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【A 5th Of BitSummit】「もっと自由であるべき!」松浦雅也氏が「リズムゲーム」について語る
2017年5月20日 21:03
京都市勧業館「みやこめっせ」で5月20日より21日まで開催中のインディゲームの祭典「A 5th Of BitSummit」において、松浦雅也氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオプレジデントの吉田修平氏、ミュージシャンのサカモト教授によるトークイベント「音楽とインディーゲーム」が開催された。
トークの話題は、PS4/PC用音楽ゲーム「PROJECT RAP RABBIT(タイトル未定)」の内容について。基本的にはこれから制作されると言うことだが、松浦氏の思いが伝わる内容となった。
トークイベントの冒頭、松浦氏に招き入れられて登場したのが、今回のプロジェクトでタッグを組んだ矢野慶一氏(イニスジェイ)。矢野氏はこれまで「ギタルマン」、「押忍!闘え!応援団」シリーズなど数々の音楽ゲームを手掛けてきた。松浦氏は矢野氏とは長く知り合いだったが、今回初めて一緒に作品を作成することになるという。
矢野氏は「PROJECT RAP RABBIT」について、「ラップをテーマにした作品で、新しいリズムゲーム。兎々兎丸とお玉丸のラップの力を使って問題を解決したりラップバトルに勝っていく」とゲームの流れを説明。
吉田氏は「松浦氏と矢野氏のそれぞれの新作と言うだけでもすごいのに、一緒の新作と言うことでもっとすごい」と、今回のプロジェクトの発表に驚きを隠さない。松浦氏も「すごくエキサイティング」と興奮して語った。
一方でサカモト教授は基本的にはチップチューンをメインとしたミュージシャンだが、ゲーム音楽を手がけたこともある。サカモト教授は「古き良きファミコンゲームで育った人たちが今のゲーム制作の第一線で活躍している。(そういった人たちの作る)2Dグラフィックスのゲームには8bitミュージックの音が合う」と答えた。
ここで吉田氏は、ゲームの音楽を担当するサカモト教授と松浦氏を比較し、松浦氏をむしろゲーム制作者側にいると分析。松浦氏はこの点について、「ゲームも音楽もすべてひっくるめてイメージしている」と語った。
ここで松浦氏はリズムゲームについて独自の疑問点を提示。それは「もっと自由に音楽を表現できれば良いのに」という点。リズムゲームではタイミングに合わせて入力を行ない、点数で優劣を決定する。だが松浦氏は、「私がプレイするのと、吉田さんがプレイするのと違って良いと思う」と語り、現状のリズムゲームではそれを同じ“点数”でしか表現できないのが不満なようだ。
これを音楽の創作活動に照らし合わせ、「(イベント前の打ち合わせで)サカモト教授と話しているときに音楽のツールを使ってライブ用のトラックを並べていたが、それがなぜゲームではないのだろうと思った」と表現。「音楽の表現は本来自由なもの。点数だけでは決められない。PCのツールを使って、よりすばらしい表現のために頑張るのはあたりまえ。それがなぜゲームではなくツールなのか?」と語り「僕にとっては音楽ツールもゲームもボーダーは曖昧。その曖昧な部分が好き」と続け、新作ゲームにおいてはより自由な音楽を奏でられる、自己表現がゲームに盛り込まれた、これまでにはない「音楽ゲーム」となることを示唆した。
確かに「パラッパラッパー」においても自由にリズムを刻んで楽しめる機能も用意されていた部分もあり、これは松浦氏にとってはライフワークとなっているのかもしれない。
ちなみに松浦氏は「『パラッパラッパー』を“ラップゲーム”というと、“リズムゲーム”ではあるが“ラップゲーム”ではないと、おしかりを受けることがある。今回はリズムの要素もあるが、“ラップゲーム”といえるようにしたい」と語る。また、「インプロビゼーションを作っていくと言うことを考えている」とも語り、松浦氏の中には、より自由な表現という想いが“ラップゲーム”に込められているように感じた。