セガ、WIN「RUSTY HEARTS」プロデューサーインタビュー

“セガの要望でこれから大きく変わっていく”、ストーリーが魅力なアクションMORPG


10月18日 収録

今冬 サービス開始予定

利用料金:基本無料
ビジネスモデル:アイテム課金制



 セガが今冬よりサービスを提供するWindows PC専用オンラインゲーム「RUSTY HEARTS」。韓国からスタートし、北米やヨーロッパでもサービスが行なわれている本作を、日本ではセガが提供する。本インタビューでは、このタイトルをセガが提供することの狙い、その中でもまず「RUSTY HEARTS」を提供していくことになった経緯、そして「RUSTY HEARTS」というタイトルの魅力を、セガのプロデューサーである関口悦昭氏に伺った。

 なお「RUSTY HEARTS」は11月1日からクローズドβテストを実施予定で、現在その参加者を募集中。弊誌でも1,500名の参加枠を頂いているので、こちらの「RUSTY HEARTS」募集記事も合わせてチェック頂きたい。


■ スピーディーかつ爽快感のあるアクションが楽しめるベルトスクロール型3DアクションMORPG

本作のプロデューサーを務める関口悦昭氏。自身でも「RUSTY HEARTS」をやりこみ、多くの要望を出している
カートゥーンレンダリングのグラフィックスが特徴的な「RUSTY HEARTS」。画像のキャラクターがクローズドβテストで使用できる「フランツ」と「アンジェラ」だ

――「RUSTY HEARTS」は韓国ではパブリッシャーWindy Softによるサービス提供から始まって、今は北米やヨーロッパでもサービス中のタイトルということですが、これを日本ではセガが提供することになったのは、どんな経緯があってのことでしょうか?

関口悦昭氏: 弊社では今夏に、シリーズ10周年記念作品としてPC版「ファンタシースターオンライン2」(PSO2)をリリースさせていただきました。おかげさまで、あっという間に100万IDを超える大ヒットになりまして。その成功を柱にして今後、海外PCオンラインゲームを積極的にパブリッシングしていく計画があります。その第1弾になるのが今回の「RUSTY HEARTS」です。国内PCオンラインゲームのパブリッシャーとしては最後発になるわけですが、他社さんに負けないよう、セガらしい視点で秀逸なタイトルを順次パブリッシングしていこうと考えています。

 「RUSTY HEARTS」というタイトルを選んだ経緯ですが、パッと見の印象として“非常に日本人好み”なゲームだったんですね。カートゥーンレンダリングをふんだんに使って“見た目で魅せる”部分がありますし、プレイもアクション性が高くて爽快感の優れたゲームになっています。そのあたりが1番の理由ですね。

――なるほど。改めて「RUSTY HEARTS」というタイトルがどんなゲームなのか教えて頂けますか?

関口氏: 「RUSTY HEARTS」はジャンルで言うと“ベルトスクロール型の3DアクションMORPG”となります。基本的な流れとしては、メイン・サブストーリーの進行を中心として、その過程で拠点となる街のNPCから様々なクエストを受け、ダンジョン内で目的を達成していくことでキャラクターは成長していき、ストーリーも大きく展開していくという形になります。 「RUSTY HEARTS」は世界感が非常に重厚なところが特徴なのですが、仕掛けの方でもダンジョン内で突発クエストのようなものも発生しますし、スキルとアクション操作が豊富に盛り込まれていますので、キャラクターを動かしていて楽しい作りになっています。

 「RUSTY HEARTS」は世界感が非常に重厚なところが特徴で。仕掛けの方でもダンジョン内で突発クエストのようなものも発生しますし、スキルなどによるアクション性が高い部分もありますので、飽きの来ない作りになっています。

 実際のプレイですと、まず操作するキャラクターを選択します。韓国でサービス中のものだと選択できるキャラクターは8人いるのですが、日本でのクローズドβテストでは、まずその中から「フランツ」と「アンジェラ」の2人を使っていただくことになります。

 最大4人同時のパーティープレイが楽しめるオンラインゲームで、まずパーティーのリストがあって、そこに参加していくという流れです。

――操作キャラクターの個性やタイプというのはあるのでしょうか? また、職業のような同じキャラクターでも能力が変わるシステムはあるのでしょうか?

関口氏: 基本的に1つの武器で戦っていきますが、レベル10を越えると3つ使えるようになります。フランツで言うと、最初は片手剣ですが、レベル10からは斧や双剣を使えるようになります。アンジェラは大きな魔法剣がベースで、同様の過程で大鎌や薙刀のような武器を使えるようになります。CBT以降となりますが、後々はその中から好みの武器を選んで特化させていくことになり、これが本作における、いわば“転職システム”となります。 キャラクターの個性はスキルの取得によって変わっていくので、プレーヤーさんそれぞれで変わっていくでしょう。例えば、範囲攻撃が強くなるスキルを特化させて伸ばしていったりですね。

アクションMORPGとして、アクション要素が豊富な本作。エフェクトも爽快感のある派手なものが多い
テクニカルな要素を持ちつつも、たくさんのモンスターをなぎ倒していく“無双系”の魅力も楽しめるところがポイント

――アクション性が高いということですが、どんなアクションができるのでしょう?

関口氏: 基本は「通常攻撃」、「スキル」、「回避」、「ジャンプ」、そして「ガード」です。それに加えて、タイミングよく敵の攻撃をガードする「ジャストガード」もあって、ジャストガード成功時に攻撃ボタンを押すと発動する「ジャストカウンター」といった技もあります。

――ゲームの難易度として、プレーヤーの腕前、いわゆるプレーヤースキルが問われるところがあるのでしょうか?

関口氏: それは結構あると思います。ただ、腕前が必要になる場面というのは、主にPVPコンテンツあたりになると思いますね。通常のクエストはそうではなく、モンスターが大量に出てきてそれをドンドンなぎ倒していくような。いわゆる“無双系”の魅力があるゲームです。

――普通のクエストでは細かいテクニックを気にせずにザクザクと気持ちよく遊んでいけるという感じですか?

関口氏: そうですね。でも、普通のクエストに出てくるモンスターにも、もちろん種類がたくさんいて、いろんな攻撃をしかけてきます。近接攻撃をしてくるものもいれば、弓などの飛び道具で攻撃してくるものもいますので。そうした攻撃に反応してジャストガードし、ジャストカウンター状況を打破したりとか。テクニカルなプレイも楽しめますね。

――スキルはかなり種類があるのでしょうか?

関口氏: 総数としてはかなりありますが、今回クローズドβテストでは開放するレベルが20までとなっているので、そこまでだとあまり多く感じないかもしれないです。クローズドβテスト後、アップデートすることで、どんどん使えるスキルを増やしていきます。

――遊び方ですが、メインストーリーを楽しむというのが最大のポイントになると思いますが、他にもサブ的なクエストもあるし、レアアイテムを狙ったりといった要素もある?

関口氏: おおまかに言うとそうなります。ただ、単純にダンジョンを周回するだけでは面白くないので、もっといろんなものを導入していきたいと思いますね。ずっと同じダンジョンで同じ敵を相手にしていると飽きてしまいますから。例えばそこに、敵がランダムに変わるとか、マップ上の仕掛けやクエスト中の突発イベントは、より一層趣向を凝らすとか。そういったものを入れてくれないか、と協議しています。

――遊びの中にはPVP要素もあるということですが、そちらはどんなものになっているのでしょう?

関口氏: PVPモードでは個人戦やチーム戦が楽しめます。チーム戦では10VS10の大規模な形式もありますよ。私も実際にPVPをプレイしているんですが、面白いコンテンツになっていますね。

 ただ、日本では韓国でサービスされているPVPコンテンツをそのまま持ってくるのではなく、バランス調整を含めてやはり要望を出していきたいというところがあります。クローズドβテストではそうしたバランス周りへのユーザーさんからのご意見も頂ければと思います。

――PVPも結構熱いコンテンツになっていそうですね。ストーリー含めクエストを楽しむという流れと、そこで鍛えてPVPを楽しむという2軸と言いますか。プレイの2本柱と想像してもいいのでしょうか?

関口氏: ダンジョンを周回して飽きたらPVPに行って、それも一通り遊んだらもうやることがない、というゲームではないですね。他にもたくさん遊べる要素があって、PVPもそのひとつというところです。

――なるほど。いろんな遊びがあると言いますか、遊びの幅やボリュームがかなりあると。本作は本家の韓国だとどれぐらいサービスが続いているものなのでしょう?

関口氏: 向こうでは正式サービススタートしてから約1年半ほど経っていますので、コンテンツもそれだけ多くあります。。日本でのクローズドβテストでは本当にその一部となります。正式サービス後はどんどんコンテンツを入れていきます。

――ローカライズや調整、要望を行ないつつ日本版として導入していくというわけですね。そうなると、自社開発で作って出して、作って出して、というものよりも、スピーディーにアップデートしていける?

関口氏: 日本版のアップデートもどんどんやって充実させていこうと考えています。

――日本での正式サービス開始時点では、その韓国のバージョンに追いつくぐらいとまではいかないでしょうか?

関口氏: コンテンツの実装スピードも重視していきますが、韓国バージョンに追いつくこと自体に重点を置くというより、「RUSTY HEARTS」の魅力を伝えること、ユーザーさんが親しみやすいよう細かい調整を行っていくこともコンテンツの充実に繋がると考えています。実は既に幾つも新仕様として提案したものが韓国で実装されていまして、こういった綿密な協議と調整を行うことで、今後さらにボリュームも増えていくことになると思います。アップデートの区切りとしてはメインストーリーの区切りという部分で分けて、日本に順次導入していくというやり方になりますね。

クエストを受けてダンジョンを探索するというのがゲームプレイの基本の流れ。最大4人でのパーティープレイが楽しめる
キャラクターの能力はスキルツリーにポイントを振って獲得していくスキルによって、大幅に変化していく

――今回のクローズドβテストの目的ですが、ゲームとしては既にサービス中のものがありますし、現時点でも一定以上の完成度にあるのでは? と思えます。テストも踏まえつつ、“本作の魅力を知ってもらいたい”という意味があるβテストになるのでしょうか?

関口氏: そうですね。大枠としてはサーバーの負荷テストが主にしたテストになります。それと、先程の話に通ずるところがありますが、日本の我々から開発元に出している要望というのがすごくたくさんありまして、非常に多くのものが実装されています。ゲームに触れたユーザーさんからご意見をいただきつつ、そういうところもよりブラッシュアップしていければいいなということもあります。

――クローズドβテストではゲームのどんなところに注目してもらいたいですか?

関口氏: まずは本作の世界観ですね。ストーリーがかなり練り込まれたものになっていますので、そこに注目してもらえたらなと思います。ストーリーを進めて、ダンジョンを攻略して。PVPコンテンツもβテストで開放しますので、そちらも含めて楽しんでもらえればと思います。

――クローズドβテストで楽しめる範囲でも、「RUSTY HEARTS」という作品の魅力が充分わかるものになっているのでしょうか?

関口氏: クローズドβテストでは、あくまでベースの魅力となります。クローズドβテスト以降にはオープンβテスト、正式サービスと進んでいきますが、その過程でもアップデートすることで色々なコンテンツを開放していきますので。そちらもご期待頂きたいですね。

――ゲームのキャラクターの能力アップがどこに比重が置かれているかなのですが、例えばレベルアップでだいぶ変わってくるのか、装備の強さで大きく変わるのか、それともスキルなのか、と強さが補正されるポイントがあると思うのですが、どのあたりが強めのゲームなのでしょう?

関口氏: スキルと装備の比重が大きいと思います。スキルについてはポイントを割り振っていく形式なので、どれにポイントを振っていくのかで人それぞれに変わっていきますね。ステータス的な意味合いで強さの強弱がわかりやすいポイントはやはり装備ですが、こちらもカスタマイズ可能なので、やはり方向性は人それぞれとなります。

――関口さんもテストを含め「RUSTY HEARTS」をかなりプレイされていると思うのですが、関口さんの思う「RUSTY HEARTS」の良さというのはどんなところがありますか?

関口氏: 戦闘ですと、スピード感があって爽快感がありますね。ストレス解消になりますよ(笑)。アバターコスチュームも多彩で着飾る面白さもありますし、アイテムのエンチャント(合成)も種類が多くて、アイテムをコレクションする楽しみも豊富ですね。

――ちなみに関口さん自身は、普段はどんなゲームを好んでプレイされているのでしょう?

関口氏: オンラインゲーム、コンシューマーゲームともに、あまりジャンルに囚われずに何でも遊びますね。特に格闘ゲームは大好きですね。

――格闘ゲームを多くプレイされる方だとアクションに対するこだわりと言いますか、操作の手触りの良さにもこだわりが出ますよね?

関口氏: 「このアクションのモーションはもっとかっこよくならないの? 」といったような要望も出しましたね(笑)。

――βテストでプレイする時には、他にもここに注目してもらいたいというところはありますか?

関口氏: ゲーム内の楽曲にもぜひ注目してもらいたいですね。非常にかっこいい曲が揃っていて、βテストに参加してぜひ聴いてもらいたいです。日本でも気を使っているところで、例えば特定のシーンに曲がなかったりしたので、そこにはセガ側で曲を用意して入れてもらっています。

――それは非常に楽しみです。オンラインゲームは長く遊ぶゲームですし、楽曲の良さは従来のパッケージゲーム以上に大切になりますよね。良い曲を聴きながらならいくらでもレベル上げできるんですよね(笑)。

関口氏: 非常に大事だと思います。キャラクターボイスもそうなんですけど、聴く部分というのは分かりやすいところですから。私たちもだいぶ大きな要素だと捉えています。この曲を聴きたいから、このフィールドに行こうみたいな楽しみも生まれますよね。「RUSTY HEARTS」の曲はすごく良くて、サウンドトラックCDを出したいぐらいに良いと思っています。ゲームをプレイして同じように思ってくれた方はぜひご要望ください。


■ 14世紀中世ヨーロッパを舞台にダークかつ重厚なストーリーが展開される「RUSTY HEARTS」。豪華な声優さんもポイント

プレーヤーキャラクターの1人「フランツ」。黄金騎士団所属のヴァンパイアハーフで、最愛の女性をヴァンパイアにした過去を持つ。得息武器は剣や斧。緑川光さんが声優を務める
クローズドβテストで使用できるもう1人のプレーヤーキャラクタ「アンジェラ」。疫病で家族全員が急死し、村中の人間からアンジェラが疑われ恐れられたという過去を持つ。得息武器は大鎌や大剣。沢城みゆきさんが声優を務める

――プレーヤーさんは何に対して価値を見いだしてプレイを継続してもらうのか? というお話なのですが、「RUSTY HEARTS」ならではという魅力を挙げるとどういったところになりますか?

関口氏: 「RUSTY HEARTS」ならではというのは、やはりストーリーのボリュームではないかなと思いますね。“ストーリーと世界観で魅せるゲーム”という面が強くて、それをオンラインで楽しめるというのが大きいです。

――ストーリーはかなり独特な世界観を持っていますよね。

関口氏: 物語は14世紀の中世ヨーロッパが舞台ですが、悪を倒せという王道なものとはだいぶ違っています。

 例えば、フランツは彼の婚約者であるアメリアが転落事故で死に瀕した時に、彼女をヴァンパイア化させることで命を助けます。一方彼女は、フランツがヴァンパイアであること、自分もヴァンパイアになってしまった事にショックを受けて、離れてしまいます。

 そういう過去があるので、フランツには「ブラッド」という敵がいるのですが、ブラッドを倒す事が目的かというとそれは違っていて。アメリアに血を返して人間に戻す事が目的で、その過程でブラッドと戦うことになるんです。こうしたひとクセあるストーリーや世界観がどのキャラクターにもあります。

――少しダークサイドを感じさせるストーリーですね。

関口氏: そうですね。メインストーリーにはシリアスでダークなところもふんだんにありますが、それ以外のサブ的なクエストではむしろコミカルな見せ方や展開もありますね。実際にはそういうコミカルなところをローカライズするのにだいぶ苦労しまして、韓国語でのギャグなどが入っているんですが、そのまま日本語にしても通じないんですよね。文化的な違いもありますし。日本ならこういうニュアンスやセンスだろうなというのを、上手く置き換えていくところに苦労しました。

――もう1人の「アンジェラ」というキャラクターは、魔女ですよね。家族が急死し、村中から魔女扱いされて殺されそうになる……と。やはりダークですね。

関口氏: そこから始まって、紆余曲折を経てゲームのスタート時点に繋がっていくわけですが、その過去にどんな事があったのかは少しずつストーリーの中で明らかになっていきます。他のキャラクターも同じように凝ったバックグラウンドがありますので、個人的にも先が気になる作りになっていると感じます。

――「RUSTY HEARTS」は長くて短い1週間の物語……と、ストーリー中に記述があるのですが、これはどういった事でしょう?

関口氏: ゲームスタート時点は、「ブラッド」という敵を倒すその1週間前から始まっていくんです。状況としては物語がだいぶ進んでからという変わった始まり方ですね。メインストーリーのプレイを進めると、「1日目終了」といったように区切りがついていきます。

――現在も韓国では約2年サービスが続いていて、ストーリーは区切りこそあれど完結はしていません。かなりいろんな事件が起きていきます。

――そうしたストーリーは、カートゥーンレンダリングでの、ある意味アニメ的な見せ方で楽しめるようになっている、というわけですね

関口氏: ストーリーの見せ方も非常に日本人好みといいますか。凝ったストーリーを楽しみやすい形で展開しているところが魅力ですね。

――キャラクターの声を担当する声優さんも非常に豪華ですよね。

関口氏: やはり世界観やストーリーに魅力があるゲームですので、そこは重視しましたね。特に操作キャラクターは声を多く聞く事になりますから、主要キャラの「アンジェラ」は沢城みゆきさん、「フランツ」は緑川光さんにお願いしています。他の操作キャラクターやNPCの声優さんも力を入れていますのでご期待ください。


■ 日本以外でサービス中のタイトルながら、セガからの多くの要望により今まさにブラッシュアップされている!

こちらは「RUSTY HEARTS」のキービジュアルだが、フランツとアンジェラの他に、チュード、ナターシャ、ローゼルといったキャラクターも背後に描かれている。このほかにも総勢8人がプレーヤーキャラクターとして使用できる。韓国では元々、キャラクターの使用に際して課金が必要だったということだが、セガからの要望でその課金要素はなくなったということだ

――ここまでのお話の中でも「日本から要望を出している」というものがありましたが、それは日本展開だけのいわゆる日本版の独自仕様を作ってもらっているということでしょうか?

関口氏: 日本独自仕様もあり、日本要望がそのまま「RUSTY HEARTS」におけるグローバルスタンダードとして反映されるものも多くあります。

――なるほど、既にセガからの要望も加わって「RUSTY HEARTS」というゲームが変化していっているんですね。具体的にはどんな要望でしょうか?

関口氏: 大きなところで言うと「キャラクター選択」のところで。韓国では以前は“購入すると使用可能なキャラクターが増える”という課金の部分だったんです。でも、それは「日本では流行らないな」と考えて。課金無しで自由にキャラクターが使えるように変えてもらいました。

――「RUSTY HEARTS」はクライアント・プレイ料金無料、アイテム課金によるサービスということですが、アイテム課金要素にはどういった種類が用意されているのでしょうか? ゲーム性に関わるところにも課金要素があるのか、それともないのか、というのは気になるところだと思います

関口氏: これは今の段階ですと正式サービスがもう行なわれている韓国での例で話させてもらいたいのですが、アバターの容姿に関わるもの、あとは敵に倒されてしまった時に、毎日支給される復活アイテムがなくなってしまっても、特別にその場で復活できるものなどがあります。この他にも、短時間で集中的にプレイしたい時などに手助けとなるブーストアイテムのようなものもあります。

――逆に、上級者にとっては課金要素というのはどういうものになるのでしょう? 同じ事をするにしても課金によるブーストがあるのとないのとでは、大きく違ってしまうという場合、効率を求める人と求めない人とで温度差がかなり出ると思うのですが?

関口氏: アクションの得手不得手や、プレイスタイルの個人差は当然あると思いますが、そのどちらに偏るようなバランスにはしたくないと思いますね。PVPに限って言うと、楽しみのひとつとしてランキングというのがありますので、競い合う場面も多くなるとは思いますが、キャラクターのバランス調整などを現在もかけている真っ最中というところです。そこに関してもβテストで日本のユーザーの皆さんからご意見を頂ければなと思いますね。

――なるほど。少し話を戻しますが、そうした課金にも関わるような根幹的なところにも意見を出しているとなると、日本版として仕上げるのにはローカライズも含めても、かなり手がかかっているのではないでしょうか?

関口氏: かなりかかっていますね。韓国語を日本語にするローカライズ部分だけでも苦労はしています。でも、それ以上に1番苦労したところで言うと、ゲームとしての細かいところの仕様変更や調整をお願いするところでした。「これがあったらいいのにな」とか、「これはこのままだと使いづらいのになんで直さないんだろう?」というところがあったんです。

――言うなれば“粗いところ”があったのでしょうか?

関口氏: そうですね。特にゲームパッド対応がなかったのは日本で展開する上では厳しいと感じたのがまず最初で。韓国ではキーボード&マウスでのプレイが主流ですが、やはり日本でアクション性のあるゲームを遊ぶならゲームパッドを使いたい人が多いと思うんです。そこで要望を出して、使えるようにするだけでなく色々と細かい調整もあれこれお願いして実装してもらいました。

 他にも、例えばギルド機能ひとつを見ても、カスタマイズ要素もなにもない状態で。マイルームといっても単純にメンバーがいられるだけというものだったので、だいぶ要望を話して新しいシステムを構築してもらっている最中です。ギルド単位での遊びというのも薄かったので、それについても要望を出したところです。

 ただ、日本に今の段階で全てを持って来られているわけではないので、今後にアップデートでどんどん入れていくことになります。そのコンテンツ導入のスケジューリングもだいぶ整ってきました。

――そうなると、これまで海外で運営されてきた「RUSTY HEARTS」を知っている人でも、これからセガからの要望もどんどん実装されてきて、かなり変わってくる?

関口氏: だいぶ変わると思いますね。時期的にいつぐらいからこちらの要望が加わっているというわけではなくて、開発スケジュールや優先順位もありますので。でも、これからセガの私たちの要望が入って変わってくる、良くなってくるというところはあると思います。

――なるほど。これまでの評判などを知っている人にも、またこれからを日本でのサービスとともに見てもらいたいというところがあるんですね。先ほどギルド単位の遊びが薄かったというお話がありましたが、PVPの10VS10という試合もギルド単位のものではなかったのですか?

関口氏: 今の段階だと、プレーヤーさんが好きに参加して揃ったら始まるというものになっています。それはそれで気軽でいいんですけど、やはりギルド対抗戦のような形式も楽しめるようにしたいと話していますね。

――ギルド対抗戦を使ったオフラインイベントでの大会のようなものもやっていきたい?

関口氏: そうですね、それはぜひやっていきたいです。

韓国のゲームパブリッシャーWindy Softと開発会社Stairway Gamesと協議を重ね、200以上の要望を出しているという

――これからの運営の面についてのお話になりますが、セガさんとしては、他社が開発したオンラインゲームを持ってきて運営するというのは、あまりないことだと思うのですが、自社だけでないからこそのトラブルなど、リスクも考えられるとは思うのです。どういったところから、この会社とやっていこうという判断になったのでしょう?

関口氏: まず、韓国では1年半ほど続いていて充分なコンテンツがあり、それをスピーディーに提供できるというところがありました。それ以降のことでも、今回リリースするにあたって私は毎月のように韓国の方に行って、韓国のゲームパブリッシャーWindy Softと開発会社Stairway Gamesと3社で綿密な話し合いをしました。そこで200ぐらいの要望を出したのですが、それに対して拒絶もなく順次対応をしてもらえていますので、非常に風通しが良く、これならやっていけるのでは、と信頼できましたね。

――セガからの要望が多く反映されているというところについてですが、例えば韓国Windy Soft側とセガ側からの提案というか方向性が食い違ってしまったという時には、どう集約されていくのでしょう?

関口氏: どういった要素についてのものかで変わってくるとは思うのですが、例えば世界観やストーリーというところについては、よほどチグハグなものでない限りは向こうの世界観を大事にしたいと思っています。ただ、運営に関わるところでは「これで問題ないですね」とそれぞれが納得できるところまで綿密に話し合っています。これまでもそうしてきましたし、今後においてもそこがブレることはないと思います。

――ユーザーさんからの要望というものであった場合はどうなのでしょう? 例えば、日本のユーザーの声と、韓国やその他の国のもので食い違ってしまった場合。または、各国で独自仕様を入れたいという提案が出た場合。これは、どのあたりが取られていくのでしょうか? 日本版、韓国版といったように違っていくものも出てくるでしょうか?

関口氏: そこは私はあまり意識していなくて。私からは「日本のユーザーが求めているのはこうだから」と伝えるのみですね。韓国版は、日本版は、という考え方自体をあまり持っていないですね。全体を意識するあまり、ゲームの方向性というかコンテンツの方向性が狭まってしまうのが1番良くないと考えていますので。

――韓国側との協議では、例えば日本のゲーム開発や展開との温度差というか。特にビジネス的な面での考え方の違いというようなものは、なにか感じられるものがありますか?

関口氏: 基本的にはここがというものは無いですね。目指すところとして、面白いゲームを作るということや、飽きさせずに遊んでもらうためにはどうしたらいいか、というのを考えるところは共通しています。逆に、そうしたところに違いを感じなかったからこそ、「RUSTY HEARTS」を弊社が展開するという話が進んだ、という言い方もできると思います。


■ ガッツリと楽しめるオンラインゲームも取りそろえ、ライトもヘビーも抑えていくセガの取り組み

PC向けオンラインゲームの展開も今後さらに増やしていくという。そこには現状としてライトなゲームが受けている一方で、ガッツリ遊べるゲームも幅広く提供したいという考えがあるということだ

――セガのPC向けオンラインゲーム展開というのは、実際は長くアプローチしてはいるものの、ゲームファンの方にはあまり印象がないのかもしれません。今後力を入れていくということですが、どういったユーザーさんに向けたものなのでしょう?

関口氏: 正直なところを言うと、今はブラウザゲームですとか、モバイル向けゲームというのが非常に勢いがあって、各社さんとも力を入れていると思うんです。ただその一方で、オンラインゲームというのは減少傾向にあるのかなと。ただ、ユーザーさんはシフトしている(動いている)だけで、がっつり遊べるオンラインゲームが好きだ、という人もたくさんいると思うんです。そこにセガがいろんなゲームを出していますよ、というのをアピールしていきたいです。

――今はライト寄りに傾いているけど、その人たちも魅力的なゲームがあればやってもらえる、遊べるものをセガが用意しますよ、というわけですね。

関口氏: そちら(ライトなものも)もありつつ、こちら(本格的なもの)もありますよ、というところだとは思うのですが(笑)。オンラインゲームって言うと、気軽にも楽しめますが、ガッツリとした遊びにもなります。このゲームが好きだから集中して遊びこみたいという人もいると思います。そういう要望も応えていきたいというところですね。

――「RUSTY HEARTS」はというと、ライトなのでしょうか、ヘビーなのでしょうか?

関口氏: ダンジョンを1つクリアするのに5分から20分ぐらいで、中には大規模なダンジョンもあって、もう少し長い場合もありますが、全体的にはライトに遊べるゲームです。

――逆に、ヘビーにプレイしたいという人にとってはどんなタイトルなんでしょう?

関口氏: やはりアイテムエンチャント(合成)の要素がやりこむとかなり奥深いものになっていると感じて頂けると思います。難易度の高いダンジョンというのも出てきますし、手軽ながらもがっつりやりこめるゲームでもあると思いますね。

――お伺いした限りですと、「ファンタシースターオンライン2」と比較すると、最大4人パーティーでアクションMORPGというところなど、ゲームとしての枠組みが近いところも感じるのですが、そのあたりはどうでしょうか?

関口氏: 同じアクション要素のあるゲームというところからも、近いところは確かにあると思うのですが、無双的な爽快感やスピード感の強いゲームになっていて、ゲーム性や魅力はだいぶ異なると思います。これは実際にプレイしてもらえれば、よりわかってもらえるのではないかなと思いますね。

――なるほど。楽しめるテイストはだいぶ異なるものを持っているというわけですね。アクションMORPGという「PSO2」とも近いジャンルになったのは、こだわりや興味をもたれているところがあったのでしょうか? 「セガが提供するんだから、やはりアクション要素のあるゲームがいいよね」というような

関口氏: そういうわけではないですね。アクション要素があるかを念頭に置いていたとか、そういうのはなかったですね。いろんなゲームを見てきまして、日本のユーザーさんに受け入れてもらえるタイトルをというのが大きかったです。ストーリー性やアニメ調のグラフィックスといった面から「RUSTY HEARTS」になりましたね。

――セガとしては今後オンラインゲームの取り扱いを強化していくということですが、他のタイトルと共同のキャンペーンを行なうような展開もあり得るのでしょうか?

関口氏: 現時点では未定なのですが、セガ全体として、異なるタイトル同士を一緒に盛り上げていくような取り組みはぜひやっていきたいですね。

――自分は「ファンタシースターオンライン2」もプレイしているのですが、そちらにも「RUSTY HEARTS」を紹介するメールが届いていたので、近い枠組みのゲームをプレイしている人にまた別のタイトルを紹介していることに驚いたんです。そこは今回このインタビューで、異なる魅力を持っているゲームなんだというのがわかりましたので。いっそ、両方プレイしていたら何かもらえたらなぁと(笑)。例えばですが、「RUSTY HEARTS」にはログインポイントで何かもらえるという要素はあるのですか?

関口氏: ログインするともらえるポイントというのは、実は、今まさに要望を出していて調整中というものなんです。これはちょっと先の話になってしまうのですが、いずれ実装したいものですね。他のタイトルと共同してというのは先ほども申し上げたとおり、現時点では未定ですので、いずれできたらというところです。


――それでは最後に、ユーザーの皆様へ向けてコメントをお願い致します

関口氏: クローズドβテストでは、もちろんβテストとしてサーバーの負荷テストがメインではあるのですが、ユーザーの皆さんには「RUSTY HEARTS」の世界観や馴染みやすいところを多くの人に知ってもらえればと思っています。ぜひ、プレイしてみてください。宜しくお願い致します。

――ありがとうございました。


(C)SEGA
(C)WindySoft Co., Ltd. All rights reserved.
Developed by Stairway Games.

(2012年 10月 26日)

[Reported by 山村智美]