インタビュー

【特別企画】MSI本社で、またもや未発表ゲーミングノートを発見!

クールでスタイリッシュなデザインが生み出される「デザインセンター」に潜入

1月27日取材



会場:MSI本社

 ゲーミングノートPCの分野で、確固たるブランドを築き上げた台湾MSI。最新最強を基本コンセプトとするテクノロジー特化型の「GT」シリーズと、洗練されたアルミニウムボディに最新機能を詰め込んだ薄型軽量の「GS」シリーズは日本でもファンが多く、特に移動先でもゲームがしたいコアゲーマーやゲームクリエイターに人気が高い。

 今年も、Taipei Game Showで渡台するのに合わせ、台北市から新店溪(しんてんけい)を挟んで南側にあるMSI本社を訪れた。今回も、MSIがこれから販売していく最新ゲーミングノートと、MSIの洗練されたデザインを生み出している「デザインセンター」をメディアとして初めて視察することができたので、ご紹介したい。

【取材したモデル一覧とラッキー】
左から順に「GE72」、「GE62」、「GS30」、「GT80」、そして世界に2体しかないという等身大マスコットキャラクターの「ラッキー」

【PCゲーミングを取り巻く環境】
PCゲーマー人口は今後も増え続け、地球の人口の10%にも達すると予測
PCゲーマーを引きつけているのはe-Sports。賞金総額が10億円を超えるタイトルも生まれている

新たなハイエンドモデル「GT80」は、耐久性と冷却性に優れた10年戦えるゲーミングノート

「ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル 2014 東京」の参考出展されたときの「GT80 TITAN SLI」
今回説明を担当してくれたノートブック部門のプロダクトマーケティングマネージャーのGeorge Kao氏

 まず最初に紹介されたのは、2014年12月に開催された「ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル 2014 東京」において、MSIが参考出展していた「GT80 TITAN SLI」だ。

 「GT80 TITAN SLI」は、現行の「GT72」シリーズに変わる新たなハイエンドモデルとなるが、これがスペックアップしただけのハイエンドPCではない。まず、キーボードにCherry MX茶軸キースイッチ採用のSteelSeriesキーボードを丸ごとビルトインしている。27mmのメカニカルキーは、ノートPCで採用されているメンブレンキーと比較して耐久力が50倍高く、当たり前の話だがデスクトップ同等の深いストロークの打鍵感を実現している。その代わり価格も10倍だ。

 CPUは第4世代Coreプロセッサーを採用予定で、GPUはノート向けとしては現行最強となるGeForce GTX 980M SLI。モニターはたっぷり18.4インチで、フルHD(1,920×1,080ドット)止まりなのが玉に瑕だが、60FPSオーバーで遊びたいPCゲーマーには必要十分のスペックと言える。

【SteelSeriesのメカニカルキーボードをビルトイン】
「GT80」にはSteelSeriesのメカニカルキーボードを丸ごと搭載している

「GT80」全景。手元のパームレストは、フルサイズキーボードを打ちやすくするためのパームレスト。購入者に全員付けるという
左は現行ハイエンドの「GT72 Dominator」。両者を比較するとそのデカさがよくわかる

 この「GT80」、ファンフェスで触れていたため、ある程度理解していたつもりだったが、MSI本社で担当者に説明を聞いて、さらに新たな魅力に気づかされた。盲点だったのは、18.4インチクラスの超大型ノートPCにおいて、デスクトップキーボードを搭載することは、実は賢い選択であることだ。

 理由は2つある。1つは薄さへの貢献だ。「そんなバカな、デスクトップキーボードでしょ?」と思うかもしれないが本当だ。デスクトップキーボードを搭載することで、マザーボードを初めとした各種PCパーツを奥側に固める必要があり、その際のブレイクスルーが薄さに繋がってくる。実際、MSIでは「GT80」はその薄さもアピールポイントのひとつで、従来のメンブレンタイプの18.4インチノートより、28%薄く、22%軽いとしている。

 そしてもう1つは、排熱性能の高さだ。これもまた「そんなバカな、だって980M SLIでしょ?」と思うかもしれないが本当だ。GeForce GTX 980M 2基を効率よく収納し、効率よく冷却するために、独自開発のヒートパイプを搭載し、排気口は後部左右の3カ所に用意することで、高い冷却性能を実現している。

 また、デスクトップキーボードを搭載したことは思わぬ副作用をもたらしている。それはキーボード直下に熱源がないためまったく熱が篭もらないということだ。通常のゲーミングノートは、メンブレンゲーミングキーボードの直下に、CPUやGPU、HDD、ヒートパイプなどが張り巡らされ、その結果、キーボードに熱が篭もる。これが通常の排熱処理で人肌ほど(36度前後)、排熱処理が不十分なものだと40度近くまで上がり、キーボードにもそれに近い熱が篭もり、汗ばみの原因にもなる。

 「GT80」の場合、キーボードの下には、ノートPCの底部があるだけなので熱が篭もりようがない。MSIが発表した温度は、なんと22.8度。常に快適にゲームができるというのは大きなメリットのひとつと言える。

 ちなみに自社開発ヒートパイプは、9本ものパイプが張り巡らされ、1つのCPUと2つのGPUを冷却する。左右後部から排熱し、熱を可能な限り内部に貯めない設計になっている。GSシリーズにも採用されているMSIのヒートパイプは、他社でも真似されており、最近も新型ゲーミングノートを空けて見ると同じデザインのヒートパイプが採用されていたということもあったようだ。

【排熱設計による快適な使い心地】

 ほかにも、MSIゲーミングノートオーナーならご存じのように、キーボードマクロやイルミネーションをカスタマイズできる「SteelSeries Engine 3」、TPOに応じてCPUの使用率のみならず、ファンの回転スピードまでコントロールできる「SHIFT」機能、オンラインプレイで低レイテンシを実現する「Killer DoubleShot Pro」、ハイクオリティなサウンドを提供するDynaudio、動画配信ソリューション「Xplit Gamecaster 2」などなど、MSIゲーミングノートの定番機能はもれなく搭載している。

 気になるのは発売時期と価格だが、発売時期は日本で3月下旬頃発売予定で、価格はCore i7 4720HQ、GeForce GTX 980M SLI、16GBメモリといったハイエンド構成で46万円前後を予定。ノートPCとしてはかなり高いので、GeForce GTX 980M 1枚構成や、GPUのグレードを下げる形で、もっと安いモデルも用意することを検討中だという。

【MSIお馴染みの機能はすべて搭載】
MSI純正のゲーミングツール「Dragon Gaming Center」
シーンに応じてCPUの使用率やファン駆動を変える「SHIFT」
パケットロスの少ないオンライン対戦を可能とする「Killer DoubleShot」
サウンドツール「Dynaudio」
4K、60Hz、4画面でのゲームプレイをサポート
動画配信ツール「Xplit Gamecaster 2」も新機能を備えて搭載

【GT80 TITAN SLIスペック】

(中村聖司)