★Xbox 360ゲームレビュー★
進化の果てに明かされる、シリーズの起源! 「スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-」 |
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宇宙を舞台にした壮大なストーリー展開、アクション性の高い戦闘などが醍醐味の「スターオーシャン」シリーズが、次世代RPGと呼ぶに相応しい進化を遂げて帰ってきた。トライエースが開発したXbox 360用の作品としては、「インフィニットアンディスカバリー」に次いで2作目となる。
2008年6月10日にマイクロソフトが主催した、RPGプレミアの衝撃は記憶に新しい。ここで明かされた国内外の大作がひしめくRPGラインナップは、Xbox 360のイメージを大きく変える出来事だったのではないだろうか。このとき国内メーカーからは4作品が発表されたが、その大トリを飾る形で登場し、2009年2月19日に発売されたのが「スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-」である。
■ 宇宙開拓時代を舞台にした壮大なスペースオペラ
「スターオーシャン」は10年以上の歴史を持つトライエースの看板RPGとして知られているが、改めて数えてみると本作でまだ4作目。スーパーファミコンに始まり、プレイステーション、プレイステーション 2、そしてXbox 360と、同一ハードで2作以上のナンバリング作を展開したことがないというのは、意外と言えば意外な事実である。それだけRPGというジャンルにおいて、「スターオーシャン」シリーズの存在感が大きいことを示す証左と言えるかもしれない。
本作は4作目のナンバリングタイトルではあるが、初代「スターオーシャン」以前の時代を舞台にしている。そのため、過去作を遊んだことがなくてもすんなりと入っていけるはずだ。もちろん、過去作と共通する部分もあるため、シリーズに多少の理解はあったほうがスムーズに進められるが、知らなくても十分に楽しめる内容となっているので、そこは安心してほしい。
時は西暦2064年。第三次世界大戦が勃発し、汚染された地球は劣悪な環境になり、人口も大幅に減少してしまう。そこで、人類は前人未到の宇宙に活路を求めてUSTA(国際科学技術局)を設立し、第1期SRF(宇宙開拓隊)を送り出すことになる。……このような導入から始まる「スターオーシャン4」の物語は、SRF003号機・カルナスのクルーである、エッジ・マーベリックおよびレイミ・サイオンジの視点を通じて描かれていく。
SF作品の中では、後戻りできない状況や孤立した状況における「極限状態のドラマ」がしばしば描かれる。本作でのプレーヤー(エッジ)は、それをさらに引き絞って凝縮した、極限のプレッシャーを背負った立場と言える。副題の「THE LAST HOPE」が示す通り、宇宙に新天地を求めた人類の「最後の希望」としてエッジたちは旅立つわけで、その双肩に掛かる責務の重さは想像を絶するものに違いない。無限の可能性を秘めた「星の海」には、果たしてどんなドラマが待っているのか?「スターオーシャン」の原点というからには、宇宙開発計画があっさり頓挫して人類が滅亡するということはないはずだが、このような舞台設定には大いに興味をそそられた。期待を抱きながらプレイを開始した次第だ。
【オープニング】 | ||
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まだ「宇宙暦」で呼ばれていない、西暦の時代が物語の発端となる。エッジたちが所属するSRFが出発するのは宇宙暦10年で、西暦換算で言えば2097年。オープニングデモでは、出発に至るまでのストーリーが語られる |
■ 最新ハードで描かれる、情緒豊かな世界
本作の大きなインパクトとなるのは、やはりハイデフ機による映像面の進化だ。見せ方としては「スターオーシャン3」に近いスタイルで、フィールドと戦闘空間はいずれも3Dで表現されている。しかし、高性能なプラットホームできめ細やかに描かれた表現は圧倒的で、本作で描かれる世界は確かな実在感を伴っている。
ゲームの進行上、さまざまな文明レベルの惑星を巡ることになるため、景観から受ける印象も千差万別だ。密林が生い茂る惑星、好戦的な異星人が操る高度文明の宇宙船など、最新鋭の映像で描かれた多種多様な風景が視界に飛び込んでくる。新たな惑星への航行が決まるたびに、まだ見ぬ風景に期待を寄せながら、さながらタイムトラベルのような感覚で心を躍らせながらプレイを進めることができた。
本作に限ったことではないのだが、新世代機におけるビジュアルは、個人的に人工建造物より自然の風景に感情を揺さぶられることのほうが多い。本作で言えば、太陽光の反射できらめく雪原や、照り返しの熱気まで感じられるほどの海岸線など、どちらかといえば文明レベルが低い惑星の風景がそれに当たる。実際、ストーリー的には緊迫した状況であっても、思わず立ち止まって風景を楽しんだのは1度や2度ではなかったことを付記しておきたい。以下にいくつかの印象的な惑星を紹介しよう。
■ 惑星をまるまる再現した広大なフィールド
スタートボタンでミニマップを全体表示にできるが、全体から見ればこれでも一部だ。こまめに開きながら探索を進めよう |
謎解きや封印された宝箱を開けるために使う「バニッシュリング」。対応した属性のリングがあれば、障害物を除去できる。回数制限があるが、街などで補充可能だ |
本作のフィールドマップは、基本的に1つの惑星がそのまま舞台となる。そのため、ちょっとやそっとでは探索を完了できない広さを歩きまわることとなる。スタートボタンを押せば周辺の全体マップが表示されるものの、それでも全域から見ればごく一部でしかない。惑星1つ分のスケールと考えればそれでも小さいくらいかもしれないが、隅々まで踏破するにはかなりの時間を要することになる。
そこで役立つのが、Xボタンで行なえる「ダッシュ」だ。ダッシュは高速で一定距離を瞬時に移動するアクションで、無条件に何回でも使用できる。Xをリズミカルに連打すればものすごいスピードで進むことができ、地平の彼方に見えた場所にも短時間でたどり着ける。
ただし、フィールドやダンジョンには敵シンボルが徘徊しており、シンボルに触れると戦闘が発生。各惑星には洞窟などの狭く視界が悪いダンジョンもあるため、戦闘を回避したいときには注意が必要だ。敵のそばをかすめるようにダッシュで抜けることも可能だが、失敗するとサプライズアタック(不意打ち)が発生し、敵に有利な位置関係で戦闘が始まってしまう。ダッシュでの移動を基本にしながらも、必要に応じて「歩き」や「走り」で微調整しながら探索を進めていきたい。
また、フィールド上には「採集ポイント」、「採鉱ポイント」と呼ばれる採取ポイントが設けられている。採集はレイミ、採鉱はバッカスというキャラクターがパーティーにいるときのみ、採取ポイントからアイテムを入手可能だ。採集、採鉱を行なうと採取ポイントは消滅するが、その惑星に訪れるたびに復活するため、手間をかければ何度でもアイテムを入手できる。レイミとバッカスには採取に対応したスキルがあり、これを高めることでより稀少なアイテムを入手しやすくなる。
マップ上にあるすべての宝箱や採取ポイントは、あるキャラクターのスキルによってミニマップに表示されるようになるため、見落とす心配はない。また、何らかの障害物やイベントが発生する場所は「!」が表示されており、さらにセーブポイントの位置もわかるため、広大なマップでもスムーズに探索を進められる。
ダッシュをはじめとする、こうした移動をサポートするシステム群は「過度の親切設計」に映るかもしれないが、決してそんなことはない。ダッシュを駆使しても惑星1つの踏破にはかなりの時間がかかるし、一方通行や頭を使う仕掛けも随所にある。移動時のストレスを徹底して排除したことで、惑星という広大なスケールを感じさせながら、迷うことなくテキパキ移動できる快適さをうまく両立させている印象だ。
ダッシュを使えば瞬時に高速移動が可能で、快適にフィールドを進んでいける。くれぐれも敵への体当たりには注意しよう | 採集ポイントからは果物や木材などを、採掘ポイントからは鉱物や宝石を主に入手できる。中には、ちょっと変わったモンスターの素材が眠っている場所もある |
■ スキルとBEATで自由度の高い育成と戦闘を実現
「スターオーシャン」と言えば、プレーヤーの個性が出やすい「スキル」による成長システムも魅力の1つ。本作のスキルには「フィールドスキル」、「呪紋」、「必殺技」、「バトルスキル」の4系統があり、いずれもSP(スキルポイント)を消費してスキルレベルを高められる。
SPはキャラクターがレベルアップするたびに加算される仕組みだ。過去のシリーズでは、SPは原則として有限なものであるため、すべてのスキルを最高レベルまで育てることは、よほどレベルが高くならなければ不可能だった。しかし本作では、戦闘以外にもSPを入手しやすくなり、キャラクター育成の幅が広がった。
なお、習得できるスキルの種類はキャラクターによって完全に決まっており、これによってキャラクター間の差別化が図られている。初期に覚えているものを除けば、スキル習得用のアイテムを使うか、規定のレベルになることで新しいスキルを習得できる。
メニュー画面で「キャラクター」を選ぶと、ステータスの確認、AIとして戦闘に参加させるときの作戦設定のほか、「BEAT」と呼ばれる戦闘スタイルを設定できる。
BEATにはBEAT.S(攻撃型)、BEAT.N(標準型)、BEAT.B(防御型)の3種類があり、どれを選んだかでパラメータ補正と戦闘中に付加される特殊効果が変わる。BEAT.SとBEAT.Bの2つにはランクの概念があり、戦闘を続けることでランク20まで成長し、これとともに付加される特殊効果が増えていく。長期的な視野に立つならば、BEAT.N以外のどちらかに設定して育てるのが得策だ。スキルとBEATというふたつの要素によって、同じレベルのキャラクターであっても、プレーヤーによって大きな違いが出てくる。育成における自由度は、これまでにも増して高まっていると言えよう。
■ 戦略性と爽快感を兼ね備えた新機軸の戦闘システム
ビジュアル面と並んで本作、ひいては「スターオーシャン」シリーズを特徴付けているのが、アクション性が極めて高い戦闘だ。戦闘はリアルタイムで行なわれ、3Dフィールドを移動しながらガードやジャンプ、通常攻撃、必殺技、呪紋を組み合わせて敵にダメージを与えていく。操作するキャラクターは任意に変更可能なため、エッジで打ち上げてレイミで追撃、といった複数のキャラクターを使ったコンボも可能だ。
さらに、全キャラクターが習得可能なフィールドスキル「リンクコンボ」を習得すれば、呪紋と必殺技を左右のトリガーに、最大3つまで登録できる。これを活用すれば、トリガーを連打するだけで流れるように技を連携できる。自分なりに有効な連携パターンを考え、コンボを組み立てていく過程は非常に楽しく、それが決まったときの爽快感は格別だ。
上記の戦闘システムは、概ね従来のシリーズ作品を踏襲しているものだが、もちろん本作独自のシステムもある。中でも特徴的なのは「サイトアウト」と「ラッシュモード」の2つだ。それぞれ詳しく解説しよう。
クリティカル撃破や同時撃破などの条件を満たすことで画面右の「ボーナスボード」上に4色のボードが刻まれていく。ボードの数と種類に応じて、戦闘終了時に獲得経験値アップなどのボーナスを得られる |
・サイトアウト
サイトアウトは、敵にターゲットされた状態で特定の操作を行なうことで、敵の背後へ移動してカウンターを取れるシステム。サイトアウトが発動すると、時間の流れがスローになり専用のサイトアウト演出が挿入される。スローと言ってもゲームテンポを阻害するほどのものではなく、むしろ達成感と爽快感を得られるうれしい瞬間だ。新しいキャラクターが仲間が入ると、まずは「サイトアウト演出を見たい!」という気にさせてくれる。演出面だけでなく、高い実利性も備えていることが大きい。スキあらば常に狙っていきたいアクションだ。
ただし、一部の敵はこちらのサイトアウトにカウンターで攻撃を当ててくる。これは、サイトアウト演出時に敵から出るフキダシで判断できる。フキダシが青い「!?」なら成功、赤い「!」であればカウンターの合図だ。カウンターを回避するには、BEAT.Sで習得できる「ダブルサイトアウト」が必要。これを習得済みでBEAT.S設定時のみ、サイトアウトの操作を連続で行なうことで、敵のカウンターを回避してさらにサイトアウトで攻撃できる。接近戦を中心に戦う場合は、なるべくBEAT.Sに設定しておこう。
・ラッシュモード
ラッシュモードは攻撃を受けている最中やダウン中にも発動可能。ピンチに陥ったらすかさず使用し、危機を脱出しよう |
ラッシュゲージは戦闘時のキャラクターウインドウに「Rush」で示されたゲージのこと。このゲージは敵を攻撃したり、逆に攻撃を受けることで溜まっていく。これが最大値の100になると「ラッシュモード」を発動可能。ラッシュモード中は移動と攻撃のスピードが上昇し、敵から攻撃を受けてものけぞらないといった恩恵を受けられる。
ここで注意してほしいのは、プレーヤーサイドだけでなく、あらゆる敵キャラクターにもラッシュゲージが存在することだ。敵がラッシュモードに入ったら切れるまで待つのが得策だが、安全にダメージを与えられる方法もある。そのうちの1つがサイトアウトだ。サイトアウト成功後の初撃はカウンターとなり、敵がラッシュモードであってものけぞりやダウンを誘発できる。
もう一つが、ラッシュモード発動直後に右トリガーを引くことで繰り出せる「ラッシュコンボモード」。このモードになると特殊な演出画面に切り替わり、味方とともに「リンクコンボ」に設定した技を連携しながら一方的に叩き込めるのだ。敵がラッシュ中でもお構いなしに攻撃できるだけでなく、ダメージ自体もボーナスがつくため、強敵との戦いでは大いに重宝する。
ラッシュモード発動直後に必殺技の設定されたトリガーを引くと、ラッシュコンボモードへ移行。味方キャラクターと連携し、特殊演出つきのリンクコンボを繰り出せる。このときは時間の流れが完全に停止し、敵がいかなる状態であっても一方的に攻撃し放題となる。連携にはAボタンかBボタンの入力が必要になるが、さほどシビアではない |
■ ストーリー中盤までの戦闘時に操作可能なキャラクター
【エッジ・マーベリック】 | |
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本作の主人公。剣を使用し、攻撃範囲が広く高威力のコンボを繰り出せる。体力回復や状態回復の呪紋も使用可能なバランスの取れたキャラクター | |
【レイミ・サイオンジ】 | |
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エッジの幼馴染で、弓道の腕前は達人級。敵と間合いを取っての遠距離攻撃が有効だが、接近戦に強い必殺技も使用できる。呪紋は使えない | |
【フェイズ・シッファー・ベレス】 | |
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惑星エルダーの惑星調査団に所属。武器はレイピアで、攻撃範囲は狭いがリーチが長く、出が早い。攻撃呪紋も駆使するが、必殺技は使えない | |
【リムル・レムリ・ファイ】 | |
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惑星レムリックに住む少女。ワンドを使った通常攻撃は接近戦には向かないが、強力な呪紋を使いこなし、召喚したケルベロスを使役する必殺技も強力 | |
【バッカス・D-79】 | |
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自らの意志でサイボーグとなった科学者。機械化された四肢での攻撃は非常にパワフル。打撃の出は遅めだが、遠距離攻撃も可能。呪紋は使えない | |
【メリクル・シャムロット】 | |
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猫科の生物を祖先とするレッサーフェルプールの少女。攻撃のリーチは短いが動きが非常に素早く、多段ヒットする必殺技を多数持っている | |
【ミュリア・ティオニセス】 | |
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惑星EnIIの未開惑星調査員。優れた紋章術の力を有し、攻撃呪紋を得意とする。両手持ちの杖による通常攻撃は敵からMPを吸収できる | |
【サラ・ジェランド】 | |
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フェザーフォルクと呼ばれる、鳥類を祖先とする種族の末裔。回復呪紋を得意とし、サポート役として心強い存在。必殺技は使えない | |
■ キャラクターの意外な一面を垣間見れるプライベートアクション
エッジたちは人類の未来を賭けて、星の海へ旅立つ……本作の根底に流れるストーリーラインは重厚長大で、非常にシリアスな内容となっている。とはいえ、主人公のエッジはまだ20歳の青年で、地球の命運を任されるには若すぎる年齢と言っていい。そんな等身大の青年としての悩めるエッジと、彼をサポートする賑やかな仲間たちとの掛け合いを通じて、キャラクターの魅力を掘り下げてくれる要素がプライベートアクションだ。
プライベートアクションは、特定のタイミングでカルナスにいる仲間に話しかけることで発生する会話イベント。涙あり、笑いあり、色恋沙汰もあれば激しい対立もある。ときには和やかに、ときにはコミカルに、ときには本編以上のシリアスさで、エッジと仲間のエピソードが描かれる。
本編の一部のイベントシーンにも言えることだが、プライベートアクションには作品が持つ重いテーマとはかけ離れた内容のものもある。その大きなギャップは、好みが分かれるところかもしれない。だが、キャラクターの見えざる一面がわかったり、ストーリーを補完するものもあるので、物語への理解度と感情移入度を高めてくれることは間違いない。さらに、仲間全員には「エッジとの相性度」というマスクパラメータが存在し、プライベートアクションによって変動していく。中には相性度が下がってしまうプライベートアクションもあるが、相性度が高ければゲーム中にさまざまな変化が現われる。カルナスで過ごすことになった際には、積極的に仲間に話しかけてみてほしい。
惑星間を航行するシーンでは、カルナスでの自由行動となる。ベッドで休むことで時間を進められるが、寝て過ごすのはあまりにもったいない。プライベートアクションが発生する可能性が高いので、仲間にどんどん話しかけよう | 複数のプライベートアクションが連作になっていたり、選択肢が出現するものもある。相性度が上がったキャラクターは、部屋割りでエッジと同室になることを受け入れてくれる場合も |
■ コレクションでゲームをより深く楽しもう!
メニュー画面から選べる「コレクション」では、これまでに取得した武器やモンスターなどの情報を確認できる。コレクションは「アーツ」、「スペースシップ」、「ウェポン」、「モンスター」の4項目に分かれ、条件を満たすことで更新されていく。ウェポンであれば、新たな武器を入手したり、武器を持つ人物と話すことで達成される。コレクションはどちらかと言えばやり込み要素に類するシステムで、本編を進めるだけなら完全に無視してしまっても構わないのだが、達成状況によって実益が生まれるものもある。それが「アーツ」と「モンスター」だ。
アーツコレクションはキャラクター1人につきNo001~100までの100個が用意され、戦闘中に個々の条件を満たせば戦闘終了後に達成できる。エッジを例に取ると、「撃破数100」、「必殺技で撃破」といった簡単なものから、「足技オンリー撃破」、「1人で30ヒット」など、ある程度のやり込みが必要なものまで達成条件は多彩だ。しかし、このあたりはまだまだ序の口。Noが進むにつれて難解な条件が増え、条件自体も伏せられているものが多くなる。
だが、一定数のアーツコレクションを達成すると、実績の解除とともにバトルボイスの追加などの隠し要素が解放されるのだ。プレイスタイルにもよるが、筆者の場合はこのおかげで自然にいろいろなキャラクターを触ってみようという気にさせられた。そこで初めて使ったキャラクターの強力な戦術に気づくなど、新しい発見も多々あった。とかくRPGでは操作するキャラクターが偏ってしまいがちだが、それをうまく解消しながら、やり込みのモチベーションを高めるうまい仕組みだと感じた。ただし、生半可なことでは完全にコンプリートはできない。これは、周回プレイの楽しみ(になるのか、はたまた……)に取っておこうと思う。
一方のモンスターコレクションは、戦ったモンスターのデータを参照できる図鑑のようなもので、戦闘回数に応じて「分析率」のゲージが伸びていく。分析率が100%になると、モンスターの特殊能力を受け継いだアクセサリを作成可能になる。強力なモンスターほどアクセサリの効果も優れている傾向が強いため、苦手なモンスターでも逃げずに戦って分析率を高めていきたい。
■ アイテムクリエイションでアイテムを創り出せ!
エッジたちの母船であるカルナスのミーティングルームでは、オペレーターのウェルチを通じて「アイテムクリエイション」を行なえる。これはレシピと素材からアイテムを作り出す、一種の合成システムだ。合成システムはRPGに限らず、多くの作品に取り入れられているが、本作の場合はメンバーの「発明」によって大部分のレシピを取得することになる点が、オリジナリティを高めている。
クリエイションに関するパラメータは鍛冶、料理、錬金など8つがあり、キャラクターによって得意なジャンルには偏りがある。レシピの開発は3人までのキャラクターを1グループとし、最大4グループに分けて会議を行なうことで進行する。注意点は、会議中は「パーティーSP」が少しずつ減少していくことだ。パーティーSPは、宝箱を開ける、採取を行なう、クエストを達成する、といったことで加算され、パーティー全員が使用できるSPとして最大9,999まで溜められる。アイテムクリエイションで消費するパーティSPは微量ではあるが、ゼロになると開発を行なえないので、使い切らずに多少は残しておこう。
レシピを効率よく開発するには、例えば装備品なら「鍛冶が高い順に3人」という具合にグループ分けをすると良質のものを閃きやすい。ただし、各キャラクターには「センス」というパラメーターがあり、一概に数値だけを見ていては開発できないレシピもある。いろいろなメンバーの組み合わせを試して、より多くのレシピを手に入れたい。新しい仲間が増えたときは、そのキャラクターを入れて新レシピの開発を試してみるといい。アイテムクリエイションをほぼ無視してもエンディングまでゲームを進めることは可能だが、クリエイションでしか入手できないアイテムは多岐に渡り、特定のタイミングでのみウェルチとのイベントが発生することもある。ゲームをより深く楽しみたいなら、積極的にミーティングルームへ立ち寄ろう。
レシピが判明したアイテムは、素材を用意すれば100%の確率で「作成」が成功する。稀に多くの個数を作成したり、性能が高いアイテムを生み出すこともある。また、装備品にはアイテムの効果を一定回数まで付加できる「合成」も可能。手間をかけたぶんだけ強化できるので、積極的に活用していきたい。
■ 人類の命運を担い、いざ星の海へ!
前項ではコレクションなどのやり込み要素について少し触れたが、全体のボリュームが気になる人もいるだろう。筆者の場合は終盤をやや駆け足で進めた結果、GALAXY(標準的な難易度)で約37時間でエンディングを迎えた。しかし、過去作を遊んだ人ならわかると思うが、トライエース作品は「クリア後が本番」と言えるほどにクリア後のやり込み要素が充実している。もちろん本作も例外ではなく、クリア後に初めて取得できる宝箱や、高難度の隠しダンジョンなど、豊富なお楽しみが用意されている。そんなわけで、37時間台のクリアデータは今や2倍以上のプレイ時間になっているのだが、「遊び尽くした」というには程遠い状況だ。クリア後はすべてのコレクションを引き継いだ状態で周回プレイに突入でき、より高い難易度も解放される。GALAXYに物足りなさを感じたプレーヤーは、コレクションの充実も兼ねて早めに2周目を始めてしまうのもいいだろう。
本作のゲームプレイを改めて俯瞰すると、全般的にはストレスや不満を感じる要素は極めて少なかった。ただ、上記のようなやり込みを目指す段階になって、初めて出てきた不満がいくつかある。ここは正直に書いておこうと思う。
まず、惑星移動時に発生するディスク2とディスク3の入れ替え。終盤は過去に訪れた惑星を自由に行き来できるようになるのだが、惑星ごとに収録ディスクが決まっているため、入れ替えを求められることがある。そう何度も惑星間移動を行なう必要はないものの、「特定のクエスト達成のために、異なるディスクのモンスターから素材を集める」という状況は結構発生する。加えて、アイテムクリエイションを行なえるディスクと場所も限定されていて、素材を集めてもカルナスまで戻るのも少々億劫に感じられた。この入れ替えは「New Xbox Experience (2008年11月に実施されたハードディスクへのゲームの取り込みなどを含めたファームウェアのアップデート)」の取り込み機能を使っても発生するので、本体の位置が遠い環境でプレイする人は気に留めておいてほしい。
また、終盤および隠しダンジョンの敵は非常にタフで、加えて敵のラッシュゲージがすぐに溜まるため、安全に攻撃できるチャンスが少ない。結果として1体の敵に対して、ラッシュコンボモードでの連携リンクコンボを何回も発動することになり、その長い演出が冗長に感じられた。それが毎戦闘ごとに続くようになると、戦闘自体は楽しいと感じながらも、エンカウントを極力避けながら探索を進めることになってしまいがちだ。個人的にはサイトアウト演出よりも、この連携リンクコンボの演出をカットする機能のほうが欲しかった。とはいえ、これはアイテムクリエイション等で強力な武器を入手することで緩和されていく部分ではある。
最後に少し揚げ足を取ってしまった感があるが、これもひとえに本作を骨の髄まで遊び尽くしたいからこそ見えてきた要素であり、依然として「この世界でもっと遊びたい」という欲求のほうが遥かに勝っている。日本人の感性で丁寧に作り込まれたRPGのファンであれば、安心して楽しめる高品質な仕上がりだ。トライエースの持てる力を惜しみなく注いだ最新作でありながら、シリーズの原点となる「スターオーシャン4-THE LAST HOPE-」。それは未来か、あるいは過去というべきか……宇宙開拓時代に想いを馳せて、星の海に身を投じてみてほしい。
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□トライエースのホームページ
http://www.tri-ace.co.jp/
□「スターオーシャン4」のページ
http://www.eternalsphere.com/so4/
(2009年 4月 25日)