東京ゲームショウ 2011レポート

崑崙日本、WIN「魔導学院エスペランサ」運営・開発インタビュー
戦闘の自動化がユーザー間の交流を促進させるゲームデザイン


9月15日~18日 開催(15日、16日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 崑崙日本株式会社が年内にサービスを予定しているWindows用MMORPG「魔導学院エスペランサ」について、「東京ゲームショウ 2011」の会場にて開発者・運営担当者にインタビューができた。

 「魔導学院エスペランサ」は、中世西洋風の3D世界を舞台とした、魔法と学園のファンタジーRPG。魔法と学園と友情が作品のテーマとなっており、魔導学院の生徒となったプレーヤーは、他のプレーヤーとモンスターを倒し世界を救う旅に出るというストーリー。9月16日に開催された発表会では、年内にサービス開始予定と発表されている。

 今回のインタビューでは、本作を開発した台湾Lager Network Technologiesのプロデューサーの陳恒帆氏と、崑崙日本GAME事業部で本作のプロデューサーを務める駒形重紀氏に開発のきっかけや作品の見所などを聞けたので、その模様をお伝えする。なお、16日に開催された発表会や体験した様子はこちらの記事にあるので、合わせてご覧いただきたい。




■ ストレスを排除し、楽しく気軽にユーザーに遊んでほしかった

Lager Network Technologies開発プロデューサーの陳恒帆氏
魔導学院の様子。プレーヤーの成績のよって発展していくそうだ

――まず始めに、どのような思いでこのゲームが作られたのか、そのきっかけなどがあればお聞かせ下さい。

陳恒帆氏: 今あるゲームでは、ゲーム内での競争や奪い合いに注力したものが多く、それがあるプレーヤーにとってはストレスやプレッシャーになっていました。そこで、ユーザーにリラックスして、楽しく気軽に遊んでもらえるようなゲームを作りたいと思ったのがきっかけです。

――魔法と学園と友情というテーマからも、楽しく気軽にという雰囲気が伝わってきますが、ゲームはどのように進行するのでしょうか?

陳氏: プレーヤーは、5校ある魔導学院のいずれかの生徒となります。生徒それぞれのクエスト達成状況やイベントの成績によって、学院が成長していきます。また、学院ごとに成績がチェックされ、ある期間ごとに成績が発表されます。成績が優秀だった学院には、プレーヤーキャラクター全員にステータスやスキルなどのボーナスが与えられます。レベルに関係なく、全員の努力が全員に返ってくるシステムになっています。まずは、学院が成長する過程を楽しんで欲しいと思います。

――生徒同士での競争はないのでしょうか?

陳氏: 学院対抗形式でのイベントを毎日設けています。他校の生徒と争うということはありますが、競争と言っても、あくまで生徒たちが協力するためのものなので、ストレスとは離れた場所にあるように作っています。


「補習特訓システム」では、行動の設定をある程度決められる。この画像ではまだ日本語化されていない

――ゲームの機能面でも、自動で戦闘ができる「補習特訓システム」によってストレスを軽減していると思いました。

陳氏: 多くのMMORPGでは戦闘シーンに時間が割かれ、モニターの前に張り付かなくてはならなかったり、時にはPKなどもあって、それがストレスになっていたと思います。そこで、戦闘をオートにして経験値を稼いでもらうことで、プレーヤーに何度も同じプレイをさせないようにしました。自動で戦闘している間にチャットウィンドウを開いて他のプレーヤーと交流もできます。同じ作業を繰り返すよりも、その時間を誰かとの交流に使ってほしいと思います。

――MMORPGでのオートバトルは不正な手段とのイメージもありますが、敢えてシステムとして入れた理由は何でしょうか?

陳氏: これに関しては、長い時間検討を重ねてきました。RPGではレベルアップを目標にしがちですが、このゲームはレベルアップそのものが目的ではなく、あくまでユーザー同士の協力を楽しんで欲しいという点を考慮して、最終的に実装に至りました。

「カルマカード」はテーマを持った12枚が1セット。画像では星座をテーマとしたカードが並んでいる

――バトルシステムとしては、もう1つ「カルマカード」という特徴的なシステムがあります。この実装に至った経緯を教えて下さい。

陳氏: これは「補習特訓システム」実装の流れから自然に生まれ出てきたシステムです。バトルをオートにしてしまうと行動が簡略化され、どれも似たようなものになってしまうという問題がありましたが、自由に組み合わせられる「カルマカード」を実装することで、オートバトルでも自分が操作している感覚を再現して解決しようとしました。

――カードの組み合わせで、オートバトルでも個性が出せるとうことですか?

陳氏: オートバトルでは、ランダムに表示されるカードに表記された属性のスキルを使っていきます。例えば、火の属性が強いキャラクターで、オートバトルでも火のスキルを多く使いたいといった場合は、火の属性のカードを多くセットすればいいのです。ちなみに、大技である「カルマスキル」は「補習特訓システム」中は発動しないのですが、今後もし要望が多いようであれば、実装する可能性もあります。

――カードの種類はどのくらいあるのでしょうか?

陳氏: テーマを持った12枚のカードを1セットとして、現在は星座、天使、堕天使のセットを合計36枚実装する予定です。まだ枚数は少ないですが、今後も増やしていく予定です。




■ 3Dキャラクターの表情も日本独自に変更予定

崑崙日本GAME事業部で本作のプロデューサーを務める駒形重紀氏
3Dキャラクターの表情も日本独自のものに変更されるそうだ

――駒形氏にもお聞きします。まずは今後の日本展開について教えて下さい。

駒形重紀氏: ただいまローカライズの仕様について意見を交わし始めたばかりなので、あまりお話はできませんが、発表会でも申し上げた通り、イメージビジュアルや、3Dキャラクターの表情などは日本独自の仕様にする予定です。またカードの絵柄も、新規のものについては日本のイラストレーターに描いていただこうと思っています。

――台湾と日本という言葉の壁もあるかと思うのですが、コミュニケーションの面で問題はありませんか?

駒形氏: 陳さんは開発プロデューサーとして、台湾と日本のユーザーでは価値観が違うということをとてもよく理解して下さっていて、ローカライズについても積極的に携わっていただいています。それは私も同じ考えなので、とても心強く思っています。言葉の壁は確かにありますが、考えは同じ方向なので、コミュニケーションは上手く取れています。

――それでは最後に、それぞれユーザーの皆様に意気込みとメッセージをお願いします。

陳氏: 独自の調査の結果、日本のユーザーはユーザー同士の交流を重視する傾向にあるとわかりました。ですので、「補習特訓システム」をフルに活用して、戦闘に割く時間を友だち作りに使っていただければと思います。日本はゲームの歴史も長く、コンシューマーゲーム、ソーシャルゲームがともに発展しています。しかしそういった日本産のゲームだけでなく、台湾生まれの日本とはまた違った世界観やゲームシステムを、より多くの皆様に体験していただきたいです。

駒形氏: 現在は、年内のサービス開始を目指して奔走しているところです。最近のMMORPGは1年持つことが少なくなってきていますが、皆様に長く、多く遊んでいただければと思います。従来のMMORPGが好きな人も楽しめますし、そこで長時間プレイを強いるのではなく、少しのプレイ時間でもゲームをした感覚を実感できるようにしています。日本版ではログアウトしている時も「補習特訓システム」が動作するという実装も予定していますので、ぜひそこを楽しんで下さい。

――ありがとうございました。


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(2011年 9月 18日)

[Reported by 安田俊亮]