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PSVRの新境地! 本格VR-ADVタイトル「Golem」、「Xing」プレイレポート
世界を自由に探索。美しいVR映像と長時間プレイでひときわ濃い体験を得られそう?
(2016/3/17 18:13)
これまでに見ることのできたVRゲームの多くは、5~10分程度の短い時間のプレイを想定した作品が主流だった。VRがまだ家庭で触れられるものではなく、デモのようなものが主流だったこともあるが、そもそも、視界を完全にジャックしてしまうVRはプレーヤーへの負担が大きく、長時間プレイには向かないと考えられてきた側面もある。
それでは、VRではAAA級のアクションやアドベンチャーゲームのように、じっくり長時間遊ぶという選択肢は存在しないのだろうか。一部のゲーマーが心配していたかもしれないこの問題に、PlayStation VRの最新タイトルが答えを提示してくれている。Highwire Gamesが開発する「Golem」、White Lotus Interacitveが開発する「Xing the Land Beyond」という、本格派のVRアドベンチャーゲームたちだ。
「Golem」
「Halo」シリーズや「Destiny」、「Infamous」といったAAA級のFPS・TPSタイトルを手がけてきた開発者が集まり設立されたHighwire Games。VRゲームを作るために結集したベテラン開発者チームが作る「Golem」は、PCを含むVRゲーム全体でも最高クラスのグラフィックス表現を誇るPSVR用VRアドベンチャーゲームだ。
プレーヤーは病床の女魔術師が操る大小のゴーレムの視点に乗り移り、様々な視点で、様々な冒険や戦いを行なうというのが本作のコンセプト。
今回プレイしたシーンでは、はじめ、プレーヤーはフィギュアほどの大きさの小型ゴーレムの視点となって魔術師の部屋から外の世界に歩き出していく。屋内ではすべての家具が巨大に見え、野外に出ればそこらを動き回る昆虫たちが、自分と同じくらいの大きさであることに気づく。次のシーンではうってかわり、巨大ゴーレムの視点に。PS Moveを剣に見立て、敵対するゴーレムとのソードファイトに挑んだ。
このように様々な視点で描かれる本作の世界は、赤茶けた荒野を非常に緻密で密度感のあるグラフィックスで描き出す。精細で奥行きのある映像は、筆者がこれまで見てきたVRコンテンツの中でもひときわ抜きん出たクオリティだ。
本作では世界を自由に歩き回れるるようにするため、VRゲームにおける新しいスタイルの移動操作を導入している。プレーヤーが頭を前に傾ければ前に進み、横に傾ければ方向転換をする、というものだ。
これにより本作での移動操作はDUALSHOCK 4のスティックやPS Moveのボタンを使わずにできるようになっており、1度要領がわかれば誰でも操作ができる、直感性も獲得している。非常に面白いアイディアだが、頭をどれくらい傾ければ移動アクションが起こるのかわかりにくく、つい余計に頭を動かしてしまう結果、VR酔いを誘発してしまうところ。10分ほどのプレイでかなり気持ち悪くなってしまったことを報告しておく。
もっとも、人によっては「まったく酔わなかった」という感想もあり、この方式にはかなり個人差があるようだ。最高クラスの美しいグラフィックスでVR空間を描き出す作品であるだけに、さらなる調整を加えて誰もが快適に、そして長時間でも遊べる方向に進化してもらいたいところだ。
「Xing the Land Beyond」
新進のインディースタジオWhite Lotus Interactiveが開発する「Xing the Land Beyond」は、幻想的な島を探索しながら数々の環境パズルを解き、新たなエリアへと歩みを進めていくVR環境パズルアドベンチャーゲームだ。
今回探索することのできた島の中には、特定のアイテムをはめこむことで開く扉や、橋を動かすためのスイッチなど様々な仕掛けがあった。プレーヤーは2本のPS Moveを使い、スイッチを直接押したり、アイテムを手に持って操作することで、これらのギミックを動作させていく。
広大な島を自由に探索するため、上述した「Golem」とは別のアプローチで移動操作を実現しているのが特徴だ。具体的には、PS Moveの親指側ボタンを押し込むと、PS Moveが向いている方向に移動することができる。この方式も、かなり慣れるまでは想像外の動きになりやすく、やはりVR酔いを誘発しそうなのが心配だった。移動速度そのものははかなり遅く抑えられているものの、前後左右の移動方向が、自分の感覚と微妙にずれているときなどにクラッと来ることがある。PS Moveの曖昧性の高い入力を移動操作に用いるためには、かなりの調整が必要になりそうだ。
こういった要調整ポイントは残しているものの、本作は多くのVRゲームの中でも特に長時間のプレイを前提としている点で野心的だ。今回プレイすることのできた南国の島に加え、仮想世界を含む複数のロケーションが用意されており、開発者のJames Steininger氏によれば総プレイ時間は6~9時間ほどになりそうだという。
ほんの短時間のプレイを前提にしたタイトルが多いVR界隈にあって、フラットスクリーンで遊ぶアドベンチャーゲームに負けない長時間のプレイを提供しようとする本作。その試みがうまくいくことを願うばかりだ。