるのだから、軽い気持ちでWEBブラウザのブックマークに登録して遊んでほしい。


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※ 画像は全てオープンクオリティテスト時のものです。今後のサービス時に変更される場合があります。

【フラゴリア】
  • OS:全てのOSに対応(アクワイア調査内)
  • ブラウザ:全てのブラウザに対応(アクワイア調査内)
  • メモリ:512MB以上(2GB以上推奨)
  • CPU:Pentium 4以上(Core 2 Duo以上推奨)
  • HDD:1GB以上の空き容量
  • メモリ:512MB以上(2GB以上推奨)
  • 通信速度:128Kbps以上(1Mbps以上推奨)


(2009年 12月 21日)

[Reported by 山科明之進]