BFG 2011レポート

「Brink」ゲームディレクターPaul Wedgwood氏インタビュー
個性的なパルクールFPSはどのような経緯で生まれたのか?


4月11日~4月13日開催(現地時間)

会場:ユタ州パークシティ



 「Brink」は、FPSのセオリーに異を唱え、FPSにパルクールアクションを大胆に取り入れたチームベースのシューティングゲームだ。キャラクターのモデリングやシューティングの手応えなどにヨーロッパ産特有のクセがあり、好みがわかれそうなタイトルだが、逆に言えばそれだけ個性的なタイトルでもある。今回は英Splash DamageのCEOにして、「Brink」のゲームディレクターを務めるPaul Wedgwood氏に話を伺った。ゲームのインプレッションについてはこちらを参照頂きたい。




■ MOD製作のプロ達が生み出した新世代のFPS「Brink」

Splash Damage CEO兼「Brink」のゲームディレクターのPaul Wedgwood氏
キャラクターデザインは、ハリウッド俳優のモーガン・フリーマンのような面長な顔立ちが特徴的。しかも男しか登場しないという特異な世界観だ
ターゲットの修理を行なうエンジニア。クラスごとに特殊技能を備えており、各1名ずついないと齟齬が出るような設計になっている。もっとも、クラスはいつでもコマンドポストで切り替えられるため、必要に応じて変えるという戦い方もありだ
キャラクターのアバターは、衣服や頭、タトゥーまで含めると指数関数的なバリエーションを誇る。自分だけのキャラクターでマルチプレイを楽しみたい

Q: 「Brink」は自由度の高いシューターだと思いますが、クリエーターとしてユーザーのどのような遊び方を想定されていますか。

A: 以前から伝統的なシューターの自由度の低さに不満を持っていました。自由度については特に意識したところで、個々のプレーヤーの嗜好にあったキャラクターや、武器のカスタマイズ、遊び方ができるような設計を行なっています。

Q: S.M.A.R.T.(Smooth Movement Across Random Terrain)システムを採用した経緯を教えてください。

A: Splash Damageは10年間FPSを作っていて、アマチュア時代は「Quake3: Fortress」のMod作りから始めて、「Wolfenstein :Enemy Territory」、「Enemy Territory Quake Wars」の制作を行なってきました。従来のFPSだと、手前の足元が見えないのでイライラしますよね? プレーヤーが現実的に越えられるような壁も従来のシューターでは越えられることができません。こうした不自然さを取り去ることを注力しました。テーブルを越えながら銃撃したりするようなジョン・ウー監督の映画のようなモーションを入れたかったです。いったんこの自由度を味わってしまうと、自分の過去の作品を遊んでみても違和感を覚えてしまいます。

Q: 昨年Gamescomで「Brink」をプレイしましたが、あれからどういった部分が進化しているのですか?

A: GamescomではPS3のα版をプレイしていただきましたが、そこからXbox 360、PCに対応しました。E3で発表したときからは、コンセプトは変っていないです。また新たなゲームモードとして「チャレンジモード」が搭載されました。

Q: 「Brink」ではAIをどのように制御しているのですか。

A: 良い質問ですね。普通AIは人間らしくプレイしないことが多いです。通常スクリプトが書かれていて、その通りに動くだけです。しかし、実際の人間は敵が目の前にいたら、あえて壁を回りこんできて戦ったりということをします。「Brink」のAIはそれと同じように、毎回毎回同じ動きにならないように、設計されています。キャンペーンを行なうたびに、AIはまったく異なるアクションを行ないます。ゲームではサポートしていませんが、仮にプレーヤーがいっせいに抜けて、AIとAIが戦った場合でも、あたかも人間同士が戦っているような動きをします。

 チームプレイに対する考え方も本作は特徴的です。「Wolfenstein: Enemy Territory」を制作する際に日本のタイトルにもインスパイアされました。「Quake3」や「Unreal Tournament」のようなほとんどのマルチプレイシューターではフラッグ(敵の撃破)が得点になり、個人的にもっとも高得点のプレーヤーが勝者となります。チームプレイのゲームでさえも同様のプレーヤーが勝者となるものもあります。私達のゲームではベストメディック、ベストエンジニア、ベストキル、ベストデス、ベストキルレシオ、これらに賞を設けます。色々なプレーヤーに達成感を与えてクールな気持ちにさせてくれる大事なことだと考えています。数多のヘッドショットと同じくらい何百もの蘇生が意味があるのです。皆さんに賞が与えられるようにします。

Q: ベストソルジャーはどんなプレーヤーですか。

A: ゲームの中に経験値の概念が導入されています。他の人を助けたり、ヘルスや弾薬を与えたり、チームメイトをエスコートしたり、チームのための貢献に多大な経験値が用意されています。自分勝手な行動に対してはほとんど経験値が与えられません。ものすごくシンプルな行動がプレーヤーを輝かせてプレイを楽しくさせます。ベストソルジャーは、そういった経験値を1番獲得したプレーヤーがなります。敵を殺すということだけでなく、例えば弾薬を配ったりすることも同様に評価されるのです。例えばメディックの場合、プレーヤーにヘルスを与えたり、スピードブーストのためのアドレナリンを与えたり、蘇生したりすることは戦闘と同様に評価されるのです。

Q: シングルとCO-OPモードのバランスはどのように取っているのでしょうか。

A: シングルで得られる経験値とCO-OPで得られる経験値は同じなのです。結果的にはそれぞれ得られる経験値を変える必要が無かったのです。どちらのモードで遊んでも同じ経験値が得られるようにしてもゲームバランス的には問題ありませんでした。

Q: 女性キャラクターが出ないのはなぜですか。

A: メモリー不足です(笑)。すべて異なる武器、異なる動き、ボディタイプを表現するのに大量のアニメーションを使って表現しています。さらに同時に50人を1画面内に表示させたりしていてとにかくメモリーをたくさん使っています。女性のキャラクターを登場させる際に、それらの大量のアニメーションを女性の体のパーツから1から作らなければなりませんでした。さらには工数を節約するために女性のキャラクターに男性のモーションを加えることになってはいまいち見た目が良くありませんでした。そのため、比較的早い段階で女性キャラクターの導入はあきらめることにしました。しかし、こうした発表があるたびに女性の記者の方に同じ質問をぶつけられることになってしまい、やればよかったと思っています(笑)。

Q: ゲームの舞台である人工島アークの中に、女性がまったく登場しないことについて、ストーリー的にどのようにつじつまを合わせているのですか?

A: アークのバックストーリーでは、すでにいくつかの戦いを経ており、一般人がいないような限定された場所で戦いが起きているという設定になっています。

Q: 「Brink 2」が作られるとすれば女性は登場しますか。

A: ノーコメントです(笑)。

【スクリーンショット】


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(2011年 4月 19日)

[Reported by 中村聖司]