インタビュー
【E3 2014】「新生FFXIV」プロデューサー吉田直樹氏E3 2014インタビュー
新クラス/ジョブ、新蛮神と話題盛りだくさんだったE3。現状認識も含めてこれからの「新生FFXIV」を聞く
(2014/6/23 00:00)
昨年のE3に続いて、スクウェア・エニックスのメインを張った「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」。昨年はまさにローンチを8月に控え、βテストの準備でもっとも忙しかった時期だが、今年は今年で新クラス「双剣士」、新ジョブ「忍者」をはじめ、パッチ2.4以降の情報も含めて将来の展望が示されたほか、ブースでは蛮神リヴァイアサンと対決するバトルチャレンジを3日間に渡って繰り広げ、連日大賑わいだった。
また、実装が迫る次期大型アップデート「パッチ2.3 エオルゼアの守護者」についても、実装日が7月8日と決まり、新規コンテンツ「ラムウ討滅戦」や「PvPフロントライン」、そして「クリスタルタワー シルクスの塔」などの情報が実機で公開され、今年も話題盛りだくさんのE3となった。本稿では、E3最終日の6月12日に実施された日本メディア合同インタビューの模様をお届けしたい。
待望の新クラス「双剣士」、新ジョブ「忍者」について。「盾ではなく純粋なDPS」
吉田氏: まずはE3の最終日でお忙しい中、「ファイナルファンタジーXIV」のためにお集まりいただきありがとうございます。昨年のE3では、まだグローバル版がスタートしておらず、E3最終日にいよいよPS3も含めてのβテストフェーズ3スタートという、放送どころじゃないほどに大変でした(笑)。ローンチができ、サーバーの大混雑もありましたが、なんとか軌道に乗って、メジャーアップデートも順調に行なえ、今回のE3で新ジョブと新クラスの発表もできました。パッチ2.3のお話もできて、これからも拡張パックに向かって、今後も驚いていただけるように、物量も含めてアップデートにご期待下さい。
それと同時に次の目標としては「コミュニティのさらなる最大化」を掲げていて、今年の夏にはいよいよ世界最大のオンラインゲームマーケットである中国で正式サービスを開始する予定で進んでいます。それ以外にもいくつかお話はありますので、ここから更に、世界中で1人でも多くの方に「新生FFXIV」を遊んでいただくために挑戦を続けて行きたいなと思っています。引き続きよろしくお願いします。
――7月8日にパッチ2.3が配信予定という話がありつつも、注目度がもっとも高いだろうと僕が思っている新ジョブと新クラスについて、それぞれのコンセプトをお伺いしたいです。国内では元々シーフだったものが、今回双剣士になったと見ていて、「FF」ファンの中にはシーフで遊びたいぞという人もいると思うのです。その辺りも含めてお答えいただければと思っています。
吉田氏: まず、そもそも拡張パックから前倒しで新クラス/ジョブの実装を決めたわけではなくて、拡張パックの前に新クラスと新ジョブを1つは追加したいという話を開発チームとは以前からしていました。「新生FFXIV」正式サービス開始のタイミングで学者をサプライズで追加できたものの、「旧FFXIV」から遊んでいる方は相当長い間レベル50のままですし、キャラクターの育成もニーズとしてあるのはわかっていたので何かしら入れたいと話をしてました。
あとはクラスとジョブバランスの中で、アタッカーに「ローグタイプ/ステルス系のタイプ」がいないことがMMOとしてバランス的に物足りないと感じていて、ただ、メインではないので、最初に揃えておくジョブというよりは、トリッキーなジョブになるので今回のタイミングで実装を決めたというところです。
また「フロントライン」が入ることで、先ほどのプロデューサーレターLIVEでもお見せしましたが、かなり広いフィールドの中で24対24対24の戦いが行なわれます。そうなると「索敵」をする人たちがカギを握ってくる。例えば「グリダニアの3パーティが拠点3に向かって南下中」というスカウト情報があるだけで、迎撃するのか、回り込んでサイドからアタックするのか、と思った矢先、他の他の勢力が突撃してきた!など、盛り上がる要因でもあると考えています。
パッチ2.3でまずは「フロントライン」の基礎になじんでもらったうえで、パッチ2.4でステルスを持つクラスが入ることで、更にまた違った局面になっていく……。そういったこともあって2.3、2.4というシリーズの中で実装することに決めたということもあります。
パッチ2.2の中で「もしかして早めに新ジョブ、新クラスがくる?」と思わせるようなものをストーリーの中で出したりというのも、ライブ感的な意味でやってみました。一般的なMMORPGだとシステマチックに実装されてくるパターンが多いと思うのですが、ストーリーの中にちゃんと組み込むことで必然性も出るので、そこは「FF」としてこだわりを持って作ってみたつもりです。
名称については……開発チームでも本音を言えば“シーフ”と呼びたいのです(苦笑)。でも各都市に拠点があって、クラスギルドがあるのですが、仮に地下組織でシーフとした場合、表舞台に出せず、そうなるとメインストーリー上も苦しくなります。彼らはかつてリムサ・ロミンサの港町……あ、言っちゃった(笑)……、がまだ海賊で荒れていた時代に、サンクレッドも言っていたとおり、裏で義賊的に活動していた。それがちゃんと体系化して、国にもある程度認められてギルドを持つことができた。それをずっとシーフ(盗賊)と呼び続けることは変だろうと。民衆からの尊敬の念もあり、体系化された武術として双剣士という形になった。僕らなりに考えた、今の時代のシーフを目指して作りました。
世界中で日本の文化で、かつステルスタイプというと、やはり最初に忍者を思い浮かべる。グローバルで運営していることもあって、1番皆さんがいろんな想像を働かせやすいジョブだと感じています。後は単純に「FFVI」のシャドウが非常に気に入っているので、シャドウを今風にしていったらどうなるだろうという点も大きいですね。
ユウギリという謎めいたキャラクターと共に東方から流れてきて、それがサンクレッドら元シーフたちと混ざり合い、新しいジョブがエオルゼアで誕生していく……そんなイメージだと思ってください。
―― 「FF」のシーフと忍者という感覚とは少し違いますよね? 「FF」シリーズのシーフには「ぬすむ」というアビリティがあったりしましたが。
吉田氏: 確かにスタンドアローンのゲームではないので、極端に「FF」シリーズのシーフのイメージには寄っていないですね。
―― つまり、「新生FFXIV」の他のクラスとジョブのような関係で、あくまで双剣士のより特化された形が忍者ですか?
吉田氏: そうですね。
―― みんなのイメージにあるシーフと忍者のハイブリットのようなものではないと?
吉田氏: 双剣士は毒系のものの使い分けがポイントになってきますが、忍者になると、印をどう使っていくのか。その辺りは今までとちょっと違うイメージになると思います。
―― 毒がありつつも、そこに印が入ってくると?
吉田氏: そうですね。今まで実装されている9つのジョブとはまた全然違います。そこはこれからパッチ2.3がリリースされた後にまた2.4のPRを始めますので楽しみにしていて下さい。
――印について、これはデバフとして機能するのか、バフとして機能するのかで、デバフだとしたら同じパーティに忍者が2人いたとしてお互いで印を付け合って完成させるような要素はありますか?
吉田氏: 複数のプレーヤーで印を更に最大化させるようなことは考えていません。なぜなら、それがもし強くなるとパーティ内に複数の忍者を入れるのが必須になってしまうからです。そこまでの事は考えていませんが、印はいくつか法則性があって、必ずしも1つの効果だけを発揮するわけではないです。印を結ぶ順番によっていろいろと変化します。どの局面でどんな印を結ぶのが有効なのかを探していくのが楽しみだと思っているので、あとはリリースをお待ち下さい。
―― 「FF」で忍者というと、「FFXI」の忍者を思い浮かべる人が多いと思いますが、「FFXIV」の忍者は盾ではなくDPSという扱いですか?
吉田氏: DPSです。忍者がみんなの盾になっているのが、僕の中でどうしてもイメージできなくて(笑)。忍者はもともと世を忍ぶ存在で「アサシンクリード」にいてもいいくらい。僕は「アサシンクリード」が好きなのですが、それでも大立ち回りしちゃいますが……。僕の中ではやはり忍者は「忍び」でいて欲しく、敵と相対した時は、やはり純粋なDPSでいきたいし、シナリオ的にもそういう扱いをしていきたい。
―― 盾にはしないということですね。
吉田氏: そうですね。そこは海外の新しいプレーヤーの方には「NARUTO」という日本の漫画のヒットもあって、新しい忍者像が海外でできていると思うのですね。「FF」シリーズとして、新しいオンラインゲームとして出していく時に、日本がスクエニが、しかもFFが忍者を出してくると言ったときにどうイメージされるかも一応考えています。そういう意味では「FFXI」はあまり念頭に置いてないです。もちろん「FFXI」のイメージがある方もいるので、「回避していくタンクかもよ?」という予想もネットで見ましたが、それは全然なく、とにかく忍ぶ方へいってます。
―― 「空蝉」はないと?
吉田氏: どうでしょうね(笑)。
―― あれ? そこは否定しないんですか(笑)。
吉田氏: 技名はできるだけ忍者らしいものを用意していますし、そこは「FF」らしく考えて行きたいなと思っています。
―― 忍者関連でもう1つ、触媒は使いますか?
吉田氏: アイテムを消費したりすることはないです。それは毒に関してもそうです。コンテンツ中に「すいません、毒足りなくなったのでDPS出ません」となるのは嫌なので。そういうことは基本的にはしないつもりでいます。取り敢えず、新クラス新ジョブに関係するバトルチームのスタッフは、イメージを広げるために「NARUTO」を1巻から全部読み直したみたいです(笑)。最近の忍者ってどこがポイントなのだろうと。
―― それでは「FFXIV」の忍者は「NARUTO」の影響を受けている?
吉田氏: いや、結局のところ、それは動きのポーズやアクションの軽快さも含めてのイメージ参考なので、そうとは限らないです。どうぞそこは強調しておいて下さい(笑)
―― トレーラーでは、かなり動き回ってダメージを与えていたような表現でしたが、モンクや竜騎士と同じように方向指定コンボで攻撃をしていくのでしょうか?
吉田氏: ないとは言いませんが、モンクとは全然違います。動画の見栄えを考えて動かしていますけれど、基本的にはどういったタイミングでどの印を結んでいくかということを、適宜考えながらという感じです。例えば学者や召喚でエーテルフローをいつ回して何に使うかを考えながら戦うように、そういった方向性です。さらに位置を厳しく指定するという感じではありません。そこは逆にモンクとは似ていないところです。
――大枠としていろいろなロールがある中で、なぜ近接DPSを選んだのですか。
吉田氏: それは先ほど言ったように、ローグ/スカウトクラスが足りないと思ったからです。いまナイトと戦士という非常に棲み分けができているタンクが2職いて、各ロールに最低2職ずつあります。近接DPSも2職なのですが、いわゆる純粋DPS枠です。ステルスで姿を消しつつ、後ろからバックスタブ!みたいなところも含めて、ステルスという役割のロールを入れておきたいと考えたからです。必要なものをきっちり揃えてから全体を今度は増やして行くという考え方です。
―― これでようやく各ロールに最低限求められる要素として一通りが揃うと?
吉田氏: そうですね。バッファー兼アタッカーの吟遊詩人がいて、近接でコンボに特化して突き詰めると1番DPSが高いモンクがいて、あらゆる局面で使いやすい竜騎士がいて、純キャスターとして黒魔道士がいて、DoTを中心に戦う召喚士がいて……、これで一通り揃ったかなと。
―― その結果としてDPSの人口がさらに過密する恐れがあるわけですが、その対応策はなにかありますか?
吉田氏: 単純な話ですが、まずコンテンツファインダーのマッチングに時間がかかると思います。そうなると早くレベリングしたい方がF.A.T.E.に流れる可能性は高いです。タンクやヒーラーの不足ロールボーナスを沢山増やすと思いますので、ある程度は今までタンクを育ててなかった人たちが「よし、この美味しい隙に上げよう」と多少は流れる。8人忍者のF.A.T.E.パーティが複数できたりしていると、コンテンツファインダーを使う人も減る……、だから、もしかすると、そんなに凄くは崩れないかもしれません。
仮にその状態が2~3週あったとしても、またエンドコンテンツに行くときにはメインキャラで行くでしょうし、アラガントームストーンを稼いだりする時には慣れているジョブでさっさとこなしてしまう。その混ざり具合があれば、極端には心配していません。あとはそういう“忍者だらけのエオルゼア”も、せっかく新クラスが入った直後ですし、MMORPGのおもしろいポイントなので、いいのかなあ、と(笑)。
―― トレーラーでイフリートの角を掴んで飛び乗ってますよね。あれは何ですか?
吉田氏: 公開をお楽しみに(笑)。
―― あれはレベル50のアクションですか?
吉田氏: 忍者っぽい……首にクリティカルヒット! あれはレディバグみたいな小さなモンスターにも実行するので、ぜひいろんな敵にやってみてください(笑)。
―― 2刀流についてですが、「FFXI」の忍者のように2つの武器をそれぞれ使うことができるのですか?
吉田氏: 違います。それは英語放送の出張プロデューサーレターLIVEでも言いましたが、2対で1組なので、1つの武器で両方です。それぞれをということはやりません。
―― 主要ステータスは?
吉田氏: これ以上はまだお話しできません。変更の可能性もありますし、ガチガチに準備されてしまう方もいそうなので(笑)。
――忍者のレリック装備についてお伺いしたいのですが、実装の予定や取得条件は?
吉田氏: もちろん入れます。取得条件も同じにするつもりです。忍者を目指す方は、アートマだけは今から集めておくと、「早めに光らせたぜ!」みたいなことはできると思います。
―― 昨年のE3で学者を発表したときに、召喚士と学者は巴術士から分岐する仕様になっていて、いずれ他にもクラス派生を考えていきたいという話があったと思います。まだそういう派生は発表されていませんが、今後例えば剣術士からナイト以外に派生したりという予定はあるのでしょうか?
吉田氏: うーん、検討はもちろん常にしていますし、仕組みとしてはもちろんできますので、新クラスやジョブを増やす際はどのシステムを採用するかいつも悩みます。また、複数ジョブへの分岐により、ステータスが自由に切り替えられない、という弱点が露呈しているところもあります。今回の発表はクラスとジョブの同時実装でしたので問題はないですが、やはり慎重に考えているというのが現状です。拡張パックとなる3.0でもジョブは増えますし、また新たな仕組みになるかもしれないので、続報をお待ち下さい。
―― まだそのタイミングではないと?
吉田氏: えっと……今回ようやく新クラスも新ジョブを発表したばかりで、それもまだプレイしていただけていません。さすがにその先のクラスやジョブのことよりも、まずはそちらをお楽しみください(苦笑)。