インタビュー
「Unreal Engine 4」は無料化を経てどこへ向かうのか?
Epic Games今井氏×「Unreal Engine 4の歩き方」著者・出村氏対談インタビュー
(2015/4/17 12:00)
「GDC 2015」で事実上のライセンス無料化が宣言されたゲームエンジン「Unreal Engine 4」。その特長などについて、「Unreal Engine 4」を解説した「Unreal Engine 4の歩き方」の著者である出村成和氏とエピック・ゲームズ・ジャパンのコミュニティ・マネージャー今井翔太氏に語り合ってもらった。(インタビュー:Think IT編集部、文:柏木惠子)
無料化によってゲーム業界以外にも広がり始めた
――先日の無料化の反響がとても大きいと伺いました。他のゲームエンジンとの違いや新しく「Unreal Engine 4」を扱う時のポイントはどういったところでしょうか?
今井氏:「Unreal Engine」って実は20年以上プロのゲームの現場で使われているゲームエンジンなので、一般公開しているゲームエンジンの中ではわりと完成度の高いものだと思います。今回「Unreal Engine」の使用を無料化したことで開発がいい方向に加速しています。どういうことかというと、ソフトウェアってユーザーの声(バグリポートや機能リクエストなど)でどんどんよくなっていくのですが、ゲーム系じゃない他業種の人や、たくさんのインディの人に使ってもらってフィードバックが得られるということです。そういった、今までうちのエンジニアが想定していなかったユーザーからのフィードバックが入ることでさらに「Unreal Engine」は面白い方向に進化するわけです。
他のエンジンは、すみません。正直、あんまり使ったことがないので違いはわかりませんが、「Unreal Engine」には独特な用語があるので導入時にその辺りを先に知っておくと習得は早くなるかと思います。その際に出村さんの本はとてもいい助けになると思います。
出村氏:確かに、用語は独特ですね。「マチネ(*1)」とか「ブループリント」とか、知らないと別の意味を思い浮かべます。
(*1)「マチネ(Matinee)」は、3Dモデルを使った映画のような演出など時間軸によるアクターのプロパティ(位置など)のキーフレームを作成するためのツール
――ブループリントについて、少し詳しく教えてください。
出村氏:本の中では、ビジュアルスクリプティング環境と表現しました。機能が箱になっていて、その箱を線で結んでいくことでプログラミングします。2つの数字を足すとか、3次元の計算をするとかを線で結んで指示する。その結果を別の変数に入れるには、また線で結んで指示するという。
今井氏:そうですね。一文字も書かずにプログラムを組むことができます。どこを書き間違えたかわからず実行できなくてイライラすることも、“黒い画面恐怖症”になることもありません。慣れると、ゲーム制作をすごくスピードアップできます。コードが書きたい人はちゃんと「C++」でも開発できますので。
――非エンジニアでもできる仕組みがあるとはいえ、「Unreal Engine」はプロ向けのゲームエンジンですよね。どうしてこのような仕組みが入っているのですか。
今井氏:ゲーム作りはプログラマーだけでするものではありません。企画の人やアーティストなど、チームで作業します。でも今までは、ちょっとしたことの調整もプログラマーがいないとできずに無駄が多かったようです。「ブループリント」を使えばだれでもある程度のことはできてしまいますので、プログラマーの手を煩わせることがありません。効率的ですよね。「ブループリント」を使えば協業しやすいですし、小規模開発ならプログラマーの手を借りずに「ブループリント」だけでゲームができてしまったりします。でもやっぱり、すごく凝ったことをするにはやはりプログラマーが必要ですけどね。
出村氏:プログラマーの立場から言わせてもらうと、作業を分担しやすい。「ベースを作っておくから、当たり判定の調整はそちらでやっておいて」とか、「アニメーションの効果音の割り付けはアーティストの方でお願いします」といったことができます。さまざまな業種の人が同一の環境でできるというのが強みです。
――ゲームの流れやビジュアル・音響の効果を考える人が、そこは自分で作れる。そうでないと、小さな追加や変更も全部プログラマーに頼まなければならなくて、プログラマーがボトルネックになり、時間もかかるし疲弊するということですね。
出村氏:実際にそうできるかどうかは、その現場のスタッフや体制次第ですが、できる環境がある。あとは、取り入れるかどうかですね。
ソースコード公開、何かあってもプログラマーが対処可能
出村氏:ソースコードが公開されているのもプロ向けだなと思います。仕事でゲーム開発をしていると、何かしらのバグに出くわすものです。ゲーム開発向けライブラリの、ある関数を呼び出すと何故かバグる。マニュアルに書いてある通りにソースコードを書いているのに、バグる。そして後になって、「バグでした、ごめんなさい」というバージョンアップが来たりします。
普通は、ソースコードが公開されていないので、自分のコードが悪いのか、ライブラリが悪いのか、原因を探るのも時間がかかるんですよね。しかし、「Unreal Engine」はソースコードが公開されているので、もしバグがあっても……もちろん無いにこしたことはないですが……あったとしても自分でバグの原因を効率よく探せます。原因がわかれば回避方法がわかり、対処できます。
今井氏:ソースコード公開は、社長のティム(*2)の意向です。彼はバリバリのプログラマーで、初期の「Unreal Engine 1」を1人で書いた人ですが、若い時に雑誌に載っていたコードを書き写して勉強したそうです。それで今の若い人にも、プロのソースコードとはこういうものだというのを見せたいという願いがあって、ソースコードを公開しています。本当に今のゲーム業界の事情を憂いてる1人だと思います。
(*2)Epic Gamesの創業者兼CEOであるTim Sweeney氏
出村氏:読みやすいコードですよ。「C++」というのは、黒魔術(高度な計算)が多くなりがちな言語ですが、そういうこともなく、すっきりしていて目的の機能も探しやすい。解読しやすいコードなので、確かにお手本になると思います。
僕は初代のゲームボーイからプレイステーション 2の頃くらいまでゲームプログラマーだったのですが、ゲームプログラミングでは必ず数学が出てきます。行列とか三角関数とか。もちろん今でもまったく不要になったわけではありませんが、そういう知識の重要性は薄れてきていると思います。「Unreal Engine」では特にそうです。数学知識をあまり知らなくても思った通りにキャラクターを動かせるということは、ゲームの面白さの追求にもっと時間を割けるということです。このキャラクターがうまく動かないというレベルではなくて、このキャラクターを使ってもっと面白いことができないかという、昔でいうと贅沢な悩みが、今はできます。
――そうなると、若い人の参入障壁も下がりますね。
今井氏:学習の早い段階でゲームを作る楽しさがわかるというのは業界全体にプラスだと思うんですよ。やっぱり楽しくないとですよね。ゲームですし。まずは作る側が楽しんでないと。
出村氏:もうひとつは、ゲーム以外に使えるのが強いですよね。
今井氏:そうですね。最近そういうアイデアは立場上よく耳にします。不動産で使いたい、映像で使いたい、クルマで使いたい、おもしろいのは博物館で使いたいという話もありましたね。業界の垣根を超えてコラボレーションが始まっているのが個人的に面白いです。
例えば建築業界では、パースというスティルのレンダリングしかしてきませんでした。インタラクティブにカメラでCGの中に入って部屋がどういう感じに完成するかをお客さんに見せられるようにしたいといった時に、ゲーム業界の人を呼んできてインタラクションの部分を一緒に作るしかないんですよ。映像業界では最近VR案件なんかもあるようですが、インタラクションの部分がどういう仕組みなのかわからない。そこでゲームエンジンのノウハウを知っている人に実装してもらうとか、いろいろなところでコラボレーションが始まっているように見えます。
プログラマーさんにとっては、新しいビジネスチャンスが広がるのでいいですよね。ゲーム作りだけでなく、建築や映像でも仕事がある。もしかしたらそっちのお小遣いの方が給料よりよくなるなんて事もあるかもしれませんね。
僕は映像系出身なのでどうしても映像での利用に目がいってしまうのですが、「Unreal Engine」を映像用のレンダラーとしてつかうのは結構面白いと思うんです。プリレンダは普通に1フレームのレンダリングに何時間もかけたりしますが、1フレームなんてリアルタイム系では1/60秒とかですからね。さすがに同じクオリティが出てるなんて言いませんが、わりとこのくらいのクオリティでOKという案件は多いと思うんですよ。
「Unreal Engine」は結構綺麗ですし。そうすると何がいいかって、チェックバックのしやすさですよね。例えば、コマーシャルなどはクライアントありきですから、作った映像を見せて「ちょっとここの木を変えようか?」とか「カメラをもっとこっち側からパンさせて」と言われたら、普通レンダリングし直しです。その時に1フレームに何時間もかけてると時間的にもお金的にも大変ですが、「Unreal Engine」ならすぐにその場で変更して見せるなんてことができちゃったりします。
出村氏:今までCG映画を作るには、ものすごいデータセンターでレンダリングしまくっていましたが、それがいらなくなりますね。
コミュニティドリブン、作ったゲームがブレークするまでは無料
――ソースはどこまで公開されているのですか。
今井氏:完全にオープンです。そのソースコードを使って、エンジン自体をビルドできますよ。ソースコードはGitHubを使ってアクセスできます。「Unreal Engine」はコミュニティドリブンを大事にしているので、ユーザーも開発に参加することが可能です。採用されたらエンジン自体の機能になることもあります。「Unreal Engine」のクレジットを見ると日本人の名前もあったりしますよ。
出村氏:ソースコードが公開されることでいい方向に相乗効果を生んだ例に、Gitのプラグインがあります。あれはすごく使いやすい。僕はAndroidのコミュニティにもいるので、ソースコードが公開されていると安心します。「Unreal Engine」はかなり自由に改造できて、それでロイヤリティ5%というのは安いと思いますよ。開発効率が上がって人件費を抑えられますからね。でも、開発効率が上がったらその分、クオリティアップに時間をかけるのでしょうけど。
今井氏:ロイヤリティに関してはよく質問をもらいますね。3月の「GDC 2015」でフリー+5%ロイヤリティ版を発表しましたが、どんな場合でも5%がかかるわけではないんです。3カ月で、そのプロダクトからの粗収入が3,000ドルにならない場合はいただきませんし、アーケードとか映像・VR・ビジュアライズなどからもいただいていません。基本はゲームソフト・ゲームアプリで発売されるものが対象です。あと、これとは別にライセンシーという契約形態もあります。こちらは有償になりますが、弊社の技術サポートがつきます。金額はプロジェクト規模によって相談といった感じです。5%という決まりもないです。こちらは僕が担当ではないので詳しくは弊社までメールくださいといった感じです。
――売上げについては自己申告ですか。
今井氏:そうですね。基本的にはそうです。「Unreal Engine」を使ったゲームを出すときには製品登録をしていただいています。ロイヤリティ申告も各自で出していただくものです。3カ月で3,000ドルに満たないものからはロイヤリティをいただきませんので、ほとんどの人は引っかからないと思います。ゲーム以外の、建築や映像、教育などに使用する場合も、ロイヤリティはないので基本0円だとおもっていただければ。
出村氏:太っ腹!
成功者から若者へ恩送り、大好きな物は自由にさせる
今井氏:無料化とかびっくりですよね。僕もびっくりしました。最終的にはトップのティムの「狙い」ではなく「願い」で決まったみたいです。GDCで発表したデモムービーの中で「IF YOU LOVE SOMETHING, SET IT FREE」というメッセージが出てくるのですが、直訳すると「本当に好きなら自由にさせろ」という意味ですね。なんか、親が自分の子に使うようなフレーズですよね。
英語の“Free”には、「自由」と「無料」の2つの意味があるので、ダジャレみたいなところもあるんだと思うんですが。ティム自身、「『Unreal Engine』は本当に素晴らしいものだと思うから、だからこそ、幅広い層に使って欲しい。プロから学生まで、ゲームだけでなく映像でもVRでも、みんなに使って欲しい、試して欲しい」という思いが込められています。そうすることがエンジンにとって1番いい。ということみたいです。親の心境かもしれないですね。
出村氏:0円は、学生さんには刺さると思いますね。勉強会でも、「19ドルが負担だ」という学生さんの話は聞いていました。やはりゲーム開発に興味があるのは10代、20代の若い人がメインですから。
今井氏:クレジットカードが必要でしたからね。海外は問題ないのですが、日本だと難しいですよね。
無料化の話が出たのでちょっと「デブグランツ」を紹介させてください。いま弊社で「デブグランツ」というものをやっています。何かというと、開発者支援基金みたいなものです。総額で5 millionドル(約6億円)ほど用意しまして、「Unreal Engine」を使って面白いことをやっている人に応援金を出しますという企画です。無償化にあきたらず、お金を配っています。1プロジェクト当たり5千~5万ドルの範囲という限定はあるのですが、既に6~7名を発表しています。締め切り期限とかは特になく、5 millionドルがなくなるまで続けます。
言語は何語でもかまいませんし、ゲームに限らず教育のマテリアルでも映像でも、「Unreal Engine」を使っていれば何でもかまいません。本社の人間が面白いと認めたものに対してお金が出ます。「資金を提供するのでゲームを作ってください」というのではなく、面白いものを作っている人がお金に困らないよう援助しますというものなので、そのお金は何に使ってもかまいません。これもティムの親心ですね。
――かなり大盤振る舞いですが、ビジネスが成功しているということですね。オープンソースのビジネスモデルは難しいと言われますが。
今井氏:弊社のメインビジネスは、ゲーム自体の開発もありますが、日本支社に限定するとゲームエンジンのサポート提供です。日本でいうと、スクウェア・エニックスの「キングダムハーツ」シリーズやカプコンの「ストリートファイター」シリーズなど、けっこう大型タイトルが採用してくださっています。そういう開発会社にエンジンを提供して、いっしょにサポートを提供することで利益を得ています。なので、あの、ご心配なく。フリー版でも多少のマネタイズはしたいところなので5%のロイヤリティを設定していますが、それも成功したところからのみいただくという、紳士な感じでやっています。
もう1つ、マーケットというのを運営しています。「Unreal Engine」ですぐに使えるアセットを売買できる、いわゆるオンラインストアです。ちなみに、「Unreal Engine」が無料化された時に、既に19ドルを支払い済みだった人に、30ドルずつマーケットで使えるクレジットを配ったので、今はみなさん懐が温かい感じです。今、ちょっととがったアセットをマーケットに出すと、買ってもらえるかもしれませんよ。
――まだ日本向けのアセットはありませんね。
今井氏:そうなんですよ。ないですね。ゾンビのグラフィックスばかりです。日本的なキャラクターはぜったい売れると思うんですけどね。
出村氏:韓国は「Unrealツインズ」が出ますが、あれの日本版ということですね。要は、ユニティちゃん対抗ですが、日本のものはないですね。それは「デブグランツ」の対象になりますか?
今井氏:もちろん、面白いものであれば候補になりますよ。
出村氏:それなら、知り合いの3Dモデラーさんをたきつけよう(笑)。
今後の方向性、モバイル強化と教育
出村氏:あとは、今後どのような対応をしていくのかですね。「4.8」、「4.9」は、どういう方向にいくのでしょう?
今井氏:「GDC 2015」のセッションで発表していますが、今後はモバイルにも力を入れていきますよ。
出村氏:DLC(ダウンロードコンテンツ)の機能がベータ版として入って、でもやっぱりモバイルはまだ辛いんですよね。
今井氏:モバイルに関しては、需要があるというのは本社でも理解していて、いまそちらの方向でも開発が進んでおります。
――モバイルというとスマートフォンですね。
今井氏:はい。去年2Dのスプライトゲームが作れる「ペーパー2D」という機能を追加しました、今でも軽い2Dゲームは作れますが、やはりユーザーの印象として「Unreal Engine」はデスクトップ用で重たいというイメージが強いですよね。
出村氏:ひとつ要望としてあるのは、広告を入れるなどのマネタイズがやりにくいんです。
今井氏:広告は、「ブループリント」でも入れられると思いますが、iOS標準じゃないものも物足りないということですよね。
出村氏:そこをAndroidも含めて何か欲しい。1番いいのは、広告会社からプラグインを出してもらえたらベストです。そうでなかったとしても、簡単に入れられるようにできればいいですね。日本の市場は特異性があるので、そういうものがあると、日本の開発者にとってはありがたいです。「Unreal Engine 4」はスマホのスペックを要求されますが、今後新しいチップが出てプレイステーション 3やプレイステーション 4並みの表示能力があるスマホが出てくるのも、1~2年以内の話でしょうから、個人的には心配していませんが。
今井氏:「Unreal Engine」は常にハイエンドを追うという姿勢があるので、それをキープしつつ、モバイル対応もしていきます。各デバイスの性能を最大限に引き出すということですね。
出村氏:あとは若い方への教育ですね。特にゲーム開発の専門学校とか。
今井氏:教育関係は僕が担当なのですが。今は僕が各地の学校に伺って、無償で「Unreal Engine」のセミナーや、先生向けのミーティング・サポートを行なっています。全国どこへでもとんでいくつもりです。「Unreal Engine」好きの先生が増えてくれるとうれしいですね。
――日本のコミュニティは今どういう状況ですか。
今井氏:去年あたりから「勉強会」を開いてくださる方が増えていて、東京・大阪では月に1回くらいは何かしらの集まりがあるような感じになってきました。そういう会をTwitter上とかでみつけると、けっこうユーザー数が増えたなと思いますね。
最近は、コミュニティの中から実際にゲームを作ってみましたとか、建築ビジュアライゼーションを作ってみましたという人が出てきたので、本当にいい傾向だなと思っています。これはオフィシャルのものですが4月18日には大阪で、「アンリアルフェス」という大型の勉強会もやります。300人で会場を設定しましたが、それを上回る申し込みをいただきました。
バージョンアップに追従しする電子書籍?!
――最後に今回の対談のきっかけにもなった、出村さんの著書「Unreal Engine 4の歩き方」についてお伺いしたいと思います。この本の企画はどういうところから始まったのでしょうか。
出村氏:ある勉強会のためのプロモコード(プロモーション用の無料ライセンス)を下さいとお願いしたのが、今井さんと知り合ったきっかけです。その後、「Unreal Engine」版アドベントカレンダー(12月に毎日ひとつずつ記事を上げていく、インターネット上の企画)に「コミケで『Unreal Engine 4』の本を頒布します」と書いたのを今井さんが見て、「協力しましょう」と本の冊数分のプロモコードをいただきました。
今井氏:2014年の冬コミですから、その当時はサブスクリプション料が19ドルしていました。
出村氏:というわけで、コミケで「Unreal Engine」の本を頒布したのですが、1時間で無くなってしまいました。無くなった後も次々と欲しいという方がブースにみえて、こんなことならもっとたくさん作ればよかったなと。プロモコードをいただいたので、今井さんにもお礼に1冊差し上げました。
今井氏:Twitterでも評判がよかったですよね。僕も1冊コピーを送っていただいたので通勤電車の中で読ませていただきました。僕自身「Unreal Engine」を勉強中なのですが、初心者の入門本にすごくいいなと思いました。それで、これは「薄い本(コミケで販売される個人出版物・同人誌の俗称)」じゃもったいない。もう少し分厚くして、学生に配れたらなと思いました。
――今回は電子書籍で出版されます。
出村氏:紙の本の電子化ではなく、最初から電子書籍でというのは珍しいと思います。というのも、「Unreal Engine」はバージョンアップのペースがものすごく速いので、印刷物だと追いつかない。1カ月に1回くらい、0.1刻みのバージョンアップがありますから。
今井氏:そうなんです。うちのエンジンは開発速度がけっこう速いんです。それは、本を書く人やプラグインを作る人にはわりと困ったことのようです。一方で強みでもあって、「Unreal Engine」を使っているプログラマーがユーザーの意見を取り入れて、急速に発展しているということなんですけどね。
でも、まったく触ったことがないソフトの本を買う時って、バージョンが違うとためらいますよね。僕が中学の時「Photoshop」の本を買うときそうだったように思います。古いほうが内容がよかったとしても、自分の持っているバージョンの本を買ったほうが安心しますよね。
出村氏:ですよね。でも今回は、電子書籍なので、執筆が終わってから出版までの期間を短縮できますし、現状で最新の「4.7」で書いていますが、インプレスのサイトから購入していただければ「4.8」と「4.9」について対応したものを無償で提供しますのでご期待ください。
――本日はありがとうございました。
「『Unreal Engine 4の歩き方』発売記念イベント in 神保町」を開催
発売を記念し、著者による解説イベント「『Unreal Engine 4の歩き方』発売記念イベント in 神保町」が4月25日に開催される。
イベントでは同書「Unreal Engine 4の歩き方」の解説、読み方、「Unreal Engine 4」でのソフト開発の話を中心に、著者の出村氏とエピック・ゲームズ・ジャパンのスタッフとの対談が予定されている。参加費は無料。
【Unreal Engine 4の歩き方】
価格:1,500円(税別)
著者:出村成和 著
品種名:電子書籍(EPUB&PDF、販売ストアによって異なる)
発売日:4月17日から順次発売
ページ数:126ページ(PDF換算)
ISBN:978-4-8443-3810-9