ニュース
強すぎる“DeToNaTor”! 「AVAれ祭2013 -後楽園の陣-」
護衛・爆破両部門で鎧袖一触。最強のその先を見せつけた衝撃の試合模様をレポート
(2013/12/29 14:16)
12月28日、オンラインFPS「Alliance of Valiant Arms(AVA)」の2013シーズンを締めくくるオフライン大会「AVAれ祭り2013 -後楽園の陣-」が後楽園ホールで開催された。
本イベントには10月から11月にかけて総勢481クランの参加にて開催されたオンライン予選「AVARST2013 Season 3」の勝者4クランが登場。「護衛部門」、「爆破部門」のそれぞれで国内最強を決める決勝戦が行なわれた。
最多の優勝経験を誇る最強クラン“DeToNaTor”は、今回も「護衛」、「爆破」の両部門に出場。最近ではクラン直下の育成チーム“QubeLey”の活動に力を入れており、層の薄かった「護衛」専門のチームにも下部組織が発足しているなど、その活動は海外の大手プロチームにもひけをとらないレベルだ。
その王者に「護衛」で対決するのは、オフライン決勝に初出場となった新進気鋭の“FiVESeed”。プレーヤー層の厚い「爆破部門」では、2011年の大会で優勝・準優勝を総なめにした古豪「SunSister」が“DeToNaTor”の牙城を崩すことで王者への返り咲きを目指す。
偵察機の活用が勝負を分けた?! 「護衛部門」決勝
「護衛部門」は「AVA」の独自ルールで、攻撃側チームが自走する戦車を護衛しながらゴールを目指し、防衛側がそれを妨害するという5対5のチーム戦だ。前後半2ラウンドを戦って、相手よりも短時間で戦車をゴールに導くか、両チームともゴールできなかった場合は、よりゴールに近づいたチームが勝利となる。
おおむね、1ラウンドは15分前後かかる。倒されたプレーヤーは一定時間後に再出撃できるため戦闘が間断なく続き、戦車の損傷状態や進行度によって、状況が刻一刻と変化する。その変化にあわせた柔軟なチームプレイがカギとなるゲームだ。
また本モードには、戦車が破壊され前進が停止している状況が長く続くと、一定時間後に偵察機が飛び、防衛側の全プレーヤーの位置が明らかになるという仕掛けがある。この試合ではこのギミックの活用がひとつの見どころとなった。
先攻は“DeToNaTor”。後攻の“FiVESeed”は前がかりの守備で積極的に戦車の破壊を狙う。破壊された戦車は攻撃側のプレーヤーが取り付いて一定時間「修理」することで再度の前進が可能となるが、“DeToNaTor”はこれを急がない。むしろ相手の守りを手堅く破壊することに重点をおいた戦術で、修理完了と敵の殲滅がほぼ同時に行なわれるというシーンがよく見られた。これにより修理完了後の前進はかなりスムーズだ。
3分もかからず第1ポイント(戦車の進行ルート上のおよそ1/3地点)を通過した“DeToNaTor”は、そのままほぼ一気にゴール前最後の曲がり角付近まで前進する。“FiVESeed”のメンバーが守りの配置につくのを見越して先手を取るような動きで、守り側プレーヤーの背後をとってマルチキルを決めるシーンがたびたび見られた。
ゴールまであと一歩というところで戦車の前進が止まった。このあたりでは“FiVESeed”の守りもかなり堅くなっており、“DeToNaTor”はなかなか修理にかかれない、と思いきや“FiVESeed”のほぼ全員がリスポーン直後というタイミングで偵察機が発動、まだ陣形ができてないタイミングで全員の位置が丸裸になってしまったのだ。これを殲滅する用意が完璧に整っていた“DeToNaTor”、一気にキルを取りまくり、戦車をゴールに突っ込ませた。残り時間3分10秒での勝利。
後半戦はさらに差がつく展開となった。守備側となった“DeToNaTor”全員のポジショニングや判断が素晴らしく、“FiVESeed”は壊れた戦車をなかなか修理できない。“DeToNaTor”は殲滅を優先して対戦車ロケットを持たずに戦っており、射撃や立ち回りの差もあって“FiVESeed”は戦っている時間よりもリスポーン待ちの時間のほうが長いという状況が続いた。
こうして、“FiVESeed”が第1ポイントを突破した時点で残り時間は5分。戦車を修理できても全滅を取られて戦車を進められないケースも目立ち(近くにプレーヤーがいないと戦車は前進しない)、コース中盤ほどで完全に手詰まりとなってしまった。“FiVESeed”はここで強引に攻め込んで突破を狙う戦い方に変化するが、余裕ある“DeToNaTor”のプレイにより、逆にリスポーンのタイミングをコントロールされてしまう。
やがて偵察機が飛んだが、“FiVESeed”は前線に2人しかいない状況でこれを生かせない。打つ手なしのまま、時間切れとなって勝負は決着した。文句なし“DeToNaTor”の完勝である。
解説を担当した「AVA」プロデューサーの井上洋一郎氏は、“DeToNaTor”の試合運びを「いろんな面で完璧なプレイ」と評価。経験と蓄積がものを言う「護衛」にて、ここまで相手をコントロールする試合運びを決勝で見ることになるとは、という驚きが満ちていた。
衝撃の圧勝劇。もはや住む世界が違うのか? 「爆破部門」決勝
「爆破部門」は本作のクラン戦で最も人気のあるゲームモードであり、世界的にプレーヤー層が厚い。国内でも多くのクランが頂点を目指しているということもあって、かつての公式大会ではいつも好勝負が展開してきた経緯もある。ところが今回の展開はまったく違った。結論から言えば、“DeToNaTor”の圧勝だった。
対戦した“SunSister”は、2011年の「AVAれ祭り」その他の公式大会で3つの優勝を飾り、他の大会でも準優勝、国際大会で4位に入った経験もあるというチームだ。2012年に“DeToNaTor”が頭角を現わして以降は成績が振るわずにいたが、復活を目指し、多くのライバルを破って今年は決勝にまで上り詰めてきたという経緯がある。オフライン大会の経験も当然豊富であり、クランリーダーのCheryNome選手は「オフラインでは僕らのほうが強い」と絶対の自身も覗かせていた。
間違いなく“DeToNaTor”にとっても手強いチームであるはずだ。その古豪が、この決勝では散々な敗北を喫することになった。2マップ合計の取得ラウンド数2対14という衝撃の結果である。
3マップマッチ中2マップ先取のルールで行われた試合の中で、“SunSister”がラウンド勝利を収めたのは、1マップ目「Airplane」の前後半各ファーストラウンドだけだった。特に活躍が目立ったのは“DeToNaTor”のRobiN、Syaka両選手だ。それぞれアサルター、スナイパーとして“SunSister”の選手を複数倒すシーンが何度もあり、相手にペースを握らせることなく、7-2でこのマップを勝利している。
その結果を受け、2マップ目「India」では“SunSister”の選手たちは完全に色を失っていたようだ。トッププレーヤーらしい、正確なエイミングと素早い反応がは影を潜め、素人でも見ればわかるレベルでの撃ち損じや、索敵ミスが多発。かたや最高のデキに仕上がっている“DeToNaTor”の面々は敵が見えた瞬間のファーストショットを確実に当ててくるのだから、もはや個人単位の撃ち合いでは3タテ、4タテ待ったなしである。
要所では“DeToNaTor”クランリーダーのDarkよっぴー選手が、“SunSister”の狙うラッシュを出かかりで複数人倒すなどの動きを何度も見せ、完全なペースコントロールに成功していた。これに対してラウンドを重ねるごとにプレイの精度が下がっていく“SunSister”は打つ手なし。7ラウンド連取にて“DeToNaTor”が完全勝利を収め、2マップ連取による優勝を決めた。
DeToNaTorの次の目標は国際エキシビションマッチ「IFM2014」
“DeToNaTor”の選手たちの取り組みをよく知るスポンサー企業SteelSeriesのスタッフによれば、選手たちは8月の大会で僅差の優勝をもぎ取った後、「まだまだ全然足りない」と、それまで以上の熱心さをもって日々の練習に取り組んできていたという。トップチームに隙があれば新メンバーを供給する下部チームの育成にも力を入れ、チーム内競争をさらに激化することによって、元々高かったレベルをさらなる高みへと伸ばした。
その結果が、決勝戦での圧勝劇という形になって現れた。クランリーダーのDarkよっぴー選手は、コメントを求められると「当然の結果」とクールな回答。勝利を必然にまで近づける、たゆまぬ努力の影がうかがい知れよう。
こうして優勝した“DeToNaTor”には優勝賞金30万円のほか、2014年4月に開催される国際エキシビションマッチ「IFM2014」への日本代表としての出場権を獲得した。
「護衛」、「爆破」両部門での圧倒劇。8月に開催された「AVARST 2013 Season 2」に続いての2連覇という偉業も達成したが、会場に集まった500人以上のファンはやはりその試合内容に衝撃受けたようだった。
さらにレベルを上げ、未踏の領域に踏み込んだかに見える“DeToNaTor”。果たして彼らは今後に控える国際大会にて、韓国を始めとするFPS強国にも勝利を納めることができるだろうか。まずは4月に開催される国際エキシビションマッチ「IFM2014」の開催を楽しみに待ちたい。