インタビュー
【特別企画】ロケットパンチ! 三段変形! 「超合金 ハローキティ」を触ってみた
「超合金らしさって何だろう?」。ハローキティが乗る超合金ロボ
2014年6月20日 00:00
「ハローキティが超合金に!」多くの話題を集めた「超合金 ハローキティ」が6月21日についに発売される。今回、発売に先がけて、「超合金 ハローキティ」を触ることができ、プロデューサーであるバンダイコレクターズ事業部の寺野彰氏に話を聞いた。
「超合金 ハローキティ」は“超合金40周年”そして“ハローキティ40周年”を記念して生まれた商品だ。ハローキティというかわいらしく、世界中で親しまれているキャラクターを、どのように“超合金化”したのか? 製品を手に取りギミックを試し、試作品や、初期のイラストなども見て話を聞いた。そのユニークな手法と、多彩なギミック、本作に込められた想いを取り上げていきたい。
コックピットのボタンにまでギミック搭載! 超合金のエッセンスを注ぎ込む
「超合金 ハローキティ」のコンセプトは、“ハローキティが乗り込む超合金ロボット”だ。ハローキティそのままの姿に、顔の分割ラインや、胸のリベット、脚の大きなネジのようなパーツと“ロボットとしての記号”をふんだんに盛り込み、頭には「マジンガーZ」を思わせる透明なハッチが取り付けられたコックピットがある。
“超合金”ならではのギミックとしては腕にボタンがあり、押すことで「ロケットパンチ」を発射できる。スイッチの黄色は服の色と同じだが“黄色いボタン”にしたのも超合金としてのフォーマットを重視したからだという。「超合金 ハローキティ」のロケットパンチは1メートル近く飛ぶ。超合金シリーズのロケットパンチとしては飛距離が出ている方だ。これは飛び出すための腕パーツが他の超合金よりシンプルで軽いためだ。「お客様には、“想像していたより結構飛ぶ”と驚いて欲しいですね」と寺野氏は語った。
足と首は数度ずつカチカチと曲がる“クリック関節”になっている。関節は主に“変形”に活用するものだが、動かすときのカチカチという感触が“メカっぽい”のが楽しい。関節を動かす時はキティを手に持つのだが、大きさに比べて意外に重い。「超合金 ハローキティ」の大きさは全長10.5cmで、重さは400g(小さいリンゴ3個分:ハローキティの重さの設定と同じ)。手に持つとこの重さはとても心地良いのだ。
腕以外のほとんどの部分が金属製で、手の平に収まる大きさなのにずしりと重い。できるだけ金属パーツを多用し、“重さ”を実現するというのも寺野氏がこだわったポイントだ。また、「超合金 ハローキティ」の背面はパーツを固定するための“ねじ穴”は埋められておらず、目立つようになっている。「超合金」という、おもちゃらしさを感じさせるデザインとして残している部分だという。
「超合金 ハローキティ」の大きさに関して、寺野氏は試作品を作って社内で意見を集めた。9cmから1cm刻みで4つ試作品を作り、10cmと11cmの間、10.5cmという大きさになった。こういった大きさを試す試作品作りはあまりしないとのこと。ハローキティを超合金にする、という前例のない挑戦のため、このような試行錯誤が多かったという。大きさは、“超合金をあまり持っていないお客様にとって、部屋に置いて主張しすぎず、邪魔にならない大きさ”を目指した。
また、今回、金属の地肌がむき出しの“工場用試作品”も見ることができた。各ギミックや、パーツの精度などを検証するモデルだが、よりロボットらしく、製品版とは違った味がある。金属地肌むき出しのモデルは“おもちゃ好き”のハートを直撃する。まるで秘密工場で建造途中のロボットを見たかのような雰囲気があって、限定生産などで展開してみても面白いんじゃないかと思った。
それでは、各ギミックを細かく見ていきたい。まずは様々な要素が盛り込まれているコックピット。耳の後ろのスイッチを動かすと、バネ仕掛けでリボンが回転し、コックピットハッチが開く。コックピットシートが妙にスーパーロボット的な作りで、ハローキティとのギャップが面白い。ここにハローキティのミニフィギュアを座らせるのだが、体の側面を向けた“おなじみのポーズ”でハローキティがコックピットに座るのが楽しい。
コックピットのコンソールには大きめのハローキティの顔の形をしたボタン。このボタンはちゃんと押せて、押すことで「超合金 ハローキティ」の目の表情が変わる。ボタンがコックピットの飾りだけでなく、機能を持っているのに驚かされる。また、ちょっとした“お楽しみ”で、ハローキティのミニフィギュアをロケットパンチと同様に発射できるギミックもある。
そして、“陸”、“海”、“空”の変形ギミックである。地を進む「走行モード」は「超合金 ハローキティ」の脚を曲げることで脚の後ろについている車輪を設置させ、さらに尻尾を展開して車輪を出し、首を回転させることで、コックピットのキティ同様、ハローキティのおなじみの座ったポーズで、車輪で進む“コロ走行”が可能となる。座ったままのポーズですべるように進む姿がシュールだ。
「水中モード」は、付属パーツを足ひれ型に組み上げて装着させる。目は黄色いライトを意識した「ぴかぴかモード」にセットする。「超合金 ハローキティ」がバタ足で水中を進むという設定だ。この足ひれパーツは組み替えると大きなリボンになり、背中につけることで「飛行モード」となる。赤いリボンは、マジンガーZの飛行ユニット「ジェットスクランダー」と同じ、“紅(くれない)の翼”なのが、ニヤリとさせられる。かわいらしいハローキティのフィギュアでありながら、“陸”、“海”、“空”の3モードに変形可能という、“スーパーロボットぶり”が、本当に楽しい。
企画当初、寺野氏はハローキティをどう“超合金化”するかを考え「キティちゃんが乗り込む、金属でできたハローキティ型ロボ」というアイデアは浮かんだが、そこから社内の意見を求め“陸、海、空の変形”という“無茶振り”を受けて、よりスーパーロボットらしい現在の形に決めていったという。特に“3段変形ギミック”にはかなり苦労したとのことだ。
最も試行錯誤が感じられるのが「超合金 ハローキティ」の首が上を向くギミック。イラストのハローキティは胴体の上に直接大きくて丸い頭が乗っているように見える。このデザインでどう上を向かせるか? 頭パーツは金属製なだけに重く、支えるパーツには耐久力が求められる。
そこで「超合金 ハローキティ」には、大型ライトの支持パーツに使われるような凹型のパーツで頭を支えるという構造が使われている。このパーツを使うことで首の存在を感じさせないまま、上を向く形を実現させている。「超合金 ハローキティ」の実物を手に取る機会があれば、“頭の重さ”と、耐久性を両立したこの首のギミックは特に注目して欲しいところだ。
この「超合金 ハローキティ」は“実際に活躍するロボット”としてもきちんと考察されているのも注目ポイントだ。「魂ウェブ」の特設サイトには、「超合金 ハローキティ」の内部メカニクスを紹介するイラストが用意され、「超合金 ハローキティのひみつ」を見ることができる。まるい腕の中にちゃんとした“拳”があったり、外からは全く見えない意外に鋭い歯の口があったり、腰部分に何だか見覚えのある黄色いパーツがあったりと、ツッコミどころ満載だ。ひみつは今後も明らかになっていくので、楽しみにしたい。
「超合金 ハローキティ」は様々なところにこだわりを盛り込んだとてもユニークな作品である。寺野氏は「超合金 ハローキティ」の実現にあたり、バンダイの代表的な玩具ブランドである“超合金”の歴史を見つめ直し、そこから得られたエッセンスを注ぎ込んだという。次ページのインタビューでは、寺野氏の想いを取り上げていきたい。