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Naughty Dogの最新作「The Last of US」プレビュー&インタビュー

種類の異なる敵との駆け引きや戦略的な戦いが味わえるサバイバルアドベンチャー

1月31日〜2月4日

会場:南港展覧館

 SCETはTaipei Game Show 2013「The Last of US」のプレス向けカンファレンスを開催した。本作は「アンチャーテッド」シリーズを制作するNaughty Dogの最新作で、人類に感染する菌類によって崩壊した社会でのサバイバルを描く。北米・日本・台湾などで2013年5月の発売を予定している。

 本作は40代の男性ジョエルと、14歳の少女エリーが力を合わせて危険地域を旅していく。恐ろしい“感染者”に脅かされる世界で、2人はどのように生き残って行くのだろうか。カンファレンスでは開発元Naughty DogのEric Monacelli氏によるタイトルの説明とインタビュー、さらにボストンを舞台とした試遊をすることができた。

初めて実際にプレイできた「The Last of US」は予想よりもずっとアクション性が高く、感染者との戦いに一気に引き込まれた。製品版を早くプレイしてみたいと、期待の高まる体験だった。

人類に感染する菌類のために崩壊した世界を旅する2人の冒険者

Naughty DogのEric Monacelli氏
初公開となる新キャラクター、テス
人間が減っていく世界で、自然が文明を覆い尽くしていく

 Monacelli氏によるプレゼンテーションでは作品のインスピレーションなど作品に込められた細かい部分までが語られた。「The Last of US」のストーリーはアメリカとメキシコの国境地帯での、麻薬取引の大金を巡っての殺戮劇が繰り広げられた「No Country For Old Men」という映画で、心理的な駆け引きのキャラクタードラマの影響を受けたという。

 他にも「The Walking Dead」、「City of Theves」といった小説や映画、人のいなくなったところでの自然の浸食などのドキュメンタリー番組など、様々な要素が込められて作られているという。そしてこれまでNaughty Dogが蓄積した技術によりこれまで以上の体験ができる作品を生み出すべく制作されている。

 「The Last of US」は物理的な巨大災害ではなく、人類が別のものに変容してしまっている世界だ。人間のみが減っていく世界で、人類社会は崩壊し、大都会も緑に覆われていく。自然の美しさと崩壊してしまった文明のもの悲しさを描きだしていく。また銃弾1発が貴重な価値観など、現代とさまざまな点でかけ離れてしまった世界を描写していくという。

 この世界の人類はある菌類に浸食されている。菌類に感染した人は脳を菌類に乗っ取られる。思考や自我を失うのではなく、菌類を増やす行動を第1としてしまうようになる。身体をきづずつけられれば痛みを感じるし、思考能力も持っている。本作の世界は感染者により世界が崩壊し20年が経過している。生き残った人々は自警団を組織したり、盗賊まがいのことをしている者もいる。時には感染者よりも生き残った人々が危険な場合もある。

 「The Last of US」では40代の男性ジョエルと、14歳の少女エリーが主人公となる。感染者に脅かされる世界で、時には危ない仕事もして自暴自棄に近い生活を送っていたジョエルはエリーの願いを聞き入れ、安全だった隔離地域から、崩壊した外の世界へある目的のもと旅立つ。

 今回の試遊台で明らかになるのは2種類の感染者だ。1種類目は「ランナー」と呼ばれる初期の感染者で、人間の姿を見かけると走り寄ってくる。2種類目は「クリッカー」と呼ばれる存在。頭頂部から目の部分にかけて巨大なキノコのような形に変化してしまって目は見えない。しかし喉の奥から音を発し、その反響で動いているものを探知できるようになっており、聴覚が異常に発達している。また何らかの理由で死んでしまった感染者は体から胞子嚢を出し、菌を拡散させている。

 ジョエルとエリーの他にテスという同行者がいる。テスは以前ジョエルと組んでいたパートナーで、タフで戦闘的な女性だ。彼女もエリーを守るべく同行している。今回の場面では3人で行動するという。試遊ではエリーが住んでいたところから旅立ち比較的時間がたってない、初期のステージとなるという。「試遊バージョンでは様々な困難が皆さんを待っています。ぜひいろいろな方法を試し、切り抜けてください」とMonacelli氏は語った。

ジョエルとエリーは共に成長していく
不気味な感染者。彼らの謎も注目点の1つ
崩壊しつつある街の中を進んでいく

種類の違う感染者の攻撃に苦戦、ゲーム性の高さに注目

ジョエルとエリーは力を合わせて進んでいく
崩壊したボストンの街
ランナーに混じるクリッカーに要注意だ

 試遊では崩壊している街中をジョエルとエリー、テスの3人で進んでいく。街中はボロボロで、崩壊した建物が道をふさいでいたりする。地震でもあったのか、道が分断されており、ジョエル達は遠回りして進んでいく。

 ビルの中をくぐり抜けながらジョエル達は進んでいく。時々ハイライトで表示されるものがある。煉瓦やビン他、はさみや包帯、水、弾丸などが落ちている。これらを集めることで、ジョエルは様々なものを自作できるという。

 ジョエル達は協力して前へと進んでいく。1人が足場となってもう1人を上に上げ、それから引っ張り上げてもらったり、土台を押して移動させることで道を作ったりする。そうしていると、蛙の鳴き声の様な不気味な声が聞こえる「クリッカー」だ。クリッカーは目が見えない。しかし近くに寄ったらあっという間に見つかってしまう。

 煉瓦やビンを近くに投げ、その音にクリッカーが反応しているときにすり抜けるという方法がいい。びっくりしたのはクリッカーに見つかると問答無用でゲームオーバーになってしまい、チェックポイントからのリスタートになってしまうところ。クリッカーは特に要注意の怪物だというのが実感できた。

 今回はさらにランナーにも遭遇した。ランナーは普段は不自然な姿で歩き回っているのだが、こちらを見かけると全力疾走してくる。集団で襲ってこられると怖い。やっかいなのはランナーに混じってクリッカーがいるところだ。どう倒していくか、パズルの様な戦略も必要となる。

 ジョエルはR2ボタンを長押しすると、息を潜め、気配を探ることができる。この時壁の向こうにいる感染者を感知することができる。無防備な感染者は背後から締め落とすことで簡単に倒せる。ランナーは正面から殴り合っても倒せるが、集団でいることが多い。またランナーと戦っているとクリッカーに音を探知されてしまうことがある。クリッカーは格闘攻撃は効かず、武器を持ってないと問答無用で倒されてしまう。

 格闘武器は耐久度があって、なくなるとこわれてしまうし、銃の弾丸は少ない。戦いは慎重にならざる得ない。しかしアイテムを組み合わせることでジョエルは様々なものを作り出すことができる。近接武器を釘バットにしたり体力回復キットを作ったり、火炎瓶も作れる。煉瓦などで敵の注意を惹き付け、火炎瓶で焼き尽くすという戦い方は特に有効だった。

 時にはランナーの集団に追いかけられたり、隠された道でいくつものアイテムを拾ったり、様々なシチュエーションを体験できた。エリー、テスは自分の力で身を守ることができるためほとんど注意を払わなかったが、テスは常に懐中電灯をつけているためランナーを誘いやすかった。

 今回触ってみて、想像していたよりもゲーム要素の濃い作品と感じた。クリッカーとランナーが混じる戦場はかなりゲーム性が高い。どう戦うか、選択肢は複数あり、より効率の良い戦い方を求めて試行錯誤を繰り返していくのが楽しそうだと感じた。

【「The Last of US」試遊版ムービー】
試遊バージョンではこのトレーラーと同じ場所が登場した
【スクリーンショット】
崩れかけたビル街を進んでいく
感染者はそこかしこにいる。油断すればあっという間に倒されてしまう

2人の成長、崩壊した世界での人間ドラマ、感染者の謎に注目

本作はまだまだ明かせない部分が多いという。マルチプレイが入ることは決まっているものの、詳細は未定だ

 続いてMonacelli氏にインタビューを行なった。最初にMonacelli氏が明らかにしたのは、「The Last of US」の体験版の存在。3月14日発売の「God of War: Ascension」に体験版が同梱されるとのこと。ただダウンロードコードで、「God of War: Ascension」の入手と同時に遊べるものではないという。詳細は今後発表される。

 ストーリーの詳細はまだわざとぼかしている部分がある。プロモーションムービーなどでもシーンの時間軸などは明かしていない。試遊台では3人は「ファイアフライ」という自警組織に接触するために移動中で、エリーを連れ出した隔離地域の人々はエリーを取り戻そうとしている。今回のデモの地域はアメリカのボストンで、E3ではピッツバーグ地域での冒険を出展した。

 現在まだ明らかになっていない部分としては「マルチプレイ」がある。マルチプレイは実装予定だがどのような形になるか未定とのこと。武器やキャラクターをカスタマイズする要素などは用意されるようだ。

 今回体験してみて、やはりアクション性に強いこだわりを感じた。Monacelli氏にアクションへのこだわりを質問すると、「Naughty Dogはこれまでの作品同様今作でもアクションにこだわりを持って作っている」と答えた。今作はさらにシネマティックな要素も盛りこんでいく。難易度に関しては変更でき、AIや敵の強さだけでなく、フィールドで入手できるアイテムの数も変化する。

 “描写”で力を入れているのはジョリーとエリーの成長だ。最初は守られるだけのエリーは武器を手に取り、パートナーとしての頼もしさを見せるようになる。時にはエリーがジョリーを助けてくれることもある。ストーリー性、キャラクター性に密接と関係したゲーム要素はぜひ注目して欲しいとMonacelli氏は語った。感情移入してもらえるキャラクター作りを心がけていきたいとのことだ。

 感染者に関しての設定もまだ秘密な部分が多い。感染者自身は「戻りたい」という意識はもっていないが、「人間である」という点は変わらない。感染者は感染者なりの考えを持っており仲間を増やしたいと考えている。

 ひょっとしたら感染者が生まれて20年ずっと生き残っている存在もいるかもしれない。感染はゆっくり進行していく。ランナーもクリッカーも感染での「段階」の違いだ。さらに感染が進むとさらに別の姿になるかも知れないという。

 最後にユーザーへのメッセージとしてMonacelli氏は「様々な国のユーザーからの協力が私達の力になります。いいゲームを作って行きたいと思っています。よろしくお願いします」と語った。

 「The Last of US」は丁寧な人間ドラマと深いテーマ、そしてエキサイティングなゲーム性が融合した作品になると感じた。アクションと共に、今はまだ明らかになっていない物語も気になる。この世界の人々はどんな未来を見出していくのか、感染者はどうなっていくのか、早く本編をプレイしたい。

(勝田哲也)