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【PS Plusフリープレイレビュー】今月のイチオシは「Goat Simulator」
監視カメラ越しに少女を導く「Republique」とPS Plus Challenge!達成のコツも紹介
2017年1月24日 00:00
本コーナーは、「PlayStation Plus」で無料配信されているタイトルのなかでも、プレイステーション 4用のタイトルに注目。その月に配信されているタイトルのうち、話題性の高いものやユーザーにぜひとも知っておいていただきたいものをご紹介している。それらのレビューに加えて、「プレイステーション オフィシャルサイト」で開催されている「PS Plus Challenge!」達成のためのコツも解説。今月は、バカゲーながらもユーザーから絶大な支持を得た「Goat Simulator」と、異色のゲーム性を持ったステルスAVG「Republique」の2本だ。
ちなみに今月の「PS Plus Challenge!」の賞品は、先月と同じく「PS Storeチケット」1,000円分。チャレンジを達成した応募者のなかから、100人が抽選によって選ばれる。「Goat Simulator」と「Republique」のそれぞれで応募できるため、合計200人に獲得のチャンスがあるというけだ。
「Goat Simulator」の「PS Plus Challenge!」に挑戦
「PS Plus Challenge!」達成時間
30分
※時間は筆者が実際に挑戦して応募条件達成までにかかった時間
Goat=ヤギ、Simulator=模擬訓練という、なんとも不可思議なタイトルを冠した本作。SimulatorはシミュレーションゲームのSimulationとほぼ同義で、直訳すれば「ヤギのSLG」ということになる。この時点で「?」となる作品であるが、特異なのはタイトルだけにあらず。そのゲーム内容もかなりぶっ飛んでおり、楽しいという意味でも笑えるという意味でも面白い。
本作の主人公はタイトルにもあるとおり、動物のヤギ。しかも、可愛らしくデォフォルメ化されているそれではなく、写実的でリアリスティックなヤギだ。簡単に言えば、本作はこのヤギを操作して街を駆けまわるアクションゲームとなっている(Steamでは、ジャンルがSLGと表記されている)。
本作は、スウェーデンのゲーム会社であるCoffee Stain Studiosが制作したタイトルだ。もともとはスタッフのプログラム訓練のために作られたものであり、製品として発売される予定はなかった。しかし、制作スタッフがYouTubeにプレイ動画をアップしたところ、大反響を呼び、多くのプレーヤーから「遊びたい」との声が届く。これを受けて2014年4月にPCソフトのダウンロード販売サイトSteamとMagino Driveでダウンロード販売が開始された。
Coffee Stain Studiosによる公式のゲーム説明にも「小規模でユルいバカゲーです」、「数百万個ものバグがあります」、「何も期待しないでください」、「このゲームを買うくらいなら、フラフープやレンガや本物のヤギをお金を使ったほうがマシです」などの言葉が並んでいる。フラフープはともかく、本物のレンガって……。この文言を見るだけでも、制作スタッフの持つユーモアのセンスが普通ではないこと(むろん、褒め言葉だ)を容易に推察できる。
ヤギはLスティックで移動、各種ボタンでアクションを行なう。アクションには攻撃やジャンプのような基本動作に加え、○ボタンで死んだように横たわる「ラグドール」、□ボタンで舌を伸ばして目の前にあるものをつかむ「ナメナメ」、ただ鳴くだけの「メーー」といったユニークなものも。そのほか、ゲーム開始時にはヤギを変身させられるミューテーターを選択可能。ミューテーターには、目の前のものを吹き飛ばす「ヤギボーン」や爆弾を生み出す「ヨッシャーヤギ」などがあり、個性爆発のネーミングセンスと効果がゲームにアクセントを与えている。
さらに特筆すべきは、ゲームの目的。通常のゲームであれば、「姫を救い出す」、「魔王を倒す」、「天下を統一する」といった目的がある。が、本作は何もない。ただ、ヤギを動かして遊ぶだけという非常に斬新なアクションゲームに仕上がっている。
第一印象は「おもしろいのか、それ?」というところだが、これが秀逸のデキ。冒頭でも触れたが、本作はバカゲー、それも他に類を見ないと言ってもいいぶっちぎりのバカゲーである。世界に放たれたヤギが街を駆けまわるというシチュエーションなのだが、実際にプレイするとそのシュールっぷりに愕然としてしまう。ジェットパックをつけて空を飛び、ナメナメで人をつかんで引き回し、そのヤギを見て悲鳴を上げて逃げ惑う人々。
プレイしていると人をナメナメしているときに車に轢かれ、人とヤギが仲良くタイヤに巻き込まれて数十メートルも引きずられしまうなんてこともあり、これは特に笑ってしまった。いや、本来は笑っていいシーンではないのだが、そのシュールさは笑うまいとしても笑わずにはいられない。
また、空を飛んだりオブジェクトを壊したりナメナメしたときには、スコアが加算される。ステージ選択画面の「ランキング」では、世界中のプレーヤーのハイスコアを確認できるので、高得点を目指してプレイするのも遊び方の1つだ。といっても、本作にはゲームオーバーがないため、時間をかければいくらでも高いをスコアを獲得できる。
では、本タイトルの「PS Plus Challenge!」はというと、ステージのどこかにある文化遺産「ヤギーンヘンジ」をめちゃくちゃにしてトロフィー「いったい何が目的だ?」を獲得すること。具体的には、ヤギーンヘンジに立っている岩を頭突き・ナメナメ・体当たりで倒せばいい。どうでもいいが、この文化遺産の名前だけでもかなりのハイセンスっぷりがうかがえる。
条件を満たすこと自体は簡単だが、ゲーム中でヤギーンヘンジの場所が示されるわけではないので、人によっては見つけるのに時間がかかることも。ちなみに筆者は楽しくヤギを動かしていたときに、たまたまヤギーンヘンジにたどり着いた。かかった時間は、寄り道をしまくりながらゲーム進めて約30分ほどだろうか。ちなみに場所がわからないという人のために、ヤギーンヘンジへの道を写真もそえて紹介している。見つけられない人は参考にしてほしい。
なんの変哲もないヤギが街を駆けまわるアクションゲーム。設置物を破壊し自動車を爆破し、人をナメナメして引きずりまわす。ジェットパックを使って空を飛び、ときには車に跳ねられる。そんなヤギの姿は、見ているだけでシュールな笑いがこみ上げてくること間違いなし。バカゲーが好きな人なら、1度は遊んでみることをオススメしたい。
「Republique」の「PS Plus Challenge!」に挑戦
「PS Plus Challenge!」達成時間
3時間45分
※時間は筆者が実際に挑戦して応募条件達成までにかかった時間
今月の「PS Plus Challenge!」対象タイトルのもう1本は、2013年の12月に複数のプラットフォームでリリースされた「Republique」。全5章のエピソードで構成されているステルスアクションAVGで、「メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」や「Halo」シリーズの開発に携わったライアン・ペイトン氏が設立したゲームメーカー「カモフラージュ」によって制作された。
物語の舞台は、徹底された監視ネットワークによって国民たちが管理される全体主義国家メタモルフォーゼ。主人公の少女ホープは、見てはいけない“ある物”を見たために当局から危険人物と断定され、施設に監禁されてしまう。そこは政府に都合の悪い思想を持った人間をさまざまな手段で洗脳する矯正施設だった。タイトル名の「Republique」は、フランス語で共和国、または共和政体を意味している。
本作のゲームシステムが一味違うのは、プレーヤーはあくまで施設の外にいる人間であり、ホープ=プレーヤーではないということ。ゲームの目的はホープを施設から脱出させることだが、プレーヤーは遠方から施設の監視システムをハッキングし、その映像を見ながらホープに指示を出して脱出へと導いていくこととなる。このシステムについて制作したライアン氏自身も「オリジナリティーがあり、革新的なゲームになったと自負しています」と語っている。
ゲームは、主人公のホープを操作するキャラクター視点と、ホープの脱出をサポートするプレーヤー視点(OMNIビュー)を切り替えながら進める。基本的にはキャラクター視点で、施設内を移動・調査して脱出するための手がかりを探すのがメイン。ただし、施設内にはプリズラックと呼ばれる護衛者が巡回しているので、彼らに見つからないように注意しなければならない。
この設定がゲームに絶妙な緊張感を与えている。印象としては初期の「バイオハザード」のような“主人公の攻撃手段が貧弱なため、ゾンビに見つからないように移動する感覚”に近いものがあるが、本作でホープを襲ってくるのはゾンビではなく、知能を持った人間。食べられたりウィルスに感染する心配がない一方で、(知性があるので)仲間を呼ばれたり武器を使われるのではないかという不安はぬぐえない。
また、プリズラックはいろいろなアイテムを持っているが、ホープは彼らの背後から忍び寄ってアイテムを盗むことも可能。これまた、忍び寄るときもアイテムを盗むときも、そしてプリズラックから離れるときも「見つかってしまうのではないか」という張り詰めた緊張感を味わえる。ちなみに、プリズラックからは逃げるだけでなく、調査中に入手したアイテムを使って応戦してもいい。
そんな本作の「PS Plus Challenge!」は、トロフィー「序章」を獲得すること。「序章」の獲得条件はエピソード1のクリアなので、ゲームを進めていくうちに自然と手に入る。ただ筆者の場合は、何かを見落とすのがイヤでゲームを完璧に進めようとするクセがあるため、エピソード1をクリアするだけでも4時間近くかかった。とにかく先へ進むことだけを考えてプレイすれば、2時間ほどではないだろうか。
筆者が敬愛する徳弘正也先生の「狂四郎2030」を思わせる独裁管理国家。とあるものを見てしまったために、厳しいプリズラックのいる矯正施設へ監禁される少女。そして、ミステリアスな謎と何が起こるかわからないスリルあふれるストーリー。個人的には、アクションが苦手な人にはちょっとツライか? と思う部分もあったが、全体として非常に練られたストーリーをこれまでにない新しい手法で見せる良作だと思う。気になる人は、ぜひチェックしていただきたい。