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MSI、GeForce 800Mシリーズ搭載ゲーミングノートPCを正式発表

最上位のGTX880Mから840Mまで、新モデル「GS60」を含む4種14モデル展開

3月11日開催

 台湾MSI(Micro-Star International)は3月11日、NVIDIAの新型GPU「GeForce 800M」シリーズを搭載したゲーミングノートPCに関する記者発表会を開催した。ラインナップは4シリーズ、14モデルにも及び、ハイエンドモデルGT60/70シリーズを皮切りに、本日3月13日より順次日本での発売を開始していく。価格は120,000円前後より。

最新最速のノート向けGPU「GeForce 800M」シリーズ採用ゲーミングノートPC

挨拶を行なうMSIのDoria Chen氏
MSIのゲーミングPCブランドは、ここ1年でASUSやALIENWAREを抜いて1位になったとしている
「GeForce 800M」シリーズについて解説を行なうNVIDIA Japanマーケティング本部部長 林憲一氏

 MSIのゲーミングノートPCブランド「Gシリーズ」は、同社の中でも急成長を遂げている好調な分野のひとつで、同社調べでは、昨年1年間のゲーミングブランディングの評価は、ゲーミングノートPCの分野で台湾最大手のASUSをも上回ったという。

 こうした追い風を受けて、ついに日本でも発表会が開かれる運びとなった。発表会には今回発表するゲーミングノートPCの大きなセールスポイントとなるGPUを提供したNVIDIAを皮切りに多くのパートナーが参加。スポンサーシップ契約を交わしているプロゲーマー集団Galacticもゲスト参加するなど賑やかな発表会となった。

 今回発表されたMSIの2014年度のラインナップでは、既存シリーズのGT、GE、GP、GSの4つのシリーズがすべて刷新されるほか、新モデルとなる「GS60 Ghost」が新たに追加された。共通点としてはすべてのモデルにGeForce 800シリーズが採用され、搭載ハードウェアや内蔵ソフトウェアに新機能が導入される。ゲーミンググレードの「G」シリーズらしく、ゲームに特化した機能を詰め込んだゲーミングノートPCとなっている。

 発表会では、MSIでノートPC部門のDirectorを務めるDoria Chen氏のウェルカムスピーチの後、NVIDIA Japanマーケティング本部部長の林憲一氏が挨拶を行なった。

 林氏は、GeForce 800Mシリーズについて言及する前に、PCゲーミング市場について解説を行った。林氏は、PCゲーミング市場は巨大であり、年間の市場規模にして250億ドル(約2兆5,000億円)ほどで、なおかつ年平均の成長率は8%と、高い成長を見せている有望な分野だという。これは他分野と比較すると、映画産業とほぼ同等規模となる。

 それとリンクする形で好調を維持しているのが、ゲーミングノートPCの分野だ。ノートPC全体の売上が低下傾向にある中で、ゲーミンググレードのノートPCは今現在も成長傾向にある。その理由について林氏は、ゲーミングノートPCの“分厚くて重い”という過去イメージから一転し、現在は薄くて軽いものを含めて選択肢が豊富になってきたことを挙げた。また、1080p以上の高解像度に対応したAAAタイトルが豊富に揃っていることも挙げ、ゲームプラットフォームとしてのゲーミングノートPCの利点をアピールした。

 そしてMSI「G」シリーズに採用されているノート向けの新型GPU「GeForce 800M」シリーズについての説明に移った。まず、今回のMSIの全モデルには、「GeForce Experience」がプリインストールされる。「GeForce Experience」は、GeForceユーザーならご存じのように、GeForce 400シリーズ以降を対象に、各種サービスを提供しているサポートツールで、これまでもノートPCでも利用できたが、機能は限定されていた。

 今回「G」シリーズに搭載される「GeForce Experience」は、「GeForce 800M」シリーズに合わせてノートPC向けにカスタマイズしたもので、ゲーム設定の最適化やドライバーの自動アップデートといった基本サービスの提供に加えて、これまでデスクトップ限定だったShadowPlayがノートPC向けにも開放されるほか、ノート向けの新機能「Battery Boost」機能が利用可能となる。

 「Battery Boost」は、従来のNVIDIA OptimusによるノートPCのGPU利用を最適化し、バッテリー寿命を伸ばしてくれるテクノロジーとは別のもので、ゲームプレイ時のバッテリー使用を最大で2倍まで伸ばしてくれるというテクノロジー。NVIDIA Optimusと同様に完全に自動化され、バックグラウンドで動作してくれる。バッテリー駆動でPCゲームというのは、これまであまり現実的ではなかったが、「GeForce 800M」シリーズからはその常識に変化が生まれるかもしれない。

【PCゲーム市場】
NVIDIA林氏によれば、世界のPCゲーム市場は年8%の成長を持続しているという

【「GeForce 800M」シリーズの特徴】
基本的には「GeForce 800M」シリーズからデスクトップ限定だった機能がノートPCにも開放され、さらにノートPC独自のバッテリー節約機能が新たに付与される

GPU以外にもハード/ソフトの両面でゲーミンググレードを追求した「G」シリーズ

今回のラインナップ
愛称が付けられる
各モデルに搭載されるGPU一覧

 各パートナーの挨拶の後、MSIプロダクトマネージャーMarc氏による新「G」シリーズラインナップの解説が行なわれた。

 2014年度のGシリーズはまさに攻めの姿勢が明確なラインナップとなっている。ハイエンドのGT、ミドルクラスのGE、コストパフォーマンス重視のGP、そして新モデルが追加となった“世界最薄・最軽量のゲーミングノート”を謳うGSの4シリーズ14モデルの全モデルに「GeForce 800M」シリーズをいち早く搭載するなど、AAAクラスのPCゲームがキチンと動作することにこだわったゲーミングノートPCとなっている。

 実はこの4シリーズのほかに、AMDのCPU/GPUを採用したGXシリーズも存在し、既存のAMD Radeon R9-M290X搭載モデルに加えて、未発表のAMD Radeon R9-M295Xの発売もラインナップに含まれており、徹底的にゲーミンググレードにこだわったブランドであることがわかる。

 全モデルとも、“シンプル・高級感・高品質・屈強”というイメージを体現させた「Dragon Army」の筐体デザインを新採用しているほか、GTシリーズにはDominator、GSシリーズにはStealth(GS70)やGhost(GS60)といった愛称を付与し、PCゲーマーが好むクールなイメージを全面に押し出している。

 採用GPUは、GTシリーズが880M/870M、GSシリーズが870M/860M、GEシリーズが860M/850M、GPシリーズが840Mとなっている。各GPUのパフォーマンスについては細かいデータについては明らかにされなかったが、3DMk11で、700シリーズ同クラス比でそれぞれ20%程度のパフォーマンスアップを実現しているという。

【MSI「G」シリーズラインナップ】

「G」シリーズに搭載されている独自機能
SteelSeries Engine
Xsplit Gamecaster
Xsplit Gamecasterは半年無料で利用できる
各シリーズの搭載機能一覧

 以上が、各モデルの概要となるが、筐体やGPUの刷新だけで終わらないのが、MSI「G」シリーズの大きな特徴となる。ハード、ソフト両面においてゲーマーが望む機能を貪欲に取り込んでいるのだ。

 まず、キーボードについては、定評のあるSteelSeries製ゲーミングキーボードを今回も採用しながら、さらに今回新たに新ツール「SteelSeries Engine」を搭載。これにより、全キー(正確には85%に相当する74キー)のカスタマイズや、カスタマイズ設定を4つのレイヤーに保存してワンキーで切り替えたり、マクロ設定のログファイル化して共有したりなど、ありとあらゆるキーカスタマイズが可能となり、ライバルと差別化できるとしている。

 次にPCゲームのみならず、ゲームコンソールの分野においても基本機能となりつつあるゲーム映像のLIVE配信機能については、先述したGeForce 800MシリーズによるShadowPlayのほかに、Splitmedialabsが提供する動画配信サービス「XSplit Gamecaster」をプリインストールし、かつ6カ月間の利用権(49.9ドル相当)を同梱する。「XSplit Gamecaster」により、直感的なUIを使って、最小限のCPU/GPU利用率で、ゲーム映像を録画しながら、同時にTwichを通じて生配信が可能となる。

 そのほかにも、ストレージには通常のSSDの転送速度500MB/sの3倍のスピードを誇る「SuperRAID 2」、液晶モニターにはフルHDの2Kを超える3K(2,880×1,620ドット)水準の高解像度モニターの採用、4K(4,096×2,160ドット)水準のHDMI外部出力、Killerのネットワーク技術「DoubleShot」の採用等々、あらゆるパーツにゲーミンググレードを採用している。

 最後に紹介された新モデル「GS60」は、MSI台湾本社レポートでも紹介した、新設計の筐体によりゲーミングノートPCとして世界最薄・最軽量を更新したという、MSIの意欲作だ。現在ドイツで開催されているCeBIT 2014では、実機が披露され、“3K液晶&未発表NVIDIAGPU搭載ウルトラゲーミングノート”として話題を集めている。

 ボディに採用されているのは、NASAのロケットにも採用されているマグネシウム・リチウム合金で、これを贅沢に全面採用することで、かつてない薄さと強度を実現したという。この結果、GeForce GTX 870Mという、ハイエンドクラスのGPUを搭載しながら、厚さは19.95mm、重量は1.9kgという魅力的なスペックを実現している。

 そのほかにも、外部2画面に出力して計3画面でPCを利用できるMatrix Display機能や、WiFi経由でTVモニターにPCの画面を映すMiracast機能など、モバイル利用を前提とした独自機能も充実しており、今年イチオシモデルとなりそうだ。GS60は、5月頃の発売を予定し、価格は改めて発表するとしている。

【「G」シリーズ独自機能】

【「G」シリーズ独自機能】

(中村聖司)