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SCEJA、河野弘プレジデントインタビュー

予約された方にはお約束なので、しっかり確保はしています

「予約された方にはお約束なので、しっかり確保はしています」

――ではすこし現実的な話題に戻りますが、東京ゲームショウ 2013の時に「2013年内に予約すれば発売当日にお届けすることをお約束する」と仰いました。現在予約も好調と聞いてますが、この約束は守れそうですか?

河野 弘氏: 大丈夫だと思いますよ(笑)。大丈夫ですね。一気にお知らせせずに、少しずつ予約を埋めていったので、大丈夫です。ただ、発売日に、どこに行ってもどこでも買えるというわけにはいかないです。予約された方にはお約束なので、しっかり確保はしています。当日販売に関しては、在庫をおいているお店もあると思いますが、売り切れているお店もけっこうあると思います。

 まぁ、あまりに(売り切れてしまい店頭から)無くなっているのも問題で、そういったことが無いように各地域でバランスを取ろうとしています。ただまぁ……売り切れちゃうんじゃないかなぁ。

――それは、その勢いを感じていらっしゃるということですね。

河野 弘氏: そうですね。周りの雰囲気もそうですし、流通さんから「もっと数を揃えて欲しい」といったプレッシャーをいただいているという意味でも、勢いは感じています(笑)。

PlayStation Nowのサービスインはいつ頃になるのか?

――今後の展開も少し伺いたいと思います。CESでPlayStation Nowが発表されました。非常に大きなお話だと思うのですが、米国ではテストなどのスケジュールも出ていました。日本での展開はいかがでしょうか?

河野 弘氏: PlayStation Nowに関しては、まずは米国でテストを行なっていろんな意味の経験則を上げておかないと、サービスの本番に入っていくわけにはいかないです。

 PlayStation Nowは言ってみれば、データセンターを用意して、どれくらいのユーザーの方が、どのレベルで集中してプレイしていくのか? どの程度のキャパシティを用意しなければならないのか? (PlayStation Nowを手がける)GAIKAIという会社がSCEに入り、彼らの経験則を取り込みながらも、テストをしっかりしないでサービスを開始できるほど甘くないです。慎重にやらなければならないところもあるので、まず米国でクローズドでテストをやって、前述のような点を試しながら進めていくことになると思います。

 ただ、SCEとしては、プレイステーションというプラットフォームで、技術とエンターテイメントを融合して、常に新しいことにチャレンジし革新を起こしてきたわけですから、SCEが先陣を切って家庭用ゲームという分野ではやっていきたいという想いは強いです。そういった理由から、一歩踏み出しているわけです。ですから、これが実用的に日本や海外のマーケットでいつ頃からスタートするかというと、米国でのテストを見据えながら……ということになると思います。

 PlayStation Nowは、意味デバイスに捕らわれないでゲームがプレイできるようになるわけで、非常に大きな可能性を秘めています。PS4/PS3、そしてPS Vitaやテレビ、さらに将来的にスマートフォンもPCもということになれば、機器によるテストも重要ですし、サービスのレベルをどういったところに設定すべきなのかなど、どれくらい投資すべきなのかという問題とも絡んできます。そこら辺を慎重にやっているところですが、やはり可能性がある限り、SCEが先にそういったことをやっていくことは大事だと思います。

――以前、河野さんは「プレイステーションのこれまでの膨大なタイトルは資産であり活用したい」と仰ってましたが、そういった意味でもPlayStation Nowには期待しているということですね。

河野 弘氏: そうですね、期待しています。(プレイステーションの)あれだけのタイトルを、いま揃えろといわれても、膨大な時間と労力をかけて積み上げてきたものですから難しい。こういった資産をもっともっと活かせる方法はないのかなと、ずっとずっと考えてきました。

 映画がそうじゃないですか? 新作が出ると過去のシリーズ作品も観てもらえるわけです。ゲームもそういうことができないのかなと思っていました。これまでのタイトルは財産ですから、活かす方法を考えていきたいです。

カメラ付きのモデルの注目度が高い。河野氏は「プレイルーム」がPS4の幅を広げる先兵になるという

――スマートフォンでのゲームのプレイと家庭用ゲーム機でのゲームの楽しみ方は全く別のもので、ゲームユーザーの方は家庭用ゲーム機としてPS4の楽しみ方をわかってらっしゃると思います。一方で、テレビの前で長時間座ってゲームをプレイすることが少なくなってきたことも現実的にあります。ユーザーをテレビの前に戻すにはどうするべきなのか? PS4ではそういった点ではどのように考えていらっしゃるのかを伺いたいのですが。

河野 弘氏: まずはリビングでPS4が起動していることが重要だと思うのです。PS4が動作していることで、PS Vitaでリモートプレイができるとか、スマートフォンと連動するとか、タブレットPCで観戦するとか、外での活動がPS4を中心としてできるようになります。この点は訴求していきたいと思っていますし、ゲームをプレイしている人にはリモートプレイができるという点はすごくポジティブにとらえてもらっています。

 でもPS4を起動してもらってゲームをプレイするという点に関しては、ゲームそのもののおもしろさを追求していかなければならないと思うんです。そういった意味では日本のゲームパブリッシャーさんに期待している部分は大きいです。新しいエンターテイメントの提案をしていきましょうと呼びかけています。

 もう1つは、ジャンルを広くしていくところですね。プレイステーションのゲームはある意味ターゲットがしっかり決まっていて、そこに深く刺さるゲームが多いと思うんです。これからはその幅をもっと広げていけるんじゃないかなと思うんです。

――それはPS4になったからですか?

河野 弘氏: PS4には「プレイルーム」という専用タイトルがプリインストールされています。その「プレイルーム」を銀座ソニービルで体験することができるのですが、そこでお子さんを連れたお母さんとかが、けっこう遊んでいらっしゃるんです。「プレイルーム」に入っているちょっとした遊びを、いままでプレイステーションの前に座って遊んでなかったような人たちが遊んでいるんです。

 いま現在、PS4をコアゲーマー層に対してアピールしていますが、違うチャネルでは、違った層に違ったPS4の遊び方を積極的に提案していこうと思っています。それはもちろんゲームを通してもそうでしょうし、90%を超えるようなネットワーク接続率でやっているので、たとえばインタラクティブな教育系コンテンツやアニメの動画配信などを充実させていきたいと思っています。

 つまり、PS4はエンターテイメントのハブであると。そこにはゲームも乗るんだけど、そうじゃないエンターテイメントも備えていきたいと思うんです。そうすることでPS4ユーザーが増え、幅が広がることになりますから。そこにはキチンとゲームという位置づけがあって、“ゲーム性を持った”様々なエンターテイメントを楽しめるようなアプローチができるんじゃないかと思うんです。

 ゲームの発展性は高いと思うんです。コントローラーという、これほど簡単で、しかもハイレベルなインタラクティブなエンターテイメントって、なかなかありませんよ。そんないろいろな要素を吸収できるようなPS4を、誰もが使えるように提案していきたいなと思っています。

 PS3の時は、HDグラフィックスで、こんなに高いスペックで、「どうだ!」といった感じの売り方をしていましたが、PS4はもう少しスペック一辺倒ではない、コミュニケーションやソーシャルのフレンドなどを使った楽しさなどを提案できるようにしていきたいですね。

――それでは最後に、7年間待ち続けたゲームファンに一言いただけますでしょうか?

河野 弘氏: それは、何をさておき「本当にお待たせしました」ということです。でも、PS4を手にして遊んでいただければ、「待った甲斐があったぜ」と思っていただけるような仕上がりになっていると思いますので、ぜひそれを楽しんでいただきたい。

 それと、いろいろな使い方をしてみてほしいというところがあります。ユーザーさん自身の遊び方を自分なりに生み出してもらって、それをみんなに発信していってもらえるとうれしいなと思います。

――ありがとうございました。

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(船津稔)