インタビュー
1990年代後半の日本アニメをリスペクト! 「ソウルワーカー」登場
ひとつの作品としての確立を目指す。タイトルの狙いをNHN PlayArtに聞く
(2015/7/10 15:00)
NHN PlayArtは、Windows用MOアクションRPG「ソウルワーカー」のワールドプレミアテストの受付を7月10日より開始した。期間は7月15日まで。ワールドプレミアテストは、999名限定で実施されるテスト。クローズドベータテスト、オープンベータテストの実施前に、世界で初めて本作に触れられる機会となる。実施予定は7月23日26日の各日20時から23時まで。
「ソウルワーカー」は、近未来の荒廃した世界を舞台に、「異能力」という特異な力に目覚めた少年、少女たちが人類の存亡をかけた戦いに身を投じていくMOアクションRPG。開発は韓国LION GAMESが担当しているが、日本のアニメ、ゲームへのリスペクトが感じられるビジュアルとデザインが特徴となっている。
今回本作プロデューサーを務める石民帝氏とカルチャライズを主に担当しているクリエイティブディレクターの小森秀平氏に話を伺い、本作についての詳細を聞くことができた。本作制作の経緯や狙いなどについて聞いているので、ワールドプレミアテスト参加の参考にしていただければ幸いだ。
1990年代後半アニメの影響が色濃いMOアクションRPG
「ソウルワーカー」の最大の特徴となっているのは、そのビジュアルである。見た目は、アニメーション作家の新海誠氏が描くような美しい背景イメージがステージ化されており、その中でトゥーンレンダリングによるアニメ絵の3Dキャラクターが動いているといった感じ。
ストーリーは、プレーヤーの分身となるキャラクターが空の裂け目から落ちてきたところから始まる。世界は謎の怪物が人間を襲う世界となっており、主人公はその対抗組織「スタリーフォレスト」に保護されることとなる。任務を遂行するうちに主人公は怪物を倒す力を持つ「ソウルワーカー」として目覚め、世界を救うために戦っていく……というもの。ゲームは三人称視点で進められ、ミステリー調の雰囲気は「ペルソナ」シリーズ、巨大な敵との戦いは「ゴッドイーター」シリーズに通ずるものがある。
日本のアニメコンテンツに影響を受けているのは明らかなのだが、本作は中でも1990年代後半に登場した作品に強く影響されているという。具体的には「新世紀エヴァンゲリオン」、「最終兵器彼女」といったいわゆる“セカイ系”で、「比較的暗い世界の中で、少年少女が戦っていく」部分が特に共通する点とした。
そこに「鋼の錬金術師」、「機動戦士Zガンダム」、「科学忍者隊ガッチャマン」といった各スタッフの好きなアニメの要素もごった煮のように入れこんであるそうで、とにかく本作を通して日本アニメに対するオマージュやリスペクトを捧げているのだという。「どこかで見たようなもの」が幾重にも折り重なることで、「ソウルワーカー」独自の雰囲気が作り上げられている。
絵コンテから起こした戦闘アクションにもこだわり!
今回のテストで登場するプレイアブルキャラクターは3名。大剣の斬撃で攻撃するソウラムソード、大鎌を振るうミストサイス、ハンドガンでトリッキーに戦うガンジャズで、ソウラムソードとミストサイスは女性、ガンジャズは男性キャラクターだ。
彼ら全員は「ソウルワーカー」として戦闘することとなるが、それぞれの過去にはトラウマに近い秘密が隠されており、ストーリーを進めるうちに彼らの過去も明らかになっていく。こうした内面へのアプローチにも、日本アニメの影響が見受けられる。
また本作ではステージを進めていくと、プレイの進行にあわせて随時会話がフルボイスで展開する(シネマトークシステム)。ここではリアルタイム性にこだわった演出が見られ、セリフはキャラクターによって微妙に異なる。ストーリーテリングへのこだわりが感じられる要素だと言えるだろう。
本作はLION GAMESが開発を担当しているものの、日本へのカルチャライズ面ではNHN PlayArtの意見が多く採用されている。石氏は韓国出身だが、NHNで長く韓国産タイトルの日本向けパブリッシングを担当しており、日本のアニメ・ゲーム文化に対する造詣は深い。石氏は日本向けに適したゲームに仕上げるため、例えば戦闘アクションは絵コンテを作成して提案していったという。
戦闘バランスを保ちつつアクションの爽快感を出すには苦労したそうで、特に難しかったのはガンジャズ。ガンジャズは銃を持ちながら近距離で戦うタイプで、地雷を設置するなど機械兵器を駆使していく。銃を乱射して簡単にコンボを稼ぐようなアクションではなく、ヒット・アンド・アウェイで戦うメリハリのある立ち回りが重視されたキャラクターだ。
またソウラムソードは敵を空中に浮かせる異能力を持っていて、そこから空中コンボに繋げることができる。ミストサイスは回転斬りによる周囲を巻き込むような攻撃が得意で、特に初心者は使いやすい作りとなっている。
なおスキル攻撃も簡単で、MMORPGに見られがちなボタンをずらっと配置させるタイプではなく、同じボタンを連続で押すことでスキル攻撃が繋がる「縦型スキルスロット」が採用されている。ゲームパッドによる操作も意識しており、Xbox 360コントローラーをはじめとしたゲームパッドへの対応も想定しているそうだ。
システム周りも「日本向け」を意識。今後は「色々な可能性」も
そのほかにも、日本向けを意識したゲームシステムが本作では数多く採用されている。本作はMOのアクションRPGだが、例えばミッションに向かう際はパーティ作成に自動マッチングを採用しているほか、ソロプレイも可能なようにAIキャラクターの召喚もできる。このあたりは開発元ではなく、NHNが主導して提案していったシステムだそうだ。
また見た目を変化させる衣装システム、自分独自の部屋を作れる「マイルーム」システムといった要素もある。ちなみに「マイルーム」では家具や装飾品を設置して友人を招くことができるが、さらに「お風呂」も作れ、中に入るといった要素も予定しているという。
ちなみに石氏は本作になみなみならぬ情熱を注いでいるようで、開発会社と一緒に新規タイトルを作り上げていく作業が非常に楽しいという。それは「親バカになりすぎている」ほどだそうだが、まずは本作の「ビジュアルを見てほしい」とした。それで気に入ってくれたら、深いストーリーや雰囲気を知ってもらうためにも1度触ってほしいそうだ。
小森氏によれば、本作のそもそものコンセプトとして「オンラインゲームの枠に留まらず、ひとつの作品として確立させること」が発端となっているそうだ。石氏は、「みなさんに愛されるゲームになったら、色々な可能性も考えている」ことも明かしてくれた。色々な想像が膨らむが、それだけの自信作であることが話から伺える。ゲームとしてだけでなく、ビジュアルやストーリーを含めて注目のタイトルだ。