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「Forza Motorsport 7」ファーストインプレッション

日本語版を世界最速体験。長時間試遊&100GBの4K映像で魅力をたっぷりレポート

【Forza Motorsport 7】

10月3日発売予定

価格:6,900円(税別)より

 コンソールゲームでは史上初となるネイティブ4K/60fps/HDRに対応したレースゲーム「Forza Motorsport 7」がいよいよ10月3日に発売される。「Forza」シリーズ恒例のアルティメットエディションによる早期アクセスは今回も実施され、コアな「Forza」ファンは9月29日から、Xbox OneもしくはWindows PCで走り出すはずだ。

 去る9月5日、オーストラリアシドニーにおいてXboxの最新タイトルを集めた「Xbox Showcase」が実施された。アジア中からゲームメディアが集められ、半日掛けてたっぷり最新タイトルが楽しめるという贅沢なメディア限定体験会。そこで目玉となったのが「Forza Motorsport 7」だ。

 今回の体験会が、E3やgamescomでの試遊と大きく違っていたのは、ゲームショウ向けに制作された専用のビルドではなく、ほぼ製品版相当のビルドをプレイできたことだ。もちろん日本語入り。筆者が記憶している限り、「Forza」シリーズは情報規制がとりわけ厳しく、発売前に製品版がプレイできたことはない。それが今回プレイする事ができたのだ。しかも、4K/60fpsでのキャプチャも行なうことができ、発売前に製品版の映像を公開することも許可された。異例尽くしだが、逆に言えばそれだけ自信があるということだろう。

 それならばということで、今回筆者は、「Forza Motorsport 7」のプレイに試遊時間の大半を割くことにした。与えられた1時間だけでは物足りず、オーストラリアメディアの時間帯にもこっそり参加して走り続けた。4K/60fpsの動画も最初のトライでは、ビットレートが高すぎて20分で200GBのデータサイズになってしまったため、再度撮り直して100GB相当に抑えたり、徹底的に与えられたチャンスを活かしてみた。その結果をファーストインプレッションとしてお届けしたいと思う。

 下記に掲載しているのが、その4K/60fps映像だが、記事を読む前に見ても、読んでから見てもどちらでも構わない。25分にわたって試遊の模様を丸々撮っているので、飛ばしながら視聴するのがオススメだ。念のため繰り返すが“4K/60fps”映像なので、それなりの環境で見ないとコマ落ちが発生するので注意したい。

【「Forza Motorsport 7」日本語版プレビュー】

大きく変わった序盤の流れ。チュートリアルで多様性がアピール

 さて、「Forza」シリーズは良い意味でも悪い意味でもストイックなレーシングゲームで、純粋にレースを楽しみたいレースゲームファンにはそのシンプルさが心地よいのだが、そうではない人びとにとっては圧倒的なとっつきにくさになっていた。

 「Forza 7」では、Xbox One Xのショウケースとして、あるいは4K/60fps世代の最初のレーシングゲームとして、そのとっつきにくさを解消すべく、序盤の流れを大きく変えている。具体的には、丁寧なチュートリアルモードが加わっている。E3で公開された3種類のレースから選択してプレイできるビルドがベースになっており、製品版ではE3版と違って3種類から選択する画面はなくなり、順番にすべて走行していく。具体的には、まずは今作のカバーカーであるポルシェ911 GT2RSでドバイサーキットを走り、次にmugelloサーキットによるトラックレース、そして最後にNISSAN GT-Rで雨天の鈴鹿サーキットに挑む。

 いずれも1周のみで、ようやくクルマの特性やコースコンディションがわかって、これからアクセルを踏み込んでいくかというところで終わってしまう。ゆっくり通しでプレイして15分ぐらいだろうか。この3レースは強制走行で、スキップしたりすることはできない。何故出来ないかというと、実はこの間に、4Kデータのインストールを行なっているからだ。

 この3レースでは、カーカルチャーにまつわるストーリーが語られるほか、レース中もアクセル、ブレーキ、ハンドリング、リワインド、視点変更などのガイドが表示され、まったくの初心者でも少しずつ操作を覚えながら走り方を覚えていくことができる。

 ちなみに鈴鹿サーキットでの雨天レースでは、最初は大雨からスタートし、途中で雨が止み、1周する頃には見事な夕焼けが望めるという流れは、E3バージョンと同じで、ビジュアルの多様性のデモンストレーションとしても機能しているという印象だ。

「Forza 7」にはチュートリアルがある
レースとレースの合間には、美しいカットシーンと共にストーリーが展開される
ドバイサーキット。ポルシェ911 GT2RSで気持ちよく走れる
mugelloサーキット。トラックの車高が高すぎて通常視点だと前がよく見えない
雨天の鈴鹿サーキット。ビギナーにとっては最初の試練になる

4Kの衝撃! コクピットビューの圧倒的な高精細感を堪能せよ

 今回プレイしたのは4Kバージョンで、TVの都合で、HDRとHDRではない2バージョンをプレイした。今回掲載している動画は、非HDRバージョンだ。両方プレイし、両モニターを見比べていたが、私の感度が鈍いのかもしれないが、ほとんど違いが分からなかった。昨年のHDR対応初期の頃は、非対応だとグラデーションで表示されていてその違いがクッキリ分かったが、「Forza 7」は両方綺麗だ。少なくともHDR対応のためだけにモニターを買い換える必要はないと感じた。

 一方、ハッキリ違いを感じたのは、4K対応だ。とりわけコクピットビューの感動が凄い。まるで実車に乗っているように隅々までクッキリ見渡せるし、これまでは解像度の限界でにじんだり潰れたりしていたメーターパネルの表示が実車そのままのクッキリ感で描写されている。アナログメーターは針の動きでだいたい理解できても、デジタルメーターの場合、潰れ方によってはよく情報が読み取れないこともあったが、もうそういうことはない。筆者のみならず、「Forza」ファンはコックピットビューでプレイする人が多いと思うが、この進化はひとつの大きなポイントだと思う。

 またバックミラーの描写もかなり綺麗になっている。「Forza」シリーズのみならず、レースゲームのバックミラーの描写は実はかなりアバウトで、「Forza 6」においても解像度は低く、フレームレートも落ちていた。この点は「Forza」シリーズは1080p/60fpsにこだわってきたために悪目立ちしていたポイントだった。この点「Forza 7」では4K対応に合わせてかなり引き上げられ、コックピットビューのフォトリアルな雰囲気の醸成に一役買っている。その自然さは、4K映像を見て貰えれば分かると思う。

 ちなみに、Xbox One Xなら、フルHDでプレイしても内部的には4Kで処理されるためこうした精細感はある程度カバーされるようだ。今回、Xbox OneでのフルHDバージョンではプレイできていないのでどのような映像になるのかコメントできないが、Xbox Oneで処理できる水準ということを踏まえると基本的には「Forza 6」相当のグラフィックスになると考えて良いだろう。「Forza 7」をプレイするなら、やはりXbox One Xもしくは、Xbox One X以上のグラフィックスが可能なPC版でプレイする事を強くオススメしておきたい。

ポルシェ911 GT2RSのコクピットビュー
トラックのコクピットビュー
NISSAN GT-R NISMOのコクピットビュー
F40のコクピットビュー

細かいバンプを掴む油断できないドライビングモデル。雨天レースも改良

 ドライビングモデルについては、基本的には「Forza 6」からあまり変わっていない、と書きたいところだが、E3レポートでも触れたように、細かいバンプをタイヤが捉えるようになり、その影響をかなり受ける。4K映像を見て貰えればわかるが、ドバイサーキットのポルシェ911 GT2RSでは、常に車体全体が小刻みに揺れ、ボンネットが上下し、バックミラーがカタカタ揺れているのがわかるはずだ。ドライビングもその影響で若干走りにくくなっており、「Forza 6」より簡単に走れない印象があった。これに比べると以前の「Forza」は真っ平らな湖面を走っているような感じで、おもしろみがない。「Forza 7」の走りに慣れたら、それ以前の「Forza」は退屈してしまうと思う。

 また、「Forza 6」の目玉として導入された雨天コース、それに付随してのハイドロプレーニング現象も、さらにリアルになっている。画面やフロントガラスに降り注ぐ雨の表現や、激しい水しぶき、水たまりの照り返しといった悪条件にもかかわらず、4K/60fpsを確保しているのはさすがという感じで、先述したようにリアルタイムに天候が変わり、それによってドライビングも変わっていく。コンディションに応じて攻め方を変えていかないとなかなかレースには勝てず、リアルな感じがあってとても楽しい。

 ハイドロプレーニング現象については、前作ほど露骨に引っ張られる感じはなく、わかりやすい水たまり表現もなくなったが、特に雨天の間は、全面的にコースが濡れ、絶えず水しぶきが発生し、先述したバンプの存在もあるため、常に繊細な走りが要求される。4K映像でも、よくわからないところで足を取られまくり、よたよた運転をしているのが分かると思う。好天のレースより数倍疲れる感じで、その分格別におもしろい。雨天レースは、「Forza 7」においても大きな醍醐味になっている。

雨天レースは、さらに迫力が増し、難易度が上がっている。完走時の夕焼けが最高のご褒美だ

史上最多の700種を揃える「Forza 7」。多様性のあるチャンピオンシップが魅力

 今回プレイできたモードは、シングルプレイキャンペーンのみで、マルチプレイをはじめその他のモードはマスクされていた。マルチプレイは、通常のオンラインマルチプレイや画面分割によるマルチプレイに加えて、本格的なeスポーツモードとなるリーグも用意される。これは発売後しばらくしてからスタートする見込みで、もちろん日本からも参加できる。

 今回はシングルプレイを紹介するが、シングルプレイにおいて中核となるゲームモードは、「Forzaドライバーズカップ」だ。6つのディビジョンからなり、それぞれ10以上のチャンピオンシップで構成されている。

 ちなみに、今作よりローカライズは英語音声、日本語字幕となるため、お馴染みの女性ナレーターによる柔らかい解説がなくなっているのは残念だが、音声部分は字幕表示、メニュー周りはしっかり日本語化されており、プレイにはまったく支障がない。

 今回「Forza 7」でアピールされているポイントは、クルマの多様性だ。プラットフォームがXbox 360からXbox Oneに進化した際、「Forza 4」では500種類以上あったクルマが、「Forza 5」で200まで減った。「Forza 6」で460まで持ち直し、DLCで600まで増やし、ようやく「Forza 4」を追い抜いた。Xbox One世代の「Forza」は車種の少なさがウィークポイントになっていたが、「Forza 7」は初のXbox One X世代のシリーズながら、最初から700種のクルマをカバーしており、シリーズ史上最多を誇る。

 チュートリアルでわざわざトラックレースのようなマイナーレースにチャレンジさせるのもその多様性をアピールするためで、最初のシーカーチャンピオンシップでも6種類から自由に選択できる。ホットハッチ(スポーツコンパクト)から、スーパーカー、マッスルカー、ATV(バギー)、オープンホイールまでなかなか個性的なラインナップが揃っており、最初から目移りするようなワクワク感がある。

 筆者はスーパーカーレース「Rise of The Supercar」からチャレンジした。クラスはいきなりSからで、シリーズのファンとしては、低いクラスからはじめて、徐々にクラスを挙げていくという立ち上がりの重さが解消されているのはありがたい。別の回ではホットハッチ、あるいはバギーを選択したが、どれを選ぶかによってまったくレースが変わってくるのが楽しい。

 もっとも、スーパーカーのようなクラスの高いクルマは運転が難しいので、ビギナーにはお勧めしない。レースゲームに不慣れな人は、クラスの低いクルマが揃うホットハッチやATVあたりから始めてゲームに慣れながら少しずつクラスを挙げていくスタイルがオススメだ。

「Forza 7」のレースゲームとしての最大の特徴は、クルマの多様性
「Forza 7」のホームメニュー
シングルプレイキャンペーン「Forzaドライバーズカップ」
最初にチャレンジするシーカーチャンピオンシップ
最初のクルマは無料。ついつい高いクルマを選びたくなる
いきなりSクラスのチャンピオンシップにもチャレンジできる。ファンには嬉しい要素だ

存在感を増すMOD。“プライズパック”を引いてクルマやパーツをゲットする方式に

 各チャンピオンシップにおいて、存在感を増しているのがMODであり、プライズパックだ。MODは、「Forza 6」から導入された拡張要素で、クルマの性能を底上げする「クルー」、車体が重くなる等の縛りを設けることで報酬がアップする「デア」、グリッドポジションが上がったり、ライバルカーがゴーストカーになるなどの特別な効果をもたらす「ブースト」の3種類があり、最大3つまで組み込んでレースに参加できた。ストイックな「Forza」において、初といっていいゲーム的要素であり、プレーヤーは貯めたクレジットを使ってMODパックを買い、ガチャのような感覚で当たり外れを楽しみながら、厳しいチャンピオンシップに挑んだわけだ。

 これが「Forza 7」では、MODパックがプライズパックとなり、より大きな存在になっている。「Forza 6」のMODは、若干目立たない存在でオプション的な扱いだったが、「Forza 7」では、MODも、プライズパックもトップメニューに表示されるようになり、誰もが目にする存在になっている。

 MODパックとプライズパックの違いは、MODパックが、まさにMODだけが手に入れられたのに対し、プライズパックはMODをはじめ、「Forza 7」の新要素であるドライバーギア、そしてクルマまで手に入れられる。当然レアリティが存在し、当たりを引けばレアなクルマやドライバーギアまで手に入れられるというわけだ。その一方で、「Forza 6」での一攫千金要素だったプライズスピンはなくなり、その要素はプライズパックに統合された形となっている。

 プライズパックも様々な種類があり、MODだけ、ドライバーギアだけ、全種類の3パターンがあり、出現するレアリティの上限によって価格が変わっている。購入はゲーム内のクレジットのみで、ゲーム内で完結するのがいいところだ。「Forza 7」ではチャンピオンシップを戦いながら、クレジットを貯めてプライズパックを引き、徐々にMODやギアを整え、有利な条件でチャンピオンシップを勝ち抜いていく、というスタイルのゲームになりそうだ。

 先述したように今回シングルプレイ以外は未実装でまだプレイできなかったため、その他の要素についてはレビューで改めてお伝えするつもりだ。

レース前画面。プライズパックという見慣れない項目が追加されている
設定画面。チューニングと並んでMODも選択できる
こちらがプライズパック購入画面
とりあえず引いてみた。MODやギアに加えてクルマまで出てきて驚いた
レース前にMODをセットする

【ドライバーギア】
ドライバーギア。真面目なものからかなり変なものまで様々だ

【チューニング】
時間が足りずさっと流しただけだったが、チューニングもかなりパワーアップしているようだ