Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート
EAブースレポートその2:大量展示で存在感を示す巨大ブース
期待の「Battlefield: Bad Company 2」、物理エンジン使用のボクシング「Fight Night Round 4」など、新作一挙紹介
E3 2009の会場にて、サードパーティとしては最大級のブースをウェストホール正面に構えるElectronic Artsは、主だったものだけでも20ほどの新作を展示し、沢山の試遊台を用意して無数の来場者を迎え入れていた。
もちろんE3は北米の市場をメインとするイベントであり、日本へのローカライズが確実視されるタイトルに限れば、ある程度その数は絞られてくる。本稿では、先日お伝えした「EAブースレポートその1」に引き続き、世界最大級のゲームパブリッシャーであるEAが今年から来年に掛けて市場投入する注目作をご紹介したい。
■ FPS「Battlefield: Bad Company 2」
初公開のマルチプレイモードは、前作「BFBC」の正当進化型
「BFBC2」のデモルーム。マルチプレイモードのみの試遊となっていた |
ゲームルール、システムなどについて解説してくれた本作のシニアプロデューサーPatrick Bach氏 |
まずはFPSゲーマー注目の「Battlefield: Bad Company 2(BFBC2)」についての内容をお伝えしたい。昨年発売され好評を博したPS3/Xbox 360用FPS「Battlefield: Bad Company」(レビュー記事)。その続編となる「BFBC2」は、2010年の初頭の発売を予定している。
本作については、去る3月末にサンフランシスコで行われたGDC 09の際に、シングルプレーヤーモードの印象をお伝えしている(EA、新作「BATTLEFIELD: BAD COMPANY 2」と「BATTLEFIELD 1943」のお披露目会を開催)。パワーアップした演出、破壊システムなど、なかなか見所のあるタイトルだ。そして今回は、マルチプレーヤーモードが初公開され、実際に体験することができた。
本作のシニアプロデューサーPatrick Bach氏の解説のもと、ルーム内に設置されていた試遊台で8人のプレーヤーがチーム戦に参加。展示はクローズドルームの中でのみ行なわれていたため、外の喧噪からは隔離された、ある程度静かな環境で集中してプレイすることができた。使用したプラットフォームはXbox 360版だ。
マルチプレーヤーモードのルールは、基本的に前作「BFBC」と同じだ。参加プレーヤーは攻撃側と防御側のチームに分かれ、攻撃側のチームは、マップに示された2つの攻撃目標を制圧し、爆弾を設置して爆破することで前線を進めることができる。3段階ほど前線を進めると本拠地に攻め込むこととなり、最後の拠点を制圧すれば攻撃チームの勝利だ。
とはいえ、いろいろと違っている点もある。特に大きいのは、多人数搭乗が可能な大型ヘリといった、新たな乗り物が追加されていることだ。マップ上には攻撃側チームも使える固定銃座などが配置されており、全体的に戦闘がより派手に展開するようになっている。もちろん、防衛側と攻撃側が拮抗する、絶妙なゲームバランスは継承されている。
また、前作と同じく、ほとんどの建物やオブジェクトは破壊可能だ。コンクリートブロックなど、ハンドグレネード程度の威力ではぶちぬけないものもあるが、戦車砲やヘリのロケット砲を使えば、周囲の建物がどんどん廃墟になっていく。ただ、シングルプレーヤーモードで確認されたような「家屋が骨組まで完全崩壊する」というシーンは、今回のマルチプレイセッションでは見ることができなかった。より激しい戦闘では、そういった場面に出くわすかもしれない。
その他、プレーヤークラスや武器などはおおむね前作の特徴を引き継いでおり、本作のマルチプレーヤーモードは前作の正当進化型といった印象だ。対戦派のプレーヤーはルールの安定を求めることなので、ひとまず合理的な進化であるとは言えよう。しかし、前作からおよそ2年を経過して登場する続編であるだけに、もう少し変化が欲しいという気持ちもあった。
いずれにしても、前作「BFBC」で、対戦型FPSの定番のひとつという地位を築いたフランチャイズ作品だ。大きな冒険はせずに、着実にグレードアップさせようというのが開発元のEA DICEの意思だろう。本作の欧米での発売は2010年初頭で、日本語版については現時点では不明。おそらくは前作と同じく、大きくずれ込むことなく日本版が発売されるものと考えられる。
【Battlefield: Bad Company 2 トレーラー】 |
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【Battlefield: Bad Company 2】 | ||
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今回のデモンストレーションでは、シングルプレーヤーモードについての情報は得られなかった。現時点のマルチプレイモードの内容を見る限り、前作「Battlefield: Bad Company」のマイナーバージョンという印象を受けるが、はたして完成形はどのようになるのだろう |
■ TPS「Army of Two: The 40th Day」
大災害に見舞われる都市で、相変わらずの「軍団ふたり」が密着協力プレー
イメージイラスト |
ふたりは常に一心同体。あらゆるシチュエーションでコンビネーションを発揮できる |
2人の屈強な兵士がタッグを組み、密接なコンビネーションで数々の困難を乗り越えていくTPS「Army of Two」(レビュー記事)。その続編「Army of Two: The 40th Day」は、「BFBC2」とおなじくクローズドルーム内で限定的なデモンストレーションが行なわれていた。本作はプレイステーション 3及びXbox 360向けに、今年の年末にリリース予定だ。
続編となる本作でも、エリオット・セーレム、タイソン・リオスの2人が組む強力タッグは顕在だ。シングルプレーヤーモードで2人のキャラクターを切り替えて操作することもできるし、COOPモードでは、オンラインで接続したプレーヤー同士で連携しながらゲームを進めることができる。
開発スタッフの説明によると、本作では2人の連携プレーに新たなバリエーションが加えられたほか、プレーヤーの選択次第でシナリオが変化する、ダイナミックなシステムを搭載したという。クローズドルームで行なわれたデモンストレーションでは、戦闘シーンと会話シーンについて、2つのシーケンスで紹介が行なわれた。
今回のアーミー・オブ・ツー、すなわち「軍団ふたり」が置かれた状況は、軍の公式な任務ではなく、よりプライベートな戦いらしい。舞台は崩壊を始めた中国の都市。市街が焼け、ビルが崩れ落ち、市民が逃げ惑う環境の中、2人の屈強な兵士は「自分の身を守るため」に作戦行動を開始する。
戦闘は前作と同じく、障害物を使ったカバーリングアクションと射撃が中心だ。AIが制御する敵キャラクターも積極的に障害物を使って攻撃をかわそうとするため、正面からではなかなか撃破できない。そこで、2人がうまく分散し、相手の死角を衝いて攻撃するわけだ。的確に連携し、射撃を命中させることができれば、ほんの数発で倒すことができる。非常にタクティカルなゲーム内容である。
今回のデモンストレーションで見ることのできた連携プレーの例をあげよう。重い扉をひとりが開け、支えている間にもうひとりが通り抜ける。ひとりが土台になり、もうひとりが高所に登る。その状態でひとりが敵を視認し、「CO-OP SNIPE(協力狙撃)」を発動して同時に射撃、2体の敵キャラクターを同時に始末する。などなどだ。
基本的なテイストは前作と変わらぬ本作ではあるが、今回はストーリーをよりよく味わうためのシステムを用意している。プレーヤーは行く先々で「選択」を迫られ、その結果何かを得て、その代償として何かを失うというものだ。
デモンストレーションが行なわれたシーンでは、2人が警察の武器庫で銃を漁っているところから始まる。突然警察署長が現われ、「お前ら何をしているんだ!」と威嚇してくる。ここでプレーヤーは「武器を捨てる」、「武器を拾う」のどちらかを選択するのだが、拾う方を選択したところ、事故に近い形で警察署長を殺してしまうという苦い結果。武器を得る代わりに、潜在的な味方を失ったわけだ。
このような形で、本作「Army of Two: The 40th Day」は、シリーズの特色である協力プレイの面白さを継承しつつ、ストーリーを楽しむゲームとしても深みを増している。特異なシステムであるため前作をスルーしたFPSファンも多いと思うが、続編をきっかけにもう1度チェックしてみてはいかがだろうか。
【Army of Two: The 40th Day トレーラー】 |
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【Army of Two: The 40th Day】 | ||
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常に2人の主人公が連携しながら戦うという異色の協力プレイシステムを持つ「Army of Two」。続編も要チェックだ |
■ リアルボクシングゲーム「Fight Night Round 4」
物理エンジンで再現された肉体、つぶれる顔! かつてなくリアルな動きとビジュアル
「Fight Night Round 4」のプレイアブル展示 |
パンチで歪む顔の肉! |
スタッフがしつこくリプレイしてくれたシーン。自然にパンチが交錯した結果、腕が絡まり、一瞬だけ攻防が途切れた |
EA Sportsブランドのスポーツゲームでは近年、物理エンジンを活用してよりリアルな競技シーンを再現しようとするケースが増えてきている。「FIFA」シリーズしかり、「NHL」シリーズしかりだ。そして、その試みをボクシングゲームに本格応用した作品が登場する。それがリアル系のボクシングゲームシリーズの最新作「Fight Night Round 4」だ。
本作のウリはまさに「物理エンジンで再現された、超リアルなボクサーの肉体」である。パンチを繰り出して顔面にクリーンヒットした瞬間、命中箇所の肉が押し込まれ、唇や頬、鼻が歪む。そして汗が飛び散る。一見してびっくりするほどのリアルさだ。
本作を紹介してくれた、開発元EAカナダのスタッフによれば、こういった顔面の肉の動きも物理エンジンでしっかり処理された結果だという。拳の接触エネルギーが顔面の肉に伝わり、一種の軟体物理シミュレーションを行なって、顔面の変形という結果を導き出しているのだそうだ。
そのほかにも物理エンジンを使った効能はいろいろとある。特に大きいのは、ボクサーの腕、頭、ボディといった、競技特性上よくぶつかりあう部位の表現に、強い説得力が生まれたことだ。開発スタッフと対戦した際に、面白がってリプレイを見せてくれたシーンがある。左フックと、右アッパーが交錯して、腕がからまってしまった場面だ。現実でも起こりそうな場面が、物理処理の結果として起こりうるというのは非常に面白い。
また操作方法も面白いものになっている。左アナログスティックで移動、右アナログスティックでパンチという体系になっており、RBを押しながら右アナログスティックを動かせばスウェイに、LBを押しながらならばブロックになる。手軽で直観的なアナログ入力だけで様々なパンチングを行なえるので、開始数分で基本操作をマスターできる。
本作は、マイク・タイソン、モハメド・アリなど伝説的ボクサーをはじめ、世界的なボクシング選手が多数登場するという真面目なボクシングゲームだ。そのためグラフィックにも力が入れられており、躍動する筋肉、滴る汗、苦痛にゆがむ選手の表情、どこを見ても非常にリアル。E3では他にもリアル系ボクシングゲームが複数出展されているのだが、それらを見比べた結果として、本作が1番だと言わざるを得ない。
というわけで今回の「BEST OF E3」賞にもノミネートされている本作「Fight Night Round 4」。PS3/Xbox 360向けに、6月30日の発売が予定されている。DLCで新たな選手を追加する計画もあるそうなので、ぜひ、日本の有名ボクサーも追加してもらいつつ、日本語版がリリースされることを願いたい。ボクシングファンだけでなく、多くのゲーマーが本作を楽しめると思うからだ。
【Fight Night Round 4】 | ||
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物理エンジンをボクシングに本格導入したというのは「変わり種」と思われがちだが、実は非常に効果的で、ゲームのクオリティを格段に上げることに成功していた。ボクシングファンならずとも1度は見てほしいゲームだ |
■ レースゲーム「Need for Speed SHIFT」
レースゲームの基本に立ち返った「NFS」。走行Gを感じるカメラ演出が好印象
「Need for Speed SHIFT」のプレイアブル展示 |
映像と走行モデルの両面でリアルを追及するタイトル |
いまや15年近い歴史を持つ「Need for Speed」シリーズ。近年ではドラマ性やアクション性を求めて様々なタイプのフランチャイズタイトルがリリースされ、一方でレースゲームの王道を外れてきた経緯がある。しかしここにきて、シリーズはレースゲームの基本である「純粋な走り」に立ち返ろうとしている。それが最新作「Need for Speed SHIFT(以下『NFS:SHIFT』)」だ。
「NFS:SHIFT」は、GTクラスのスポーツカーによる真面目なレースを楽しむ作品だ。「ゲージをためてブースト」や、「ボタンを押して特殊スキルを発動」といったものは一切存在せず、リアルなドライビング体験を提供するために、余分なものをこそぎ落としたシンプルなゲームに仕上がっている。
そのことは、本作を開発する新しいスタジオ、Slightly MAD Studiosの主要メンバーが、かつてSIMBINで「GT Legends」や「GTR2」を開発したスタッフであることからも期待できる。ガチガチのシミュレーター系レースゲームを作ってきた人材による作品なのだ。
EAブース内には本作の試遊台が8台設けられ、プレイステーション 3版と、Xbox 360版の両方で実際の走りを確かめることができた。デモバージョンで選択できたコースは2種類で、郊外型のサーキットレースと、市街地を失踪する都市型レースの2種類だ。
デモの設定上、アシストシステム等はONの状態でしかプレイすることができなかったが、感触としては、SIMBINの「Race Pro」のアシスト付きに近いハンドリングだ。サンドに乗り上げると容赦なくコントロールを失うあたり、結構厳しい設定になっている。ライバルは「Forza Motorsport 3」ということになるだろう。
登場する車種は、世界の有名メーカーからGTクラスのスポーツカーが勢ぞろいして全68種類。登場メーカーはアルファベット順でAston Martin、Audi、BMW、Bugatti、Dodge、Ford、Chevrolet、Honda、Koenigsegg、Lamborghini、Lotus、Maserati、Mazda、McLaren、Mercedes-Benz、Mitsubishi、Infiniti、Nissan Pagani、Porsche、Renault、Subaru、Toyota、Volkswagenなど。相当に充実した陣容だが、後々DLCとしてさらに追加される可能性も大いにある。
【Need for Speed SHIFT トレーラー】 |
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【Need for Speed SHIFT】 | ||
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リアル系レースゲームの王道に復帰しようとする「Need for Speed」シリーズ。「NFS: SHIFT」の発売は今年の秋に予定されている。エレクトロニック・アーツによる日本語版公式サイトも立ち上がっているので、早いうちに日本版のリリースが期待できそうだ。 |
【Need for Speed: NITRO】 | ||
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「Need for Speed: SHIFT」の兄弟作品としてWii向けの発売が予定されている作品。Wiiの特徴を生かした操作体系となっており、PS3/Xbox 360向けの「SHIFT」とは異なる作品になっている。今年の秋ごろに発売が予定されている |
【Need for Speed: NITRO トレーラー】 |
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【DeadSpace: Extraction トレーラー】 |
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http://www.ea.com/
□Electronic Entertainment Expo(英語)のホームページ
http://www.e3expo.com/
(2009年 6月 4日)