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Xboxの秘密兵器「Cuphead」先輩、ついにE3を卒業す
「Cuphead」は何がスゴいのか。「Cuphead」ウォッチャーが10の項目で解説する
2017年6月15日 19:30
E3の常連タイトルのひとつだった「Cuphead」がついに2017年9月29日に発売される。ゲーム業界では、延期を繰り返していつまで経っても発売(卒業)されないタイトルを、留年を繰り返す不良になぞらえて“先輩”と呼ぶ。E3 2015で鮮烈なデビューを遂げた「Cuphead」だったが、2016年のE3にも登場。当初発表していた2016年発売も延期になり、Xboxを代表する“先輩”に成長していた。
そんな「Cuphead」先輩だが、「Xbox E3 2017 Briefing」にも登場し、2017年9月29日に発売することを正式アナウンスした。これにはXboxファンは大喝采で、Xbox One Xの発表、初代Xbox後方互換性サポートに並ぶ盛り上がりを見せていた。
それでいて、なぜか発売年でありながら、ブース出展はないというところが「Cuphead」らしいが、そもそも「Cuphead」とは何がスゴいのか。日本を代表する「Cuphead」ウォッチャーの筆者が10の項目でまとめてみたので、これを読んだらさっそくMicrosoft Storeで予約しておくことをお勧めしておきたい。肝心のゲームの内容については、E3 2015レポートとE3 2016レポートで散々書いているので、そちらを参照いただきたい。
「Cuphead」がスゴい理由その1: 3年連続で「Xbox E3 Briefing」に登場する
ゲームの流行廃り、そして進化のスピードはますます速くなっており、3年も経過すれば陳腐化してしまうのが通例だ。しかし、「Cuphead」は進化を続けながら3年連続で「Xbox E3 Briefing」に登場。しかも、インディ向けの登竜門であるID@Xboxタイトルであるにも関わらず3年連続で登場しており、比類のない大作感を漂わせている。
「Cuphead」がスゴい理由その2: ゲームジャンルが死滅した「RUN & GUN」を採用している
「RUN & GUN」とは、米国で使われる表現で、「スーパーマリオブラザーズ」、「悪魔城ドラキュラ」、「ロックマン」などなど、ファミコン時代に無数に存在したベルトスクロールタイプのアクションゲームのことを指している。「Cuphead」は、この2017年に、そのジャンルにチャレンジしている。
「Cuphead」がスゴい理由その3: ファミコン時代のクソゲー並に難易度が高い
「RUN & GUN」を採用した結果、現代では信じられないような難易度に仕上がっており、E3 2016での出展でも3分で試遊が終わる人が後を絶たなかった。筆者も64回ぐらいはプレイしているが、1~2ステージしかクリアできていない。Q&Aでも、努力の末に乗り越えた達成感こそが、「Cuphead」の醍醐味だと明記している。
「Cuphead」がスゴい理由その4: リリース時期が1936年(+81年)である
「Cuphead」ファンなら、昨年まで1936年(+80年)と呼称していたことを覚えているはずだ。「Cuphead」はあくまで1936年のテクノロジーでゲームを作ったとしたらどうなるかという前人未踏のIFにチャレンジした、おそらく最初で最後のタイトルになる。
「Cuphead」がスゴい理由その5:ビジュアルが“手描き”
ビジュアル面でスゴいのは、このゲームは1936年のタッチを再現するために、キャラクターはすべて手描きを採用し、背景は水彩タッチで描いているところだ。これにより、当時のカートゥーンアニメーションそのままの雰囲気を、ゲームとして再現している。
「Cuphead」がスゴい理由その6:BGMは生録音のジャズサウンド
ビジュアルが1930年代なら、サウンドも当然1930年代だ。当時のスウィングジャズをオリジナルサウンド、生録音で収録しており、想像しているよりも遙かにリッチで広がりのあるジャズサウンドでゲームが堪能できる。
「Cuphead」がスゴい理由その7:サウンドトラックが“レコード”である
こだわり抜かれたBGMだが、すでにサウンドトラックの計画も進められているが、なんとメディアがレコードで出る。レコード4枚組で、収録時間は約3時間。そもそも再生機がほとんどの家庭にない気がするが、そこまでこだわるのが「Cuphead」なのである。
「Cuphead」がスゴい理由その8:発売前なのにオフィシャルグッズが存在する
コーヒーカップ型の主人公CupheadとMugmanや、多彩でユニークなボスたちは、すべて「Cuphead」オリジナルであり、ゲームの大きな魅力になっている。このユニークさを第三者が黙っているわけがなく、当然のことながらすでに様々なグッズの販売がスタートしている。ピンバッジ、ポスター、Tシャツ、ステッカーなどが用意されており、かなり出来がいい。これを身につけているゲームファンはかなり通と言えるだろう。
「Cuphead」がスゴい理由その9:発売前なのにウォーレン・スペクターにインタビューされる
ウォーレン・スペクターといえば、「Ultima IV」を皮切りに、「SystemShock」、「Deus Ex」などのクリエイターとして有名で、近年ではカートゥーンスタイルのアクションゲーム「ディズニー エピックミッキー」シリーズを手がけたことで知られる。常にヒット作に恵まれない悲運のクリエイターだが、アメリカを代表する“GAME GODS”のひとりである。その彼に、gameindustry.bizでインタビューされている。これはスゴいことである。