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【必見! エンタメ特報】映画「デッドプール」おバカ映画の始まりだよー!

喋りすぎてアナーキー! 持ち味全開のデップームービー誕生

6月1日 公開

一人称「俺ちゃん」ことデッドプールの映画がついに日本上陸

 マーベル最狂のキャラクター「デッドプール」の実写映画がついに日本で公開される!

 この「デッドプール」、アメコミキャラクターの中でも群を抜いて狂いに狂っており、それゆえに熱いファンを大勢抱えた変人である。どう変人かというと、何をやっても死なない不死身の体を持っている、終始ハイテンションで喋る、読者や視聴者にカジュアルに話しかける、超絶スキルで明るく人を惨殺する、お下劣ワード連発……などなど、要はやりたい放題。

 ゲームシーンで言えば、カプコンの格闘ゲーム「MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds」での登場が日本では特に有名で、勝利画面ではプレーヤーに向かって話しかけてきたり、ハイパーコンボでは体力ゲージを掴んで敵の頭をかち割り、ハイパーコンボゲージを持ち上げてフルスイングするなど、ゲームシステムやゲームUIにまで絡んでくる(いわゆるメタ的表現)ような、徹底的にアナーキーな存在だ。

 ではその実写映画化である本作はどうかというと、この路線でずっと突っ走るデップー(デッドプールの愛称)が見られる。それはつまり、デップーファン期待通りの作品に仕上がっていることに他ならない!

【デッドプール 日本版本予告】

陽気に振る舞いながら敵を惨殺していくデッドプール。他のマーベルキャラクターとは明らかに違う
デッドプールになる前のウェイド(左)と恋人のヴァネッサ(右)。物語の軸は2人のラブストーリーにある

 まず本作は、「おバカ映画が始まります」という一言からスタートする。他のマーベル映画はヒーローたちが派手で豪華に活躍するものばかりなわけだが、「デップーに限ってはそんなことはない」というなんとも心強い宣言だ。ハチャメチャなデップーに期待するのはまさにこのノリであり、そこをまずはっきりさせるところから始めるあたり、この作り手は非常に信頼できる。

 そしておバカ映画と言いながら映像自体は実に凄惨で、デップーの攻撃はまったく容赦がない。ご機嫌な様子でベラベラと喋りながら敵の頭を撃ち抜き、刀で体を切断し、映像では肉塊がぐちゃっと飛び散っている。R+15指定も辞さない表現へあえて振り切ることで(ほかにもエロ、お下劣、お子様には見せられない描写がたんまりあるが……)、デップーの陽気さとやっていることの酷さのコントラストが効いて、彼の狂気が一層際立つようになっている。

 本作では、元傭兵のウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)がいかにしてデッドプールになったかが描かれていくが、その中で最も大事なのは、恋人のヴァネッサ・カーライル(モリーナ・バッカリン)との関係だ。

 ウェイドはデッドプール以前、ヴァネッサと最高の恋人関係を築いている最中に末期ガンであることを知らされ、怪しい男が声をかけてきた「ガンを治せるプログラム」に参加することになる。そのプログラムは実はミュータント製造と売買を行なう人体実験場であり、ウェイドは拷問以上の「実験」を施されるモルモットとして扱われる。

 そして実験の末、ウェイドの体は変質し、全身のガンをも克服する驚異的な回復力を持つ体質となった。しかし代わりに、皮膚全体がただれた怪物のような風貌になってしまう……。

 本作のストーリーに注目すると、デッドプール=ウェイド・ウィルソンは、常にヴァネッサのことを考えていることがわかる。ヴァネッサに内緒で「ガンを治せるプログラム」に参加したウェイドは、ガンを克服したとはいえ、変わり果てた姿のためにヴァネッサに声をかけることができない。代わりにマスクを被って「デッドプール」を名乗り、実験場を仕切っていたエイジャックス(エド・スクライン)を追うことで、「元の姿に戻してもらう」ことを目指すのがデッドプールの行動の原動力となっている。

 オープニングの終わり際にはウェイド本人が「これはラブストーリーだ」と説明するが、「ヴァネッサとの幸せな生活を取り戻す」という一途なデップーの思いが本作の軸というわけだ。

 デップーにはどうしようもない殺戮傭兵としての一面が強く、今回の実写映画化もヘタすると単なる過激なドタバタ劇で終わりそうなところ、この軸があることで映画としてちゃんと成立しているのが良い。

カメラを通して話しかけてくるし、敵にも味方にも喋り通し。つまりデップーは全編を通して喋り続ける

 裏を返せば、軸が決まっているからこそエロもグロもひっくるめてやりたい放題なわけで、デップーは「『127時間』て映画見た? 今からネタバレするよ~!」と観客に宣言したり、「X-MENからの参加が2人だけって、製作費ないのかよ!」と叫んだり(事実らしい)、「ベッカムの声聞いたことある? ヘリウム缶と口でセックスした感じだよね」と完全にとばっちりの無駄口を叩いたり、もうずっと喋っている。

 またデッドプールといえば、なぜかX-MENのウルヴァリンを小馬鹿にすることが多く、本作でも映画「X-MEN」シリーズやそのスピンオフタイトルでウルヴァリンを演じているヒュー・ジャックマンを“いじる”場面が所々で登場する。どういう“ヒューいじり”かは映画を見てのお楽しみだが、そんな感じで小ネタも満載だ。

 大殺戮アクションから小ネタのギャグまで、最初から最後までデップーはずっとデップーなので、分裂症気味のデップー劇場をぜひとも楽しんでいただきたい! エンドクレジット後のお楽しみもあるので、そちらもお見逃しなく。

X-MENから参加したコロッサス(中央)とネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ボッケボケの右)。コロッサスはデッドプールにX-MENへの参加を勧めるが……