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【Gamescom 2013】「FFXIV: 新生エオルゼア」吉田直樹氏インタビュー

対人戦は対人戦専用装備やアビリティへの理解を深めてもらうことが課題

対人戦は対人戦専用装備やアビリティへの理解を深めてもらうことが課題

「FFXIVほどMMOを広めようとしているMMOは見たことがないと言われて嬉しかった」と吉田氏
βテストフェーズ4のデータは正式サービスに引き継がれる為、気合いの入ったプレイをした人も多かったようだ

―― βテストフェーズ4でサーバーの増設が相次ぎましたが、同時接続人数が想定を上回っていましたか?

吉田氏:  βテストフェーズ4は僕らにとってはプレリハーサルのようなイメージでした。例えば1つのワールドで5,000人の同時接続をさばけるという計算でサーバーを構築していたとしても、その場合に想定しているのは、色々なレベル帯に人が分散している状態での5,000人という形です。ところがβテストフェーズ4では、全員がよーいどんでレベリングをスタートするうえに、レベル20でキャップがかかっているので、どうしても前半のエリアに人が滞留してしまいます。その為に、混んできたら閉めて、空いてきたらまた開けるということをしていくわけですが、βテストフェーズ4のデータは正式サービスに引き継ぐことになりますから、できるだけ過疎ワールドがないようにしたい。無尽蔵に開けると、スタート早々ワールド統合という話になりかねないので、できるだけ色々なワールドに誘導しようという形でやっていました。もちろん、あれだけのスピードでワールドを足すというのは、事前に増設の準備をしていたということです。それでも正直に言うと、想像よりは多かったです。あそこまで開けなくてもいいつもりでいたのですが、熱心にプレイしていただけたことと、一気に人数が跳ね上がったことも、僕らとしては嬉しい事態でした。ログイン制限やキャラクターの作成制限をさせて頂きましたが、そのおかげでほぼトラブルがない状態でワールドを追加できました。新ワールドでもスムーズにプレイしていただけましたので、そういう意味では非常に良かったと思っています。

―― レガシーサーバーを除くと、レベル制限が20だったわけですが、どのくらいの人が3日間で到達しましたか?

吉田氏: テストが始まってすぐドイツに出発したので、正確な数字はまだ見ていないのですが、3分の1強くらいの人は1クラスはレベル20までいってますね。ただ、ピンキリなんですよ。今回の「FFXIV: 新生エオルゼア」の世界って、かなり奇麗でもあるので、うろうろ散策をして全然レベルが上がっていないという人もいれば、ギャザラーとクラフターも含めて全クラスレベル20という人もいる。うちのプログラマーでも、「君寝なかったの?」というくらいがんばっている人もいたりと、それぞれの楽しみ方でそれぞれのペースでプレイしてもらえているような気がします。まあ、MMOらしいスタートが切れたかなと思います。

―― レガシープレーヤーと新規プレーヤーでは、新規プレーヤーの数が圧倒的に多いのではないかと思いますが、どのくらいの比率になっているのかまでは?

吉田氏: もちろん新規プレーヤーの方が多いです。ただ、レガシーだけではなく「旧FFXIV」からのプレーヤーという範囲で考えると、「旧FFXIV」のボックスを買っていて、アカウントを持っている方は世界中で60万人以上いるのですが、その方たちのカムバック率はβテストフェーズ3までと今回のβテストフェーズ4では、かなり伸びてきています。今後もっと伸びる可能性もあるのですが、現状では、新規の方が圧倒的だという言い方をさせていただいています。単純にワールド数をみていただいても分かる通りです。ただ、レガシーのワールドを選んでいただいている新規の方も、我々の想像以上にいらっしゃいます。「旧FFXIV」を最後までプレイしてくださった方が「帰ってこいよ」と友達を誘ってくれている結果なのかなと。僕はポジティブな人間なのでそういう風に捉えています。

―― βテストフェーズ4では、MMO自体初めてという本当の初心者もいたかもしれませんが、そういった方からのフィードバックや要望にはどのようなものがありましたか?

吉田氏: 多いのは、MMOはもっと難しいものだと思っていたというコメントです。昨日イギリスの最大手のメディアさんの女性にインタビューされたのですが、その方はもともと「FFXI」の大ファンで、当時「FFXIV」のローンチをものすごく期待していたのだけれど、とてもがっかりしたと。今回ベータテストに参加して、「FFXIVほどMMOをちゃんと説明してくれるゲームは初めてだ」と言ってくれました。彼女は「WoW」でも遊んでいるのですが、今まではなんとなくこういうものだろうと思いながらプレイしていたのがよくわかったと。こんなにMMOを広めようとしているゲームはないと言ってくれたのがとても印象的でした。彼女は「メディアとしては失格ですが、本当にドハマリしているので、このまま宜しくお願いします」と言ってくれて本当に嬉しかったです。だから、初めてプレイする人に、無理に会話する必要がなく気楽だと言われているのは、そう作ったつもりなのでありがたいです。

―― βテスト中に、タンクが少ないと呼びかけていましたが、比率的にはどんな感じだったのですか?

吉田氏: βテストフェーズ4ではレベル制限があるせいで、異常な値が出ていると思います。理由の1つは、レガシープレーヤーの皆さんはバトルクラスがほぼ50なので、ほとんどの皆さんが巴術士をプレイしていたために巴術士の数が異常に多かったからです。結果、タンクもヒーラーもかなりの数がいるにも関わらず、アタッカーが突出してしまったのです。でも、これからアーリーアクセスが始まって、いよいよ本格的にシナリオ攻略が始まると、そのまま巴術士を続けるのではなく、元々のクラスに戻ると思うので、そうなって来たときに適正化すればいいかなと思っています。βテストフェーズ4ではユニコーン効果もあって幻術士も多かったのですが、タンクはほかのゲームに比べると多いんですよ。

―― ちなみに、呼びかけたあと効果はありましたか?

吉田氏: どうでしょうね、あったような気がしますけどね(笑)。マッチングが少し早くなったぞという声は聞こえていたので。

―― βテストフェーズ4では対人戦のテストがありましたが、十分なデータが取れましたか?

吉田氏: そもそも今回はシステムをほとんど公開していません。僕らが見たかったのは、どのくらいラグるかなのです。僕らが今回取ったデータは、キャラクターとキャラクターがサーバー上でどのくらい離れている状態でプレーヤーがアクションを起こそうとしているか。つまり絵と、サーバー上の数値のズレがどのくらいになっているのかというデータが欲しかったのです。

 今回、僕らが想定しているより約0.5秒くらいずれているのがわかったので、そこを「2.1」までに修正して調整したいと思います。特にPvPでは見ているグラフィックスと、サーバーの応答が感覚としてマッチしていることがとても大事なので、後0.5秒だけ最適化する必要があるねというデータが取れたのはとても良かったです。協力していただいてありがとうございますという状態です。それをちゃんと活かして「2.1」では僕が遊んで面白い対人戦を提供させていただこうと思います(笑)。

―― 今回は対人スキルがなかった訳ですが、面白い対人戦をやっているプレーヤーはいましたか?

吉田氏: 今回初めてPvPを体験した方も結構いたようで、「寝かされたらなにもできない!」と怒っていました。それはどのPvPでもそういうもので、アビリティや、装備を整えるという考え方をどこまで浸透できるかということが課題だと思いました。プレイ経験がなく、何も考えずにモンスターと戦う時の装備のままで来た時、「寝たら長い。このゲーム、クソゲー」となってしまうか、「そういえば眠り耐性のアイテムがあったよな」とPvP用に装備を固めれば、睡眠を食らったとしても効果時間を2分の1にすることができますし、ポイントを稼いで、自分にかかっているネガティブな効果を解除するアビリティを最優先で取った方がいいなとか。海外ではもう当たり前になっていますが、そこまでどうやってプレーヤーをリードするかが課題だと思いました。そこは僕の対人戦経験を生かして、今回MMOを初めてやる方に理解してもらうためにやったのと同じように、また1つずつ積み上げていこうかなと思っています。

―― βテストフェーズ4から対応したマーケットとバザーはどんな手応えでしたか?

吉田氏: レベル20ではまだマーケットを使わないので、そういう意味では想定通りでした(笑)。逆にレベル20までにマーケットを使わなければいけないゲームには、意図的にしなかったので、普通にRPGだと思って遊んだプレーヤーがショップで武器と防具を買えば普通に揃う。それでダンジョンに行って装備を手に入れたらそれに着替える。1クラス目はそういうゲームにしたいと思ったので。僕は最近やっとマーケットやギャザラーやクラフターに対して口を開けるようになってきたのですが、今回かなりバトルコンテンツが色々な方向に伸びたので、今後かなりアイテムが消費されていくので、そこにクラフターやギャザラーの活躍の場ができていくと思います。特に2クラス目や3クラスめの装備はわざわざダンジョンドロップを狙うよりは、1クラス目の資金を回して整えた方が早いですから。その辺りにクラフターの商機があるのではないかなと思っています。ぜひ商機を掴んでください。

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(石井聡)