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「ドラゴンズドグマ オンライン」、「シーズン1.2」インプレッション

禁断の錬金術の地へ……! 改善の余地はあるが、ポーン強化等でソロプレイも快適に

サービス形態:基本無料(アイテム課金制)

CEROレーティング:C(15歳以上対象)

 プレイステーション 4/3/Windows向けオープンワールドアクション「ドラゴンズドグマ オンライン(DDON)」の大型アップデート「シーズン1.2」が、12月15日より配信開始となった。

 「シーズン1.2」では禁じられた錬金術の土地「亡都メルゴダ」周辺の地域が新エリアとして登場し、新ジョブ「ウォリアー」の追加、既存ジョブの新スキル、新アビリティの追加、レベルキャップもレベル55に開放され、既存要素にもポーンAIの調整など“リファイン”を行なった。アップデート内容について詳しくはこちらをご覧頂きたい。

 そんな「シーズン1.2」を迎えた「DDON」を早速プレイしてみたので、どのような内容になっているのか、変更点はどのようなものになっているのかなど、インプレッションをお伝えしていこう。なお新ジョブ「ウォリアー」については先日実施された先行体験会で紹介しているので、参考にしていただきたい。

【「ドラゴンズドグマ オンライン」ウォリアー 紹介ムービー】
【「ドラゴンズドグマ オンライン」 シーズン1.2 アップデート 紹介ムービー】

新エリア「亡都メルゴダ」周辺へは、行くだけでも一筋縄には行かない道のり

 まず「シーズン1.2」で登場した新エリアへ行くには、一筋縄にはいかなかった。「ザンドラ禁域」というメルゴダ周辺の入り口とも言えるエリアへは、バートランド平原北部のエリアランクが6以上になれば北東の「フロックヴァルト大橋」が開放されて行けるようになる。

 ここまでは順調だったのだが、禁域の東にある「ザンドラ東部」へ行くには全く別の条件が必要となっていた。シーズン1.1のメインクエスト「命の行方」をクリアして、シーズン1.2で追加された新たなメインクエストを進める必要があったのだ。

 また、新たに追加されたメインクエストのひとつめはレベル45以上というレベル制限があったものの、肝心の新エリアである「ザンドラ東部」に到達するには、その次のレベル46以上という制限があるメインクエスト進行が条件になっていた。

ザンドラ禁域、ザンドラ東部へ行くには?
バートランド平原北部の北東にある「フロックヴァルト大橋」と、その先にある巨大で重々しい門。この門で錬金術の禁域は封じられていたのだが、ついにその道が開けた
こちらはバートランド平原にある「禊の神殿」。「ザンドラ東部」へ行くには、シーズン1.1までのメインクエストをクリア後に、新たに追加されたメインクエストでこの神殿の閉ざされた門を通らなければならない

 新エリア冒険の序盤の拠点となりそうなのは、「ザンドラ禁域」にある「標の祠」。ザンドラ禁域は険しい岩山が連なる土地で、覚者が進む道も、岩壁の上と、その下と、高低差のある2層構造になっている。モンスターはハーピーを中心に、大型モンスターもそこかしこに見られた。クエストが四方に分散しているので、レベル上げやエリアランク稼ぎは、それらクエストを巡るように回っていくことになりそうだ。

険しい断崖絶壁が広がるザンドラ禁域。まるで外部からの侵入者を拒むかのような、入り組んだ地形だ

 ザンドラ禁域から北へと進むと「メルゴダ護政区」の入り口があるが、この中に入るには何か条件が必要なようだ。また、その横には「大地の傷跡」という、大量の水が流れ落ちている巨大な穴がある。

禁域の北奥にある「メルゴダ護政区」。だが、メルゴダ護政区の扉は厳重に封印されている。その横の滝は「大地の傷跡」という名称の巨大な穴だ

 ザンドラ禁域より東へ行くと「ザンドラ東部」なのだが、禁域からの道中は岩で塞がれていて通れない。ザンドラ東部へ行くには、前述のとおりメインクエストの進行による別ルートから行くことになる。

 「ザンドラ東部」には拠点となるゾマの村があり、シーズン1.2の目玉のひとつと言える新ジョブ「ウォリアー」の習得試練を与えてくれるジョブマスターもここにいる。

 ジョブマスターがこうした条件の先にいるので、新ジョブ「ウォリアー」の取得はかなり後半になってしまっている。新ジョブ追加をきっかけにゲームに復帰する人もいると思うのだが、そうした人が実際にウォリアーでプレイを楽しめるのはかなり先になってしまう。ジョブそのものは、他の追加ジョブと同程度、もっと早めに楽しめるものでいいのではと思うのだが。

「ザンドラ東部」にあるゾマ村に、新ジョブ「ウォリアー」のマスターがいる。ザンドラ東部のエリアランクを上げることで、禁域との間にあるがれきが除去され、ウォリアーの習得試練にも挑めるようになる

錬金の秘術が眠る「亡都メルゴダ」へと至る、新たなメインクエスト

 エリア探索で前述のような事情があったこともあり、早速メインクエストを進めてみた。シーズン1.2で実装されたメインクエストは、まず、「ある人物との親密な会話」という一息つけるものが挟まれるのだが、その次のクエストでは一気にシリアストーンに。新たな冒険の予感を感じさせる内容へと入っていく。

 シーズン1.1でのメインクエスト終盤に起きた“ある出来事”がきっかけとなり、「白竜と黄金竜の戦い」、その過程で世界から消失した「黄金郷メルゴダ」。そして、薄暗い野心を抱き、全ての元凶となった存在の名……それらが初めて語られる。

 その話を胸に秘めつつ、ある場所へと赴いていった覚者たち。だが、そこにはまさに出発前の話にあった“錬金術”の生んだ異形の姿が……。ここから、黄金郷へと至る物語が動き始めていく。

語られる黄金郷メルゴダ、そして白竜と黄金竜の戦い。錬金術で栄え、今は亡き黄金都市での冒険が始まる
錬金術が生んだダムドゴーレム「黒鉄の巨人兵」。ダメージが入りづらく、ホーミングしてくる闇の弾や、範囲の広いブレスで攻撃してくる難敵。体に打ち込まれている“杭”を攻めるのがポイントだ

 シーズン1.2のメインクエストは、“錬金術”や“失われた黄金郷”など、より純ファンタジー色の強いキーワードが並んでいるほか、アップデート告知ページでは天空都市へと至るイメージイラストも掲載されているなど、これまで以上に冒険心をかき立てる舞台になっているのが好印象だ。天空都市には「行ってみたい!」と感じさせるだけの魅力がある。

 ただ、このメインクエストは新エリアに入れるようになるところから既にレベル46以上の制限になっており、新エリアの大部分が(ひいては新ジョブ「ウォリアー」もだが)、ヘビープレーヤーでもさらなるレベル上げが必須な点は気になるところだ。

 新エリアに行く前から、これまでのキャップレベル以上の制限がありレベル上げ必須というのでは、ヘビープレーヤーであっても、しんどさが先に立ってしまい、モチベーションが上がりづらいだろう。導入だけでももう少し緩めるなど、バランス調整を期待したいところだ。それによって新ジョブ「ウォリアー」も、もう少し楽に使えるようになってくれると、より良いのではないだろうか。

ダッシュ中のスタミナ消費が大幅改善! ……だが、変更された仕様には少々疑問も残る

左はアップデート前に白竜神殿レーゼからテル村へとダッシュした結果、右はシーズン1.2アップデート後に同じく走った結果だ。敵とエンカウントしないよう同じルートを走って比較したところ、アップデート後はテル村入口付近まで走れるようになっていた

 既存要素にも数多くの“リファイン”、いわゆる修正がされているのもシーズン1.2のポイントだ。なかでもまず注目されるのは「ダッシュ中のスタミナ消費」だろう。

 ダッシュからのジャンプ攻撃やつかみでスタミナ消費を消す、いわゆる“覚者走り”は効果が得られなくなったが、その代わり非戦闘時のダッシュによるスタミナ消費量そのものが以前の半分になった。これまでよりも長く走り続けられるようになっている。

 アップデート前に白竜神殿レーゼからテル村へと敵を避けつつスタミナが尽きるまで走っておいたので、アップデート後にも同じように走ってみたところ、アップデート前だとテル村への道中の丁度半分ぐらいでスタミナが尽きていたのだが、アップデート後はテル村入口付近なところまでたどり着けた。ただし、これは非戦闘時に限られ、エンカウントしてしまうと大幅に結果が異なる。

 なお、スタミナの調整内容については、“ダッシュ中にジャンプすればスタミナが微量回復する”という変更も入っているのだが、その回復量よりもジャンプそのもののスタミナ消費が多く、結果としては普通にダッシュし続ける方が消費が少なく済む。

 ……というのがシーズン1.2実装直後の状況だったのだが、このダッシュ関連要素については、12月24日のアップデートで修正が入った。

 まずダッシュ移動時のスタミナ消費量は白竜神殿レーゼからテル村までレベルが低い状態でも走り続けて辿り着ける程度になっているほか、ダッシュジャンプ時のスタミナ消費量がシーズン1.1時点の半分になっている。これに伴って、ダッシュジャンプ中のスタミナ回復は廃止となっている。

ポーンAIが強化され、積極的な攻撃&ゆさぶりをしてくれるように

 リファインのひとつ“ポーンのAI(人工知能)の調整”では、「全体的に攻撃頻度を上昇(平均して2倍程度)させました」という調整がされており、ポーンがかなり活躍してくれるようになった。以前よりも遥かに積極的に攻撃行動を取ってくれる。

【シーズン1.2 「ポーン」リファイン紹介動画】

 また、ポーン命令に「ゆさぶり命令」が追加され、これを指示するとモンスターにしがみついて揺さぶってくれる。これも命令後は積極的にしがみついてくれて、スタミナをぐいぐい削ってくれる。モンスターが怒った時の黄アイコンや赤アイコンの攻撃にもしっかりと反応して離れてくれる。

 とはいえ、まだまだポーンの挙動にやきもきさせられるところもあるし、攻撃頻度が高まっているぶんシールドセージのポーンは逆に戦闘不能に陥りやすくなっているところもあるのだが……それでも今回のアップデートで「これならポーンとのパーティーで遊べるな」と、だいぶ思えるようになった。

 ポーンのAIについては今後も調整していくということなので、さらなるブラッシュアップを楽しみにしたいところだ。

「ゆさぶり命令」をすれば、ポーンが大型モンスターに即座にしがみつき、ゆさぶってくれる。回避行動もしっかり行なってくれるし、非常に実用的だ

着飾り装備で、装備の見た目だけの変更が可能に

 身に着けている装備の“外観だけ”を変更する「着飾り装備」も追加されている。こちらは通常の装備品同様に、見た目の変更だけの装備を一式装備できるようになっており、細かな見た目変更が可能になっている。なお、着飾り装備に使えるのは“装備可能ジョブの装備品”に限られるものの、装備レベル制限は関係なく使える。デザイン重視で好きな装備を選べるようになっていた。

「レスタニアの着飾り美人」というクエストを達成すれば「着飾り装備」が可能に。見た目重視のコーディネートが可能になった

その他にもリファイン要素(調整)が多数あるものの、まだまだ改善の余地も

 その他にもリファインされたところは数多くあるのだが、「クイックパーティー」においては、エリア指定のみのマッチング募集がなくなり、エリア選択後にスポットも指定するという手順になった。

 ただ、これは一長一短なところがあるように思える。エリア内の様々なスポットを巡るようなプレイをする人もいるし、同じエリアが目的の人同士でも指定しているスポットが異なるためマッチングされないということも起きるのではないだろうか? エリアとスポットを指定するものと同時に、アップデート以前にあった目的のプレイエリア指定で広くできる項目もあったほうがいいのではと思える。

 また、クイックパーティーで“リーダーを自分がするかしないか”を決めるというチェックボックスも追加されたのだが、こちらもやはり一長一短に思える。リーダーを率先してするという人は根本的に少ないだろうし、リーダー希望者が不在だとパーティーのマッチングがなかなかされない、という状況も生まれてしまうのではないだろうか。リーダー希望者を中心にマッチングしつつ、いなければ以前のように組まれるという方式になっているといいのだが。

クイックパーティーの仕様が変更されているのだが、今回の変更は一長一短なところがあるように思える。画像のパーティーリーダー希望チェックも、逆にリーダーを希望しないマッチング待ちのプレーヤーを増やしてしまうのではないだろうか

 アイテム整頓の項目が移動しているという変更点もある。従来の「せいとん」コマンドのボタンには「複数選択」というアイテムを複数選ぶ機能が割り当てられていて、アイテム整頓は「いずれかのアイテムを選択したあとのメニュー」に移動されている。筆者も最初は「せいとん」機能そのものがなくなったのかと混乱したのだが……これはPS4/3版で言うところの△ボタンに割り当てればいいのではないだろうか。整頓機能も頻繁に使うものなので、ぜひ改善して欲しいところだ。

アイテム整頓のコマンドが、アイテム選択後のメニュー内へと移動していた。「せいとん」は頻繁に使う機能なので、割り当ての空いているボタンに振ってもらった方がいいかもしれない

残念ながら“改善の余地も感じられるアップデート”に。 良い改善もあるので今後は堅実な進化に期待

 シーズン1.2の新エリアを見て回りつつ、新要素やリファインされた要素をチェックしてみたのだが、新エリアはまだしも、新ジョブの「ウォリアー」がキャップレベル付近&これまでのメインクエスト終了済みな高レベルプレーヤーでないと取得できないものになっているなど、ユーザーの期待とは食い違っているように思えるところがあった。特に、新規ユーザーや復帰ユーザーに向けた新しいモチベーションにはなっていないところは残念だ。

 ダッシュ中のスタミナ消費の件など調整された項目においても、まだうまく昇華されておらず、改善の余地がある印象を受けた。クイックパーティーの仕様やアイテム整頓機能の移動など、もう一歩練り込んで欲しかったというものが多い。

 アップデート導入のメンテナンスがだいぶ延長されたことや、翌日にメインクエスト進行不能などのクリティカルな不具合を修正する緊急メンテナンスが行なわれた件なども加味すると、全体に“少々急ぎすぎているアップデート”という印象を受けてしまった。リファインを重ね少しずつ良いゲームに変わってくれることを期待しているユーザーも多くいるはずなので、ここはひとつ無理をせず、堅実な進化を期待していきたいところだ。

(山村智美)