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セガ、PSP「セブンスドラゴン2020」開発者インタビュー
小玉理恵子プロデューサー、新納一哉ディレクターに聞く本作の魅力!!

11月17日収録

収録場所:株式会社イメージエポック

 

株式会社セガ 小玉理恵子プロデューサー 株式会社イメージエポック 新納一哉ディレクター

 11月23日、株式会社セガから「セブンスドラゴン2020」(UMD版 6,279円、DL版 5,600円、政府特殊機関“ムラクモ”限定装飾一式 8,820円)が発売された。2009年にニンテンドーDSで発売された前作から、プラットフォームをPSPに変えてのリリースとなるシリーズ第2弾だ。

 本作がどのようにして生まれたか、どのようなゲーム性なのか? など、多岐にわたり、株式会社セガの小玉理恵子プロデューサー、開発を担当した株式会社イメージエポックの新納一哉ディレクターにお話を伺った。



■ プラットフォームがDSからPSP、舞台は東京など、前作から大きく様変わりした「セブンスドラゴン2020」

―― 前作とは様々な違いがあるのですが、まずはプラットフォームがニンテンドーDSからPSPに変わった経緯からお願いします。

小玉理恵子氏: 半年かけて、セガ内で「セブンスドラゴン」の新作をどうしていくべきか検討しました。その中で、今作は15〜25歳くらいの新しいユーザーさんに向けてPSPで作ってみよう、という結論になったんです。

―― 東京が舞台とシナリオや設定も大きく違いますね。

新納一哉氏: ファンタジー路線での続編も考えていたのですが、PSPというユーザー層の違うハードでのチャレンジでしたので、だったらPSPのために作ろう、と1から考えなおしました。実は「セブンスドラゴン」は当初から、4作のファンタジー編と外伝としての東京編の計5作で考えていました。今回の東京編は全てのファンタジーシリーズが終わったあとで出すつもりだったのですが、ハード変更もあったので、ガラっとイメージを変えるのにちょうど良いかな、と、繰り上げて作ることにしました。

―― キャラクターデザインもぐっと頭身が上がり、タッチも違ったものになりましたね。

新納氏: 東京を舞台にしたRPGでしたので、カッコいいキャラにしたいと思って、今のような形にしました。

―― インターフェイスのデザイン、配色がしまった感じになっているのも、PSPのユーザーを考慮した結果なんですか?

新納氏: それも、東京という舞台と、現代劇の雰囲気に合わせて作りました。イメージは大きく変わりましたが、前作「セブンスドラゴン」同じデザイナーが作っていますよ。



■ 専門の回復役のいない5つの職業、豪華なキャスト30名を採用したキャラクターメイキング

―― 「サムライ」、「サイキック」、「デストロイヤー」、「ハッカー」、「トリックスター」と5種類の職業が公開されています。よくあるRPGだと出てこないような職業が多くいましたが、意識されてこの5職業を考えられたのでしょうか?

新納氏: スキル制のゲームで、バランス良く楽しめて、できるだけ死にスキルのないゲームを作ろうとスタッフと会議した時に、割り振る要素は5種類がちょうど良かったんです。本当は役割でいえば6種に割り振れるのですが、今回はヒーラーという存在を無くしたかったので、1つ減らして5つになりました。

―― 確かに専門の回復役はいませんね。

新納氏: 回復できるクラスはあるのですが、専門ではありません。必ずヒーラーを入れなくては、というのを1度やめてみたかったんです。

―― それぞれ職業について簡単に教えていただけますか? まずはサムライからお願いします。

新納氏: 雑魚、ボス戦共に活躍できて、多くのことができる職業です。構え(抜刀/居合い)が2種類あって、ボス戦用の居合いの構えをとれば一撃必殺の攻撃が出せるようになっています。いつでもどこでも戦える、主役的な職業にしたつもりです。

―― サイキックをお願いします。

新納氏: いわゆる魔法使いです。属性付きの攻撃魔法、回復魔法など様々使えますが、攻撃魔法を重視している職業です。弱点さえ突ければ火力は最大なのですが、LIFEが少ないので生き抜くのが難しいです。

―― デストロイヤーをお願いします。

新納氏: 変わった職業で、僕の中では1番オススメの職業です。敵を殴るとコンボ数が溜まっていき、コンボ数に応じて強いスキルが出せます。ただ、手を止めると溜めたコンボ数がなくなってしまったりもするので、いかに手を止めないで攻撃できるかが重要になります。また、敵の技に対応したカウンターなど、各種攻撃に対する防御技も持っていて、やれることが多いので楽しんでもらえると思います。

―― ハッカーをお願いします。

新納氏: 味方の攻撃力・防御力を上げたり、敵を弱体化をしたりする、自分では攻撃しない支援職です。今作はパーティーを3人で編成するのですが、その内の1人に入れてもいいほど補助力の強い、安定度の上げられる職業です。RPGで支援職が大好きな人がいますので、そういう人に向けて徹底して強化できるようにしてあります。

―― 最後にトリックスターをお願いします。

新納氏: 正直、地味なキャラクターです(笑)。毒、麻痺、出血した敵からLIFEを吸うなどの攻撃を持っています。攻撃速度が1番速いので、アイテムを使う場合など、最初に動ける安心感はありますね。パッと見、派手な職業ではないのですが、実は僕の中では裏のオススメ職業でもあります。中盤に「クリティカルをするともう1度動けるスキル」が習得できるのですが、それを上手く使うとトリックスターのターンが終わらないほど、連続して動けるようになるのが楽しいです。キャラクターデザインの三輪さんも、テストプレイの際にはトリックスターが気に入って頂いたようで(笑)。序盤が地味で、「なんだコイツ?」って思うかもしれませんが、後半になるに従ってヒャッホイできるようになります。

―― オススメの構成はありますか?

新納氏: 僕はトリックスター(ナイフ)、デストロイヤー、ハッカーが1番楽しいと思っています。デストロイヤーを入れると本作らしい遊びができます。ただ、どの職業を選んでも強いパターンを作って遊べるように調整してあるので、自由に選んでもらえるのが1番嬉しいですね。

―― 逆にこれはやめておいた方がいいって構成はありますか?

新納氏: 同じ職業を選んでもいいのですが、ハッカー3人はやめておいた方がいいかもしれません(笑)。

―― クリア後や特殊な条件で職業が追加されたりするのでしょうか?

新納氏: ないです。5つの職業を細かく調整しました。

―― ボイスの種類が豊富で、とても豪華なメンバーですよね。キャラクターをクリエイトタイプのゲームでは、豪華なキャストが30人もいるゲームでは珍しいですよね。

新納氏: バトルに掛け声をいれたいという普通の企画だったのですが、どうせなら沢山選べたほうがいいよね……と話すうちに、いつのまにか豪華なキャストになっていました(笑)。僕は格闘ゲームが好きなのですが、サントラ買ってボイストラックを聞くほど必殺技のボイスがお気に入りで、今回はその影響を受けています。30人の声優さんに職業が5つ。計150パターン全部違うセリフにしたので、大変でした……。ボイスタイプを選択する際には、声優の方のお名前も表示できるようにもしてあります。

―― どのように選出されたのでしょうか?

新納氏: 声質やユーザーさんが喜ぶだろうという方100人くらいを、最初にセガさんと選出して、絞っていきました。

小玉氏: 50人くらいまでいって、そこから声優さんのスケジュールの都合などから30人まで絞りましたね。ちゃんと彩りがあるように工夫しました。

新納氏: ギリギリまでベストを尽くしました。正直、30人になってほっとしました。50人だったら「セリフ考えるのは無理だな」と思ってましたので(笑)。

―― 「龍が如く」でもお馴染みの黒田崇矢さんが入っていますが、セガを意識して選んだんですか?

新納氏: いえ、渋い良いお声の方が欲しかったからです。渋い声の中では……という意味では、セガだったから、というのはあるのかもしれませんね。

小玉氏: 黒田さんには素敵なセリフもありますよね。

新納氏: キャストが決まってから「竜が如きに負けはせん!」と、セガさんのゲームを意識したセリフは入れてあります。ご本人も「言っていいのかなぁ」とはおっしゃってました(笑)。



■ 主題歌は初音ミク。楽曲を手がけるのは様々なゲームサウンドを手がける古代祐三氏

―― 主題歌、さらにはゲーム中にも初音ミクが登場しますが、どういった経緯で採用したのでしょうか?

新納氏: 前作にはファミコン音源的な8bit音源モードがありました。その代わりとなるものが、本作には予定されていなかったんです。前作のものは、あくまでスペシャルボーナスであって、毎回やるものではないかな、と。でも、開発中盤で「やっぱり寂しいよね」という話になりまして。そこで初音ミク音源はどうなのかなと話が挙がったんです。最初は全曲の予定ではなかったのですが、セガさんがバックアップしてくださって、結果的に全BGMを歌ってもらうことになりました。

小玉氏: 前作の時から主題歌については新納さんと話をしていました。前作では別の歌手の方の歌を取り入れる予定だったのですが、事情でNGになってしまったんです。そこで2020年の歌姫は誰だろうと検討した結果、初音ミクさんがピッタリだろうと。

新納氏: 楽曲を作る方もゲーム好きの方を紹介していただけました。僕はゲーム会社の人間なので、ゲーム好きな方にやっていただいたのが何より嬉しかったです。

小玉氏: Twitterでもお馴染みの中の人(1号)に相談したところ、全面的に協力してくれて、作品に理解ある方に声をかけてくれたので、話もしやすかったです。

新納氏: ミクさんを使って、まるまるRPG1本分の曲を作るのは大変なことだろうと思ったのですが、セガさん、ひいては多くのアーティストさんのご協力で、実現できました。

―― 主題歌以外に初音ミクはどのように本作に登場するのでしょうか?

新納氏: 初音ミクを連れてくるための専用クエストがあり、クリアすることで、ゲームのBGMを全曲歌ってくれるモードに切り替えることができます。 雰囲気も一変するので、是非聞いてみて欲しいです。


―― BGMはセガだと「忍」シリーズなどの楽曲を手がける古代祐三さんが担当されているとのことですが、発注にあたり、どのような注文をされましたか?

新納氏: 古代さんはゲームミュージックの大ベテランですので、あまり言うこともなかったのですが、東京の世界観なので、前作のファンタジー要素を捨てて、全く新しいサウンドでいきましょうとお願いしました。RPGのBGMでありつつ、東京的な曲を作っていただけたと思っています。

小玉氏: 生音をひかえめにして、デジタル的な手法で、という話でしたね。

新納氏: 「せっかくなら新しい音を」ということで、古代さんが音楽業界的に新しい音色を入れてくださるんですが、「さすがにアピールが強すぎるのでは……!」というようなこともあり、たくさん調整をお願いしてしまいました。開発当初はそのあたりが少し大変だったかもしれません。

―― 相当やり取りがあったんですね。

新納氏: 何度か、お忙しい古代さんの作業場にお邪魔して、直接やりとりさせて頂いたこともありました。良く対応してくださったので、嬉しかったです。



■ スキルや職業を絞り、スキルを与える時機を分けることでより遊びやすく、より面白く

―― ちょっと遊ばせていただいた限り、1ターンも無駄にできない緊張感のあるバランスになっていました。新納さんのゲームではいつもそうではあるのですが、やはりゲームバランスについてはかなりこだわりがあるんですよね。

新納氏: 専任バトルスタッフが最後までずっと調整してくれて、本当にがんばりました。僕がテストプレイをしていて、少しでも「これはまずい」と思ったら、すぐに担当に言って、どうやったら解決できるかを延々と話し合いしました。セガさんのチェッカーさんにもあらゆる組み合わせでプレイしてもらい、そのフィードバックの反映をできる限りやりました。今作はどの組み合わせでも、スキルの運用方法をきっちり考えれば「これ強ぇ!」という楽しみがあるようになっていると思います。

―― 新納さんのゲームのファンは、新納さんらしいバランスを求めているでしょうね。

新納氏: ここ数年でRPGを7本つくりました。その中で、いろいろな人の感想を聞いたり、多くのことを学べたと思ってます。最近は間口を広く、しきいを低くしつつ、投げ出さない程度の適度な難易度を模索しています。今作は、超難易度のゲームを期待されている方には少し物足りないかもしれませんが、気持ちよくハラハラして遊んでもらえるゲームになっているかと思います。

―― カスタマイズ性が高ければ高いほど、調整は難しいですよね。特に本作では職業の選択もプレーヤー次第ですし。

新納氏: 今回はスキルの開放に段階をつけて、はじめてスキルカスタムのゲームに触れるユーザーでも遊べるように調整しました。序盤はキャラクターの特性を教えるスキル、中盤からは応用して組み合わせると強いスキル、終盤はラスボスに向けての強力なスキルとしてあります。スキルや職業を絞り、スキルを与える時機を分けることで、戦略を体感しながら遊んでもらえるのではないかと思っています。 個人的にはスキル性能の調整より、RPGに不慣れな方にも、スキルと職業の意図を理解してもらえるように調整するのが大変でした。

 自分は、RPGをやっているとゲーム中盤に飽きやすいので、中盤以降に刺激が出るようにコントロールしました。そのため、中盤にトリッキーなスキルを持ってきたり、ギョっとなるような敵を用意してあります。レベルアップによるスキルポイント制をやめた理由は、「レベルが上がるまでスキルが増えない」というのが今の時代のカジュアルユーザーに受け入れられるか疑問だったからです。

―― 前作ではレベル上昇時にのみ獲得できたスキルポイントですが、本作では戦闘毎に獲得できるのでスキルを全部埋めることもできますね。

新納氏: できます。つまみ食いもできますが、特定の主力スキルを伸ばしたければ、他のものは遠慮しておく、みたいな。今回は後半になってスキルの取り返しがつくようなバランスになっているので、気楽にいろいろ試してください。


―― メニューから一瞬で目的地に移動できるようになったり、フロワロだらけでマップを歩くだけで体力を削られるシステムはなくなっていますね。

新納氏: 前作はドラゴンの花だからという独特な方向でまとめようとしたせいで、僕の中では押し付けがましいゲームになってしまいました。「こういうゲームなんです!」というの押し出しすぎて、ユーザーからすれば「それはないな」という部分も押し切ってしまった。これについては、ユーザーさんからも厳しい意見をもらいましたね。スタッフや小玉さんと大反省会を開催して、「そういう部分は全部やめましょう」と決めたんです。若いユーザーさんにも向けて遊びやすさを追求してあります。

小玉氏: 前作をプレイしていなくても遊びやすさを感じてもらえるはずです。

―― ドラゴンの素材で都庁を改修していくシステムも面白いですよね。

新納氏: 前作も壊れた街を取り戻すのですが、復興があまり描けなくて物足りなかったなあと感じました。ただ、復興をドラマで描くのは大変なので、だったら、そこはゲームにしてしまった方がいいだろうと。町は1つと決まっていたので、町は変化していって欲しいし、新しい住人が来るほうが楽しいでしょうし。まずは物語性ありきで考えて、そこからシステムとして遊べるようにしました。

―― このようなアイディアはどういう時に考え付くんですか?

新納氏: 突然ですね(笑)。自分は歩いている時が多いです。通勤や退勤時の駅までの徒歩時間にすごく考え事をしています。それで、すれ違う社内の人に気づかなくて、「新納さん冷たい」と言われたりもしますが(笑)。ついさっき歩いている途中に考え付いたことを、まるで前の晩から考えていたかのように、「ずっと考えてたんだけどさ」って話すことが多々あります(笑)。



■ セガとイメージエポックがタッグを組んだからこそできたこと。新納さんとは? さらに突っ込んだ話に展開!

―― データインストールの容量が1GB弱とかなり大きめですが、サイズはどのようにして決まるんですか?

新納氏: 普通は、インストールしておくとロード時間短縮に効果が高いデータをピックアップして、容量が決まります。今回はカスタム要素のあるRPGなので、専門的に言うと「データがパックできずに、細切れになっている」ので、データ自体は小さくても、読み込み回数が増えてしまう感じのゲームでした。僕が「今回があらゆる局面で0.1秒でも早くなるように」とプログラマーさんにお願いしたところ、「1GBくらいあれば、細かい部分を全部早くできます」と言われたので、「じゃあそれで!」と(笑)。

―― データインストール有り、無しでロード時間を比べるとダントツに早くなりますね?

新納氏: ダントツ早くなると思います。開発当初は、すごくロードが遅くて小玉さんにもお叱りを受けました。開発環境はアクセスが早いので気にしていなかったら、いざROMに焼いてみると「これは遅いな」という時代がありました。製品版ではUMDでも遊べるように調整したのですが、さらに1歩踏み込んで、データインストールを用意して、速さを追求しました。

小玉氏: 当時、「あの速度はない!」って返事しましたから(笑)。今回はインストール容量が大きいので、ユーザーさんにはご負担になってしまうかもしれませんが、ご利用いただければダントツに早いので快適にプレイいただけます。

―― プログラマーさんの力によるところも大じゃないですか? インストールデータは暗号化して、使うのに複合化とかも考えなければと地味に大変そうな印象が。

新納氏: プログラマーの力も大きいです。さらにセガさんのご協力がいただけたこともあり、かなり速くなりました。今回、企画スタッフはデータ調整に必死でROMに焼いて確認する時間があまり取れなかったので、当時のロードの遅さには本当に驚きました。プログラマーの席に体育座りして、「なんとか……なりませんかね……」ってずっと言ってました(笑)。こちらも、設計を超えてデータをどんどん追加したりと、無茶をやっていたので、プログラマーさんには大変申し訳ないと思いつつも、それでもロードは早くしてくれないと困る!と。スキルやモーションの量も増えていって、ボイスも多くて。そこは小玉さんが最後に「セガとしては、このまま発売できない!」という厳しい発破をかけてくださったので、最後まで頑張る上で心の支えになりました。

小玉氏: 弊社の他のタイトルでも同じような問題があり、フィードバックをもらっていますし、セガに蓄積されたノウハウをお伝えすることはできますので。 協力関係で品質を高めてもらうのが私の仕事だと思っています。

―― ノウハウの提供というお話がありましたが、プロデューサーのゲームへの関わり方って、プロデューサーにより様々だと思うのですが、小玉さんはどのように本作に関わられたのでしょうか?

新納氏: ゲームの内容は任せてくれて、作っている最中にグダグダ言わない方なのが、ありがたかったです。ただ、できあがったものに関しては、「ダメなものはダメ」としっかりおっしゃって下さる。あとは……困ったときに助けてくれる方です(笑)。

小玉氏: 信頼関係だと思うんです。私は新納さんの作るものを信頼しているので、新納さんがやりたいことを実現させたい。それをセガ社内で実現できるように動かしていく。ただ、「ダメなものはダメだ」と言うべきだと思っています。若いスタッフがやりたいことを実現させてあげられるプロデューサーでありたいと考えています。

―― 先ほど、ゲーム調整についてお話されていましたが、開発中、基本的に着地点はすぐに見えて、そこに向かって作業は進んでいくんですか?

新納氏: ゴールは見えているんですが、開発スタッフ個々の話でいえば、私も含め、見えているゴールに対してどうアプローチすればいいかわからないことがあります。間違った1歩を進んでしまうと、その1歩を後戻りしたくないという恐怖でどんどん間違ったほうに進んでしまうんです。そういう時は、ディレクターとして「そっちは間違いだから、後戻りしなさい!」と、スタッフが安心して後戻りできるようにするのが仕事だと思っています。

小玉氏: 新納さんから「調整期間にすごく時間が欲しい」と言われた時は、これは覚悟しなければと思いました。ゲームループの根本を整理する話もでてきて、スタッフの方々に負担になるのでは、という不安はありましたが、みなさん本当に良くがんばってくれました。御影(良衛)社長から「良いものにしますので、どうか時間をください」と言われたことも大きいですね。

―― 作ってみないと見えてこないことはあると思うんです。形になって初めて「これは違う」といったことが出てくるんじゃないですか? ダメだしのタイミングが難しいですよね。

新納氏: 形になる前にわかることと、形にならないとわからないことがあります。今回は「もっと前にわかったのに」という部分も多くあり、自分の力量の足りなさを痛感しました。いじってみて「結果良くなったでしょ」というのは甘えたことだと思うので……。

小玉氏: 社内では「遊んでみたら、調整されるごとに面白くなっている」と意見がもらえましたので、安心しました。次々に良いものが見えてきたのは、イメージエポックさん、新納さんの力ですね。

新納氏: ちょうど、色々直したいと思っていた頃に、社長は海外に出張に行っていたので、「直したいんです、助けて」とメールをしたんです。そうしたら「悪いものを出すわけにはいかないから、好きにやっていいよ」と言ってもらえて救われました。もちろん、好きに……といっても、突然豪華なゲームが作れるわけではないのですが、限られたスタッフと時間を使って、十分に調整することができました。

―― 開発期間はどれくらいだったんですか?

新納氏: 去年の6月からなので、1年半くらいですね。

小玉氏: 私はその当時、ちょうど入院していたんですよね。その時に企画書をもらいました(笑)。

新納氏: 入院前にはファンタジーだった企画書が、急に東京が舞台に決まりましたと(笑)。

―― 調整期間はどのくらいとりましたか?

新納氏: 途中でもやりましたが、組みあがってからでも1カ月は頂きました。

小玉氏: 新納さんは戦闘のバランスを重視する方ですので、戦闘はもっと長い期間ですね。

新納氏: そうですね、戦闘だけなら半年近くは調整したと思います。

―― 新納さんはいろんなタイプのゲームを作っていますが、どのゲームにも新納さんらしさが出ていると感じられるのですが、ご自身で“らしさ”はどこにあると思いますか?

新納氏: よく「新納くさい」って言われるんですが、僕の中では特に意識して作っているわけではないんです。もともとデザイナーだったので、ビジュアルの嗜好にクセがあるのかなと思います。あと、中途半端な水増しを入れないことでしょうか。水増しすると、データの形がいびつになってしまって……それが怖くて要素を絞ってしまうんです。それが多分「物足りない」とか「逆にシンプルでいい」とか、良くも悪くも感じられる部分なのかもしれません。

―― ボリュームを増やすために水増しする、というのはありがちな話ですね。

新納氏: 限られた予算と人員の中で、水増しに使うリソースがあるなら、できれば本編に使いたいんです。「モンハン」みたいなゲームなら、やり込めることがゲームの良さだと思うので、とことんやり込めるようにするべきだと思うのですが、RPGでお話を追ってダンジョンを攻略するようなものなら、本編をしっかり作って、やりこみ要素は本当におまけ程度のものにしておきたいんです。ただ、それを望んでいらっしゃるお客様がいるのはわかっているので、開発効率を良くして、そこも満足できるようなものが作れる編成にしていきたいです。今回もクリア後のおまけを少しだけいれてあります。

―― ユーザーが望んでいるものをキャッチアップするのは難しいですよね。前作とは対象をずらしていますし。

新納氏: すごく意識はしています。さっき言った格闘ゲームもそうだと思うのですが、上手い人はどこまでもシビアで難しいものを欲しがります。ただ、そのオーダーに答えつづけていくと、本当に間口が狭まってしまう。いま流行しているソーシャルゲームとかって凄くシンプルで、攻略性も低いですよね? ゲーマーには物足りないかもしれませんが、凄くカジュアルな人は喜んで遊んでいます。コンシューマーはそこまでカジュアルにすることはできませんが、それでも間口は広く、気持ちよく遊べるようにしたいんです。声優さんを起用したのも、それで少しでもRPGの間口が広がれば……という意図もあります。もう少し、入りやすくて、遊びやすい、それでいて歯ごたえのあるRPGがあってもいいんじゃないかなと。ここしばらくは「開発者の作った高い壁を越える」ゲームより、「ハラハラできるアトラクション」を作っていけたらと思います。できるだけコアゲーマーも満足する形で……これは理想ですが。



■ 最後に

―― 最後にファンの方に一言お願いします。

新納氏: 東京という身近な世界観でドラゴンが出てくるという設定的な面白さと、その中で立ち向かうドラゴンも強く、RPGとして楽しめる要素が詰まっていると思います。RPG好きの方は手に取ってもらいたいです。

小玉氏: 「セブンス」らしさを残して作ったつもりですし、遊び心地も近いものになっているはずです。楽しんでいただきたいと思います。よろしくお願いします。

―― ありがとうございました。


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(2011年 11月 28日)

[Reported by 木原卓 ]