Taipei Game Show 2012レポート

【Taipei Game Show 2012】「忍道2 散華」ステージイベントレポート
中文版の発売を発表! 開発裏話が飛び出したミニインタビューも


2月2日~6日開催

会場:南港展覧館

入場料:大人200元、子供100元


 Taipei Game Show 2012、3日目の2月4日、SCE Asiaの台湾法人SCET(Taiwan)のステージイベントは、PS Vita用忍者ステルスアクション「忍道2 散華」を開発した、スパイクのプロデューサー渡辺一弘氏のトークショーがトリを飾った。

 「忍道」シリーズは忍者になって敵に見つかることなく相手を倒すアクションゲーム。「天誅」や「侍道」から受け継いだ様々なシステムがPS Vitaのタッチセンサーで楽しめるよう工夫されている。日本では2011年12月17日のPS Vitaのローンチタイトルとして発売され、1月31日には最新のダウンロードコンテンツ(DLC)の配信も発表されたばかりだ。

 ステージでは渡辺氏が「忍道2 散華」のシステムやキャラクターの紹介を行ない、自らPS Vitaでデモプレイも披露した。また、中国語版の発売が決定したという発表も行なった。このレポートではステージイベントと、その後に行なわれたインタビューについてお届けしたい。




■ 渡辺氏がステージでPS Vitaを操作するデモプレイを披露

「忍道2 散華」プロデューサーの渡辺一弘氏

 ステージイベントは「忍道2 散華」のトレーラー上映からスタート。渡辺氏は登場してすぐに、まずは中国語版が発売されることを発表した。合わせて日本で1月31日に発表されたばかりのダウンロードコンテンツ「鏡の化身」も中文化することを明らかにした。

 「『忍道2 散華』は自分たちが作った『天誅』を超えるために作ったゲームです」と渡辺氏。「忍道2 散華」は主人公ゼンという忍者の復讐を軸に描かれている。普通に戦闘することもできるが、敵に見つからないよう忍んで近づき、暗殺をするのが基本となる。

 さらに「忍んで殺すのが難しいという人のために、今回新しく機能を用意しました」と、新システムの「斬刻」と「風黒羽(ふくろう)」を紹介した。「斬刻」は斬刻ゲージがたまっている時に時間内にゲージを入力することで、アクションが苦手なプレーヤーでもダイナミックなアクションが楽しめるというもの。「風黒羽」は高いところから飛び降りたときにホロを広げて、見張りに気づかれることなく目的地まで滑空する技だ。

 本作はPS Vitaのタッチ操作にも対応している。「たぶんもっととよく使うことになる」と渡辺氏が言うのは画面右にある目玉のマークとバックタッチで出す手裏剣。目玉のマークは、タッチすると画面が自動的に敵のいる方向へ向く便利なアイコンだ。

 どの勢力に味方をするかによって異なったストーリーを楽しめる「ハラキリエンジン」は「忍道2 散華」でも健在だ。今回は、「風天家」、「一条家」、「阿無璃他家」の3つの勢力が存在している。ほかにもアイテムを作る調合があるが、PS Vitaの“near”機能を使うことで、街を歩くほかの忍者たちが残していった道具を調合に使って、より強い効果を得ることができる。

【スクリーンショット】
アクションが苦手な人でも、簡単な操作で派手な演出の暗殺を楽しめる「斬刻」ホロを広げて、上空から見張りに見つかることなく忍び込むことができる「風黒羽(ふくろう)」
日本では1月31日に発表された、追加ダウンロードコンテンツ「鏡の化身」も中国語化される

 システムの説明をした後、渡辺氏がステージ上でPS Vitaで商人を暗殺するという簡単なミッションを遂行して見せた。屋根の上で「斬刻」を発動すると、自動的に屋根から飛び降りてターゲットをクールなアクションで始末した後、また元の位置に戻ってきた。その後、こんどは「風黒羽」でターゲットの屋敷に潜入し、倒した見張りを担いで見つからない場所に隠した後、ターゲットの商人の部屋に行く。

 障子の隙間から部屋の中にいるのを確認した後アイテムを投げて注意を引こうとした。1回目は寿司を投げたが、裕福なせいか興味を示さず、結局別のアイテムを投げて背中を見せたところを始末した。「このように正面から敵とチャンバラをすることなく、敵と戦うのが華麗なゲームの進め方になります。今回は簡単なモードですが、難易度を上げるとどんどん敵に見つかりやすくなりますので注意してください」(渡辺氏)。

 プレゼンテーションの後は、主人公の名前や腹切りシステムの名前を聞くクイズ大会で、台湾ユーザーのために用意したという「忍道2 散華」のマグカップとTシャツ、キャラクターがプリントされたPS Vitaのポーチをプレゼントした。最後に「ここでゲームを紹介することができて嬉しいです。また次のゲームも台湾で出したいです」とメッセージを送って締めくくった。

【ステージイベントの様子】
ステージでの最初の挨拶のあと、中国語版の発売を発表したスライドを使って、「斬刻」や「風黒羽」などのシステムを紹介忍んで殺すというプレイを、渡辺氏が自ら実演してみた
屋根の上から「斬刻」で敵を倒してみせたTシャツ、マグカップ、PS Vita用ポーチがクイズ大会の解答者にプレゼントされたクイズ大会の様子。出題されると、一斉に手が上がっていた




■ 渡辺氏ミニインタビュー「PS Vitaを選んだのはPSPではボタンが足りなかったから」

「初めてPS Vitaを見たときには画面の鮮やかさに驚いた」と渡辺氏

 ステージイベント終了後には、別室で台湾メディア向けの囲み取材が行なわれた。PS Vitaで「忍道2 散華」を出すに到った理由など、開発の裏話を聞くことができた。

Q: 「忍道2 散華」はPS Vitaのローンチタイトルですが開発にはどのくらいの時間がかかりましたか? またPS Vitaをどう思いますか?

渡辺氏: 開発をスタートしたのは1年半くらい前です。PS Vitaが出るということを聞いて、何をやろうか考えたときに「忍道」がいいだろうと思って。もともと「忍道」はPS2のボタンを全部使うゲームだったので、PSPではボタンが足りない。でも、PS Vitaならタッチがあるのでこのゲームには向いているだろうと思いました。

Q: 今回のタッチパネル操作は、どんな風に決めたのですか?

渡辺氏: ボタンをとにかく全部使うのですが、それだけじゃ足りないのですね。タッチを使う時に、手のポジションをあまり動かしたくなかったので、普通に持った時に使える位置にもう1つボタンを増設するようなイメージで使っています。バックタッチも、持ったまま指を伸ばして使えるように、一人称視点にしています。3D空間の中で自由に動くことができるゲームなのでアクションがすごく多いのです。だからどうしても必要なものは全部使うという形になってしまいました。

Q: 中国語版の発売が発表されましたが、発売の日程については決まっていますか? また音声も中国語になるのでしょうか?

渡辺氏: 発売日は決まっていますが、まだ発表することができません。音声については、シンガポールでも発売されるので、英語がベースになっています。テキストはすべて中国語ですが、英語字幕への切り替えもできます。

Q: 中国語版を出すことになったきっかけは?

渡辺氏: 台湾を含めたアジア圏に、非常に活気があることです。ゲーム市場に関しても、これからどんどん活気が出てくるマーケットになると思います。それならぜひこのタイトルを楽しんでもらいたいと思い、中国語版を出すことになりました。

Q: 今回はPS Vita版ですが、PS3版を出す予定はありますか?

渡辺氏: このゲームは日本人が好むジャンルを扱っているので、日本で売ることを考えています。日本では携帯機の市場が大きいので、PS Vitaを選んだのです。今のところPS3に移植するつもりはありません。ですからPS Vitaを買っていただかないと遊べません(笑)。

Q: 今後のスパイクさん、アクワイアさんの予定を教えてください。

渡辺氏: 「忍道2 散華」が日本、アジア、欧米と全世界で出るので、売れたらぜひ続編を作りたいですが、まだ結果が出ていないのでわかりません。今回開発させてもらって、PS Vitaという環境は非常に作りやすかったのですね。だから次に何かがでるとしたら、もちろんPS Vitaが一番の候補になるでしょう。PS Vitaってまだまだやれることがたくさんあるのですが、「忍道2 散華」ではほんの少ししか使っていないのです。だからもっとPS Vitaの機能を活用したゲームを作りたいと思っています。

「忍道2 散華」入りのPSP Vitaを持って、台湾メディアにPSP Vitaと「忍道2 散華」をアピールした

Q: 開発をしている中で、これは面白いと思った機能はなんですか?

渡辺氏: ハードを見た時に、最初に驚いたのは画面の美しさです。「忍道2 散華」は夜のステージを使っているので黒がものすごく映えるのですね。面白いと思ったのは“near”という機能です。あとはネットワークの機能も。このあたりを使ってゲームを作れると思います。

Q: 今回は続編ということで、前作までのキャラクターも登場していますが、今後の続編にはまた登場するのでしょうか?

渡辺氏: また彼らが活躍する話でもいいでしょうし、舞台もストーリーも全く違うものを作ってみたいという希望もあります。どちらがいいでしょうね(笑)。


(C)Spike/ACQUIRE All Rights Reserved.
Amazonで購入

(2012年 2月 7日)

[Reported by 石井聡]