PCゲームレビュー

ミリタリーFPSの金字塔、8年の時を経て復活!
「OFP」の名に恥じぬ完成度と高い拡張性

「Operation Flashpoint: Dragon Rising」

  • ジャンル:FPS
  • 発売元:イーフロンティア
  • 開発元:Codemasters
  • 価格:7,140円(日本語マニュアル付き英語版)
  • プラットフォーム:Windows XP/Vista/7
  • 発売日:10月23日(発売中)
  • プレイ人数:1~32人

なんと初代作から8年越しの新作となった「OFP:DR」。どんなゲームに仕上がったのか?

 「Operation Flashpoint: Dragon Rising(以下『OFP:DR』)」はそのタイトルが示すとおり、2001年に発売された伝説的ミリタリーFPS「Operation Flashpoint: Cold War Crysis(以下『OFP:CWC』)」の後継作品である。諸般の事情により、開発会社が初代のBohemia InteractiveからCodemastersに変わったものの、シリーズ作品として必要なミリタリーテイストが十全に再現された続編となっている。

 本作には今回取り上げるWindows PC版のほかに、プレイステーション 3、Xbox 360版の発売が予定されており、コンシューマー機バージョンはCodemastersの日本法人であるコードマスターズより発売予定だ。コンシューマー機版の発売は2010年1月14日に予定されており、少々タイムラグが大きいため、今回イーフロンティアより先行発売されたPC版を用いてのレビューをお届けしたい。



■ 軍事的なリアルさと、ゲーム的面白さの両立を目指したゲームシステム

「OFP」シリーズはリアル系ミリタリーFPSの金字塔として知られている。本作はその続編だ
豆粒のような敵に向かってライフルの狙いをつける! スクリーンショットでは伝わりにくい、この緊張感がたまらない
兵器を使った戦いも醍醐味のひとつだ

 FPSというゲームジャンルには元来表現の自由度が高く、SF系、スポーツ(競技)系、ファンタジー系、そしてミリタリー系といった様々なサブカテゴリーがある。この中で近年人気が高いのはミリタリー系と呼ばれるジャンルだ。数多くのPC用オンラインFPSが「特殊部隊VSテロリスト」という構図を採用しているほか、コンシューマー機で絶大な人気を博する「Call of Duty」シリーズの存在などがその代表例だ。

 そして、ミリタリー系に属するFPSタイトルには「リアリティ」と「遊びやすさ」という、2つの軸が存在している。あるタイトルは「リアルだから面白い」と評されたり、別のタイトルは「小気味良くプレイできる」ことを美点と誉めそやされる。その両軸を備えたミリタリー系FPSこそが傑作FPSだという評価軸が出来上がりつつある。そうした中で、ひときわ異質な輝きを放っていているのが、前作「OFP:CWC」である。

 2001年に発売された「OFP:CWC」は、「軍事的なリアリズムをゲーム内で最大限再現したらどうなるか?」という最初の例だった。プレーヤーは基本、銃弾1発を受ければ戦闘不能になり、銃撃戦は数百メートルの空間を挟んで行なうことがほとんどで、豆粒のような小さなターゲットを、匍匐前進しながら目を良く凝らしてチマチマと狙撃するというゲーム性。それでいて、たくさんの兵器が登場し、戦車やヘリを駆ってダイナミックに戦場を駆け巡ることもできる。しかし、それら兵器も豆粒のような歩兵から放たれるATミサイル1発で破壊されるのだが。

 こういったタイプのFPSはいろいろな意味で“リアル”ではあるが、その一方でゲームとして必要不可欠な要素である「遊びやすさ」という軸においては評価が難しく、内容がマニアックなだけにタイトル数はきわめて限られている。その中で、初代作を製作したBohemia Interactiveによる「Armed Assault」シリーズ(現在2作目がリリース中)を正当な後継作と見る向きも少なくないが、やはり多くのファンは「OFP」の名を冠する続編を待望してきた。

 そこでついにリリースされたのがCodemastersの「OFP:DR」というわけだ。前作から数えてなんと8年越しの続編ということになるため、むしろ初代作をプレイしていないユーザーがメインの購買層になる。そのため本作は、初めてのプレイでも十分に楽しめる「遊びやすさ」と、「OFP」の名を冠するに足る「リアリティ」の両方を、高いレベルで満足させるという使命を負っているわけだが、そういった視点で本作「OFP:DR」をプレイしてみると、これが実によくバランスよく作られていることがわかる。

 本作にはシングルプレーヤーのキャンペーンモードと、ミッションを個別にプレイするモード、そしてマルチプレーヤーモードがある。そのうち最初にプレイすることになるキャンペーンモードでは、ひとまず「OFP」というゲームの入り口を垣間見て、リアリティのあるFPSとはどういうものか、ということを学び始めることができるのだ。

広大な戦場、移り行く時間の中で臨場感溢れる戦闘を繰り広げる。直接撃ち合う時間帯はほんの一瞬で、ほとんどの行動は移動と索的に費やされるというストイックさだ



一般的な交戦距離は100メートルから200メートルほど。先に発見することが何よりのアドバンテージだ
分隊メンバーに指示を出すことにより、戦闘の展開をうまくコントロールしていく
被弾して出血が始まると、徐々に画面がモノクロになっていく。早く止血しなければ

 基本的な流れは、一般的なFPSと同様に、歩兵として地上を駆け、敵を発見して、照準を合わせて射撃して倒す、というものになる。だが、一般的なFPSとはいろいろな意味で、ゲームのスケールが違う。

 一般的な敵兵との交戦距離は、近くても100メートル、遠ければ400メートルにもなる。その距離で「匍匐」の姿勢を取られると、ターゲットはわずか数ドットという小ささになるので、通常視点での敵発見は困難だ。常に双眼鏡を使って索敵しなければ、思いもよらない方向から銃撃をうけて、一気に窮地に立たされることになるだろう。

 また、メインウェポンであるライフル銃の弾丸は、現実同様に重力や空気抵抗の影響を受けた軌道を描いて飛んでいくため、距離に応じて「重力による落下」や「タイムラグによる偏差」を計算して射撃する必要がある。とはいえ携行する弾丸が潤沢にあるわけではないので、なるべく接近して射撃したい。しかし、むやみに近づこうとすれば狙撃を受けて簡単にやられてしまう。

 こういった難しさをカバーしてくれるのが、プレーヤーと共に行動する「Fire Team(分隊)」のメンバーだ。シングルプレーヤーモードではNPC制御となる数名のチームメンバーは、プレーヤーの指示により「制圧射撃」などの戦術行動を取ってくれる。まず弾丸の嵐を敵に浴びせることによって、敵の頭を下げさせ、その隙に短いダッシュと匍匐を繰り返し、敵に接近する。そして側面や背後から的確に狙撃して倒す、といった戦術で窮地を打開できる。

 本作ではダメージモデルも厳しめに作られてある。頭部に被弾すれば当然1発で即死。他の部位なら多少は耐えるが、耐えるといっても出血が生じるため、標準装備の「Field Dressing」で止血しない限り、1分ほどで失血死してしまう。銃弾を受けた部位の動きが悪くなり、ダッシュできない、照準がぐらつくなどの悪影響も生じる。とはいえ、初代「OFP:CWC」よりは明らかに緩やかだ。なにしろ、分隊メンバーの衛生兵に治療させれば、その場で全快できるのである。

 そういった頼りになる分隊メンバーに頼りきって無理な前進をしてしまい、仲間を戦死させてしまうことも多くあるだろう。だが、本作にはそういった状況への救済システムもしっかり用意されている。プレーヤーが遭遇する各ミッションには、進行度に応じて「チェックポイント」が用意されており、標準の難易度ではチェックポイントに到達するたびに戦死した小隊メンバーが復活してくれるのだ。

 本作はこういった救済策があるおかげで、初めてのプレイでも「戦場の理不尽さ」に叩きのめされることなく、比較的スイスイとゲームを進めることが可能だ。もちろん、運悪く遠距離からヘッドショット1発で戦死してしまうこともあるので、常に頭を低くして行動する必要があることには変わりない。

 十分な経験を積んだら、難易度を標準からひとつ上の「EXPERIENCED」にしてみよう。この難易度では戦死した分隊メンバーは決して復活せず、ミッションを通して緊張感溢れるプレイが要求される。完璧な作戦行動を取っていても、時には流れ弾1発で仲間を失い、あるいは敵の間接砲撃に見舞われて一挙全滅ということもあるだろう。しかしそれも本作が志向する「リアリズム」なのである。アクシデンシャルな状況は、むしろそこからどう打開するか、という面白さを与えてくれるものだから、大いに楽しみたい。


本作における戦闘のコツは、常に敵の配置を把握し、死角から接近し、反撃を受ける前に一網打尽にすることだ。真っ向から銃撃戦となれば、1発の銃弾で倒されてしまうこともあるため非常にリスキー。作戦目標の達成のためには戦闘を回避することも考える必要がある



■ 各ミッションは工夫次第でまったく異なる展開に。戦場を知り尽くせ!

羽ばたく鳥のような形をした架空の島「スキラ島」。面積は220平方キロメートル程もある
1つのミッションでプレイするのは、スキラ島のごくごく一部の地域だ。それでも何キロも歩いたり、乗り物を見つけて移動することになる

 ゲームの基本的な雰囲気をお伝えしたところで、本作で最初にプレイすることになるキャンペーンモードの内容について紹介していこう。

 ゲームの舞台となるのは220平方キロメートルの面積を持つ架空の島、「スキラ島」。ここは北海道とロシアと中国とのちょうど中間くらいの海に浮かぶ島で、15世紀に中国の王朝がこの島を発見して以降、島の所属が中国、日本、ソビエト、日本、ロシアと変わってきたという設定になっている。

 そんな所有権があやふやな島に油田が発見されたのが火種となった。経済危機により打撃を受けた中国が目をつけ、この島を中世に最初に「発見」したことをタテに正当な領有権を主張しはじめたのである。事態は急激に進み、2011年、ロシアの態度に業を煮やした中国は国際的承認を受けないままスキラ島に進駐。他方ロシアは中国国境に主力を振り向けていたため、アメリカに支援を要請。こうして中国軍が実効支配するスキラ島に対し、米海兵隊による電撃作戦が開始されたのである。

 こういった背景のもと、プレーヤーは米海兵隊所属の兵士として、スキラ島で展開する十数個の任務に挑むことになる。各ミッションでプレイする「人物」はそれぞれ異なっており、あるミッションでは一般海兵隊員による昼間作戦、またあるミッションでは特殊部隊員による夜間作戦と、様々な視点で戦場の推移を体験することになる仕組みだ。

キャンペーンミッションは、スキラ島の奪還を目的とする米海兵隊の視点で進行。島の各地域で展開する作戦を、時系列に沿って様々な部隊の視点でプレイすることになる



通信塔をC4爆弾で破壊。十分に離れないと爆風で致命傷を負うので注意!
中国軍の前線基地を観測し、砲撃要請。うまくいけば1回で一網打尽だ
ミッションをこなせたら脱出ポイントへ向かい、ヘリに回収してもらう。追加の作戦目標が発生することもあるので、通信内容を良く聞いておこう

 第1のミッション「DRAGON RISING」では、標準的装備の海兵隊員として中国軍の通信設備の破壊および前進基地の偵察・砲撃観測の仕事を与えられる。本作では基本的にいくつかの作戦目標を順番に達成する形でミッションが構成されており、大きな意味では「1本道」のゲーム構成だ。とはいえ、そこは「OFP」らしく、やりようによって様々な展開が発生するのが面白いところである。

 たとえば、このミッションでは、最初の通信施設をC4爆弾で吹き飛ばした後、高台から中国軍の前進基地を観測し、砲撃を要請する。このときうまくいけば砲撃だけですべての敵を排除できるのだが、敵に気づかれたり、砲撃要請の開始が遅かったりすると、十分な打撃を与えられずに銃撃戦に突入せざるを得なくなる。一気にミッションの遂行が難しくなってしまうのだ。

 あるいは別のミッションでは、分隊と行動を共にするAPC(兵員輸送戦闘車両)に頼って戦闘を展開する方法と、そのAPCに自ら乗り込んで、戦車兵として戦う方法の両方を選択できる。また別のミッションでは、夜陰に乗じて敵の燃料備蓄設備に忍び込み、ある装置を破壊する際、静かに進入すれば誰にも気づかれずに作戦を成功させることもできるし、しくじって敵の大軍と大乱戦になり、屍の山を築いてから奪ったジープで脱出ポイントに向かう、なんて暴れん坊プレイもできる。要は目的を達成すればいいのだ。過程は自由裁量となっている。

 こういった本作の醍醐味を味わうためには、各ミッションを少なくとも2回以上プレイして、どこに何が配置されているかをしっかり把握しておきたい。利用できる車両の位置、敵から奪える武器(特にスナイパーライフルやATミサイルは本当に重宝するためぜひ欲しい)、遠距離から敵を狙撃できるポイント。以前は無様な戦闘を繰り広げたミッションをスマートにクリアしたときには、バーチャルな戦場でのサバイバル力が格段に向上したという満足感を大いに得られることだろう。そういった形で、本作のキャンペーンモードは通して2、3回以上は楽しくプレイできる。はじめは標準難易度で、次に「EXPERIENCED」難易度で、という遊び方がお勧めだ。

 ちなみに、最高難易度の「HARDCORE」は少々いただけない。このモードでは方角や武器、部隊メンバー状態などのHUD機能がまったく表示されなくなる。リアルとか難しいというよりは、純粋に不便なだけだ。方角表示はともかく、銃の点射・連射モードの切り替え状態や、被弾してダメージを受けた箇所など、現実なら肉体的感覚でわかるものは、HUDに表示するべきだろう。このように「HARDCORE」の意味がゲームの本質とかけ離れている点、ちょっと残念だ。


昼間の作戦では敵の行動も活発。なるべく遠距離から多くの敵をしとめておきたいところだが、状況によっては激しい銃撃戦になることを覚悟しておこう

特殊部隊員として夜間作戦を行なうミッションもある。静かに行動すれば敵のすぐそばまで気づかれずに接近できる。サイレンサーつきのマシンガンで人知れず障害を排除。流れ弾が数百メートル先に着弾して気づかれることもあるので、操作面の落ち着きが重要だ

戦車部隊との共同作戦や、装甲車を自ら操縦して戦う、というシチュエーションもある。プレイの展開はまさに自分しだいだ。創意工夫して、クレバーな方法でミッションをクリアしたい



■ マルチプレイに無数の追加ミッション。スキラ島に広がる楽しみはオンラインで

マルチプレイゲームは、ユーザーが建てたゲームホストを選択して参加する方式。海外ホストでは通信遅延がゲーム性にかなり影響する
ヘリの操縦はかなり難しいが、分担できればかなり強力に立ち回れそう
オンライン対戦はまさに「サバゲ」状態。先に敵を発見したほうが、ほぼ勝つ

 本作に標準搭載されているキャンペーンモードは、20時間以上は濃密に楽しめる。だが、「OFP」に期待する内容として言うと、正直なところこれでもまったくボリューム不足だ。キャンペーンモードの各ミッションがある意味「お行儀良く」作られているため、装甲車、戦車に乗れるようなシーンはごく少ないし、敵の数や種類も想定の範囲内。ミッション内容にもあまり突飛な展開が期待できるものがないためだ。

 やはりここは「OFP」らしく、より幅広い展開を楽しみたい。となれば、マルチプレイや追加ミッションを遊ぶ、というのがその方法だ。初代の「OFP:CWC」ではユーザー制作による無数のミッションがオンラインで流通し、無限に広がる戦場の可能性を堪能することができた。本作ではその伝統がきちんと継承されており、標準のコンテンツに縛られない、幅広い遊び方が可能なのである。

 ぜひゲーム仲間と試していただきたいのが、最大4人同時プレイに対応した協力プレイだ。本作では各ミッションとも協力プレイで楽しむことができ、戦場シミュレーターとしてしっかり作りこまれているがゆえの遊び方がある。たとえば、ひとりが双眼鏡を持ち敵の発見・着弾の観測に徹し、別のメンバーが射撃に専念するというプレイ。あるいは、運転手、砲撃手、車長として、1台の戦車を共同で運用する遊び方。攻撃ヘリのパイロットとコパイロットの関係も楽しめる。

 対戦プレイでは最大32人の同時参加をサポートしている。ゲームルールは2種類あり、通常のデスマッチタイプの「ANNIHILATION」では、現実ではありえないスケールでのサバイバルゲームを楽しめる。何しろ交戦距離が100メートル以上あることもあり、障害物や草陰など隠れる場所が無数にあるので、まず敵を先に発見することが何より重要なのだ。その上で発生する1対1の撃ち合いの決着は、わずか数発の命中弾で決まる。

 もうひとつのゲームルール「INFILTRATION」では、少数の特殊部隊チームと、多数の守備隊チームによる非対称のチーム戦となる。装備の充実度で勝る特殊部隊チームが戦術目標を達成するか、あるいは守備隊がそれを壊滅させるか。ドンパチが始まる前の静けさがもっとも緊張するというゲームルールだ。

 マルチプレイモードに関して現状を言うと、やはりPC版ゆえか海外プレーヤーとのマッチングが多い。そのためラグの影響が大きく、もともと射撃の難しいゲームであるだけに結構なフラストレーションを抱えることも多い。このため、大人数の対戦プレイでは時間帯を選び、日本国内のユーザーの建てたゲームホストを利用する、あるいは自分でホストを立てて参加を待つ、といったスタイルが良いだろう。

対戦プレイはプレーヤーの経験の差が出やすく、なれないうちは死んでばかりになる。めげずに挑戦して、効果的な行動様式や勝負どころを把握したい

乗り物を活用したプレイは追加ミッションで大いに楽しめる。ヘリや装甲車両による火力とリーチの長さを生かしてプレイしよう



追加ミッションはゲーム内メニューから個別にプレイ可能だ
エディターの画面。かなりプロフェッショナルな作りで、筆者は使用を挫折中。しかし世界中で新たなミッションが大量に作られている頼もしさ
ユーザーミッションには高難易度の手ごたえ抜群なものが多い。協力モードで挑戦したい

 本作で楽しめるもうひとつのオンライン要素は、なんといっても無数の追加ミッションだ。現時点ではゲームの製作元であるCodemastersから「Skirmish」、「Fire Team Engagement」といったいくつかの追加ミッションパックが無償で提供されているほか、ユーザー制作によるミッションも多数、WEB上の各サイトで公開されている。ユーザーミッションが集積されている代表的な場所は「OFP HQ」というファンサイトだ。

 こういった追加ミッションの存在を可能にしているのが、本作に同梱されているミッションエディターである。これはCodemastersの開発チームが使用しているツールとほぼ同じものが提供されており、ゲーム中に登場するすべてのリソースを利用して、新たなミッションやキャンペーンゲームを制作できるというものだ。

 開発チームが使うものというだけあって、エディターは非常に多機能で、基本的なオブジェクトの配置から、Lua言語によるスクリプト機能までサポートされている。地形に関してはエディットできず、広大なスキラ島のどこかをミッション地域に指定して製作する仕組みになっているが、それでもどんな機能があるか一通り把握するだけでも大変だ。使用には一定のセンスと訓練が必要になりそうなので、新規ミッションの製作は世界中の熱心なユーザーに任せたいところである。

 それにしても、エディター同梱による効果は絶大だ。欧米での発売から1カ月ほどが経過した現在、オンライン上には100を越えるユーザー制作ミッションが公開されており、その中で高評価を受けているミッションだけをダウンロードしてきても、とても遊びつくせないほどである。中には戦車メインのミッション、戦闘ヘリメインのミッションなど、乗り物による戦闘がメインになっているものもあり、本編のキャンペーンモードとはまったく違った角度で「OFP:DR」を楽しめる。

 確かに、優れたユーザー制作ミッションを見つけて、導入してプレイするまでには一定の手間をかける必要があるものの、それによって広がる楽しみは大きい。また、その手間が惜しければ、開発元Codemastersからパッチと共にオンライン提供される公式の追加ミッションだけを楽しんでもいいだろう。現時点ですでに10ほどのミッションが公式に提供されているし、その中には「全方位防衛」という、非常にやりごたえのあるミッションも含まれている。すでに本編以上に楽しんでいるという状況だ。

 なお、PC版で無償提供されているCodemasters謹製の追加ミッションは、プレイステーション 3版およびXbox 360版(海外版)ではDLCとして有償で提供されている。価格は両プラットフォームとも400円程度となっているが、コードマスターズより1月14日に発売されるコンシューマー機向け日本語版でどのように扱われるかは現時点では不明だ。


標準のキャンペーンモードでは味わえない、様々なシチュエーションを楽しめるのが追加ミッションの面白さ。敵も味方も大量なミッションでは、まさに戦場!という雰囲気がたまらない。こういったミッション、「EXPERIENCE」以上のモードでは味方を誤射しやすいので、中国軍と海兵隊の軍装を完璧に把握しておこう



■ 「OFP」の後継としてゲームシステムのポテンシャルは高く、さらなるコンテンツの充実を期待

NPC操作のヘリはよく着地失敗するのでハラハラする。こういったAIの不完全さは今後修正してほしいところ。その他の点においては、「OFP」の後継作として申し分のない出来に仕上がっている

 本作は、リアル系ミリタリーFPSとして伝説的なタイトルである「OFP:CWC」の正統な続編として、「リアリティ」と「遊びやすさ」の両面に十分な品質を持つタイトルに仕上がっている。歩兵として広大な土地を前傾姿勢で駆け巡り、双眼鏡で敵を早期発見して、攻略の糸口を探りつつプレイする、戦場の雰囲気はまさに「OFP」ならではのものだ。

 しかし、多少の不満点もある。前述した最高難易度の「HARDCORE」モードが、単なる不便なモードになっていることもひとつだが、そのほかにもAI面の不完全さがある。たとえば味方を演ずる分隊員のAI。2階建ての建物など複雑な構造を理解することができず、屋上の防衛を指示しても、地階部分でひたすらウロウロしていることがある。また、障害物を利用したカバーポジションをあまり積極的に利用してくれないので、何てことのない戦闘で簡単に被弾して行動不能になっていたりする。

 敵兵のAIにしても、土嚢や木、壊れた車両といったカバーポジションをあまり積極的に利用しないため、しばらく様子をみていれば簡単に撃破できてしまうという問題がある。また、兵員輸送ヘリの操縦が下手で、着地に失敗してひっくり返り、輸送されてきた兵士もパイロットもみな、こぼれ出るように地上に展開してしまうという不恰好なシーンを良く見かけるのは残念だ。

 このあたりの不満点は今後のパッチリリースで改善されることを期待したい。ひとまず現状でも戦場の雰囲気は非常に良く演出されており、ゲームシステム面のポテンシャルは高い。良く再現された銃器類、車両、各種兵器や、分隊への命令システム。ひとつのミッションを何度でも遊べる展開の自由度や、それをさらに面白く促進する協力プレイモードの存在。無数の追加ミッションをとことん楽しむ準備は完璧だ。

 ひとつ気がかりがあるとすれば、ミッションエディターの存在しないコンシューマー機バージョンだ。公式の追加ミッションも有料となればPC版のようなバリュー感を得られるかどうか不透明だが、マルチプレーヤーゲームのマッチングにおいては、ユーザー数などの要因からPC版よりも有利だろう。まずは、1月14日にコードマスターズより予定されているコンシューマー機版のリリースを待ち、両プラットフォームの様子を見てみたいと思う。


【スクリーンショット】

© 2009 The Codemasters Software Company Limited ("Codemasters"). All rights reserved. "Codemasters" and "Operation Flashpoint" are registered trademarks owned by Codemasters. "Dragon Rising", "EGO" and the Codemasters logo are trademarks of Codemasters.


(2009年 11月 11日)

[Reported by 佐藤カフジ ]