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「Forza Motorsport 7」プレビュー

HDRで光が踊り、走行中に天候が変わり、バンプを細かく捉える新世代の4K/60fpsレーシングゲーム

6月13~15日開催

会場:Los Angeles Convention Center

カバーカーはポルシェ911 GT2 RS

 Project Scorpio改めXbox One Xをターゲットに開発が進められてきた「Forza」シリーズ最新作「Forza Motorsport 7」がついに秘密のヴェールを脱いだ。

 ナンバリングとして初の4K/60fps、初のHDR対応、そして初のXbox Play Anywhere対応タイトルとなる。いつもは小出しにしてE3では出さない収録車数やロケーションも700以上、30以上と告知。そして何度もお伝えしているようにポルシェを最初から収録し、そのすべてがForzavista対応で、4Kで世界の名車が堪能できるという、文句なしに「Forza」史上最高峰のタイトルとなっている。しかも、それがXbox One Xのみならず、Xbox Oneでも楽しめるのが嬉しいところだ。今回、3つのレースを試遊してきたので、そのインプレッションをお届けしたい。

【Forza Motorsport 7 - E3 2017 - 4K Announce Trailer】
【E3 2017で体験できたエクスペリエンス】
2018 Porsche 911 GT2 RSでオーソドックスなレースを展開する「THE HEAT IS ON」
Mugelloサーキットを舞台にレーシングトラックで走る「BATTLE OF THE BEHEMOTH」
走行中に天候が変わる「OUTLAST THE STORM」

 プレイしてすぐに実感したのは、レースゲームは4Kの恩恵を存分に受けられるゲームジャンルであり、「Forza Motorsport 7」は、4Kゲーミングのリファレンスとなるタイトルになるだろう、ということだ。

 コース上の看板や各種オブジェクトの描画にはじまり、ハンドリングやブレーキポイントを図るために必要不可欠であるコースの奥の描画、車内のインテリア、バックミラーによる後方の描画など、レースゲームはフルHDではとても足りないほど大量の情報で溢れている。4Kでは、それらがよりクッキリ明確に描画されるようになっており、SD世代(480p)から一気にフルHD(1080p)まで進化したXbox 360の時に近い感動がある。

 フレームレートは当然60fps固定でヌルヌルだ。Xbox One XはAMDのFreesyncにも対応しているため、対応モニターでプレイすれば同じ60fpsでもよりヌルヌル感が増すだろうし、Windows 10 PCで4KでプレイするためにはハイエンドのゲーミングPCが必要となるものの、PC版はXbox One Xを上回る前人未踏の世界が広がりそうだ。

 HDR対応も見逃せないポイントだ。HDR対応自体は2016年にリリースされた姉妹作「Forza Horizon 3」でも対応したが、「Forza」シリーズ初の対応ということで、アピールポイントになるほどのインパクトはなかった。

 今回は、「Forza Horizon 3」で得たノウハウを全面的に注ぎ込む形で開発が進められ、レース前の段階から、クルマへの太陽光の照りつけが眩しいし、Xbox One世代の最初の「Forza」である「Forza Motorsport 5」から全面的に取り入れられたコックピット内へのリアルタイムライティング表現にもHDRが全面的に適用され、フロントガラスへの映り込み、内装への照りつけも含めて、サングラスが欲しいレベルで眩しい。言うまでも無く太陽光の直接的な照りつけは直視できないぐらい眩しいし、日中のコースをコックピットビューで走っているとレースに支障が出るぐらい光が踊りまくる。

 また、さりげなく大幅に進化しているのが、クルマへの映り込みの表現だ。レース中にはライバルカーをはじめ様々なものが映り込む。これまでも映り込みの表現はあったもののあくまで簡易的なものだったが、今回はフォトリアルな映り込みが表現されており、4K画質がゆえに多少ジャギーが目立つ感じではあったものの、前作を含め、過去のレースゲームでは表現できなかったレベルでボディへの映り込みが再現されている。

【スクリーンショット】
HDRライティングの効果で眩しく光るポルシェ
ドバイの新コース。起伏が多く、砂塵が舞うエリアもある
ボディへの映り込みもかなり進化している
女性ドライバーが登場するだけでグッと雰囲気が変わる
レーシングトラックによるレース。左側面のアーマーがガタガタ揺れる
クルマの周囲に表示される矢印は、視界外のライバルカーの存在を示している

 と、ビジュアルの凄さについてはこれぐらいにして、レースゲームそのものの部分についての変化について言及すると、細かいバンプを拾うようになった。「Forza」シリーズでは1080p/60fpsについて“シルクのように滑らか”という表現でその快適さをアピールしていたが、冷静に考えればシルクのようにスムーズなレースなどないわけで、「Forza 7」では普通に走っているだけでガクガク小刻みに上下に揺れるようになった。これにパーツの振動音も加わり、高速時のビリビリとした感じがリアルに表現され、まるで実写で体験をしているかのような臨場感が生まれている。

 そしてもっとも大きな変化は、走行中に天候が変わるところだ。「Forza」シリーズの前身である「PGR」シリーズでは一部再現されていた要素だけに懐かしく感じるレースゲームファンもいるかもしれない。それが今回体験できるレースが、「OUTLAST THE STORM」だった。

 ニュルブルクリンクGP CIRCUITを舞台に、2015 NISSAN GT-Rで走行するという内容。走行前に表示される天候は「雨」表示だが、走り出した時点では曇りで雨は降っていない。ところが半周もしないうちにポツポツとフロントガラスに降り始め、2/3周を走る頃には土砂降りで、前がよく見えないほど激しい雨になる。コースもウェットとなり、滑りやすくなる。2周目は、1周目にはなかった水たまりがコース上に生まれ、さらに滑りやすくなるが、2周目を半分走ったところで雨が止む。コースはまだウェットだが、ともかく視界はクリアとなり、今度は徐々に雲が晴れてくる。2周目を終える最終コーナーでは、HDRライティングによる美しい夕焼けが堪能できる、というレースゲームにしてはいささかストーリー性のある走りが楽しめる。

 検証のために何度か走行したが、この天候変化はランダムではなく、あらかじめプリセットされており、何度走っても同じ展開となる。それでも1つのレースの中で、天候がどんどん変わるのはこれまでなかった要素で、現実世界同様のバッドコンディションでレースが楽しめるのは大きなセールスポイントになりそうだ。

【スクリーンショットで見る天候変化】
走り始めは曇り
1周目の途中で雨が降ってくる
強くなる雨、コースには水たまりができる
2周目後半から雨が止み、雲が晴れ、最後は夕焼けが出てくる。繰り返しになるが、これはすべて単一のレース上での出来事だ

 ちなみにコースは30以上とのみ発表されており、以前から噂のある鈴鹿サーキットをはじめとした日本のコースの復活については、確たる裏付けは得られなかった。ただ、「Forza Motorsport 5」でコースが激減し、日本のコースがほぼなくなった背景として、ゲームのフルHD化に合わせて、コースのHD化も進めているためとしており、「Forza Motorsport 4」までに収録したコースを破棄したわけではないため、様々な要素が最高となる「Forza Motorsport 7」のタイミングで、「Forza」シリーズを代表する名コースが復活する可能性は高いと思う。

 あとレースには直接関係ないが、今作ではレーシングドライバーの性別とレーシングスーツを選択できるようになった。こうしたアクセサリー的な要素は、ライバルである「グランツーリスモ」シリーズが得意としてきた要素で、1080p/60fpsにこだわり続ける「Forza」シリーズではあえて排除されてきた要素だが、今や「Forza」シリーズは公称1,400万ユニークユーザーという世界最大規模のレーシングコミュニティを持つシリーズだけに、ユーザーの声を反映させた結果かもしれない。

 「Forza Motorsport 7」は、日本でも世界同時発売となる10月3日、アルティメットエディションは9月29日より発売となる。「Forza」ファンには文句なしにオススメできるタイトル出し、Xbox One Xの購入を視野に入れている人にとってもまさにマストのゲームといえる。今後、具体的な車種の情報や、ロケーション/コースの発表も含めて、続報に注目していきたいところだ。

【スクリーンショット】