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3DS「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-」体験版プレイレポート
「陪審バトル」をプレイ! 本作がいかに“大”なのか見えてきた!
(2015/6/11 10:00)
カプコンより7月9日に発売される「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-」。ゲームファンにはお馴染みの人気シリーズの新プロジェクトとなる今作では、物語の舞台を19世紀末の日本と倫敦(ロンドン)に移し、シリーズ作品未プレイの人でもすんなり入っていける新たなタイトルとなっている。
筆者は今年の1月に、主人公の成歩堂龍ノ介がシャーロック・ホームズと共に事件を推理していく「共同推理」を体験プレイしてプレイレポートを書いたのだが、今回は英国大法廷で巻き起こる「陪審バトル」をプレイさせて頂いた。
そもそも筆者、今作では「なぜタイトルに“大”をつけたんだろ。何か言葉を足したかったのはわかるけど、大英帝国が舞台だからかな?」と、“大”というキーワードに疑問を持っていたのだが……、今回プレイさせて頂いたことで「今作がいかに“大”逆転裁判なのか」がわかってきたように思える。
そうしたところを含めつつ、「陪審バトル」の魅力をお伝えしていこう。
英国での初法廷でいきなり大ピンチ! そこから“大逆転”する「陪審バトル」!
陪審員の存在が法廷をより激しく! 動きのあるものへ進化!
プレイしたシーンは「第3話 疾走する密室の冒險」の一部分。主人公である「成歩堂龍ノ介」とヒロインである「御琴羽 寿沙都(みことば すさと)」の2人が、大英帝国の倫敦(ロンドン)での法廷に弁護士として初めて立つことになるという場面だ。
英国紳士「コゼニー・メグンダル」氏が遭遇した、「乗合馬車」での殺人事件について法廷が開かれるという。それにしてもコゼニー・メグンダルというその名前からしてツッコミどころ満載であり、「『小銭恵んだる』さんって、そんな(笑)」と笑ってしまう。良い人風な容姿と、名前の鼻につく金持ち感のギャップも楽しい。
今回プレイして印象的だったのは、そうした登場人物のネーミングだ。プレイした法廷パートには陪審員が6人に加えて証人も一気に3人出てきたりと登場人物が多いのだが、その1人ひとりに個性があり、ツッコミどころがあり。人の数だけ「逆転裁判」らしいユニークさが引き出されてくるといった状態であり、筆者はそのひとつひとつにツッコミつつ遊んだものだから、プレイがなかなか進まないという有様だった。
さてさて。この英国での法廷では、「陪審員」の存在が判決の鍵を握る。一般市民から無作為に選ばれた陪審員は6名いて、名前を伏せて「1号」から「6号」までの番号で呼ばれている。審理を見た彼らがコゼニー氏を有罪とするのか、はたまた無罪とするのか。判決に大きく影響する。
6人が名前を伏せて登場するというと「誰が誰だか分からなくなっちゃうんじゃない?」と思うかもしれないが、陪審員は見た目も動きも、そして発言もユニーク。すぐにニックネームをつけられるぐらいに個性がある。
ちなみに筆者が勝手に命名したのは、1号から順に、「ホームベース顔」、「委員長メイド」、「多分、名前はジャックな危ない兄ちゃん」、「タイプライターガシャガシャカシーン」、「緑のヒゲ親方」、「ぽたぽた焼き風おばあちゃん」。こんな感じにパッとあだ名が決まるぐらいの個性があるから、登場人物が多くたって大丈夫。すぐ頭に入る。
そんな個性的な陪審員が見守るなか、龍ノ介と被告人を追い詰めるのは……“死神”の異名を持つ検事「バロック・バンジークス」だ。青白い顔色に冷たく光る視線。まさに死神といった雰囲気であり、マントをひるがえす姿にはドラキュラのようなテイストも感じるところも。
「逆転裁判」好きとしてさらに言えば、「やっぱり検事はヒラヒラなんだな! 伝統だな! いやむしろこれが本家だな!」とも思う出で立ちだ。
なお、バンジークス検事は英国の法曹界に知らぬ者のいない、伝説的な検事ということなのだが、ここ5年の間は法廷には立っていなかったという。そこにもなにか秘密が隠されていそうだ。
理路整然と事件のポイントを語っていくバンジークス検事。その流れからまずは事件を目撃した証人が呼ばれるのだが……。現われた証人はなんと3人まとめて! 3人ともが事件の瞬間を目撃したというのだから、早速どうにもならない大ピンチを感じる。
なお、証人が3人まとめて登場するというと「3人のムジュンを見つけなければいけないの? 今までの3倍大変じゃない?」と思ってしまうかもしれない。だが、3人の証言はひとつの流れ、今までのシリーズ作で言うところの1人分で展開されていく。労力や複雑さは増していないし、むしろ、他の人の証言を聞いて、後の人が事件当日を思い出しながら話しているようなライブ感が加わっていて、よりわかりやすいのだ。
証言に「待った」をかけて揺さぶったり、法廷記録と証言とにムジュンがあったら「つきつける」のはシリーズ作でお馴染みのもの。そこからムジュンを見つけていこうと、とりあえずは全部揺さぶってみようと「待った」をしまくっていると……。
画面は陪審員側に突然変わり、陪審員3号が「俺の意見は決まったぜ!」と有罪の評決を入れてしまった! それに呼応するように他の陪審員も次々と有罪の票を入れてしまう。ここがチャンスと感じたのか、バンジークス検事も被告人が不利になるような証拠を提出。それを見て、まだ票を入れていない陪審員も何かひそひそ話をし始めている。
全体を通してそうだったのだが、今作では法廷内の動き“ライブ感”がかなりパワーアップしている。意表を突くタイミングで誰かが発言し始め、裁判の流れがぐいぐいと変わっていく。それも、陪審員なら6人まとめてみたいなシステマチックに変わるのではなく、ちゃんと1人1人が考えたすえに自分のタイミングで反応する。そういう生々しさがあるのだ。
証言を聞けば聞くほど、揺さぶれば揺さぶるほど、陪審員の気持ちは有罪へ確信を高めていく。じわりじわり、1人、また1人と有罪の票が増えていく。陪審員の1人1人にも性格がちゃんと見えてくるものがあるなぁ、うまく描写されているなぁ……。
そんなことを思っているうちに、なんと6人全員が、有罪に票を入れてしまった!
頭をかかえて突っ伏してしまう龍ノ介!
勝利を確信してワインを飲み始めるバンジークス検事!
検事のファンなのかその献杯姿に興奮するサイバンチョ!
検事だけでなく、陪審員にまで「もう有罪で決まり!」と追い詰められるピンチ…いや大ピンチ。だがここから……“逆転“、いや“大逆転”していくのが本作のポイント!
本をめくるときの「ペロ舐め」にこだわりの感じられる寿沙都さんによれば、ここから「最終弁論」を行なう権利が弁護側にはあるという。
この最終弁論が「陪審バトル」のポイント。陪審員それぞれに「なぜ有罪と感じたのか」を聞き、そこからムジュンを、逆転の糸口を探っていく。
上画面には話を聞いている陪審員の意見が、そして下画面には他の陪審員の言葉があり、左右で切り替えていける。それを見比べていくと……おや、その考えはこの事実と違っているのでは! と思うものが。
ちなみに、この時にも「ゆさぶる」ことでより詳しく意見を聞き、龍ノ介と寿沙都さんのヒントになるような考えが聞ける。
そしてムジュンを見つけたら他の陪審員の発言を「ぶつける」! こちらの人はこう言ってますけど……的に指摘すると、陪審員同士の意見の「ぶつかりあい」が始まる!
有罪の確信を持った話にムジュンがあったことに驚き悩む陪審員!
これはどういうことですか! と跳ね上がるサイバンチョ!
ここだと言わんばかりに指を突きつけて“追求“する龍ノ介!(とBGM!)
そして……考えあぐねたすえに陪審員の1人がついに有罪の票を取り消した! これでまだ裁判が続けられる! 今度はそのムジュンについてもう1度証人の話を聞いていくのだが……と、そこにはなんと新事実が!
ネタバレを押さえてここまでにするが、こんな感じに陪審員の言葉、心の揺れ動きが、ライブ感たっぷりに入ってきて、大ピンチを迎えてからの大逆転が巻き起こる。じわじわと追い詰められたところから、じわじわと形勢逆転へ進み、それを楽曲がシンクロして盛り上げていく。
陪審員の心を変え、それがきっかけとなって連鎖反応的に状況がくつがえっていくカタルシスは、シリーズ作にはなかった面白さ! オセロでかなり追い詰められてから、相手の石をたくさんひっくり返したときのような気持ち良さだ。
この後はさらに3人の証人の話を聞いていくのだが、ここにも新しい要素がある。それは「証言を聞いて、他の証人が何か反応する」というものだ。
他の証人が発言中に、隣の証人が大きく体を動かし吹き出しマークが出現! 証人が発言中でも他の証人に画面を動かすことができ、様子がおかしい証人に「ちょっと!」っと「といつめる」ことができるのだ。
証言中ではなかったところに問い詰められた証人は、慌てて感じたことを話しはじめ、発言中だった証人もまた、その意見に対して言葉を返す。それが証言に加わると……、そこには新たなムジュンの兆しが!
そこを前のめりの姿勢で追求する龍ノ介!
またしても飛び上がるサイバンチョ!
傍聴席の民衆も騒ぎ始める!
そして事件はここから、またしても予想外な展開へと進んでいきそうだったのだが……。今回プレイしたのはここまで。以前に「共同推理」パートを体験プレイしたとき同様に、「え、もう終わり!? ちょっと、もうちょっと遊ばせてよ!!」と思わず言いたくなる良いところで終了となった。
ちなみにプレイ時間は細かに内容を吟味しつつプレイして、ここまでで約2時間ほど。ここからも二転三転と展開が変わり予想外な方向にも行きつつ……と、1話あたりのボリュームもかなりあるようだ。
陪審員や証人の意見や動きが加わり、よりライブ感たっぷりに!
複雑さはなく、テンポ良くセンスを楽しめる
今作では他にも、「動きの豊かさ、カメラワークで魅せる面白さ」が見所。
龍ノ介だけを見ても、自信がないときには眼が泳いでいたり(ちゃんと黒目がキョロキョロ動く)、口元の細かな角度までちゃんと変わったりと表情豊か。ここぞという場面では法廷を歩きながら弁論したり、机に前のめりになったりと、動きで感情をみせている。
カメラワークでも龍ノ介の背後越しに陪審員席へ指をつきだす見せ方があったり、バンジークスの顔へとゆっくりパーンしてアップになっていったり。カメラワークでみせる面白さもたっぷりだ。
それでいてくどくはなく、テンポは非常にいい。これまでだと静かに展開していた、例えば「ゆさぶる」の場面などでも、証人や陪審員など「誰かの反応」がバシバシと入ってきて、動きも表情も、カメラワークも、そして展開そのものもテンポよく、キビキビ、ビシバシと進んでいく。
随所のユニークさは思わず画面にツッコミを入れてしまうような面白さだが、そのプレーヤーのツッコミをしっかりと龍ノ介くんがシンクロして言ってくれるのがまた気持ちいい。
前回の体験プレイでは最後に、「今までの逆転裁判とは違う! でも、感触はものすごく『逆転裁判』してる! 」と書いたのだが、今回のプレイを終えてみると「感触はものすごく『逆転裁判』してる! でも、もっと臨場感があって展開もダイナミック! なるほど、これは『大』だ。『大逆転裁判』だ!」となった(大げさだけど)。
ようするに「逆転裁判」らしい、ひいてはディレクターの巧舟氏らしいセンスが連続して次から次へと出てくる。そのテンポ、密度、広がりがすごくパワーアップしている。
それでいて複雑なわけではなく、むしろ現在進行形で変わっていくライブ感が展開をわかりやすくしている。そのあたりの上手いまとめかたも含め……まさしく“大”とつけるのがふさわしい、「大逆転裁判」だった!
なお、以前にプレイレポートをお届けした「共同推理」は、6月3日よりニンテンドーeショップにて体験版が配信されている。全国のお店でも試遊できるそうなので、レポートをご覧頂きつつ、プレイしてみてはいかがだろうか。
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