(2014/11/7 11:00)
10月9日、NVIDIAからGeForce GTX 900Mシリーズが発表され、ゲーミングノートPCの果たす役割が変わりつつある。PCゲーマーのサブ機としての扱いから、一躍メインプラットフォームへ。今回紹介する、MSIのゲーミングノート「GS70 2QE Stealth Pro」は、そんな時代の流れをよく象徴した製品だ。
10月11日より各店舗での販売が始まっている本製品は、日本向けに「GS70 2QE-081JP」(実勢価格20万円前後)と「GS70 2QE-079JP」(実勢価格22万5,000円前後)の2モデルが用意されている。
「GS70 2QE-081JP」は基本モデルでメインメモリは8GB、メインストレージは128GBのSSDだ。上位モデルとなる「GS70 2QE-079JP」はメインメモリ16GB、メインストレージに128GB SSD 2台によるRAID0ディスクアレイを実装している。他の仕様は同等。本稿では後者の「GS70 2QE-079JP」をベースに製品レビューをお届けしていこう。
厚さ21.8mm、スリム&ハイエンドな基本スペック
まず本製品の特徴は、ゲーミングノートとしては非常に薄型であるということだ。厚みはわずか21.8mm。「Razer Blade」のように“薄さ命”の製品に比べれば少々厚いが、従来のハイエンドゲーミングノートと比べればそっくりモニター部分を取り払ったくらいの薄さである。
重量は約2.7kgとそれなりだが、スリムな形状のおかげで取り回しの良さや携帯性は上々。デュアルファンを採用した排熱システムにより熱容量にも余裕があるようで、ベンチマークをフルパワーで回し続けてGPU/CPU温度が80度に至っても筐体はほんのり温かい程度だ。全体の筐体デザインもカッチリと洗練され、SteelSeries製のキーボードと、DynaAudio製のスピーカーを実装している点が“ゲーミング仕様”を主張している。
特にSteelSeries謹製のキーボードはキーストロークが浅く、テンションも軽めな高速操作向きの設定になっており、筐体の剛性がしっかりとしているおかげもあって打鍵感は良好。強いて難を言うなら、キーボード下部のタッチパッドがボタン式でなくタッチ/押し込み式のハイブリッドになって、キーボード操作中にうっかり手のひらが触れると意図せぬマウスクリック操作が発生して混乱をきたすことがある。ここは従来のボタン式でよかったのではないかなあと思うところだが、物理ボタンを採用したノートPCは減っていっていることもあり、これも時代の流れだろうか。
モニターは17インチ、1,920×1,080のフルHDノングレアTNパネルで、リフレッシュレートは60Hz。パネルはいたって普通だが、中身のスペックは高い。続いてその仕様と能力を見ていこう。
【GS70 2QE-079JP】 | |
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構成 | スペック |
OS | Windows 8.1 update 64bit 日本語版 |
CPU | インテル Core i7 4710HQ |
チップセット | インテル HM87 |
メインメモリ | DDR3-1600MHz 16GB(8GB×2) |
GPU | NVIDIA GeForce GTX970M 3GB GDDR5 |
SSD | Super RAID 256GB SSD |
HDD | 1TB |
ディスプレイ | 17.3インチ 1,920x1,080(ノングレア) |
スピーカー | 4.1ch Audio Boost & Sound BLASTAR CINEMA 2 |
インターフェイス | HDMI x1 / Mini-DisplayPort x2 / LAN x1 / USB3.0 x4 / マイク入力 x1 / ヘッドフォン端子 x1 / Line-in x1 |
有線LAN | Killer DoubleShot Pro Gb LAN |
無線LAN | Killer DoubleShot Pro 11ac、Bluetooth 4.0 |
カメラ | HD Webcam(30fps@720p) |
バッテリー | リチウムポリマー6セルタイプ(60Wh) |
外寸 | 418.5mm×287mm×21.8mm(幅×奥行き×厚さ) |
重量 | 約2.66kg(バッテリー含む) |
スペック上の注目点は、メインドライブに128GB×2構成のRAID0ディスクアレイを実装していること、GPUにGeForce GTX 970Mを搭載していること、映像出力がHDMIとMini-Display Port×2の3系統もあること、きっちり有線LANを搭載していること、あたりだろう。
特にこの「GS70 2QE-079JP」での目玉となっているRAID0構成は、読み出し速度がほぼ1GB/sという爆速ぶり。電源投入からOSの完全起動までわずか10秒ほどという使い勝手の良さを実現している。OS上で見える実容量は240GBほどあるので、重めのゲームを10本以上は余裕で入れることができるだろう。入りきらない分はD:ドライブに設定されている1TBのHDDにインストールすればいい。いずれにしてもゲーム用途には充分すぎるほどの余裕がある。
3系統の映像出力のうち2つはDisplayPortなので、モニターさえあれば4K@60Hzの出力も可能だ。HDMIも同時に使えば、3画面マルチモニター環境で擬似デスクトップとして本製品を使うこともできる。
当然、本製品には充分な3D性能があるのでHDMIに「Oculus Rift DK2」等のVRヘッドセットを繋いでもいい。本製品に搭載されているGeFroce GTX 970はNVIDAイチオシの“VR Ready”GPUなのだ。その場を動かせないデスクトップPCと違い、VR環境を持ち運べる本製品のようなノートPCなら、いろいろな場所に持ち込んでデモする用途にも最適である。
では本当に充分な3D性能があるのか、次のページで見ていこう。