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任天堂、2013年度第3四半期決算説明会資料を公開

3DSは海外でのソフト強化、Wii Uは今年後半~来年に有力タイトルを集中的に展開

1月31日 公開

 任天堂は、2013年度第3四半期決算に関する説明会を開催し、岩田 聡取締役社長らによる説明に関する資料を公式ホームページ上で公開した。決算に関する記事は昨日掲載しているが、新たに公開された資料から、主に来年度に関する展望の部分を見ていこう。

ニンテンドー3DS

「ポケットモンスター X・Y」

 今年、国内市場をリードするタイトルとして挙げられたのが「ドラゴンクエストVII」、「トモダチコレクション 新生活」、「モンスターハンター4」、「ポケットモンスター X・Y」。国内では携帯ゲームハードが市場の主役となっており、市場をリードするプラットフォームとしての地位を確立したと言える3DSの課題は、やはり海外市場となる。

 10月に国内で発売される予定の「ポケットモンスター X・Y」は同時期に海外でも発売され、「どうぶつの森」も今年の半ばまでには海外でリリースされる。今年は、過去2年間に用意してきた自社タイトルが、1年を通じて海外でも豊作の年になる予定で、10タイトル程度の自社の有力タイトルを集中的かつ積極的に展開する。また、国内ソフトメーカーの有力タイトルの海外展開を、今まで以上に積極的に推進する計画という。

 また、ニンテンドー3DSは、携帯ゲーム機として、これまでにない高いネットワーク接続率になっており、日本やアメリカでは、ネットワーク接続率は80%を超えるという。ニンテンドーダイレクトの最大の視聴経路は、ニンテンドーeショップからのものだという。今後も、本体機能ですれちがい通信系の機能強化を予定しており、海外においてもすれちがい通信、いつの間に通信を普及させるための取り組みを強化する。

 ネットワーク接続率の高さはダウンロード販売の拡大にもつながっており、日本における「とびだせ どうぶつの森」の品薄状況もあり、販売数量全体の1/4がダウンロード版、すでに70万本を超えているという。

Wii U

 Wii Uに関しては、先日放映された「Wii U Direct Nintendo Games 2013.1.23」で明らかにされたように、春から夏にかけては徐々にソフトの充実を図り、今年の後半から来年にかけては、自社の有力タイトルを集中的に展開し、ハードを牽引することを目指している。ハードの購入の決め手の1つは「このハードでしか遊べない有力タイトルがあるかどうか」で決まるということを踏まえ、この時期には、その密度をしっかり高めたいとしている。

 また、任天堂が1月末頃の配信を予定していたGoogleの「ストリートビュー」をWii Uで楽しめるサービス、「Wii Street U powered by Google」は2月中旬までに配信と発表されている。

 このサービスは、Wii Uのネイティブコードではなく、その大半が、HTML5ベースのウェブ技術を中心に作られており、少人数のチームでコンパクトに開発された。「Miiverse」や「Nintendo TVii」も、ウェブアプリケーションとして、ブラウザーエンジンを利用して作られている。Wii Uでは、すべてをネイティブコードで書かなくとも十分実用に耐えうるパフォーマンスを発揮できるマシンパワーがあるため、これまでの任天堂プラットフォームと比較すると、社内のゲーム開発リソースを費やすことなく、いろいろなサービスの展開をスピーディーに進められるようになりつつあるという。

 3月に開催されるGDCでは、この「Wii Street U」や、いくつかのVoDサービスの開発に使用された、HTML5やJavaScriptなどのウェブ技術でWii Uソフトを開発できる環境や、Unityのゲームエンジンなど、ソフトウェアの作り手を広げる試みについて、いくつか紹介される予定だという。

2月の組織改変で開発主管本部を統合

 任天堂は、2月に9年ぶりの開発部門の再編を行ない、従来、独立した本部で別々に開発されてきた携帯ゲーム機とホームコンソールゲーム機(ここではWii U)の開発主管本部を統合し、新たに専務の竹田氏の下に統合開発本部を組織する。

 それだけでなく、将来のプラットフォームのアーキテクチャを統合するためのプロジェクトも、昨年からスタートしている。ここで言う「プラットフォーム統合」は、携帯ゲーム機とホームコンソールゲーム機を1種類にするという意味ではなく、アーキテクチャを統合することで、フォームファクターや性能が異なっても、ソフトを作るための作法が揃い、ソフト資産を相互に転用したり、OSや内蔵ソフトの移植性を高めたりすることを目的とする試み。

 これは、新しいハード発売直後に陥りがちなソフト不足やソフトの開発遅延を防ぐことにも有効という。この取り組みは、今後の中長期的なプラットフォームビジネスの展開にとって、大きな成果につながることが期待されている。

(佐伯憲司)