アルケミア、「天外魔境 JIPANG7」開発者インタビュー
「天外」らしさにこだわり、積極的に楽しめる新しいブラウザゲームを!


4月7日 収録


 株式会社アルケミアは、ブラウザ用戦乱ソーシャルオンライン活劇「天外魔境 JIPANG7」の正式サービスを4月12日に開始した。基本プレイ無料のアイテム課金制で運営される。

 正式サービスに先がけたオープンβテスト(OBT)をプレイして、筆者(勝田)と編集担当の中村は別々の感想を持った。中村は本作に対し、「ゲームと向き合い、自分で遊び方を探っていくのが面白い」という感想を持ったのに対し、筆者は「情報が少なくてわかりにくい」と感じた。本作は、積極的にゲームに取り組み、よりよいプレイの仕方を模索していくゲームだ、という認識は一致したものの、評価は正反対といっていいものだった。

 自分で楽しみ方を模索していくゲーム性を開発者達はどんな想いで作ったのか。そしてこのゲームでどんなことをプレーヤーに語りたいのか。今回は、本作のプロジェクト「GameComplex」より、プロデューサーを務める西健一氏とディレクターの澤紫臣氏、そして監修を担当する株式会社レッド・エンタテイメント(RED)クロスメディア事業本部プロデュース2部アシスタントプロデューサーの倉田慶氏にインタビューを行なった。



■ サーバーを強化し重さを解消、「天外」らしさを重視したリッチなゲームに

プロデューサーの西健一氏。「スーパーマリオRPG」、「moon」など様々な作品を手掛けるゲームクリエイター
ディレクターの澤紫臣氏。様々なオンラインゲームの運営に関わる
監修を担当するRED クロスメディア事業本部プロデュース2部アシスタントプロデューサーの倉田慶氏

編集部(中村): 今回のインタビューでは、我々がOBTをプレイしたところ、勝田はネガティブな意見が多く、私(中村)はポジティブな評価でした。そこで両面から質問をしていこうと思っています。日本発のブラウザゲームとして、期待していますので、賛否両方からの意見をぶつけたいと思っています。

編集部(勝田): 今回OBTが開始されましたが、これまでの手応えをお聞かせ下さい。

澤紫臣氏: ユーザーさんの意見、そして僕ら自身の感想でもあるのですが、現在「重い」という問題があります。この重さは、サーバーの回線の太さが問題と考えていまして、こちらの回線を増強して対応する予定です。「JIPANG7」は最初にクライアントを読み込むのではなく、その都度サーバーと通信して必要な部分をダウンロードしています。この通信のサーバー側の部分がボトルネックとなっており、ここを増強する予定です。

 ロジカルな部分での重さという点に関しては考えていますが、まずはサーバーを増強してから、それでも重い場合は、例えば気にならないレベルで画質を下げたりFlashの圧縮も視野には入れていますが、本作は「絵」が勝負のところもあります。

西健一氏: 必要な部分をダウンロードする形式にした理由は、開発当初は一気に読み込み、ローカルに持ってくる形にしていたのですが、スタートに3分もかかってしまっていました。それを分散する形で、その都度ロードするようにしました。

倉田慶氏: 重くなった理由としては、音楽や効果音など、当初予定していなかった要素を盛りこんだという一面もあります。次々と新しい要素を盛りこんだ結果といえます。

編(勝): こういった問題点は、クローズドβテスト(CBT)では起きなかったのでしょうか。現在、音楽を切っても重いのはなぜなのでしょうか。

澤氏: CBTでは、音楽も、効果音も、オープニングムービーも入っていなかったですし、人数も少なかったので、重さの問題に気がつかなかったところがあります。音楽をオフにしても重いのは、PC側での操作で、データそのものはサーバーから読み込んでいるのです。音楽データそのものを読み込まない、という形にする方法はあるとは思うのですが、現在軽くするために何をするか、というプライオリティーの面では、まず回線を増強してからと考えています。正直なところ、BGMに関してはもっと音質を上げたいとすら考えているんですよ。

倉田氏: 今回のBGMは作曲家の田中公平さんが担当しています。是非オリジナルの音質で聞いていただきたかったのですが、そのままでは容量が大きすぎるのでゲームでは若干調整しています。しかしそれでも、音楽は本作の大きなウリであり、大事なポイントであると思います。

西氏: クオリティーを下げるといった方法もあるとは思うのですが、まずは回線そのものを太くして、状況を見たいと思っています。正式サービスは12日から開始の予定で、重さに対応するという部分で少しこぼれてしまう可能性もありますが、間に合わせるようにやっていきたいと思っています。

編(中): 回線の太さというところで、絶対値は出せないとは思うのですが、何倍にしていこうと思われているのでしょうか。

澤氏: 検討中ですが、2.5倍という感覚でしょうか。CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)に中身を移し、サーバーを分散させようと考えているんです。現在はゲームサーバーとデータを送り出すサーバーが一緒なのですが、ゲームでユーザーとデータをやりとりしている部分と、コンテンツをやりとりするサーバーを分けようというのが増強の方向です。

編(中): クラウドサーバーを使わず、一種古典的な方法をとっているのはなぜでしょうか。

澤氏: サーバーをチューニングして手元で調整しています。今回の分散処理も自前のサーバーだからできることで、よかったかなと考えています。

西氏: 実は、現在の重い理由で大きな理由の1つに「オープニングムービー」があるんです。これもストリーミングなので、サーバーの負荷が大きい。今はOBT開始直後なので、次々と新規ユーザーがゲームを始め、オープニングムービーを見ているから、回線がきつくなっているという1面もあります。

澤氏: 本来はネックになってはいけない部分なのですが、「天外魔境」シリーズのこだわりとして、ここは外せないだろう、というところなのです。オープニングムービー、音楽、キャラクターグラフィックス、そういったこだわりの部分こそが「天外魔境」なんだと思っています。開発の最初は軽いものを考えていたのですが、「天外魔境」だからこそ、必要な要素だったのです。

編(中): オープニングムービーでこのゲームは他のブラウザゲームと違うなって思いますよね。

西氏: リッチ感あります。ワクワクしますよね。

澤氏: その辺りで、僕と、作り手の西さん、監修の倉田さんとは温度差がありましたね。まず作って、最小限で動く軽いものを作って出してサービスを始めてから、そこから追加コンテンツという形で拡張していくということを考えていたのですが、開発が進行するにつれ、コンシューマー開発ならではのクオリティーと完成度、プレイ感、そしてなにより「天外魔境」シリーズだからこそ要求されるものを満たしたいというのが大きくなっていきました。

 僕が考えたのは、ものすごくシンプルな、作物を植えて育てる“火田”と戦闘という部分を考えていたのですが、バトンを西さん、倉田さんに渡していきながら、どんどんリッチに、作品の完成度が上がっていったというところがあります。

倉田氏: 「天外魔境」シリーズとして、ここはこういう表現でなくてはダメだ、というところはできる限りいれてもらいました。画面が切り替わるときに火の一族の紋章が出てくる演出など、僕たち監修側のこだわりのところを、西さんに実現してもらいました。

澤氏: 結果としてはよかったと思いますね。最初のコンセプトのまま、監修もそこそこでスタートしていたら、各要素がショボイゲームになっていたと思うんですよ。エフェクト、演出も全て西さんが実現してくれました。ディレクターとしては重くなるのはわかってはいたのですが、当時考えていたコンセプトで現在出したとしたら、古いゲームとなっていました。音楽が入り、SEが入り、演出が入り、有名作家が参加した現在の「JIPANG7」だからこそ、最先端のブラウザゲームになったと思っています。

編(中): 取捨選択だと思いますね。想像ですが、回線を太くしても、重さの部分は解決しないと思うんですよ。根本的なところにリッチ感ならではの重さがあると思うのですが、ここに対してはどうなさいますか。

澤氏: 継続的に手は加えていきますが、現在の姿勢、リッチにこだわるというところは活かしていきたいですね。

編(勝): オプションなどで、プレーヤーが必要な要素を選び、機能を制限して軽くする、といった調整はどうでしょうか。例えば会社でプレイする場合には機能を制限して軽く、家に帰ってプレイするときは全ての機能をONにしてリッチに楽しむ、というような方向性はどうでしょうか。

西氏: 回線を太くしても、ユーザーさんのマシンスペックで遅くなる、ということもあり、重さに関しては、様々な視点で検討したいと思っています。プレイする状況で必要とする機能を変える、という要求はあるとは思うので、検討します。

澤氏: でも、演出もエフェクトも全部切ってしまったら、「天外魔境」じゃなくなってしまうと思うなあ。

編(中): Facebookのアプリでも、ローバージョンとハイバージョンがありますよね。

倉田氏: スマートフォンでも簡単な操作ができるような要素も必要かな、というところは検討しています。

西氏: 火田で水を撒くというような行動は、スマートフォンでもできないか、といった要素は現在は手を広げられていませんが、あきらめていません。

澤氏: ゲーム性も限定した場合は、データベースをどの端末で参照するか、というだけの問題なので、「JIPANG7」は他の端末でも遊べるような設計になっています。




■ 他のプレーヤーの行動が自分のプレイに影響する「JIPANG7」の“ソーシャル”と、RPGのドキドキ感

フィールド画面では、暗黒ランの根がプレーヤーの行く手を阻む
「天外魔境」シリーズ企画・原案の広井王子氏による直筆のジパングのマップ。プレーヤーは7つの国のどこかに振り分けられる

編(勝): 次に、ゲームシステムの話へ移りたいと思います。これまでのところ、ユーザーからどのような反応が来ていますか。

澤氏: 「暗黒ランの根を切るのに時間がかかりすぎる」という点は指摘されています。この根を切るというのは、ゲームの根幹でもある部分で、ユーザーの行動範囲を広げる、レベルキャップのような存在だと捉えています。しかし、ユーザーからは行動を妨げる邪魔なものになってしまっています。

 根を切るのに約1時間かかるのですが、農場系ゲームでは1時間待たされるなどは普通なのに、フィールドというグラフィックスがあると大きなストレスを感じてしまいます。根を切ることでのメリットをもっと明確にしていこうと思っています。プレーヤーが何人いればどのくらい根が切られるかも計算しています。何人かで手伝うと行動半径が上がる。協力プレイを感じさせる部分でもあります。

倉田氏: RPGの「天外魔境」シリーズでは、暗黒ランの根はプレーヤーの進行を管理するための要素で、プレーヤーが切ることはできませんでした。「JIPANG7」ではプレーヤーが切ることができ、根を切って交流することができます。根は30時間(※今後変更予定)で再び生えてきます。この要素は、ユーザーの行動を邪魔する、何度刈られても再生するしぶとさといった、根の一族の悪役としての性格を表現しています。

西氏: 今後の予定ですが、「特別な根」が登場する予定です。根を切ることそのものをエンターテイメントにして、プレーヤー達が協力して挑戦するような要素を盛りこむ予定です。ある条件でその根が生えてきて、みんなで倒す、ボスのような要素で、みんなで協力して倒すといい物が手に入るというのを考えています。

澤氏: Facebookアプリやmixiアプリは、アイテムを贈ったり、贈られたりがソーシャルという部分になっていますが、「JIPANG7」ではよりゲーム性を盛りこんでいきたいと思っています。「農場系」のソーシャルゲームにはフィールドという概念がないですが、「JIPANG7」は実際に歩いていき、訪問する。様々な要素は、「ゲーム」にくるんでいきたいと思っているのです。根を切るというところでも、ゲームとしての楽しさを提供したいと思います。

倉田氏: 友達を作る、ということに関しても、もっとゲーム性を盛りこんでいきたいと思っています。

澤氏: 団を作る、他のゲームではギルドにあたる仲間を作り、砦を拠点にコミュニケーションをとっていく。ボスが出たり、アップデートを行なっていくといった要素もありますが、「JIPANG7」ならではのコミュニケーションを作っていくというのが最大の楽しみにしていくのが目標です。人との付き合い、繋がりが楽しい。ここに「天外魔境」ならではの分厚い世界観を盛りこむ、それが「JIPANG7」の一番楽しい要素になってくれると思っています。

 世界観という意味では、“チュートリアル”というカタカナや、チュートリアルのおミヨちゃんのメッセージで「ボタンをクリックしてください」というようなところに葛藤がありました。「天外魔境」の世界にあった和風っぽいものにできないか、“ヘルプ”も、暴走族の“世露死苦(よろしく)”みたいな当て字の漢字表記にできないかとか、世界観にこだわりたかったんです。でも、REDさんに聞いてみたら、「そんなに“和”にこだわっているわけじゃないよ」といわれて、認識を改めた部分があります。

倉田氏: 元々、「天外魔境」シリーズは“外国から見た日本観”がベースで、そこまで和だけが出てくる世界観ではないんです。ごちゃまぜな世界観そのものが味になっているんです。「天外魔境」ファンの澤さんのこだわりに、「そんなに和だけにこだわらなくてもいいから」と言った部分もありました。

編(勝): フィールドに話を戻しますと、ファミコン時代のRPGのようにシンプルな画面構成が面白いと思いました。子供時代にファミコンを触った年齢層のユーザーには魅力的なところがありますが、若いユーザーの反応はどうでしょうか。

倉田氏: REDは「天外魔境」を知らないような若いスタッフもいますが、彼等にもこのシンプルな画面と、ミニキャラクターのかわいらしさは気に入ってもらえましたね。小学生や中学生の意見、というのはこれからですので、反応に関してはまだこれからという部分もあります。

 ただし、あえてRPG風の画面にすることで、「このフィールドには何があるんだろう、旅をしていけば何が出てくるんだろう」といったドキドキ感は狙ったところです。画面をスクロールさせて先を見て、「ここにはいつ行けるんだろう」というのを想像するといったところは、2DのRPGをプレイしたユーザーならば、自分の経験を思い出すでしょう。

西氏: プレーヤーがスタートする場所は、森のようなところで、他のプレーヤーと距離の近い場所になっているのですが、「JIPANG7」のフィールドは探索していくと様々な場所があります。砂漠地帯や、水の都といった地形も登場します。根が重なった場所に洞窟があったり、“名所”がたくさんあります。また、今後はドクロの形をした地形など、多彩な場所を実装していく予定です。様々な地形を見つけてもらって、いついけるか、楽しんで欲しいですね。

編(中): 正式サービス時には、プレーヤーは国を選べるようになるのでしょうか。

澤氏: ならないですね。プレーヤーは場所も選べないですが、他のプレーヤーのいる集落のような場所に配置されます。現在は100×100の1万画面のマップがあり、7つの国は実際に繋がっています。国を隔てる暗黒ランの根は厚くなっています。マップの中心には、巨大暗黒ランがあります。

西氏: 最終的な目標はマップの中心へ、巨大暗黒ランを倒しに行くことですが、実は他にもいくつもの暗黒ランが点在しており、プレーヤーはまず中心の暗黒ランではなく、自分たちの近くの暗黒ランを倒しに向かい、周辺のプレーヤーが集まって来るようになっています。根の一族の城など、様々な場所で力を合わせて戦い、最後の最後にプレーヤー達がマップの中心に集い決戦をする、というイメージです。





■ わかりにくい“導線”の少なさの問題点。試行錯誤しながらゲームに取り組んで欲しいという想い

鉄でも竹でも札でも、何でも植えると育つ火田
敵との戦いはカードゲームとなる。相手の手札はある程度決まっていて、研究することが勝利の鍵だ

編(勝): では次に、プレイで感じた不満点を中心に質問していきたいと思います。ガイドラインが少ないのではないかと感じています。チュートリアルで「道具箱の中のタケノコを火田に埋める」といった説明があり、実行をするけれども、いざゲームをプレイすると道具箱には何も入っていません。

 画面を見回して、受信箱にメッセージがあることや、おみやげ台にアイテムがあることに気がつけば進められるのですが、そうでなければいきなり何をしていいのかわかりません。また、アイテムを火田に植えるというのは、火田に植えるとアイテムが育つのはわかるけれども、どう育つのか、それが何になるのか、自分がやる行動そのものに指標がなく、何のために何をすればいいのかがわかりませんでした。こういった部分は、CBTでは指摘がなかったのでしょうか。

澤氏: そこまで突っ込んだ意見というのはなかったですね。ユーザーをきちんと導く、というのはソーシャルゲームの鉄則なので、今後改善していきたいと思っています。

倉田氏: CBTではチュートリアルそのものが今とは違っていたので、そういった意見は出なかったのかもしれません。

編(勝): 火田で植えたものが何になるかがわからない、フィールドに出て敵に戦いを挑むと、ほぼ必ず倒されてしまい、どうすれば勝てるか見えない。こういったいわば厳しさは、意図した部分はあるでしょうか。

澤氏: 「天外魔境」シリーズは割と厳しめのゲームバランスの作品が多く、そのリスペクトという観はあります。ただ、ここは悩み所なんですよね。僕はいろんなソーシャルゲームをやっていますが、ぬるいと言うよりも、「やらされている」ゲームが多い気がします。やることを1つ1つ指示はしてくれるんだけれども、ぬるすぎるのではないかとも思います。これは、自由度が高いように思えるんだけど、指示されているんだなって気がついてしまうんですよ。

 「JIPANG7」はやりこみ要素をたっぷりもたせています。プレーヤーによってプレイスタイルは大きく異なっていくと思っています。とにかくひたすら素材を育て、できた物を他の人に配りまくるというプレイも可能になっていて、何をすればいいかは人によって大きく異なってくるんです。根を切りまくってひたすら遠くを目指すこともできますし、絵札を作りキャラクターのレベルアップをしていくプレイもできるんです。

西氏: ただ指摘していただいた部分は考えていきたいと思います。おみやげは光ってないと、そこにアイテムがあるかは気がつかないかもしれませんね。

編(中): 私は勝田とまったく逆の印象だったんです。もちろんわかりにくい、ガイドラインが欲しいという意見は出てくるとは思うんですが、私は突き放されている感じが心地よかった。コアゲーマー向けのゲームで、ブラウザゲームも自分でやり方を模索していくような、コアゲーマー向けのタイトルが出てきたのかと、ポジティブに捉えました。

澤氏: 現在のブラウザゲームは簡単な操作でも、複雑なことをやらせるようになってきた部分はあります。「怪盗ロワイヤル系」や、「農場系」のゲームでも、合成や、レア素材の獲得など、ゲーム的に様々な要素を取り込んでいます。日本はそういうゲーマーとしての素地を持っているかもしれません。長く楽しんでもらうには、単純なゲームではなく、自分のプレイスタイルを模索するような要素が必要だと思います。また、トライアンドエラーを厭わない、コアゲーマーがブラウザゲームにも出てきたな、という実感もあります。

編(勝): ちなみに僕は最初の戦闘に勝つのに3時間かかったんですよ。まず、Iのランクの敵がいることに気がつき、さらに彼等が出す手札のジャンケンの手を覚えて、名前と手札が一致することを確認して、絵札を調整して勝った。このために、名前と敵の手をメモ帳を開いて、書いて覚えたんです。ファミコン時代、ダンジョンのマップをノートに書いて攻略していた頃を思い出したのですが、こういった「攻略」要素は意図したものでしょうか。

澤氏: わかりやすいジャンケンを基本ルールに、デッキを組み上げて戦うという深みを持たせるようにしています。あえて複雑なカードゲームではなく、あくまで基本ルールはシンプルに、そして組み合わせで戦略を持たせています。強いカードを揃えるだけでなく、アイコでカードを相殺するなどの手も使えますし、敵によってグー中心だったり、パー中心だったり、相手の傾向を分析して戦ってもらいたいと思っています。

倉田氏: 今回サービスをスタートしてうれしかったのは、他のユーザーの家に行って伝言板を見たとき、「あいつはグーを2枚持っているから、相殺すれば勝てる」といった攻略情報を書いてくれていたんですよ。初期のファミコン世代の子供達が、小学校で情報交換をしているような、あの頃の気持ちになれましたね。ゲーム内で率先して情報交換をしてくれているのがうれしかったです。

西氏: 救済措置としては、勝てなくても根を切り続けることで徳(経験値)を得て、段が上がっていき戦いが楽になります。目線を変えてプレイすれば、ちゃんと勝てる方向にも繋がっていくゲームシステムにしているんです。現在のブラウザゲームの多くはゲーム側が指示ばかり出して、ユーザーは作業に終始し、プレイしている実感に薄いのではないかと感じていたんです。

 だからこそユーザーが考えていく要素を作りたかったのです。一方でブラウザゲームのユーザー層を考えて、謎解きのハードルは高すぎないようにして、移動していけばゲームが進んでいくデザインにはしました。火田も訳もわからず物を植えていけば強い絵札が作れるようになるし、道具が増えていったり、行動範囲が広がっていけばコミュニティーにも参加してみようという気持ちになります。ユーザーの成長に合わせたゲームデザインをしているつもりですが、もうすこしやさしく提示するのも必要かもしれませんね。

倉田氏: CBTでは、敵がいきなり強くなりすぎていたり、バランスもまだ荒削りでしたが、西さん達が力を入れて、随時調整していただいていますので、遊びやすさは向上していると思います。

編(中): 話を少し戻しますが、私は、「JIPANG7」はチュートリアルが手取り足取りのブラウザゲーム的なものでないからこそ、いいと思っているんです。「JIPANG7」のチュートリアルは、ゲームのプレイの仕方を教えてくれます。足下商店にいくとクエストがあるけれども、足下商店にクエストがあるという情報は全くありません。すごく意地悪だと思うんですよね。逆に、だからこそ、自分で見つける面白さ、達成感があります。それがゲームの楽しさだと思います。

西氏: その部分は本当に難しいですよね。ブラウザに限らず、コンシューマーでも、ゲームが1番楽しいのは困難を乗り越えた時なんですよ。言われたことをやっていくだけではつまらない。かといって難しすぎるとやめてしまう。考え方として、澤と話し合っているのは、「無料のゲームって辞めやすい」ということなんです。ユーザーがお金を出して買ったゲームはちょっと難しくてもやり方を探すけど、これだけたくさんある無料のゲームって、わからなければすぐ投げ出してしまいます。ゆるすぎず、難しすぎないバランスで作ったつもりなんです。

編(中): 現在のゲームってチュートリアルが丁寧になりすぎてて、チュートリアルが終わるとゲームに飽きてしまう、というところもありますよね。

西氏: チュートリアルでお金ももらい、レベルも上がって、チュートリアルが終わったら教えられたことをルーチンでやり続ける、そういうゲームではないものを作りたかったんです。

編(中): 勝田はゲームがわからなかったので、私に聞いてくるんです。これってソーシャルだし、ソーシャルゲームってこういうものだと思うんですよ。パーティーが楽しいと私が言うと、勝田は「パーティーって何?」と聞いてくる。これってソーシャルゲームだなと思いましたね。

編(勝): 隣の人のあばら屋に行ったら、火田に何も植えてなくて、おみやげ台に物が置いたままなんです。「ああ、この人は結局何もわからないままこのゲームを止めてしまったんだな」と思ったんです。それを見ると、やはりもうすこしプレーヤーを誘導するためのものが必要なんだと思います。僕自身はIの敵は勝てるようになり、試行錯誤してHの敵を倒せたときは嬉しかった。「これは自分で攻略していくゲームなんだ」ということを実感したんです。

 一方で、現在多くのゲームにはwikiがあり、これを見るだけでゲームが進んでしまうところがあります。wikiを見てその通りにしか進めないユーザーは攻略をしなくなってしまうと思うのですが、この点に関してはどう思われますか。

澤氏: 特にレシピの要素に関しては、最初は悩みましたね。素材を組み合わせて何かができる、という情報はwikiで共有できますが、素材の入手はゲーム側で提供できるじゃないですか。wikiを見るだけでゲームが簡単になるのではなく、どうやって集めていこうと試行錯誤する部分があります。ゲームの中でさらに便利にするために何をすればいいのかなどを考えていって欲しいですね。

編(中): 火田のシステムは、何が育つかわかりませんし、さらに「福引き団子」で完全にランダムになります。手元のアイテムがドンドン別なものに変わっていく、「わらしべ長者」の様なシステムは、すごく面白いことをやっているなと感心させられたのですが、これはどのような設計になっているのでしょうか。

澤氏: そのシステムは「JIPANG7」で最初に作ったコンセプトです。キャベツを植えたらキャベツが出てくるというのでは面白くありません。「天外魔境」では、“おかしいこと、予測できないところ”を入れようと思ったのです。

西氏: 火田って畑じゃないものね。鉄やら竹やら、何でも植えちゃう(笑)。絵面もインパクトありますよね。

編(勝): 一方で、合成の法則性というか、レシピの基本情報が最初は少なすぎるのではないかと思います。最初に渡されているレシピで、札と巻物を組み合わせればいいのか、というのはわかるのですが、他は何をどう組み合わせればいいのか、レシピは1つ1つ自分で確かめていくしかないのでしょうか。

西氏: レシピに関しては、「おミヨのお願い」というクエストをこなしていくと増えていきます。他に「対人戦」をこなしていくことで対人ポイントを貯めていくと買えるようになるシステムも今後実装予定です。

澤氏: レシピに関しては、今後ユーザーがwikiにアップしたり、情報の共有が行なわれていくと思います。現在はユーザーがどう反応してくるのか、そこを見たいという部分も実はあるのです。

編(中): 私の感覚では、「やれることをやっていけばいいじゃないか」という物があるし、このゲームはそういったことを楽しむゲームだと思うのですが、多分そこまで楽しめない人がいるんでしょうね。

西氏: そうなんです。やれることをやっていれば、ペナルティーはないし、とにかく前に進んでいけます。失敗しても前に戻されることはなく、何でもいいからやっていけば前進する、積み重なっていくゲームになっています。ただそこで不安になってしまうユーザーもいるということならば、もうちょっと遊び方を提示していかなくてはいけないかもしれません。

 ただ、これまでは開発者達の閉じた環境でやっていましたが、OBTになり、伝言板を通じてコミュニケーションが取れたり、交流できるのが楽しいですね。私達は開発者だから情報は発信することもできますが、あえて他のプレーヤーと混じって遊んでいます。これからも、情報をこちらから与えすぎるのではなく、ユーザー達の繋がりで情報を探っていく様にしていきたいですね。

倉田氏: CBTの時点でレシピを書き出している人はいましたし、多くのレシピはOBTでもそのまま使えます。成功率などは調整しています。

澤氏: やはり「導線」は必要かなと思いますね。おみやげのところにアイテムがあるとか、かかしが伝言板になっているとか、そういったところは情報発信していかなくてはいけないと思います。素材の最初の入手方法などは提示してもいいと思いますね。

編(勝): 公式ページ上で体験レポートを掲載し、どうゲームを進めればいいのか、基本的なルールと流れを紹介するのもいいかもしれませんね。システムで誘導しなくてもできることだと思います。

編(中): 1カ所納得ができなかったのは、クエストでアイテムをもらったとき、倉庫が一杯の場合は、せっかくのクエストアイテムをあきらめるという選択肢しかなくて、倉庫の中のいらない物を捨てる、というのができなかったところです。他のゲームでは、一時保管庫があり、整理ができるというのが当たり前で、有り得ないと思いました。

澤氏: 普段から倉庫マネージメントをするとか、課金アイテムで拡張しておいてくださいというのは……突き放しすぎですね。改善します。また、倉庫関係のバグも報告されていますので、あわせて改善します。

倉田氏: 他に戦闘で演出がずれるというバグが報告されており、こちらも早急に対応していきます。

編(中): 戦闘に関しては、敵の手は変わらないのでしょうか。それだとメモができれば100パーセント勝ててしまうと思うのですが。

西氏: ランダムで何手か変わります。最初は手札が少ないですが、ランダムで戦い方を変えてくるので、取り組みを考える必要があるし、ゲーム的に面白くなっていきます。

澤氏: 敵には「傾向」があります。グー・チョキ・パーのどれかが中心になっていたり、すごく強いカードを持っていてこれに対処するなど、戦いを繰り返して敵の戦い方を研究することで有効に戦えるようになります。

編(中): カードスロットは最大何枚でしょうか。また、インタラクションの要素は今後入るのでしょうか。

澤氏: 段が上がるだけ持てます。育っていけば、50枚のカードを使うとか、膨大なカードを持つことになります。インタラクションはブラウザゲームと言うところもあり、あまり入れない方がいいのではないかと思っています。最初に考え、結果はすぐに出てきます。戦いにずっと見続けていなくてはいけない“張り付き”が必要なのは、違うと思っています。仲間が介入してくるなどアイデアそのものは検討しているところもありますが。

 ちなみに、現在カードは約80種類ですが今後も増えていきます。基本的には、直接攻撃、術、召喚、そして英雄の4つのカテゴリーですね。特に英雄は特別な効果があり、うまく使うことで戦いが有利になりますが、回数制限があります。カードは基本的にレシピで作るのみですが、材料の一部は課金アイテムでも買えるようになります。

編(勝): 装備、という要素がありますが、こちらは課金アイテムのみでしょうか。

西氏: 入手できます。キャラクターのステータスをアップさせる要素です。敵と戦って入手できるアイテムです。装備スロットは課金アイテムで増やせます。

澤氏: 胴や脚、といった部位という感じではないです。これは部位の形式にすると、アバターが装備に合わせて変化しないとユーザーが満足しないと思ったからです。そこで、ステータスをアップさせる存在に割り切り、集める要素を絞りました。

編(勝): Gの敵がかなりの強敵で、これはステータスをアップさせる装備がなくてはダメなのかなと思ったのですが、どうすれば装備が手に入るかのヒントや指標が全くありません。ほこらで合成すればできるのかと思っていましたが、ほこらでできるのは絵札のみなのですか? 「炎の鉄下駄」などはいかにも装備できそうな名前だったりするのですが。

西氏: ほこらでは絵札のみです。Gの敵も、回復系の絵札を使うと結構勝てるようになりますけどね。相殺と回復は重要な戦略です。ただし、戦略性は駆使しないと勝てないというところまでは要求していないつもりです。この辺りに回復を持っていければ、という程度の緩い取り組みでも勝てるはずです。

澤氏: 回復は大事ですね。回復量も結構多いので、回復をうまく配置すると有利に戦えます。並べ方の戦略は重要です。

編(中): 暇設定をしている人はパーティーに誘えますが、最大何人まで誘えますか。

西氏: 2人です。パーティーが増えると敵が強くなりますが、徳をたくさんもらえます。暇設定はきちんとしておくと連れていってもらえて、徳を沢山もらうことができると思います。

倉田氏: 絵札も特徴的なものにしておくことで貢献できると思います。仲間が増えてくると、ここの敵にはこの人を連れて行こう、といった形にできると思いますね。

編(中): 私は最初からパーティーを組んで、自分は弱かったけどパーティーのおかげでガンガン勝てました。勝田は1人で試行錯誤して3時間も勝てなかったと言うところで、勝田はテーブルトークのRPGで自分たちでルールを作ってゲームを楽しんでいるようなプレーヤーなのに、自分から色々試す「プレイ力」が落ちているんじゃないかと思ったんです。ただ、勝田でもわからないとなると、若いプレーヤーはそこまでたどり着けるのか、導線はやはり必要だよなと思いましたね。

編(勝): 周りのあばら屋をいってみたんですが、暇設定をしているプレーヤーは少なかったですね。探し回って見つけたのですが、暗黒ランがあっていけませんでした。暇設定を有効に使っているユーザーは少ない印象でした。ちなみに、現在はプレーヤーは何人まで1サーバーに入るのでしょうか。

西氏: 上限はまだ明らかにしていませんが、現在の同時接続者数は3,000人以上です。重いというところを解決したいですね。

倉田氏: さっき提案してもらえたように、ホームページのコンテンツでプレイスタイルを提示して、その後システム的なフォローを考えていくというのは必要ですね。

編(中): パーティーが標準的な遊び方ならば、NPCを仲間に入れるといった要素があってもいいですよね。勝田のように周りに誘えるプレーヤーがいないという場合もあるじゃないですか。そうなると難易度ががらりと変わってきますからね。それでも、勝田と私が全然別のゲーム体験になってしまったところは、評価したいと思うのです。新しいことをしているのだなと思います。

西氏: 当然僕らも課題が沢山見えてきて、手を入れていきたいと思います。これで終わりではないので、どの優先順位をQ&Aでやっていくなど、誘導もして行かなくてはいけないですね。

倉田氏: 今後はストーリークエストも盛りこまれていくので、そこまでプレーヤーを繋げていきたいですね。




■ 今後の課題は、全てのプレーヤーが力を合わせる最後の戦い

開発スタッフの言葉の端々から、「積極的にゲームを楽しんで欲しい」、「『天外魔境』シリーズならではの、新しいブラウザゲームを作りたい」という強い想いが伝わってきた

編(勝): ではこれからの要素にフォーカスしていきたいと思います。ストーリークエストは正式サービス後に実装という形でしょうか。

澤氏: 火と根の一族の因縁というメインストーリーは、正式サービスで「根の城が出現しました」というイベントが出てきて、大きく動き出します。OBTではまず周りの冒険や、洞窟の探索、火田での育成といった冒険の基本を学んでいってもらいたいと思っています。その後、根の一族の暗躍と、火の勇者という存在がピックアップされていきます。

編(中): 本作はシーズン制になるということが明らかになっていますが、しっかりしたストーリーが展開する場合、シーズンごとにリセットされるというのは、ストーリーに矛盾が出てくるのではないでしょうか。

澤氏: 「JIPANG7」は「天外魔境II」の遙か過去のストーリーとなっています。「天外魔境II」へ繋がるのが正しい歴史なのですが、プレーヤー達の力が及ばず根の一族に負けてしまったら、ストーリーが繋がらなくなってしまいます。ですので無理矢理つじつまを合わせるというよりも、正しい歴史に繋がるように頑張ろうというのがプレーヤーの意欲となると思います。このため、「JIPANG7」の時代をシーズン制で繰り返し楽しむ、というプレイは面白い物になると思います。

倉田氏: シーズンを繰り返すことについては、ストーリーの上でも意味を持たせたいと思っています。繰り返すことでストーリーを厚くすることができるのではないかと思います。プレーヤーが設定された国によってボスも違いますし、展開が変わっていくようにしたいですね。

澤氏: MMORPGだと1度進めたストーリーは覆せない。ボスと何度も戦えても、最初のストーリーは固定です。しかし「JIPANG7」は1度目に戦った中ボスが、次のシーズンでは演出が大幅に強化されているというような、同じ展開でも、違った体験をできるようになります。

編(勝): シーズンを越えてプレーヤーデータは継続されるのでしょうか。

澤氏: 検討中ですが、されるもの、されないものが出てきます。覚えたレシピは継続されるけれど、絵札や素材は継続されない、などを考えています。シーズンを越えて持ち込める要素も多めに考え、継続プレイの楽しさも提供していきます。また、サーバーの状況で展開が変わるかもしれませんね。サーバー1は倒せたけど、2は倒されてしまった、というような。倒せた場合の特典も考えています。

編(中): 現在暗黒ランの発動は「??」という表示ですが、このカウントは何日くらいですか。

西氏: 正式サービス時にカウントが始まる予定ですが、3カ月を予定しています。これが1シーズンのスパンになります。

編(中): ちなみに正式サービスはいつからでしょうか。

澤氏: 4月12日を予定しています。そのためにも回線増強を急いでいます。課金アイテムに関しては、現在見えているものが発売される形になります。肥料や装備、道具箱等ですね。(※正式サービスは4月12日に開始されたが、課金アイテムの販売は13日11時から開始される)

編(中): 肥料はどのような効果があるのでしょうか。

澤氏: 収穫量が増えます。火田で与えることで、1個できるところが、2個になったりするのです。水やりも増えますが、肥料は確実に増えます。

編(勝): 道具箱は課金前提で容量が少なく、シビアすぎる気がします。あと、1ジパング両は何円になる予定ですか。

澤氏: 1ジパング両は12.5円です。

倉田氏: たしかに道具箱は、現在見えている部分ですら課金じゃないとオープンできないというのは厳しく感じますね、検討します。

編(中): 正式サービスにはどのような追加要素や、システム拡張が行なわれるのでしょうか。

澤氏: 公式ページで発表予定です。ストーリーや、根の城の出現といった要素ですね。サービス後のマイルストーンも提示していきます。システムに関しては先ほど話しましたが、対人戦ポイント「決闘値」で得られるレシピ、特別な根の出現といった要素ですね。後は、ユーザーインターフェイスの改善もしたいですね。

西氏: おみやげ台に物が置いているというのは、最初に見たら気がつかないかもしれないですね。

編(中): ちなみに田中先生の楽曲は何曲収録されているのでしょうか。

倉田氏: 9曲ですね、まだゲームで流れていないのもあります。曲に関しては、エンディングやボスの曲もあります。このゲームにはエンディングも用意されているんですよ。長さが短い曲が多いので、サントラまでは今は考えていませんが、聞ける場所は増やしていきたいです。

西氏: 面白かったのが、田中先生自身が、「ボスとかでものすごくいい曲を作っても、そこまで到達できない人がいる。フィールドやあばらやといったいつもプレイしているところの曲こそが重要なんだ」と言っていたところで、たしかに繰り返し聞いていても飽きない、世界観の浮かぶとてもいい曲になっているんです。

倉田氏: オリジナルイラストも「天外魔境」シリーズを手掛けた、辻野寅次郎さんに描いてもらっています。設定から起こし、それを活かしたイラストになっています。中ボス、大ボスの演出もきちんと入っていますので、期待してください。

 イラストは7人の勇者と、数体の中ボス、ボスなど多数のイラストが用意されています。中ボスは、その土地土地のボスもいます。クエストに出てくるキャラクターも30人くらい用意されていますので、楽しみにしてください。

編(勝): 今後の課題として、実現していきたいゲームシステムはありますか。

澤氏: 「最後の戦い」がユーザーさん達にきちんとはまってくれれば、というのが最大の課題です。総力戦という形にはなりますが、全員が戦うのではなく、素材だけを育てている人も戦いに貢献できる要素を考えています。また、決戦直前にゲームを始めた人に対しては、どんなことができるかなど、色々な視点で考えています。

 時事ネタではあると思うのですが、僕たちは離れていても、地震の被災者の方に何か貢献したいと思っているし、できることがあります。今回の地震で痛感したところでもあるのです。ゲームでもそのように、みんなが戦いに貢献できる方法があるのではないでしょうか。「世界の命運を握る最後の戦いだ、野良仕事しか能のない俺っちでも何かできるんじゃないか」というような要素は入れたいです。

西氏: もちろん、バトルが大好きな人はぜひ自慢のデッキをぶつけて欲しいのですが、「JIPANG7」は生産に夢中になるプレーヤーもいるので、サポートに回る楽しさも考えています。また、初心者も戦いに参加できるような要素は実現させたいです。強いだけが勝ちではなく、一致団結をさせたいというのが理想です。

編(勝): ブラウザゲームは基本的に非同期ですが、最後の戦いだけは同期させようといった要素は考えていますか。また、全体チャットは考えているでしょうか。

澤氏: “一部同期”という感じで実現したいです。1日や、何日か、長いスパンで状況が変わっていくようなシステムを予定しています。全体チャットは、「JIPANG7」は今後、mixiや、Facebookといった展開も考えているので、そうなるとSNSと連動する方向も視野に入れなくてはならないので、次の展開とのセットの案件です。

編(中): では最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。

澤氏: 「天外魔境」は僕が中学時代からずっとファンのシリーズです。その僕がこのタイトルに関わることができるようになりました。西さんや倉田さんなど、これだけのスタッフに恵まれ、「天外魔境」シリーズのよさを活かすことができると思います。

 そして、「天外魔境」シリーズは、は常にエポックメイキングな作品でした。「JIPANG7」も既存のブラウザゲームを越えた作品になっています。「天外魔境」シリーズであるという点は押さえつつ、シリーズの名に恥じないタイトルにしていこうと思っています。

西氏: 既存のブラウザゲームからは外れ気味の作品です。荒削りではまり切れていないところもありますが、これからドンドン磨き込んでいきます。この、より高い完成度を目指すというところを一緒に楽しんでください、というのも失礼な話かもしれませんが、僕らはさらにさらに磨いていく覚悟でいます。今後も楽しみにしてください。

倉田氏: これまで、様々な時代で、様々なクリエーターの方々が「天外魔境」シリーズを作り上げてきました。今回も西さん、澤さんという時代を代表するクリエイターの方と、田中先生、辻野先生、広井王子と、これまでのシリーズのクリエーターが一緒になることで、今の時代に合った「天外魔境」となったのではないかと思っています。シリーズファンに注目してもらえる、キャラクター、ストーリーを盛りこんでいきますので、ぜひ楽しんでください。


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(2011年 4月 13日)

[Reported by 勝田哲也]