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SCEJA、SCEJA Press Conference 2014 Asia Sessionを開催
アジアでも過去最速ペースで普及が進むPS4。ローカライズ込みで世界同時発売体制を構築
(2014/9/17 22:34)
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)は9月17日、アジアのメディアや流通関係者を対象にしたプレスカンファレンス「SCEJA Press Conference 2014 Asia Session」を開催し、ホリデーシーズン向けのタイトルを中心に今後のラインナップを発表した。
「SCEJA Press Conference 2014 Asia Session」は、東京ゲームショウに合わせて来日するアジアのメディアや流通関係者向けに毎年開催しているカンファレンス。以前は東京ゲームショウ会期中にホテルの会議室を使って開催されていたが、SCE Asia(現SCEJA)の展開地域の拡張に伴って年々規模が拡大。今年はSCEJA本社の17階の大会議室一杯になるほど関係者が集まった。
発表会にはSCEグループCEOのアンドリュー・ハウス氏や、9月1日にSCEJAプレジデントに就任した盛田厚氏も出席し、盛田氏は英語で挨拶も行なった。発表会の進行は、アジア担当のSCEJAバイスプレジデント織田博之氏が担当し、数多くのアジアの言葉でにこやかに挨拶を行なった後、すべて英語で進行していった。
昨年のカンファレンスでは、まさかのPS4アジア先行発売というサプライズ発表が行なわれ、最前列の台湾メディアが嬉しさのあまり泣き出し、日本のゲームファンが悲嘆に暮れるというちょっとした出来事があったが、今年はアジアの主要国・地域で唯一正規販売されている次世代機という先行者の立場を活かすべく、日本向けに勝るとも劣らない充実したタイトルラインナップを披露し、アジアのメディアを喜ばせた。
発表内容は、9月1日に日本で開催された「SCEJA Press Conference 2014」で発表されたタイトルを中心に、発売時期と共に、中文版やハングル版を正式発表するというもので、「龍が如く0 誓いの場所」(セガ)や「バイオハザードリベレーションズ2」(カプコン)といった大型タイトルについては担当者からのプレゼンテーションも実施された。
発表会の冒頭では、アジアの概況が説明された。例によって具体的な数字は発表されなかったものの、PS4は、アジア先行発売や多くのローカライズタイトル、バンドルパックの投入などにより、PS2やPS3と比較しても倍以上のペースで売れていることや、PS VitaもPS4の投入後、セールスが25%以上拡大したことなどを報告、年々増加傾向のローカライズタイトルについては、2013年度で44タイトルで、今期はその数を上回るペースでリリースされつつあり、ついにローカライズタイトルが過半数に達する見込みだという。
なお、「SCEJA Press Conference 2014」で話題を集めたProject Morpheus向けタイトル「サマーレッスン」は、まだアジア向けの情報を出すには時期尚早として、Project Morpheusごと発表が見送られていた。ただ、開発元のバンダイナムコゲームスやチームリーダーの原田勝弘氏は、「鉄拳」シリーズをはじめ、アジア向けのタイトルも数多く手がけており、「サマーレッスン」がアジア展開される可能性は非常に高いと言える。
今年の発表会は、昨年のPS4アジア先行発売のように、大歓声が挙がるようなサプライズ発表は行なわれなかったものの、日本のメディアから見ると、日本と同時発売や、アジア先行発売、世界同時発売など、日本を上回るスピードでのリリースが次から次に発表されるなど、名実共にアジアの時代が到来しつつあることを強く実感した。
かつてはアジア展開が発表されるだけで、会場がどよめいたものだが、今ではアジアのユーザーにとって、日本や欧米の大型タイトルがアジア展開されるのは当然になっており、中文繁体字にローカライズされるのも当たり前になりつつある。今回加えて言えば、中文繁体字とハングル版の同時展開が目立って増えていたのが印象的だった。その理由は、韓国でPS4が大きな成功を収めていることがあるという。
といっても、PS4に関しては韓国だけが突出してヒットしているわけではなく、アジア地域で満遍なく成功を収めているという。ただ、韓国を担当するSCEKは、PS3のローンチ後、大きなリストラを実施し、流通を抜本的にてこ入れするなど、体制を大幅に入れ替えたため、台湾を担当するSCETのように、次から次に大型タイトルのハングル版を提供するという流れを生み出すことができなかった。
現在は、SCEK内にローカライズチームも整え、ハングル版を世界同時発売を行なう体制が整っており、今回の充実した発表となったようだ。これを受けてSCEKは、韓国釜山で開かれているゲームショウG-STARにも3年ぶりに出展する方針を固めており、ハングル版タイトルを揃えてPS4を大きくアピールする方針だという。
ちなみに今回の発表会でもっとも盛り上がったのは、上記の日本タイトルの発表ではなく、「Grand Theft Auto V」だ。トレーラーが流れた瞬間、どよめきがあがり、発売日が北米と同じ11月18日で、しかも英語/中文繁体字/ハングルの3カ国語対応であることが発表されると大きな歓声があがった。「GTAV」はアジアだけで100万本以上のセールスを記録しており、PS4版の期待も大きいようだ。
近年、欧米のタイトルは、日本よりアジア先行で発売されるケースが増えている。理由は簡単で、日本とアジアでは、ゲームの完成から発売までのプロセスや、表現に関するレギュレーションが異なるため、日本より簡易なプロセスで発売できるアジア版のほうがどうしても早くなるためだ。こればかりは良し悪しではなくルールなので、現場の努力だけではどうにならない問題だが、アジアでは、PS4で世界と同時期に最新タイトルが現地語で遊べる環境が整っているのは厳然たる事実で、コンテンツの面でもアジア黄金時代が到来しつつあるといっても過言ではない。
また、「GTAV」と合わせて発表された「The Evil Within」(ベセスダソフトワークス)も日本より早い10月18日発売予定。しかも、アジアではPS4/PS3独占販売(タイムエクスクルーシブ)となる。Xbox Oneは、アジア地域で9月以降順次発売されつつあるが、PS4の牙城を崩すのは容易ではないといった印象だ。
アジア発のタイトルとしては、韓国BlueSideの「Kingdom Under Fire II」と、台湾IGSの「三国戦紀(Knights of Valour)」の2タイトルを発表。いずれもPS4専用タイトルとして基本プレイ無料のビジネスモデルでグローバルに展開していく。リリース時期は「Kingdom Under Fire II」が2015年夏。「三国戦紀(Knights of Valour)」が2015年春となる。
「Kingdom Under Fire II」は、2010年にG-STARで発表されたタイトルで、当時はPS3向けの予定だった。「三国戦紀(Knights of Valour)」は、台湾アーケードゲーム大手のIGSの人気アーケードゲームの最新作。「天地を食らう」(カプコン)の影響を強く受けたベルトスクロールアクションゲームで、オンラインゲームとして蘇らせるという。
そして最後に紹介されたのがインディーズタイトル。日本のタイトルのみならず、台湾やシンガポールで開発されたタイトルも紹介され、SCEのインディー向け施策早くも奏功している様子が窺えた。中でもシンガポールで開発されているアクションゲーム「One Upon Light」は、英語/中文繁体字/ハングルに加えて、タイ語やインドネシア語にも対応しており、近未来のゲームを覗き見したような気持ちになった。
今回発表された多くのタイトルは東京ゲームショウでも出展される予定となっている。日本や欧米のタイトルのみならず、アジアのタイトルにも触れてみてはいかがだろうか。